C健
第2節 本調査の概要
第1項 定量調査の目的と方法
仮説検証のため、質問票調査にて実証研究を行った。質問票は、医師、医療サービスに ついての設問50問の5点尺度で行った。項目の妥当性確認を目的にプリテストを行った。
クリニック1施設(大阪府大阪市)にて、2010年4月12目〜15目の4日間、再診の成人 患者100名を対象に行った。再診受診患者にランダムに依頼し、待合室にて待ち時間に記 入後して頂き、封をして回収する形をとった。設問、調査形式に特に問題は見つからなか ったため、本調査を実施した。
本調査の対象者は、大学病院1施設、一般病院1施設、クリニック8施設の再診の成人 外来患者1111名である。2010年4月16日から2010年7月17目に各医療機関の待合室に て実施した。本調査は、各研究協力機関倫理委員会での承認を得て、対象者に調査開始前
223 カ末の参考資料に質問項目を記載する。
に研究目的、調査内容を説明し、参加や中止が自由な意思であることを保障した上で研究 への理解と同意を得て実施した。回収結果は以下のとおりである。
1111名の対象者の内訳は、クリニック585名(男性198名、女性357名、性別無回答30 名)、r股病院351名(男性143名、女性176名、性別無回答32名)、大学病院175名(男 性99名、女性66名、性別無回答10名)であった。全体では、男性440名、女性599名、I 性別無回答72名であった。
データクリーニングとして、1111ケースのうち、質問50に記入漏れのあるケースと全 評価を5と回答しているケースを削除した。その結果、有効回答サンプルは839名となっ た。839名の内訳は、クリニック426名(50.8%)、一般病院270(32.2%)、大学病院143 名(17.O%)である。性別は、男性353名(42.1%)、女性仏7名(5a3%)、性別無回答 39名(46%)である。年齢は、40歳未満91名(1α8%)、40歳以上60歳未満211名(25.1%)、
60歳以上508名(60.5%)年齢区分無回答29名(3.5%)である。
第2項対象者の属性
クリニック426名のうち、男性は149名(35.0%)、女性は259名(60.8%)、性別無回 答18名(4−2%)である。年齢は、40歳未満65名(15.3%)、40歳以上60歳未満118名
(27.7%)、60歳以上228名(53.5%)、年齢区分無回答15名(3.5%)である。
一般病院270名のうち、男性は122名(45.2%)、女性は134名(49.6%)、性別無回答 14名(5.2%)である。年齢は、40歳未満22名(8.1%)、40歳以上60歳未満75名(27.8%)、
60歳以上164名(60.7%)、年齢区分無回答9名(3.3%)である。
大学病院143名のうち、男性は82名(57.3%)、女性は54名(37.8%)、性別無回答7 名(49%)である。年齢は、40歳未満4名(2.8%)、40歳以上60歳未満18名(12.6%)、
60歳以上116名(81.1%)、年齢区分無回答5名(3.5%)である。
各施設で最も多い年代は、クリニックと一般病院は60〜69歳、大学病院は70〜79歳で あった。クリニックと一般病院は類似した年代分布をしており、共に40〜49歳は13%、
50〜59歳が15%であった。大学病院の高齢者受診は多かった。ランダムに調査を実施した ので、受診患者の母集団は、大学病院、一般病院、クリニックの順で平均年齢が高いと推
測される。
就労形態は、全体ではフルタイム252名(30.O%)、パートタイマー90名(10.7%)、無 職459名(54.7%)、就労形態無回答38名(3.3%)である。無職の約50%が60歳以上の 患者であった。フルタイムの患者は、クリニックを選択している傾向が見られた。若年層 は高齢者に比べ重篤な疾患に罹患している率が少ないこと、利便性が理由として考えられ
る。
クリニック426名のうち、フルタイムは151名(35.4%)、パートタイマーは43名(10.1%)、
無職は216名(50.7%)、就労形態無回答は16名(3.8%)である。一般病院270名のうち、
フルタイムは65名(24.1%)、パートタイマーは33名(12.2%)、無職は157名(58.1%)、
就労形態無回答は15名(5.6%)である。大学病院143名のうち、フルタイムは36名(25.2%)、
パートタイマーは14名(9.8%)、無職は86名(60.1%)、就労形態無回答は7名(4.9%)
である。
通院時間は、全体では10分以内が351名(41.8%)、11−30分が297名(35.4%)、31−60 分が124名(14.8%)、61−90分が31名(3.7%)、90分以上が8名(1.0%)、通院時間無 回答が28名(3.3%)であった。通院時間において、.クリニックと一般病院の傾向は類似
