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分析及び結果

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 50-76)

第 4 章 クレーム交渉談話の構造分析に関する対照研究

4.4 クレーム交渉における各部分の展開様相に関する日中対照

4.4.2.1 分析及び結果

「主交渉部分」における会話参加者がどのように交渉を展開していくかという点から、14 例の談話例を観察した。その結果、受容的パターン、対峙的パターン、受容―対峙が混在す るパターンという3種類が観察された。

表4-5 「主交渉部分」の展開様相の分類

日本語談話例 中国語談話例

受容的 3(JP4、JP5、JP7) 0

対峙的 1(JP1) 3(CN3、CN6、CN7)

受容―対峙混在的 3(JP2、JP3、JP6) 4(CN1、CN2,、CN4、CN5)

「受容的パターン」の展開様相について、日本語談話例には 3例観察されたが、中国語談 話例にはなかった。「「対峙的パターン」について、日本語談話例には1例しかなかったが、

中国語談話例には3例が観察された。

以下、この3種類のケースを取り上げ、その会話を質的に分析する。

4.4.2.1.1 受容的パターン

ここでは、サービス関係者側が客側の交渉に対して「対抗」の姿勢を回避しながら、会話 を進めていくスタイルを「受容的パターン」と定義する。以下、例を取り上げて、説明する。

4.4.2.1.1.1 談話例【JP5】の主交渉部分に関する分析

交渉の場所:電気屋

交渉の理由:パソコンを買って8ヶ月になった。今までに修理を2回出したが、またスピー カーが音割れがするので、修理してもらうための交渉談話である。

客側 サービス関係者側 年齢 20代 30代 性別 男性 男性

談話例【JP5】は次のような構造になっている。

1C~2S 前置き話段

3C~9C 交渉目的が表面化する話段

10S~15C 対応話段1 16S~24S 対応話段2 25C~28C 交渉話段1 29S 対応話段3 30C~33C 交渉話段2

34S~36S 対応話段4 37C~38C 交渉話段3

39S 対応話段5 40C~47S 交渉話段4 48S~56S 対応話段6 57C~62C 交渉話段5 63S~66S 対応話段7 67C 交渉話段6 68S~71S 対応話段8

73C~74C 交渉を終了させる話段

3C~9C は「交渉目的が表面化する話段」である。客側は 3C 「ええと、前に、修理に出

して、あの」、5C「スピーカーが音割れするということについて修理に出して」、7C「あの、

交換して戻ってきたんですけれども。」、9C「あの、また、なんか、また音割れがするんで すね。」を言ってクレームを提示する。その一方で、サービス関係者のSは「はい。」と相 手に注目を表す。

10S~47Sはすべての発話が店員から客に情報を確認する発話である。

例えば、修理内容を確認した後、S は「こちらでも症状を確認しまして、スピーカー交換を

行ったということで、ええ、マザーボード交換も一緒に行って、windowsの再インストール

も100%行ったということでございますが。ええと、その後、またさらに、その、スピーカー

の音割れが同じように発生している。という認識でよろしいでしょうか。前回と全く同じと いうことでしょうか。」、29Sの「これはインタネットのあのYouTubeなどでも、ましくは DVDとかでも同じでしょうか」、36Sは「やはり左側の方が、それとも両方でしょうか」な どの発話で相手に詳しく状況を確認する。

そして、すべての状況を確信した後、S は「あー、かしこまりました。ええ、前回交換さ せていただいたパソコンの中では左のスピーカーの交換がございましたので、さらに OS の 再インストールも行っていますので、そういったところから見ますと、まあ、かなり###

のイメージでございます。ただ、やはり同じ現象が再現してしまったということに関しては ですね。検査する必要があるかと思う。」と肯定的な意見を表し、解決案を出した。

その対応したいして、客側は「交渉話段 5」において、「ええと、修理なんですけど、ちょ っと今は、あの、パソコンを使う機会があるので、ちょっと、また後日でいいですかね、修 理というのは」と言って、さらに「修理を依頼する時間」について交渉する。

その要求に対して、Sは3Sの「ああ、それは問題ございません。」と同意を表す。そして、

65Sの「そうしましたら、いかがいたしましょうか。」と66Sの「修理はいつぐらいにすれ ばよろしいでしょうか。」と相手の意見に尋ねる。

67Cは「交渉話段8」である。Cは67Cの「また来た時でもいいですか。」と尋ねる。

Sは68Sの「それでも問題ございません。」、69Sの「あの、修理は可能でございますので。」

と71Sの「また、ちょっと再発してしまったということですね、前回ご連絡したということ をおっしゃっていただければ結構でございます」と言って肯定的な返事をする。

4.4.2.1.1.2 談話例【JP7】の主交渉部分に関する分析

交渉の場所:デパートの食器売り場

交渉の理由:届いた食器が割れたので、交換してもらうように交渉する談話

客側 サービス関係者側 年齢 40代 30代

性別 男性 女性

談話例【JP7】は次のような構造になっている。

1C~2S 前置き話段

3C~8C 交渉目的が表面化する話段 9S~21S 対応話段1

22C 交渉話段1

23S~27C 対応話段2 28S~34S 対応話段3 35C~37C 交渉話段2

38S~44C 交渉を終了させる話段

交渉目的が表面化する話段において、客側は「これはカタログで注文したものなんですが、

昨日届いたけど、今朝開けてみたら、皿が割れていたんだよ。替えてもらえますか?」と相 手に事情を説明することによって、交渉の目的を表面化する。

そのクレームを聞いて、サービス関係者は9Sの「さようでございますか。」、10Sの「申 し訳ございません。」などの発話で謝罪を表す。また、商品を確認した後も「申し訳ござい ません。」と謝罪し、「すぐにお取替えいたします。」と言って積極的に対応する姿勢を示 す。

