3. テレビジョン受信機
3.1 特定エネルギー消費機器の最新状況の整理
3.1.4 新たな区分・基準値に関する検討
表 3-9 区分別×メーカー別の製品ラインナップ数
※製品ラインナップの存在する区分のみ記載している
※赤字は国内系メーカーのうち製品ラインナップ数の多い企業、青字は海外系メーカーのうち製品ライン ナップ数の多い企業
表 3-10 現行法における区分
区分名 画素数 画面サイズ 動画表示速度 付加機能 区分DA
FHD
19V型未満
液晶ノーマル
下記以外のもの
区分DA1 付加機能を1つ有するもの
区分DA2 付加機能を2つ有するもの
区分DA3 付加機能を3つ有するもの
区分DB
液晶倍速
下記以外のもの
区分DB1 付加機能を1つ有するもの
区分DB2 付加機能を2つ有するもの
区分DB3 付加機能を3つ有するもの
区分DC
19V型以上
32V型未満
液晶ノーマル
下記以外のもの
区分DC1 付加機能を1つ有するもの
区分DC2 付加機能を2つ有するもの
区分DC3 付加機能を3つ有するもの
DA DC DC1 DF DF1 DF3 DG1 DG2 DI DK DK1 DN DN1 DN3 総計
CANDELA 1 1 2
COBY 1 1 1 1 1 5
LG 12 5 17
maxzen 4 1 1 6
OEN 1 1 2 4
SANSUI 3 5 2 10
S-cubism 2 2 3 7
TEES 1 1 6 1 1 1 5 16
WIS 1 1 1 3
RB Controls 1 1
アズマ 1 2 3
オリオン電機 3 2 5
シャープ 1 7 10 2 2 22
ソニー 4 8 1 1 14
ハイセンス 12 2 3 17
パナソニック 5 7 4 3 19
Mr Max 1 1 2
ユニテク 1 1
リンナイ 3 3
三谷商事 2 2
三菱電機 4 5 2 3 3 17
船井電機 2 2
東芝 2 7 5 1 1 16
日立 1 2 1 4
総計 2 3 1 12 62 5 35 2 9 11 15 21 17 3 198
区分DD2 付加機能を2つ有するもの
区分DD3 付加機能を3つ有するもの
区分DE
液晶4倍速又は プラズマ
下記以外のもの
区分DE1 付加機能を1つ有するもの
区分DE2 付加機能を2つ有するもの
区分DE3 付加機能を3つ有するもの
区分DF
32V型以上
液晶ノーマル
下記以外のもの
区分DF1 付加機能を1つ有するもの
区分DF2 付加機能を2つ有するもの
区分DF3 付加機能を3つ有するもの
区分DG
液晶倍速
下記以外のもの
区分DG1 付加機能を1つ有するもの
区分DG2 付加機能を2つ有するもの
区分DG3 付加機能を3つ有するもの
区分DH
液晶4倍速又は プラズマ
下記以外のもの
区分DH1 付加機能を1つ有するもの
区分DH2 付加機能を2つ有するもの
区分DH3 付加機能を3つ有するもの
区分DI
FHD以外
19V型未満
液晶ノーマル
下記以外のもの
区分DI1 付加機能を1つ有するもの
区分DI2 付加機能を2つ有するもの
区分DI3 付加機能を3つ有するもの
区分DJ
液晶倍速
下記以外のもの
区分DJ1 付加機能を1つ有するもの
区分DJ2 付加機能を2つ有するもの
区分DJ3 付加機能を3つ有するもの
区分DK
19V型以上
32V型未満
液晶ノーマル
下記以外のもの
区分DK1 付加機能を1つ有するもの
区分DK2 付加機能を2つ有するもの
区分DK3 付加機能を3つ有するもの
区分DL
液晶倍速
下記以外のもの
区分DL1 付加機能を1つ有するもの
区分DL2 付加機能を2つ有するもの
区分DL3 付加機能を3つ有するもの
区分DM
液晶4倍速又は プラズマ
下記以外のもの
区分DM1 付加機能を1つ有するもの
区分DM2 付加機能を2つ有するもの
区分DM3 付加機能を3つ有するもの 区分DN
32V型以上
液晶ノーマル
下記以外のもの
区分DN1 付加機能を1つ有するもの
区分DN2 付加機能を2つ有するもの
区分DN3 付加機能を3つ有するもの
