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第 2 章 新ゴムの需給及び需給データ

第 1 節 世界の新ゴム需給

東京商品取引所で上場されているゴムは、天然ゴムである「RSS」なので、主に世界の「天然ゴム」の需給を 把握することが重要になる。しかし、天然ゴム同様、タイヤ等のゴム製品の原料になっている「合成ゴム」の消費 比率は天然ゴムを上回っており、合成ゴムの需給動向にも注目する必要がある。

合成ゴムは石化原料のナフサから作られるため、シンガポール・ナフサ(OTC 市場)や東京オープンスペック・

ナフサ相場の影響を受けやすい特徴がある。

第 1 項 新ゴム(天然ゴム+合成ゴム)の需給

1.需要

(1)天然ゴムと合成ゴムの消費比率

2016 年の世界の新ゴムの消費量は 2,753.6 万トン(内、天然ゴムは 1,260.0 万トン、合成ゴムは 1,493.6 万トン)で、新ゴム消費量のうち、天然ゴムと合成ゴムの消費比率は、ここ数年間は、ほぼ 45:55 で推移している。

(2)需要全体の傾向

1990 年以降、世界の新ゴムの消費量は平均 2%程度の伸び率を示しているが、年によって増減の起伏が 激しく、1995 年、2000 年、2003 年、2004 年は 5%以上の成長を記録したものの、1990 年、1991 年、

1993 年、1998 年、2001 年はマイナス成長となった。2002 年以降は、2009 年を除き概ね拡大傾向にあ る。

(3)需要拡大の牽引役としての中国

近年の新ゴム需要拡大の大きな要因は、中国の消費量の増大にある。中国は 1990 年代半ばから加速度 的に消費量を伸ばし、1997 年には日本を抜いて世界第 2 位の消費国となり、さらに 2001 年には米国をも追 い抜き、世界最大の消費国となった。2016 年の中国の新ゴム消費量は 925 万トンで、世界全体の 34%を 占めるまでに至っている。

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31 2.世界の新ゴム供給

(1)天然ゴムと合成ゴムの生産比率

2016 年における世界の新ゴムの生産量は 2,722.3 万トン(内、天然ゴムは 1,240.1 万トン、合成ゴム は 1,482.2 万トン)で、前年の 2,677.2 万トンから 1.7%上昇した。近年の新ゴムの生産量における天然ゴ ムと合成ゴムの比率は、消費量におけるそれと同様、概ね天然ゴムが約 45%、合成ゴムが約 55%という割合 になっている。

(2)供給全体の傾向

1990 年以降、世界の新ゴムの生産量は平均 2.5%程度の伸び率を示しているが、1995 年を境に横ばい から上昇のトレンドに入ったという傾向が見てとれる。すなわち 1990 年代半ばまでは、世界の新ゴムの生産量は 1,500 万トン前後で推移していたが、1990 年代後半から増加のトレンドに入り、特に今世紀に入ってからは、

世界的に旺盛な需要拡大に応えるかたちで、生産量の伸び率も高まっている。こうした近年の新ゴム生産量の 増加は、天然ゴムと合成ゴム双方の増産によって支えられている。合成ゴムは原料である原油が 2008 年に 100 ドル/バレルを突破してから一時減少に転じたが、同年の世界同時不況からの若干の持ち直しにより、

2009 年後半から回復傾向を示しており 2012 年から 2016 年にかけての生産量も増加となった。

(3)在庫数量

新ゴムの生産量については、天然ゴム・合成ゴムともに増加傾向にあるのに対して、在庫率に関しては、天然 ゴムが 1999 年をピークに減少し、2009 年以降は転じて上昇傾向となっている一方、合成ゴムは 1990 年以 降 20%台を推移しているといった異なる傾向が見られる。

32 第 3 項 合成ゴムの需給

世界の合成ゴムの消費量は 2016 年の数値で 1,493.6 万トンと、天然ゴムより多い。1980 年代までは合 成ゴムの割合は天然ゴムの 2 倍前後の消費量で推移していたが、天然ゴムの価格が 1980 年代以降 2000 年代前半まで 20 年以上にわたって安値低迷を続けてきたこと、また新ゴム全体の需給規模が拡大してきたこと から、天然ゴムの比率が高まり合成ゴム比率は相対的に減少しつつある。

合成ゴムの需給推移のグラフを見ると、全体に天然ゴムよりも起伏が大きく、特に 1980 年から 1982 年、

1990 年から 1991 年、1992 年から 1993 年の各時期には大きな落ち込みが見られた。これは一般に、天然 ゴムよりも合成ゴムのほうが景気に左右されやすいことを示していると考えられる。また在庫量は、この 20 年間、

ほぼ右上がりの傾向をたどっており、2007 年に 300 万トン台に乗せ、2016 年末には 321.4 万トンとなってい る。在庫率は近年、減少傾向にある。

出所:IRSG

33 1.需要

1990 年代以降の世界の合成ゴム消費量は、1993 年の 862 万トンを底にほぼ拡大を続け、2016 年に は 1,493.6 万トンとなった。2016 年の合成ゴムの消費量およびシェアの多い上位を順に並べると、第1位に中 国(438.8 万トン、29.4%)、第 2 位に米国(191.2 万トン、12.8%)、第 3 位に日本(86.6 万トン、

5.8%)、第 4 位にロシア(60.7 万トン、4.1%)、第 5 位にインド(59.1 万トン、4.0%)、第 6 位にドイ ツ(58.7 万トン、3.9%)となっている。

2.供給

世界の合成ゴムの生産量は、今世紀に入ってから増加の一途をたどり、2007 年には 1,282.9 万トンを記 録した。近年は原油、ナフサの価格高騰を背景とする原料コストの高まりに伴い、合成ゴム価格も上昇し、合成 ゴム・メーカーの増産意欲を促していたが、原料モノマーの逼迫により生産が伸び悩み、その後エネルギー価格が 落ち着いてきたことや世界的な景気悪化による需要減などにより、2008 年秋以降は生産量が減少傾向にあり、

2009 年は 1,148.8 万トンと 2003 年の水準近くまで低下したが、その反動で 2010 年に増加に転じると、

2016 年は 1,482.2 万トンと過去最高を記録した。

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