22C は「交渉話段 1」である。客側は「発送する前にちゃんと点検されたのでしょうか」

と疑問し、不満を表す。

客側の不満に対して、Sは23Sの「申し訳ございません」と言って恐縮の意を示す。そし て、24S の「ただ今回はどの段階で破損したのかまだ分かりませんが、輸送中の破損という 可能性もありますけれども。」と理由を説明する。24S は内容面ではサービス関係者の自己 弁明の発話とみられるが、その前の謝罪の言葉や文末の「けれども」などの表現を同時に使 うことで相手へ配慮を示している。

次に、Sは26Sの「お客様、すみませんが、ちょっと在庫をお調べいたしますので、少々 お待ちいただいてよろしいでしょうか?」のように積極的に対応する行動に切り替えた。

また、在庫切れであることを確認したところ、S は「メーカーさんに取り寄せすることがで きますが、だいたい来週の火曜日に入ってくる予定になりますが」と対応する。発話を言い 切れない形で表現することで客側の反応を察しながら対応する姿勢が見られた。

4.4.2.1.2 対峙的パターン

客側の交渉に対して、サービス関係者側が受容の態度を示さずに、一貫して拒否や反発な どの姿勢を示し続けている会話スタイルを「対峙的パターン」と定義する。以下、例を取り 上げて説明する。

4.4.2.1.2.1 談話例【JP1】の主交渉部分に関する分析

交渉の場所:腕時計屋

交渉の理由:腕時計を購入して 1週間で、ガラスの部分が割れたので初期不良として無料で 修理してもらいたかったが、4500円の修理代がかかると言われたため、店の人と交渉する談

客側 サービス関係者側 年齢 20代 30代

性別 男性 女性

談話例【JP1】は次のような構造になっている。

1C~2S 前置き話段

3C~15C 交渉目的が表面化する話段

16S~20S 対応話段1

21C~23C 交渉話段1

24S~28S 対応話段2

29C~31C 交渉話段2

32S~39S 対応話段3

40C 交渉話段3 41S 対応話段4

42C~52S 交渉を終了させる話段

3C~15C は「 交渉目的が表面化する話段」である。3C「あのう、そちらの腕時計を買い

まして」、5C「それで、あのう、ガラスのところ、そのう」、7C「そのう、ガラスの部分、

そのう」、9C「そこが割れていたということで」、11C「それでそちらに商品を初期不良と して、あのう無料で修理できるものと思って」、13C「いままで言ったんですけれども」、

15C「それでー、ええと、そちらとしてはあのう、そのう、割れているのは物理的な破損で」

というようにクレームの事情を説明して、交渉の目的が表面化する。

客側のクレームに対して、16S は「あのう、先ほど電話で申し上げたように、もしも配送中 に壊れたという状況があったとすればですね」、18S「例えば箱が潰れてしまっているのです とか」、20S「そういった状況が発生しておるはずでございますが」と言って、責任から逃れ ようとしている。

この態度を見て、C は 21C「箱が潰れていないから」、23C「すべての責任はこちらの責 任となるということですか?」と言って相手を問い詰め、強く非難する。

Sは25S「あのう、メーカーさんにもお聞きしましたが、」27B「本体のみの破損となりまし ては、恐れ入りますが、お客様の取り扱いと判断させていただきまして、」、28S「今回点検 した結果、恐れ入りますが、先ほどお話いただきました初期不良とはわたくしどもでは判断 しておりません。」と対応する。文末の「しております」のような言い切る表現を使って、

自分の意見を強く伝えようとする。

29C~31Cは「交渉話段2」である。29Cでは「で、料金は8260円かかると」と言って店

側に確認を求める。

32S~39Sは「対応話段3」である。Sは32S「はい」とはっきり返答し、33S「たださき

ほど電話で申し上げたように」35S「通常の料金であればその料金でございますが」、37S「あ のう、ただいま、私もお話しさせていただいた上で、あのう、お気持ちを分かっております ので」、39S「4500円とご案内をさせていただきます。」と対応する。この発話から客に対 して共感や理解を示す姿勢が見られたが、今までの「対峙」局面は変わっていない。

客側は40Cの「でも初期不良と思うので、そのまま無料で修理してくださいとこちらがお願 いしたいんです。」と再び店側に対して主張をし、この提案には納得できない気持ちを表す。

そして、S は「大変申し訳ございませんが、さきほど何度もお伝えしておりますが、今回 の状況に関しましては、お客様のお取り扱いと言う状況と判断しております。」と言って、

客側の要求を強く拒否した。

4.4.2.1.2.2 談話例【CN6】の主交渉部分に関する分析

交渉の場所:スーパー

交渉の理由:購入したばかりの商品が欠陥商品という報道を見たので店側に返品の依頼をし たが、「店頭では返品できない」と言われたため、店側と交渉する談話である。

客側 サービス関係者側

年齢 30代 20代 20

性別 女性 女性(S1) 男性(S2)

談話例【CN6】は次のような構造になっている。

1C 交渉目的が表面化する話段 2S1~3S1 対応話段1

4C~13C 交渉話段1 14S1 対応話段2 15C~16C 交渉話段2 17S1~18S1 対応話段3 19C~20C 交渉話段3 21S1 対応話段4 22C~23C 交渉話段4 24S2 対応話段5 25C 交渉話段5 26S2~29S2 対応話段6 30C~35C 交渉話段6

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