第 8 章 日本人と中国人のクレーム交渉動に関する意識調査
8.2. 調査 1 の概要
8.2.6 調査 1 から見られた文化差
8.2.6.1 質問 1 に関する結果
日本と中国における 14 場面で発生したクレーム事態の日常生活での発生状況を図 8-1 と図8-2に示す。また、14場面の全体的な発生状況に関する日中対照を図8-3に示す。
図8-1各場面で発生したクレーム事態の日常生活での発生状況(日本人の場合)
18.7
37.5 9.4
28.1 18.8
12.5 9.4
21.9 12.6 6.3
15.6 21.9 0
9.4
37.5
31.3 40.6
31.3 31.3
34.4 40.5
25 37.5 34.4
46.9 40.6 37.5
62.5
43.8 21.8 50
21.8 40.5 53.1
43.8 43.7 43.6 59.3
34.4 25 62.5
28.1
0% 20% 40% 60% 80% 100%
JP1 JP2 JP3 JP4 JP5 JP6 JP7 CN1 CN2 CN3 CN4 CN5 CN6 CN7
よくある 時々ある あまりない ほとんどない
図8-2各場面で発生したクレーム事態の日常生活での発生状況(中国人の場合)
図8-3クレームの事態が日常生活で発生状況に関する日中対照 5.9
17.6 5.9
11.8 5.9 0
11.8 17.6
20.6 11.8
26.5 11.8 8.8 8.8
23.5
32.4 23.5
32.4 17.6
8.8
23.5 23.5
35.3 20.1
29.4 38.2 32.4
38.2
32.4
29.4 29.4
41.2 58.9 50
32.4 32.4
29.4 23.5
26.5 26.5 23.5
47.1
38.2 20.6 41.2
14.6 17.6 41.2
32.3 26.5
14.7 44.6
17.6 23.5 35.3
5.9
0% 20% 40% 60% 80% 100%
JP1 JP2 JP3 JP4 JP5 JP6 JP7 CN1 CN2 CN3 CN4 CN5 CN6 CN7
よくある 時々ある あまりない ほとんどない
5.6 13.4
15.7
27.1
37.9
32.1
40.8 27.4
0% 20% 40% 60% 80% 100%
日本人 中国人
よくある 時々ある あまりない ほとんどんない
全体的に見てみると、14場面で発生したクレーム事態の日常生活での発生状況について、
日本人と中国人の間には、顕著な差が見られた。日本人に比べると、中国人の場合は「よ くある」と「時々ある」と回答する人が多いことが分かった。中国においては、クレーム の日常生活での発生頻度が日本より高い傾向があると言えるだろう。
日本の商品の「高品質」というイメージは世界で認められている。日本はすでに商品飽 和社会になって、国内市場の競争が激しくなってきたため、日本の企業では商品やサービ スなどを徹底的に管理することが求められているのというのが一つの原因である。また、
日本では、「品質システムの国際規格であるISO9000シリーズ16」などの品質システム及び
「製造物責任法(PL 法)17」や「消費生活用製品安全法18」などの法律が導入されたこと により、さらに商品の品質が確保されているとも言える。
しかし、90年代以降、中国も売り手市場から買い手市場へ転換して、現場の生産管理能 力、市場の販売・サービス能力や製品の開発能力を高めてきたが、まだ商品やサービスな どに関するトラブルは多いようである。
吉城(2009:46)は以上の問題意識のもとに、中国人消費者を対象とした品質に関する意 識調査をアンケート形式で行った。その結果を以下表8-2に示す。
表8-2 各国製品の品質に関するアンケート結果
5.
非常に良い
4.
比較的良い
3.どちらとも いえない
2.
比較的悪い
1.
非常に悪い 中国製品の
品質
4 1.4% 61 21.1% 121 41.9% 90 31.1% 13 4.5%
韓国製品の 品質
10 3.5% 94 32.5% 117 40.5% 39 13.5% 29 10.0%
日本製品の 品質
37 12.8% 143 49.5% 60 20.8% 29 10.0% 20 6.9%
吉城(2009:46)によると、中国の消費者も自国の商品やサービスにあまり高い信頼性は
置いていない。商品品質・サービスを向昇させるためのシステムや法律などを徹底的に実
161987年、良い品質の製品を作り出すことにつながる品質システムについて、第三者の審査機関が審査を することで、国際的な認められた品質システムとして、どこの国の企業とも取引を行うことが容易になる メリットがあった。(ISO:International Organization Standardization 国際標準化機構の省略)
17 1995年に製造物責任法(PL法)が制定され、製造者の過失によらず、製造物に欠陥があったことが証
明された場合、被害者が、製造者に対して損害賠償を求めることができるようになった
18 2006年に、改正消費生活用製品安全法が施工され、製品事故について、経済産業省への報告を義務化さ
れるようになり、家庭用成員の重大事故への関心がより高まった。
行できないという問題点は日本ではすでに解決されているが、中国ではいまだ問題が残さ れているといえるだろう。
吉城(2009:46)
具体的に見てみると、さらに場面間の差も見られた。14の場面のうちCN7については最 も差が見られた。
CN7 については、「よくある」と「時々ある」と回答した日本人母語話者は 9.4%しか占 めていなったのに対して、「よくある」と「時々ある」と回答した中国人母語話者は約半分 であった。
CN7 はスーパーで買ったフライドチキンが腐ったようなので交換してもらうように交渉 する談話である。日本では、スーパーの食品衛生管理が厳しいので、腐った商品を販売す ることはあまり多くない。また、たとえそのような事態が発生しても、サービス関係者が ただちに交換や返品するように対応するのが普通である。