区分DO
液晶倍速
下記以外のもの
区分DO1 付加機能を1つ有するもの
区分DO2 付加機能を2つ有するもの
区分DO3 付加機能を3つ有するもの
区分DP
液晶4倍速又は プラズマ
下記以外のもの
区分DP1 付加機能を1つ有するもの
区分DP2 付加機能を2つ有するもの
区分DP3 付加機能を3つ有するもの
(2) 基準式に関する検討
現行法では画面サイズ別(19V型未満、19V型以上32V 型未満、32V型以上)に主流の 区分で設定した基準式(19V型未満の場合は定数、19V型以上の場合は画面サイズの一次関 数)に対して、その他の区分については各種機能差に起因する年間消費電力量の変化を画面 サイズに依らない定数(傾きは不変で切片が変化する)として勘案するように基準値が規定 されている。
各種機能差の区分設定に係る妥当性の検証、基準値の設定方法の検討を行うことを目的 として、重回帰分析を実施した。現行基準式は各種機能差を切片で評価しているが、画面サ イズに応じて各種機能差が年間消費電力に及ぼす影響が変化する可能性があるため、傾き、
切片のいずれにも織り込んだ回帰式で重回帰分析を実施した。他方で、重回帰分析において 有効な結果を得る上で、説明変数間(回帰式内の項同士)に強い相関がない(多重共線性が ない)ことが求められる。従って、まずVIF分析を行い、説明変数間の多重共線性の検証を 行った上で、多重共線性があると認められる変数に関しては回帰式の傾き、あるいは切片の いずれに含めるべきかの検証を行った。
対象サンプルについて、メーカー間でのエネルギー消費量のばらつきを排除するため、
(1)において確認した結果を踏まえて複数社を対象としてメーカー別に分析を行った。分 析は以下の手順で実施した。
① VIF(Variance Inflation Factor)分析によるパラメータ間の多重共線性の検証:重
回帰分析において除外すべきパラメータの特定、有効な回帰式の導出
② ①の結果を踏まえた式による重回帰分析
③ ②の結果(P値)に基づき、有効なパラメータに限定して重回帰分析
年間消費電力量=(a+b × FHDフラグ+c × 4Kフラグ+d × 8Kフラグ+e
×倍速フラグ+f × 4倍速フラグ+g × DDTフラグ+h × HDDフラグ+i
× BDフラグ) ×画面サイズ+j+k × FHDフラグ+l × 4Kフラグ+m
× 8Kフラグ+n ×倍速フラグ+o × 4倍速フラグ+p × DDTフラグ+q
× HDDフラグ+r × BDフラグ
*a~rは変数
1) 個社に関する分析
a. VIF分析の結果(シャープ)
シャープ製の製品(省エネ型製品情報サイトに掲載された日時が2017年の製品)を対象 として、説明変数間の多重共線性を検証するためVIF分析を実施した。
一般的にVIF値が10以上の場合、多重共線性がある可能性が高いと判断されることから、
4Kおよび倍速フラグに関しては多重共線性がある可能性が高いとみなせる。
また、FHD(4K、8Kは除く)に関しては多重共線性がある可能性は高くないが、4Kと同 じ画素数の括りであり、4K のVIF 値が高いことから多重共線性があるとみなす。8K に関 しては、データ数が1件であり、FHD、4K同様画素数の括りであるため多重共線性がある とみなす。
従って、いずれのパラメータについても、傾きか切片のいずれか一方に織り込むことが適 切と考えられる。
表 3-11 VIF分析の結果(シャープ)
指標 説明変数 VIF値
FHD FHD、FHD×サイズ 5
4K 4K、4K×サイズ 22
8K 8K、8K×サイズ ―*
倍速 倍速、倍速*サイズ 67
*8Kはデータが1点のため評価不能
上記より、いずれの説明変数についても傾き、あるいは切片のいずれかに含めることが適 切であると考えられるため、各パラメータのフラグを全て傾きに含めた場合、また全て切片 に含めた場合のそれぞれの重回帰分析を行った。R2 値が高いほど回帰式の誤差が小さく、
