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光増幅中継伝送システムにおける OTDR 測定

第 4 章 光増幅中継システムにおける光ファイバ線路障害位置検出法

4.4 光増幅中継伝送システムにおける OTDR 測定

4.4.1 光増幅中継伝送システムの実際例

図 4.4は,本研究に基づき開発した最大システム長9,000kmのOS-A光増幅海底 ケーブル方式 [18]の線路設備の概略構成である.また,図 4.5(a)は光増幅器の構成,

および(b)は中継器および線路監視用の光ループバック回路において,レーリー後 方散乱光の伝搬ルートを示す概念図である.

光増幅器は1.48µm後方励起型であり,出力側に線路(中継器)監視用光ループバッ ク回路が構成されている.各中継区間のファイバ線路で生じた後方光はこのループ バック回路を介して対回線に接続される.HLBPの損失は,3.2.2項の討結果を考慮 して約20~23dBとしている

図 4.4 線路設備の概略構成

(a) 光増幅器の構成 (b) 中継器回路 図 4.5 線路設備

4.4.2 OTDR による障害検出

OTDR法を光増幅線路に適用するためには,線路設備に給電を行うことができる 障害であることが前提条件となる.更にOTDRを適用する場合の光増幅線路の障 害パターンには,以下の2つが考えられる.

(1)ケーブル破断によって生じる送受信光ファイバの破断(Double-Fault)

本障害では受信線路に光信号を伝送することができないため,受信端における雑 音光が著しく増加する.しかし破断区間のOTDR測定ダイナミックレンジは,ほ ぼ破断点から第1台目の光中継器における出力点でのCN比で決定されるため,シ ステムによっては通常レベルダイヤの状態より良好な SNR を得られることがある.

短距離システム(長スパン)では,光中継器出力の自然放出光パワーが大きく,かつ 所要のダイナミックレンジが大きいため,中継区間全長にわたり観測することは困

難である.一方,長距離システム(短スパン)では,自然放出光パワーが比較的小さ いことと所要のダイナミックレンジが小さくてすむため,容易に障害点を検出する ことが可能となる.

破断障害時における給電はケーブルの電食を伴うため,測定は短時間で行なわれ る必要がある.破断障害では,システム長の半分の距離を中継スパンの全てにわた り測定することできれば,システム全体の障害点を検出することができる.

(2)送信側あるいは受信側光ファイバのいずれか一方の単独障害(Single-Fault)

OTDRの適用は送信側光ファイバに限られるため,線路の両端のいずれか一方の 端局からの測定が必要となる.この場合,OTDRの受信線路正常側)に負荷(ローデ ィング)信号を伝送させることにより自然放出光雑音を抑圧し,SNRを改善させる ことができる.給電条件は正常であるため,比較的長い測定時間を割り当てること が可能である.

4.4.3 Double-Fault 状態での測定

中継間隔66km,中継器数8台で構築された530km光増幅中継伝送システムを用

いてOTDRの測定を行なった.基本構成は図 4.6の通りである.

図 4.6 OTDR測定系の構成

また図 4.6に示すようにOTDR側には中継器ループバック回路と同じものが端 局用ループバック回路として設定されている.ここで受信線路にはローディング信 号を送信せず,無負荷状態としてケーブル破断障害を模擬している.光増幅中継伝 送システムのファイバの平均損失は0.22dB/km,光増幅器の雑音数は約6dB,利得は

約14.5dBおよび平均出力パワーは+4dBmである.またOTDRのパルス幅は10µsec, 平均化回数は219回とした.

実験結果を図 4.7に示す.中継器に相当する場所に大きなピークが観測されるが,

これは中継器監視用ループバックからの信号を示している.また破断区間に近くな るほど監視信号のピークが高くなっているが,これは受信線路の破断区間以降の光 増幅器(図 4.7では#7から#4中継器)において,通常動作(飽和領域)の利得の 状態から,光入力の低下によって利得が伸張したためである.

更に光増幅器の自然放出光の累積によって徐々に正常レベルに回復し,破断区間 からほぼ5中継器以降(図 4.7では#3から#1中継器)では正常レベルに復帰して いることがわかる.

破断した中継区間における測定ダイナミックレンジは約18dBを得ており,破断 区間が明瞭に観測できていることがわかる.

4.4.4 Single-Fault 状熊での測定

次に受信線路にロ一ディング信号を伝送し,システムのレベルダイヤを正常に保 って,OTDR測定を行なった.OTDRのパルス幅は10µsec,平均化回数は219回と した.実験結果を図 4.8に示す.監視信号のピークが全ての中継器にわたり一定で あり,レベルダイヤが正常に保たれていることがわかる.測定ダイナミックレ.ン ジは約17dBを得ており,送信線路を構成する全てのファイバ線路の損失特性が明 瞭に観測できていることがわかる.

4.4.5 線路保守用としての適用性

受信線路にローディング信号を伝送することが可能である敷設前後の確認試験 や定期保守試験などにおいて,OTDR法を使用することによって従来成し得なかっ た中継区間のファイバ線路の損失監視を行なうことができる.

図 4.9は最終の第8中継スパンの中間,第7中継器から31km,端局より約496km 付近の送信側光ファイバに曲げ損失(約2dB)を与えた状態で,その前後について 測定を行なったものである.OTDRの距離分解能は300m相当(パルス幅3μsec), 平均回数は221回とした.損失増加箇所および損失増加量が明確であり,OTDRに より測定された損失値と一致している.

図 4.7 Double-Fault時のOTDR測定波形

図 4.8 Single-Fault時のOTDR測定波形

図 4.9 局部損失箇所の測定結果

4.4.6 長距離システムにおける測定

図 4.10は5,600kmシステムを測定したものである.長距離の区間に渡って明瞭 に観測できていることが確認できる.特記すべきは,光ファイバ中に割り入れた分 散補償用光ファイバ(単一モード光ファイバ)の様子が詳細に把握できていること からも,本検出法は極めて有用性が高いことがわかる.ここで,伝送路として使用 している分散シフトファイバのレーリー散乱光係数は,分散補償用光ファイバとし て用いた単一モード光ファイバのそれよりも高い.よって,測定トレース上は,単 一モード光ファイバの部分が沈んで見えるが障害ではない.

図 4.10 5,600kmシステムの測定結果