C健
第3節 患者の満足構造
技術に対する満足、治療方針に対する満足、治療効果に対する満足)、健康自己効力感(治 療への前向きさ、健康状態に対する期待、活力、達成感)α=α81、健康QOL(健康状 態に対する満足、生活の楽しさ、QOL改善度)α=α80であった。
各項目の相関係数はを図表6−11に示す。構成概念問の相関が認められ、医師のサービス 晶質と医師に対する満足には強い相関が見られた。この結果は、共分散構造分析のモデル の探索に使用する。
図表6−11構成概念の相関
医師のサービス品質 医師に対する満足 健康自己効力感 健康QO L
医師のサービス品質
医師に対する満足 .90●■
健康自己効力感 .50■ .45■t
健康QO L .53■■ .51it .78亡■
舳.相関係数は1%水準で有意(両側)
健康QOLの観測変数は、生活の楽しさ、QOL質改善度、健康状態に対する満足であ る。健康自己効力感の観測変数は、治療への前向きさ、活力、達成感である。医師に対す る満足の観測変数は、医師の態度に対する満足、医師の技術に対する満足、治療方針に対 する満足である。特性的自己効力感の観測変数は、行動力、粘り強さ、忍耐力である。
主な適合度指標には一般的なGF I,AGF I,CF I,RESEAを用いた。GF I は0.9以上であれば説明力のあるパス図であると判断され、AGF I,CF Iは1に近い ほどデータの当てはまりが良いと判断される。、RMSEAはO.05以下があてまはりが良 く、O.1以上であればよくないと判断し、その間の値の場合は、パス図が妥当であるとい
う説明が必要226と言われている。
図表6−12は全施設の有効患者(n=839)で分析した結果である。検証の結果、カイ二乗検 定(df=161,㎝I昨864890)のp値はα000で有意にならなかったが、GF IがO.906,
AGF IがO.878,CF Iが0.94,RNSEAが0,072であった。各パスの有意確率は、
医師に対する満足から健康QOLへのパスのみ5%水準で有意であったが、それ以外のパ スはすべて1%水準で有意になった。モデルの適合は良いとは言えないが、このモデルを 採用し、グループ間の比較と解釈を行う。
226 L田編(2007),P.18
図表6−12 自己効力感と患者満足の仮説モデル(標準化係数)
自己効力感と患者溝足の仮説そデル(全体)
.8フ 弱難溶鰯轡 .66
治鵬簸川
用例
苓安降表
綱39d栖帽1 炉.000 カイ2桑顯久銚2 G岡箏、906
^G岡:.8?8 c動竺.幽。
識MSI≡三A纈,O?2 A1C邊g62,892 H◎産LYεR05報一86,000 HOεしTεR01:290
.99
。瑞
.69
.73 滋雛 .78
,9
,63
H1〜H12の仮説はすべて支持された。図表6−12の結果の解釈を行う。このモテシレ は、左側がサービス品質に関係する概念、右側が患者に関する概念であり、最終的な目標 は共に一番下の患者満足であるというモデルである。左右の橋渡しは医師と患者の相互作 用であり、パス図では医師に対する満足から健康自己効力感へのパスである。医師との関 係性によって患者の健康自己効力感が強さ、大きさを増していくと考えられるが、一方で 本来患者が持つ特性的自己効力感のサポートを受けているということも同時に示している。
このモデシレの興味深い点は、患者の本来持つ特性的自己効力感は、直接的に健康QOL に作用すると、ネガティブな効果になってしまうが、健康自己効力感を介在することによ って、健康QOLに間接的にプラスに働くことである。この現象は、医師の介入によって、
患者が健康に対し態度や行動を変化している表れである。また、特性的自己効力感の高い 患者は、QOLに対する期待が高いため、現状のQOLに容易に満足しないため、直接的 なパスはマイナスになる理由もあると考えられる。
長期的にみると、この患者の自己効力感への影響は患者の行動を変化させ、それを認識
する医師を動機づけ、医師はよりよい介入を行うという相互作用を背景に持っていると考 えられる。このモデルは、医療サービスに関わらず、自己効力感がかかわる他のサービス にもあてはまると考えられ、特に、消費者の行動変革が成果の指標になりえるプロフェッ ショナル・サービスにおいては、類似の現象が起こっていると推測される。
医師と患者の相互作用には「支援」という共通認識があると考えられる。医師が、一方 的に医療技術を患者に提供するのではなく、患者は医師が適切な治療をスムーズに行うよ
うに問診にでこれまでの状況を説明し、服薬など治療に好ましい行動を約束し、守り、互 いに対等の立場で支援していく関係である。これまで議論してきた価値観の一致が支援関 係を成立させる基盤を作る。そして、支援という共通認識の中で信頼を形成されると考え られる。また、相互作用の成果物として両者の目標である患者満足、QOLを生み出して いると解釈した。
