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第 2 章 新ゴムの需給及び需給データ

第 2 節 日本の新ゴム需給

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<2016 年の部門別新ゴム消費量>

(単位:千トン)

出所:日本ゴム工業会

36 第 2 項 天然ゴムの国内需給

1.需要

日本における天然ゴムの国内消費量は、ゴム需給調査会の統計によると 1980 年が 42.7 万トン、1990 年が 67.7 万トン、2000 年が 75.2 万トン、2008 年には 85.8 万トンまで拡大したが、2009 年に大幅に減 少。2010 年は約 75 万トンまで回復したが、2012 年以降減少傾向となっている。

その天然ゴムの消費の約 90%はタイヤ部門が占めている。

2.供給

日本では天然ゴムの供給は 100%輸入に依存している。そのため、日本における天然ゴムの供給量は輸入 量そのものであり、2016 年におけるその数量は 65.9 万トンである。

次に国別に輸入比率を見ると(バラタ(※)等の天然ゴムを除く。)、2016 年の数字では、インドネシアが 全体の 64.4%を占め最も多く、2 番目はタイで 32.2%となっている。マレーシアは 1991 年までタイに次ぐ輸入 先であったが、1992 年以降はインドネシアに抜かれ、現在は 1993 年以降、増加傾向にあるベトナムとともに 0.6%程度にとどまっている。

タイは、もともと RSS の生産比率が高く、RSS 指向が強かった日本の需要家とちょうどマッチしていたため、天 然ゴムの輸入に関しては長年にわたって日本とは深い関係にある。現在、タイからの輸入の 56.9%が RSS で、

41.1%が TSR(Technically Specified Rubber:技術的格付けゴム) 、ラテックスが 0.8%、その他が 1.2 となっている。

また、インドネシアから輸入される天然ゴムの 96.3%は TSR である。

マレーシアはラテックスが 67.1%、RSS が 11.9%、TSR が 20.8%となっている。

2016 年の天然ゴム輸入の品種別構成比をみると、RSS が総輸入量の 19.4%、TSR が 77.6%、その他 出所:日本ゴム輸入協会

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が 2.3%、ラテックスは 0.7%となっている。RSS は 2000 年までは天然ゴムの輸入量の 50%以上を占めてい たが、2002 年以降は TSR が RSS を凌ぎ、それ以降は TSR の比率が最も高くなっている。

※注:南米産アカテツ科のゴムの一種。主にゴルフボールのカバーに合成ゴムと混ぜて使われることが多 い

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39 3.在庫

日本国内の天然ゴムの需給を判断する上で重要な役割を果たすのが、日本ゴム輸入協会が発表する「天 然ゴム営業倉庫在庫推移」である。毎月 10 日、20 日、月末の 3 回、港別の在庫量がまとめられている。

しかし、近年、大口需要家であるタイヤメーカーが、産地から直接ゴムを買い付け、港湾に陸揚げされたゴム はコンテナ積みのまま陸送され、営業倉庫を経ずに直接タイヤ工場に搬入されるケースが増えてきている。そのた め商社経由で輸入されるゴムの数量は、かつてに比べると大幅に減少している。

第 3 項 合成ゴムの国内需給

1.需要

2016 年の日本における合成ゴムの国内消費量は 86.6 万トンであり、2008 年までの 10 年間はほぼ 110 万トン前後で推移していたが、2009 年に大幅に減少した後、2010 年には若干回復し、その後は再び減少傾 向にある。

国内のゴム工業用途のうち、天然ゴムの 88%はタイヤ部門で消費されており、合成ゴムの消費におけるタイ ヤ及びタイヤ・チューブの割合は 81%となっている。

2.供給

2016 年の日本における合成ゴムの供給量は 172.1 万トンであった。このうち、国内生産は 156.5 万トンで、

輸入は 15.6 万トンとなっている。

日本では天然ゴムが 100%輸入に依存しているのに対して、合成ゴムの供給量の約 90%は国産で賄われ ている。

出所:日本ゴム輸入協会

40 第4項 天然ゴムの主な需給統計データ

1.世界の需給統計データ

世界のゴムの需給統計としては、国際ゴム研究会(International Rubber Study Group=IRSG) が発表する「ゴム統計(Rubber Statistical Bulletin)」がある。この統計は、世界の天然ゴムの国別の供 給と消費、同じく合成ゴムの供給と消費、更に在庫や輸入、輸出別などを分類してデータが整理されている。

*【国際ゴム研究会の概要】

1.設立年月日:1944 年 8 月

1934 年より活動していた国際ゴム規制機構(IRRS)の発展的解消を受けて、1944 年 8 月に設立。

国際天然ゴム機関(International Natural Rubber Organization=INRO、1999 年 10 月 協定終了)は天然ゴムのみを対象としていたのに対し、IRSG は天然ゴムと合成ゴムを対象としている。

2.本部所在地: シンガポール

3.加盟国(2017 年 10 月現在):日本、EU、シンガポール、インド、ロシアなど 4.目的

(1)天然ゴムおよび合成ゴムの生産、消費、取引に影響を及ぼす問題を議論するフォーラムの開催、

ゴム市場およびマーケット・トレンドの透明性向上に資する世界のゴム産業の包括的な統計情 報の収集と普及

(2)目的達成に関連した他の国際団体との協働 5.最近の動き・今後の課題

(1)1999 年 10 月に国際天然ゴム協定が終了したため、INRO の活動の一部(一次産品共通 基金プロジェクト等)を引き継ぐことになり、活動規模が拡大した。

(2)事務局のホスト国である英国が 2008 年 6 月末をもって脱退したため、2008 年 6 月に事務 局をシンガポールへ移転した。

(出所:外務省 HP、IRSG 資料を元に東京商品取引所作成)

2.日本国内のゴム需給統計データ

国内の需給統計には、日本ゴム輸入協会が発表する「天然ゴム営業倉庫在庫推移」があり、10 日毎に公 表されている。近年、大手ユーザーは直接産地から天然ゴムを買い付けるケースが多く、営業倉庫に在庫され ないゴムが増加する傾向にあることから、営業倉庫の在庫水準は過去の統計と比較すると極めて低くなっている。

したがって営業倉庫の在庫水準だけで国内の需給動向を判断することについては注意が必要になる。

一方、営業倉庫の在庫の中には、東京商品取引所のゴム指定倉庫在庫も含まれているが、指定倉庫の 在庫については、東京商品取引所が 10 日毎に発表している。これは、東京都、神奈川県所在の営業倉庫の 入庫、出庫及び在庫の統計データとなっている。また、この統計データには、RSS1 号、RSS2 号、RSS3 号、

RSS4 号、RSS5 号及びその他の等級別にした在庫明細も示されているので、先物市場における現物受渡し による価格動向を占う上での参考資料にもなっている。

この他に、国内の需給関連統計としては、財務省が毎月月末近くに公表する「貿易統計」における天然ゴム

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輸入通関実績、経済産業省が毎月発表する「ゴム製品統計」、一般社団法人日本自動車タイヤ協会が毎 月発表する「自動車タイヤ・チューブ生産、出荷、在庫実績」及び日本ゴム輸入協会が毎月発表している「月 別天然ゴム輸入統計」がある。

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