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第2節 随伴性特定評価文を提示したソーシャルスト
ーリー・Mとトークンの随伴性を提示したソーシャルストー リーTMとの効果の比較
I.方法
1.対象児
対象児は、B特別支援学校に在籍する中学部2年生男子生徒(指導.開 始時13歳3ヶ月:以下、F君)であった。F君は、自宅が遠隔地で毎日の 通学が困難であったため、平目はB特別支援学校併設の寄宿舎で生活し
ていた。
F君は、11歳の時に小児精神科医1によって広汎性発達障害(自閉症)と 診断されていた。その際に実施された田中ビネー式知能検査によるとIQ39 で重度の知的障害と診断されていた。さらに、介入前に実施された新版 S−M社会生活能力検査の結果によると社会生活年齢は、4歳4ヶ月で社 会生活指数33であった。F君は、これまでの学習場面の観察から小学校3 年生までの漢字を正しく読むことができ、小学・校2年生配当の漢字はすべて 正しく書くことができた。また、200文字程度の漢字仮名交じり文を読んで、
設定された質問に正しく答えることができた。介入開始前に行われた「心の 理論課題Ver.2」(1)によると、一次の誤信念課題(サリーとアンの課題 改)が不通過であった。F君は、日常生活において、音声言語の表出と理解 が可能であった。観察された表出1コミュニケーショーンの機能は、要求と拒否が ほとんどであったが、尋ねられれば本人にとって印象深かったその目の事実を、
一語文から二語文で話すことができた。受容コミュニケーションについては、
簡単な活動の指示、禁止などを理解し行動することができた。しかし、ブラン コやビデオ視聴など自分が好きなことをしているときには、中断することができ
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ず、結果的に指示に従えないことが多かった。そのような場合でも、文字を使 って活動を指示すると、大抵の場合指示に従うことができた。
F君が自分から人に関わろうとすることはほとんどなかった。特定の級友1 名については、休憩時間に胸に触れようとしたり、悪口を言ったりしたりしてい ることが観察されたが、この関わりは一方的で望ましい関わり方ではなかった ため、担任らによって指導され、指導期間2ヶ月程度で消失した。この級友 を除くと他の生徒や教員に対して、自発的k積極的な関わりをもっことはほと んどなく、介入前の調査でも一貴して特定の個人に高い好感度を示すこと は確認されなかった。一方、テレビアニメのキャラクターには高い好感度を示 すものがあることが日常観察から確認されていた。中でも、F君の指導に携わ る寄宿舎の職員、前年度の担任教員、母親の3者が、一致してF君の好
感度が高いと答えたキャラクターはプリキュア(2)であった。そのため、随伴性 特定評価文における評価主体として、プリキュア(2)を取り入れることとした。
F君は、指導開始の2年以上前から毎日ハロペリドール2mg(実験終了お よそ1ヶ月後、1.5mgに減量)、ビペリデン塩酸塩1mg、マレイン酸フルボキ サミン25mgを衝動性や多動性を抑制する目的で服用していた。実験期間
中の服薬条件は、変更なかった。
2.標的行動
今回の研究におけるF君の標的行動は、相手の顔を見てコミュニケーショ
ンをすること(アイコンタクト)であった。F君のアイコンタクトは、コミュニケ]ション
の開始直前から用件を伝え終わるまでの間のどこかで相手の顔を見ることと 定義された。今回の介入では、本人への指導は、「じっと顔を見る」ことを伝 えるようにしたが、その記録は相手の顔を見た持続時間は問わないことにした。
これは、これまでアイコンタクトを稀にしかしなかったというF君の実態から判断 して、アイコンタクトの解発に注目したかったためである。
これまでF君は、自分が興味をもっているガソリンスタンドのレシートや、好き なキャラクターグッズなどの要求場面では、顔を見てコミュニケーションすること
ができた。しかし、あいさつや係活動での他者への要求など、本人にとっての 必要感が低い場面で、顔を見ることは稀であった。F君のこのような実態につ いて集中して指導されたことはこれまでなかった。アイコンタクトの指導に関す る介入前の聞き取りでは、気がついた教師や母親が言語や指さしで指示し、
時々やり直しをさせることはあったが、それらの指導は組織的なものではなく、
効果はなかった。
アイコンタクトの観察場面は、1セッションあたり4回設定された。設定された 観察場面は、宿題を事務室でコピーしてもらう場面と、保健室に健康観察 簿を取りに行く場面で、それぞれの場面における要求どお礼の計4回であっ た。この宿題のこコピーの依頼と健康観察簿を取りに行くことの2つは、研究実 施年度になってF君の係活動として取り上げられた活動で、これまでこれらの 活動を継続して指導されたことはなかった。どちらの場面でも、F君は、自教 室の机の上にある手順書を音読してから実際の活動を行った。手順書には 係の仕事の手続きが記入され、それに加えて、コミュニケーションを行う相手
(以下コミュニケーションパートナーと記述する)の顔をじっと見ることが、記述さ れていた。コミュニケーションパートナーは保健室では養護教諭で、事務室で は特定の事務職員であった。それぞれに対して、今回の指導の目的が口頭 で説明され、特別な事情がない限り同じ職員がコミュニケーションパートナーと なるよう筆者から依頼が行われていた。
事務室にコピーに行く場面で、F君は、教室にある手順書とその目の宿題 を持ち、事務室に移動し、「失礼します」と言づてから事務室に入室した。事 務室では、コミュニケーションパートナーである職員に「宿題をコピーして下さ い(要求)。」と伝え、二!ピーができるまでしばらく待ち、コピ.一を受け取るときに
「ありがとうございました(お礼)。」と言った。F君は、この後教室に戻り、保健 室に健康観察簿を取りに行く活動の手順書を音読し、健康観察簿を取りに 行った。この活動は、コピーの場面と同様に、手順書を持ち保健室に入室し
た後、コミュニケーションパートナーに「健康観察簿を取りに来ました(要求)。」
と言い、所定の場所にある健康観察簿を自分でとった後「ありがとうございま した(お礼)。」と言うという活動により構成されていた。
一141.
3.セッティング
蟻鯉 宣
蓼薦 密
・・・・… ・ ・・・… ・…
F君
の教,■・・■. ■・■.・ ■.,,・.■ ,・■
図 5.1F落の教室と保健室、事務室の位置関係
机
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机 机
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