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第 4 章 光増幅中継システムにおける光ファイバ線路障害位置検出法

4.2 後方光回路の構成法

4.2.1 基本形態

長距離光増幅中継伝送システムでは,光アイソレータを光増幅器と併用して信号 の伝搬方向を限定することが,安定した光伝送を行なうために必要である.OTDR 法を当該システムに適用する場合,各中継区間の光ファイバで発生したレーリー後 方散乱光を,中継器を越えて測定信号を送出した端局まで伝搬させるためには,各 中継器において後方光を対向線路に迂回させ伝搬する方法(以下,後方ループバッ ク法と称す)が必要となる.後方ループバック法には,光カップラによる連続接続 による方法 [25],光スイッチによりループバック回路の開閉を行なう方法 [26],

光サーキュレータと光増幅機能を組み合わせた方法 [27]が提案されている.第1 の方法はループバック回路が常に構成されているため,中継器制御を必要としない 利点を有する.一方,第2および第3の方法はループバックを構成するための中継 器制御が必要となる.

線路設備の保守・監視に伴う中継器回路構成の簡素化を図るためには,中継器制 御を必要としない第1の方法(図 4.1)が有効と考えられ,以下この方法を採用し 検討を行なう.

図 4.1 OTDR法を適用するための光増幅中継伝送システムの構成モデル

4.2.2 最適構成法

図 4.1はOTDR法を用いて線路保守を行なうための光増幅中継伝送システムの 構成モデルである.各中継器において出力側の光ファイバ線路で生じる後方光を光 カップラで取りだし,対向線路の光増幅器出力に高損失で常時接続する方法として いる(HLBP:High Loss Backward Path).これにより光回路の開閉制御機能を中継 器に具備する必要がなく,中継器構成の簡素化ならびに信頼性を向上させることが 可能となる.ここで,光中継器へのHLBPの適用については,以下の点を考慮した.

(1) 分岐・合波点

長距離システムでは,後方光の分岐および対向線路への合波点の選定は重要な要 素となる.光ファイバ非線形現象を抑圧するために光ファイバへの入力を押さえる ことが必要であると共に,自然放出光の累積によるSNR劣化を改善させるために は光増幅器への入力を高く保つ必要がある.

よって線路上に配置が必要な光回路などの損失媒体は,光増幅器の入力側よりは 出力側に設置する方が有効であり,HLBPについても各光増幅器の出力に設置する ことが望ましい.また同一のHLBPを介して両端局からのOTDR測定が可能とな るため,部品点数を減らすことができる.

(2) HLBPによるクロストーク

各中継器のHLBPは恒久的に接続された状態となるため,各中継区間の後方光が

対向線路に漏洩し,これによる本線信号への影響を十分考慮する必要がある.この クロストークによる伝送特性の劣化を避けるためには,HLBPの損失を十分高くす る必要がある.一方,HLBPの損失を高くすることによりOTDRの測定ダイナミッ クレンジが制限されるため,受光感度が高いOTDRが必要となる.

伝送特性の劣化は,HLBP数(中継器数)とHLBP損失に関係し,所定の特性を満 足するためには多中継になるほどHLBP損失を高くする必要がある.図 4.2は,ク ロストーク量の調整機能を備えた光増幅中継伝送システムのループ実験装置によ り,5Gbit/s, 300中継伝送相当のループ実験を行なったときの中継器1台当たりの クロストークパワーと符号誤り率について求めたものである.

図 4.2 HLLBによるクローストークの影響

線路上の反射要因は極力抑制するため,HLBPを介すクロストーク成分は各中継 区間で生じるレーリー後方散乱光によるものと考えられる.

各中継区間において中継器平均出力パワーに対するファイバ入射端におけるレ ーリー後方散乱光の累積パワーの比Rは,

dl l S

R span R exp(-2 )

0 α α

= (4.1)

で表される.ここでspanは中継区間長,Sは後方に結合される散乱光の割合,αR

はレーリー散乱係数,αは光ファイバ損失である.

一般に分散シフトファイバではRは31~33dB程度である.したがって,300中 継伝送を仮定する場合,図 4.2より各中継器のHLBP損失を約15dB以上に確保す れば,対向回線に影響を与えることなく図 4.1の光増幅中継伝送システムを構築す ることができる.

(3) LBP用合分波素子

光回路に使用する合分波素子は,信頼性を考慮すると,経時的なアライメントの 劣化がないことが重要であり,HLBP用には融着型光ファイバカップラが有効であ る.HLBP損失は光カップラのカップリング損失の組み合わせにより,決定するこ とができる.