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4. 照明器具

4.1 特定エネルギー消費機器の最新状況の整理

4.1.2 固有エネルギー消費効率の構成要素

照明器具はその製品種類が非常に多く、特に器具効率を考慮する場合には、用途や器具の 形状などについても区分を行う必要性について検討する必要がある(詳細は後述)。そのた め、今後の区分の妥当性や効率改善余地に関する検討を行う材料とすることを目的に、固有 エネルギー消費効率(lm/W)に影響を与える技術要素を分解した。

特定非営利活動法人LED照明推進協議会の「LED照明ハンドブック第三章設計ガイドラ イン編」では、LED照明器具の総合効率は以下のとおり定義されている。

LED照明器具の総合効率(lm/W) = ηe × ηs × ηo

ηe:電源部の電源効率 ηs:光源部の発光効率 ηo:配光制御部の光学的効率

※総合効率は固有エネルギー消費効率と同義

また、照明器具メーカーによる技術資料などでは、図 4-2、図 4-3に示すように光源部の 発光効率をさらに細かく分解しているものもあり、整理すると固有エネルギー消費効率の 構成要素は図 4-4に示すような形に分類される。

図 4-2 LEDの器具組込時の総合効率低下要因

出所)パナソニック電工:http://www.jia-kanto.org/koryu/sheet/panasonic/panasonic-05.html

ηe ηs ηo

図 4-3 LED照明器具の効率分布

出所)照明用LEDの現状と将来, シャープ技報 99号, 2009.8

固 有 エ ネ ル ギ ー 消 費効率

ηe電源部の

電源効率 ① 電源効率 回路内の抵抗などによって変化する駆 動回路の効率

ηs 光源部の 発光効率

② 電気的効率

LED素子内の電気的効率

電流値を上げることで光束を増やすこ とができるが、同様に電圧も増加し、そ の増え方が異なるために電流値を上げ ると効率が低下する

電流 300mA 1000mA

電圧 2.9V 3.1V

光束 120lm 360lm

消費電力 0.87W 3.1W

効率 137.9lm/W 116.1lm/W

③ 内部量子 効率

LED 素子内の正孔と電子の再結合によ って光子が放出される割合(図 4-5)

④ 光取出効率 LED素子内で発生した光子がLED素子 外に取出される割合(図 4-5)

⑤ 蛍光体効率

蛍光体(紫外線や可視光などの外部から のエネルギーを吸収し、異なる光に変換 する物質)の発光効率

⑥ 光散乱効率 LEDパッケージからLED外に取出せる 効率(図 4-6)

⑦ 熱効率

LED 素子は温度が上昇すると発光効率 が低下する特性を持つため、器具内温度 の影響により効率が変化する

ηo 配光制御部の

光学的効率 ⑧ 器具効率 LEDから出る光を照明器具から取出せ る効率

図 4-4 固有エネルギー消費効率の構成要素

ηe ηs ηo

図 4-5 内部量子効率、光取出効率

図 4-6 光散乱効率

これらの固有エネルギー消費効率の構成要素の内、LED チップ、パッケージといった光 源部については照明器具メーカーではなくチップメーカーが製造していることが多く、LED チップも含め自社で製造している照明器具メーカーはごくわずかとなっている。

そのため、最終製品である照明器具のメーカーとしての効率改善余地としては、高効率の チップを調達するという改善努力はもちろん存在するものの、自社の技術開発による効率 改善の対象は主に電源部の電源効率と器具効率となる。しかし、電源回路についても蛍光灯 器具に比べ、比較的単純な電気回路でも点灯が可能なLED照明器具においては、照明器具 メーカーによっては自社では製造しておらず、既製品を調達して照明器具として組み立て て販売しているメーカーも存在している。

なお、照明に用いられる光源部の理論的な最大効率(損失の全く無いLED素子の場合)

は300lm/W程度と言われているが、図 4-7に示すようなLED照明推進協議会によるロード

マップでは、色温度や演色性にもよるが2025年に250lm/W前後まで向上すると想定されて いる。

LED 照明器具に関する新たな基準については、このような固有エネルギー消費効率の構 成要素やそれぞれの要素に関する技術開発余地とその主体について考慮しつつ、区分や基 準値等の検討を行う必要がある。

正孔

電子

再結合 再結合

LED素子外に取り出された光

LED素子外に取り出された光

P P-N N

接合部

熱平衡時には電子障壁によって正孔 や電子は移動しないが、電圧をかけ ることで電子障壁を超え、正孔はN領 域に電子はP領域に移動し再結合す る。その再結合の際に光と熱が発生 する。

この時、再結合した電子の数に対し て発生した光(光子)の数の割合を内 部量子効率という。

また、発生した光子の内、最終的に LED素子外に取り出される光子の割 合を光取出効率という。

LEDパッケージ 蛍光体

LEDチップ 反射板

LEDパッケージ外に出てくる光子 の割合を光散乱効率という

図 4-7 光源部の発光効率の予測

出所)LED照明推進協議会 白色LEDの技術ロードマップ20153月改定