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改善したリテラチャー・サークルの実践(2012 年度、第3学年)

ドキュメント内 児童の読書力を形成する (ページ 122-140)

第4章 読書日記指導の構想に向けて

第2節 改善したリテラチャー・サークルの実践(2012 年度、第3学年)

第1項 実践の目的と方法

ここでは、2011 年度の実践を受けて 2012 年度行った実践について述べる。実践は新しい勤務校で ある、大学附属小学校の第3学年に対して行ったものである。

その目的は児童が意欲をもち、読書技術を身につける読書活動の在り方について考察することであ る。

本実践では、小学校3年生の読書会(リテラチャー・サークルを改善した読書会)に焦点をあてる。

研究の方法としては、2011 年度行ったリテラチャー・サークルを改善した読書会を国語科の単元に 設定し、読書技術が身につく授業実践をし、ノートや発言内容等からどのような本をどのような読み 方で読んでいるかをとらえ、めざす読書活動について考察する。

第2項 実践の内容

本実践では、改善したリテラチャー・サークルを用いた単元開発を行い、以下の改善を図る。

(1)改善点1<児童が読み方を選ぶことができるようにする。>

2011 年度は、アメリカのリテラチャー・サークルのいろいろな読み方(自分とのつながりを見つけ る、疑問を見つける、優れた表現などに光を当てる、目に浮かんだ情景などを絵・図にする等)から、

筆者は、国語科教材の内容に合わせて、作品の特徴に注目する作品スポット係、人物の性格や考えの 変容等をとらえる人物スポット係、みんなで考えたいことを出す質問係という役割を決めて読ませた が、今回は、児童が読みたい読み方でも主体的に読むことができるようにするために児童の実態から スタートすることにする。二日に一度書いている子どもたちの読書日記1から多様な読み方を紹介し、

自分もいろいろな読み方に挑戦してみようという気持ちをもつことができるようにする。

個人で読書をするときは、大村(1984)が「いろいろな読み方を使いこなす」の実践等において「い ろいろな読み方」のてびきを作成して渡したように、筆者も児童の初発の感想やこれまでの学習で学 んだ読み方等を使って「読み方のてびき」(表 4-3)を作成して渡し、児童が本の内容に応じて自分 の読み方を自由に選ぶことができるようにする。読書力と対応させると、表の⑦⑩⑫は「解釈」、①②

③④⑤⑥は「人物や作品に対する「熟考・評価」」、⑧⑨⑪は「自分と関連づける「熟考・評価」」であ る。大村(1994)が「めいめいが、自分に応じた、ちょうどできることをやって、それが成功して楽 しい、自分が成長していく実感があってこそ、いきいきしてきます。そのために教師の手伝いとして 手びきがついているのです。」「人の話を聞いたり本を読んだりした心の中にはいろいろなものがあり ますけれども、それを拾い上げることがむずかしい、いろいろ思っているのだけれども、さて何と言

1 2011 年度は1週間に一度読書ノートに書く活動を継続した。2012 年度は、日記のように自由に綴 り、読書習慣や読書力を身に付けるという意味で「読書日記」と名付けた。この実践については、

第5章以降で述べる。

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ったらいいかわからない、といったようなふうになっています。手びきはそれを拾い上げる鍵のよう なものですから、正解といったようなことはないのです。しなければならないことや、考えなければ ならないことがあった時にそれができるように心を耕す手びきなのです。」と述べているように、筆者 も一人ひとりの児童にしっかりとした感想や考えをもたせたりそれらを広げたりして、できた実感を もつことができるようにするための手掛かりとしててびきを使用する。しかし、決してそのてびきに しばられないようにし、それ以外の読み方をしてもよいことを伝えておく。以上のような手立てをと ることで以前より、読まされるのではなく自分で読もうとする気持ちが強くなると考える。

表 4-3 読み方のてびき

(2)改善点2<自分と関連づける読み方の向上(自分のあり方へ)。>

3年生においても 2011 年度と同様、アメリカのリテラチャー・サークルで重視されている「個人的 なつながりをつくる」ことを取り入れ、自分と関連づけて読み、自分のあり方を考えられるようにし ていく。難波他(2007)は、「中学年は、中心をとらえ、対象化体験を起こしたい段階」と述べている。

登場人物の行動や思いを自分のそれらと比べるという対象化体験は確かに中学年で大切にしていきた いことであるが、現在の3年生の児童の中には対象化体験と共に、典型化体験(文学を体験した自分 と現実の自分との対話から葛藤が起こるという体験 難波他 2007 による)が少しできている児童もい る。また、2012 年度から勤務校では、研究開発により新領域「希望(のぞみ)」において、自己の向 上を図る児童を育てることをめざし、一人ひとりの児童が「なりたい自分」をえがくことができるよ うに指導を進めているので、国語科においても、3年生なりに自分を見つめる典型化体験が少しずつ できるようにしていきたい。

読み方のてびき

① 音読したいところは・・・

② はらはら、どきどきしたところは・・

③ ほっとしたところは・・・

④ おもしろいところは・・・

⑤ すきなところは・・・

⑥ やぎ、おおかみのことをどう思うかというと

⑦ やぎとおおかみをくらべると・・・

⑧ 自分とやぎ(おおかみ)のにたところは ちがうところは・・・

⑨ この話を読んで思い出したことは・・・

⑩ この話を読んでいくうちに考えがかわったことは・・・

⑪ 自分がおおかみだったら、やぎのどんな言葉や行動がうれしいかという と・・・

自分がやぎだったら、おおかみのどんな言葉や行動がうれしいかという と・・・

⑫ この後の話はどうなるかというと・・・

⑬ その他

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(3)改善点3<自分が選んだ本で読書会をする。>

Day, J.P.et al. (2002)は「リテラチャー・サークルの究極的な目標は、自由で自立した、生涯に わたる読者を生み出すことにある。そうしたことが児童たちに起こるようにするためには、彼らが自 分で本を選び始めるようにしなければならない。」と述べ、自分にぴったりの本を独力で選ぶ力を発達 させるために、やさしい本から難しい本の順に並べたリストを作るなどのストラテジー・レッスンを 紹介している。