では、それぞれのパスについてみてみよう。医師のサービス晶質を分解した対人的側面 と技術的側面のパス係数は、0.96とα97であり、どちらも同程度であった。インタビュ ーによる推論と同じく、2つの側面を重視しバランスも含めて評価していると考えられる。一 医師のサービス晶質と医師に対する満足は、非常につながりが深く、患者の中では、弁 別されず非常に近い認識でとらえている可能性が邪魔された。
再診意図については、医師のサービス晶質が医師に対する満足を高め、再診意図に影響 を与えるという直線的な経路が強いパスとして存在した。医師に対する評価が再診意図に 直接的に影響するというインタビューからの仮説が実証された。医師の満足から再診意図 へのパスは、O−83と非常に高かった。
Crosby at a1,227は総合満足には中核となる品質に対する満足が重要であることを主張 しているが、医療サービスでも確認されたといえる。医師に対する満足から患者満足への パスは、0.74と高かった。患者満足のパスの方が低いということは、患者が患者満足は医 師以外の満足も含めた総合満足であることを認識していることを示しており、総合満足の 中にある部分満足のうち、医師に対する満足が中核であることを示していると考えられる。
インタビュー結果により、医療サービスでは、総合満足から再購買意図へのパス、すな わち仮説モデルでは患者満足から再診意図へのパスは有意にならないと仮説を立て、モデ ルにはパスを含めなかった。パスありの場合を確認すると、パスは有意にならず、仮説通 り再診意図は患者満足ではなく、医師への満足によってもたらされることが明らかになっ
227Cr・・by・ta1.(1987),P.409−410
た。医療における医師のサービス品質の重要性が顕著に結果に表れた。
医師に対する満足から健康QOLへのパスは、5%水準で有意であり、パス係数がO−07 と非常に小さい。このパスについては本調査のみで判断せず、検討が必要と考えられる。
また、健康QOLから患者満足へのパスは、弱いが有意になった。医療の主要なアウト カムとして考えられているので、患者満足へのパスが弱い点は質問の仕方等調査に問題が あったかもしれない。QOLは測定が難しい概念であり、本研究のみの結果では言及でき ないと考えている。ただ、健康QOLは医師に対する満足、患者満足との関連性があり、一 特性的自己効力感からマイナスの影響を受けることが確認できたことは、意義があると思
われる。
本研究の仮説モデルの貢献は、医療サービスの満足構造において、医師に対する満足が 中核的な役割をしていること、自己効力感が満足構造の中で医師と患者の相互作用を促進 する重要な変数であることが明らかにできたことだと考える。さらに、仮説モデルを対照 群で比較検討していく。
第2項施設種別による満足構造の違い
本研究では、施設種別の違う施設で調査を実施した。種別が異なるということは、提供 されるサービス内容が異なることを意味する。施設種別は満足構造に影響を与えるのだろ うか。筆者は、医師と患者間の相互作用は患者満足に不可欠な要素であり、仮説モデルで 提示した満足構造は、施設種別に関わらず共通であると考えている。H13の仮説を設定
し、分析を行った。
H13:施設規模に関わらず、同じ満足構造である。→【結果】支持されず
図表6−13施設別推定パラメータ値の比較
パラメータ クリニック 一般病院 大学病院
医師のサービス品質 → 対人的側面 0.96榊 0.98榊 0.86榊 医師のサービス品質 → 技術的側面 0.96枠 0.96榊 0.89榊 H1 医師のサービス品質 → 医師に対する満足 0.99軸 0.97軸 1.06榊 H2 医師に対する満足 → 健康自己効力感 0.37榊 0.31榊 0.32榊 H3 医師に対する満足 →
健康QOL
n.S. 0.10‡ n.S.H4 医師に対する満足 → 患者満足 0.80軸 0.67榊 0.69榊 H5 医師に対する満足 → 再診意図 0.79榊 0.85榊 0.71榊 H6 特性的自己効力感 → 健康自己効力感 0.61榊 0.64榊 0.62榊 H7 特性的自己効力感 →
健康QOL
一0.24榊 一0.24榊 一0.41榊H8 健康自己効力感 →
健康QOL
1.10榊 1.10榊 1.21榊H9
健康QOL
→ 患者満足 n.S. 0.18榊 n.S.榊〆O.001,材〆0.01,ホ〆0.05,n.s.:有意にならず
患者溝足と自己効力感、健康QOLの仮説モデル
医師のサービス品質 特性的自己効力感 1→6