回帰式として妥当であるとみなせることから、今回の回帰式としては各パラメータを傾き に含めた式が適切であると言える。他方で、いずれの回帰式においても R2 値は十分高く、
両方の差も小さいため、いずれの回帰式で分析することも妥当と考えられる。今般の重回帰 分析に関しては、パラメータを全て傾きに含めた回帰式で重回帰分析を実施する。
表 3-12 重回帰式の妥当性の検証(シャープ)
回帰式 R2値 説明変数を全て傾きに含める 0.990 説明変数を全て切片に含める 0.980
上記の結果を踏まえると、重回帰分析において用いる回帰式は以下のとおり。
年間消費電力量=(a+b × FHDフラグ+c × 4Kフラグ+d × 8Kフラグ+e
×倍速フラグ) ×画面サイズ+j
*a~e、jは変数
2) 分析のまとめ
各社の分析を主要メーカー(シャープ、パナソニック、SONY、ハイセンス、LG)に対し て実施した結果を以下の通りまとめる。VIF分析の結果、いずれのメーカーにおいても各パ ラメータは多重共線性があるため、傾き・切片のいずれかのみに含めることが適切である。
表 3-13 重回帰分析結果まとめ(VIF値)
シャープ パナソニック SONY ハイセンス LG
FHD 5 211 ― 209 ―
4K 22 30 8 56 ―
8K ― ― ― ― ―
倍速 67 40 26 ― 80
* 空欄は評価不能(該当製品がない、製品間の仕様が同じなど)
重回帰分析の補正R2値の結果、傾き、切片のいずれかにパラメータを含めるべきかにつ いてはメーカーごとで異なる。他方で、R2値に大きな差が見られた企業はなく、また、SONY、
LG以外については R2 値が約 0.9以上と高い値であるため、いずれの回帰式で分析を行う ことも適切と考えられる。
表 3-14 重回帰分析結果まとめ(R2値)
シャープ パナソニック SONY ハイセンス LG 全て傾きに含めた場合 0.990 0.972 0.856 0.8910 0.813 全て切片に含めた場合 0.980 0.967 0.867 0.8911 0.798
重回帰分析の結果より、各指標の係数は以下のとおり。シャープ、パナソニック、LGは 全ての指標を傾きに含めているため、単位が kWh/V 型となるが、SONY、ハイセンスは切 片に含めているため、画面サイズ以外は単位がkWhとなる点に留意が必要である。また、
赤いセルはP値が低く(0.05以下)、年間電力消費量と相関がない(影響を及ぼさない)可 能性が高い点にも留意が必要である。
倍速はいずれのメーカーにおいても P 値が十分低く、年間電力消費量と相関があると考 えられる。係数について、シャープは他指標と比べて値が低いが SONY については他指標 と比べて値が高く、企業によって年間消費電力量に及ぼす影響に差があると考えられる。
FHD は分析可能である4社のうち3社において年間電力消費量と相関がない結果となっ ており、FHDは年間電力消費量に影響を及ぼさない可能性が高いことが示唆された。
表 3-15 重回帰分析結果まとめ(重回帰分析による係数)
シャープ パナソニック SONY ハイセンス LG 画面サイズ 1.6 kWh/V型 1.1 kWh/V型 2.1 kWh/V型 3.0 kWh/V型 2.7 kWh/V型
FHD 0.4 kWh/V型 0.0 kWh/V型 12.5 kWh -21.9 kWh ―
4K 0.9 kWh/V型 1.1 kWh/V型 19.8 kWh 5.7 kWh ―
8K 1.1 kWh/V型 ― ― ― ―
倍速 0.2 kWh/V型 ― 53.4 kWh ― 0.3 kWh/V型
* 赤いセルはP値が0.05より高い指標
* 空欄は評価不能(該当製品がない、製品間の仕様が同じなど)
上記の分析結果を表 3-16のとおりまとめる。現行法における測定方法で得られたデータ を活用した場合、以下の示唆が得られたが、今後は新たに策定される測定方法に基づいて得 られたデータを用いて同様の検討を行う必要がある。その場合、メーカー間での測定条件に 差はなくなるため、全メーカーを対象として分析を行うことが考えられる。