していた。共に10分以内が約50%、0〜30分以内が80%以上であった。クリニックと地 域の一般病院は競合している可能性が示唆された。
クリニック426名のうち、10分以内は211名(49.5%)、11−30分は134名(31.5%)、
31−60分は54名(12.7%)、61−90分は12名(2.8%)、91分以上は2名(0.5%)、通院時 間無回答は13名(3.1%)である。
一般病院270名のうち、10分以内は124名(45.9%)、11−30分は101名(37.4%)、31−60 分は28名(10.4%)、61−90分は6名(2.2%)、91分以上は1名(O.4%)、通院時間無回 答は10名(3.7%)である。
大学病院143名のうち、10分以内は16名(11.2%)、11−30分は62名(43.4%)、31−60 分は42名(29.4%)、61−90分は13名(9.1%)、91分以上は5名(3.5%)、通院時間無回 答は5名(3.5%)である。
通院期間は、全体では、3か月未満が117名(13.9%)、3か月以上1年未満が85名(10.1%)、
1年以上3年未満が141名(16.8%)、3年以上5年未満が119名(14.2%)、5年以上7年 未満が93名(11.1%)、7年以上が241名(28.7%)、通院期間無回答が43名(5.1%)で あった。本調査は、慢性疾患を中心に再診患者を対象に実施したため、通院期間は各施設 7年以上の患者が最も多かった。特に大学病院では割合が高かった。大学病院でしか治療
できない場合があるためと考えられる。
クリニック426名のうち、3か月未満は65名(15.3%)、3か月以上1年未満は49名
(11.5%)、1年以上3年未満は82名(19.2%)、3年以上5年未満は53名(12.4%)、5 年以上7年未満は47名(11.0%)、7年以上は108名(25.4%)、通院期間無回答は22名
(5.2%)である。
一般病院270名のうち、3か月未満は44名(16.3%)、3か月以上1年未満は23名(8.5%)、
1年以上3年未満は39名(14.4%)、3年以上5年未満は48名(17.8%)、5年以上7年未 満は29名(10.7%)、7年以上は72名(26.7%)、通院期間無回答は15名(5.6%)であ
る。
大学病院143名のうち、3か月未満は8名(5.6%)、3か月以上1年未満は13名(9.1%)、
1年以上3年未満は20名(140%)、3年以上5年未満は18名(12.6%)、5年以上7年未 満は17名(11.9%)、7年以上は61名(42.7%)、通院時間無回答は6名(4.2%)である。
3施設とも通院時間と通院期間に相関は見られず、一度通院し始めると通院時間で離脱 ということは少ないようである。患者は、初診の際にアクセスや利便性について評価を行 い、医療機関選択をしていると考えられる。また、治療経過が長くなると、スイッチング に対レ己・理的コストを感じ、スイッチングしにくくなると推測される。疾患の重篤度が高 いとその傾向は強くなると考えられる。
第3項概念の妥当性の確認
構成概念について最適尺度法による妥当性の確認224を行った。医師のサービス晶質は、
仮説で提示した5つの構成概念(専門性、手早さ、不安除去、手厚さ、親近感)では弁別 できなかった。因子分析を行うと、1因子になった。また、特性的自己効力感は線形性が 得られなかった。
医師のサービス晶質を1つの構成概念として確認すると、15項目(的確な診断、医師の 専門知識、医師の治療実績、説明、治療見通し、不安除去、明確な回答、検査の手配、紹 介先紹介、傾聴、診察時間、相性、話しやすさ、面会の楽しみ)ではα=0.95となった。
妥当性が確認できた構成概念は、医師に対する満足(医師の態度に対する満足、医師の
224 テ当性は、最適尺度法を用い、収束妥当性をクロンバックのα係数で確認し、受診座標の等間隔 性、線形性の確認を確認した。
技術に対する満足、治療方針に対する満足、治療効果に対する満足)、健康自己効力感(治 療への前向きさ、健康状態に対する期待、活力、達成感)α=α81、健康QOL(健康状 態に対する満足、生活の楽しさ、QOL改善度)α=α80であった。
各項目の相関係数はを図表6−11に示す。構成概念問の相関が認められ、医師のサービス 晶質と医師に対する満足には強い相関が見られた。この結果は、共分散構造分析のモデル の探索に使用する。
図表6−11構成概念の相関
医師のサービス品質 医師に対する満足 健康自己効力感 健康QO L
医師のサービス品質
医師に対する満足 .90●■
健康自己効力感 .50■ .45■t
健康QO L .53■■ .51it .78亡■
舳.相関係数は1%水準で有意(両側)