吉田(2010)は、アメリカのリーディング・ワークショップの特徴の一つに子ども一人ひとりが自 分で読むものを選ぶことを挙げている。

筆者も将来の読書につないでいくためには、児童が自分に合った本を選ぶ力をつけることが重要で あると考える。しかし、その力はすぐに身につくものではない。国語科の教科書教材の学習の後には、

筆者が用意した複数の本(同じテーマの本、同じ作者の本)から児童が読みたい本を選ぶようにし、

次に筆者が、おすすめの本を示したうえで本の選び方を指導し、児童が自分の力で選書をして、話し 合ったり書いたりすることができるようにする。

(4)改善点4<話し合う活動と書く活動を通して読書技術を評価する。>

筆者の先行実践から、話し合う活動は友だちと共に読む楽しさを味わうことができるものであった が、すべての児童が自分の読みを話し合いで表現できるとは限らない。また、グループの話し合いは 同時に行われるので、一人ひとりの反応を捉えることは不可能である。そこで、話し合う活動と共に、

書く活動を入れ、児童一人ひとりの読みをとらえることができるようにしていく。

第3項 実践の実際

改善したリテラチャー・サークルを用いた単元を以下のように行った。

(1)単元について

○単元名 いろいろな読み方で読み、感想を伝え合おう『あらしの夜に』他

○実施月 6~9月

○学年 第3学年 38 名

○授業の流れ

第一次 これまでの自分たちの読み方を確かめ合い、単元の見通しをもつ。

第二次 『あらしの夜に』(学校図書)を読む。

・読み方を選んで読み、感想を書く。

・グループで感想を交流する。

・学級で感想を交流する。(読書会パートⅠ)

第三次 自分が読みたい本(同じテーマの本、同じ作者の本)を選び、読み方を選んで読む。

・同じ本を読んだ者同士でグループを作る。(第1~第3希望の中で、1グループ3人ぐらいにする。)

・自分の感想を読書日記に書く。(1週間)

・グループでいろいろな読み方を交流する。(読書会パートⅡ)・・学級活動の時間も利用する。

・グループの話し合いをした後の自分の感想を全体に話す。

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第四次 自分のおすすめの本を選び、本の紹介カードを書く。

・紹介カードの書き方を学習する。

・紹介カードを書き、展示し合う。

日常

・友だちが紹介したカードを見て興味をもった本を読む。

・自分の本の読み方や読書のし方を振り返る。

(2)改善点について

①改善点1について<児童が読み方を選ぶことができるようにする。>

○第一次(6月 20 日)

筆者が『あらしの夜に』の読み聞かせをした後、内容を理解するためにアメリカのリーディング・

ワークショップ で行われているように、二人組でどんな話なのかを再話して確かめ合った。いろいろ な読み方で読むことができるためにはまずあらすじを理解しておくことが必要である。ここでは登場 人物の二人がどのような状況の中で出会い、どのようになっていったかなど、おおまかな内容を読み 取っていった。

次に、筆者がこれまでの子どもたちの読書日記を読んで紹介し、児童は友だちがどんな読み方をし ているのかを考え、多様な読み方を確認し合った。そして、今回の単元のゴールにはいろいろな読み 方で読んでグループで読書会をし、おすすめの本の紹介カードを書くことを伝えた。

○第二次(6月 22 日~)

友だちのいろいろな読み方と国語科でこれまでに学習した読み方から、筆者はこの単元での読み方 を「読み方のてびき」(表 4-3)として教室に掲示すると共に児童の国語ファイルにも綴じさせ、い つでも参考にすることができるようにした。読み方のてびきの①④⑤⑥⑦⑧⑩⑫はこれまでの物語教 材『つり橋わたれ』『ゆうすげ村の小さな旅館』や4月から書いてきた読書日記でできていた読み方で ある。②③は、第二次の読み聞かせの時に児童がつぶやいたり表情で示したりしたものである。⑨⑪ は、自分と関係づけながら読むことができるようにするために筆者が加えた新たな読み方である。ま た、4月からいろいろな読み方について教室に掲示していたものもてびきと共に使ってよいことにし た。

まず、児童は自分の好きな読み方で『あらしの夜に』を読みながら、1枚の付箋紙に一つの感想を 書き、本にはっていった。この方法は今後、特に、調べるための読書をするうえで役立つ方法である と共に、多くの感想を整理しやすくするものと考えた。その後、グループでの感想交流の仕方を一つ のグループで実際に行いながら学び合った。交流は以下のように行った。

・一人が1枚の付箋を机に出しながら、教科書のページを示し、読み方、感想を話した。

・他の児童が、同じところで似た考え(同じ読み方、違う読み方)や同じ読み方をしたところにつ いて話し、付箋を重ねたり並べたりした。

・他の児童が違う読み方について話し、付箋を並べた。

このようにグループの交流の場では一人ひとりが自分の読み方と感想を述べ、同じ読み方や異なる 読み方を確かめ合った。

次は、学級の読書会パートⅠである。ここでは、グループでの感想交流をもとに自分の感想を全体

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