第 3 章 光ループバックを用いた光中継器監視方法
3.4 ループバック信号の検出
図 3.5 光ループバック回路損失量とQファクタの関係
( )
t a s(
t s) ( )
ntx = ⋅ −τ + (3.1)
で表される.ここで,aは受信されたループバック信号の強度, は雑音成分 である.つぎに,波形 と 波形との相互相関関数を求める.
( ) ( ) ( )
(
τ τ) ( )
τ ττ
ns R s Rs a
dt t s t x Rxs
+
−
=
−
=
∫
−∞∞ (3.2)ここで, は波形 の自己相関関数, は波形 と雑音成分 と の相互相関を示している.自己相関関数 R
( )
υ は υ =0 で最大値をもつ性質があ るから, において ,すなわち基準信号波形 の遅延量とループバ ック信号の伝搬時間が一致する場合,最大値が得られる.一方,雑音成分は,線路 で生じる自然放出光雑音に起因するビート雑音の他,多中継の場合には他の中継器 からのループバック信号の累積も無視できなくなる.しかし M 系列符号の最大の 特徴は,その自己相関関数が υ =0 で1,それ以外では −1/q(qは符号長の周期)となることから,十分に長い周期の符号系列を使用することにより,これをランダ ム信号として扱える,よって,それぞれ伝搬時間が異なるループバッタ信号はお互 いに無相関と考えることができる.従って とみなせるため,目的とする ループバック信号の自己相関関数 が抽出でき,またその強度 が求めら れる.
3.4.2 ループバック信号の受信 SNR
以下では,ループバック信号に対する受信SNRの解析を行う.ループバック信 号の受信に際しては,中継系で生じる自然放出光雑音に起因するビート雑音以外に,
中継数が多く監視信号の変調数が大きい場合,各中継器からのループバック信号の 累積が,所望のループバック信号に対する受信SNRを支配する主雑音となる.以 下では解析を簡略化するために,対向する伝送路のレベルダイヤは同一とし,受信 レベルは中継器出力レベルと同じとする.また監視信号は監視用搬送波を M 系列 符号で平衡変調したものとする.
( )
tn
( )
t x s( )
t(
s)
Rsτ −τ s
( )
t Rns( )
τ s( )
t n( )
t(
s)
Rsτ −τ τ =τs s
( )
t( )
τ →0 Rns(
s)
Rsτ −τ a
ループバック損失をL,信号パワーをPs,監視信号の変調度をmとすると,検 波出力に現われるループバック信号電力 は,
(3.3)
である.ここで,eは電子の電荷,ηは受光器の効率,hはプランク定数,νは光 周波数である.一方,ループバック数(中継器数)をkとすると,累積ループバッ ク信号による雑音NLBは次式で表される.
ν (3.4)
また,監視信号の変調度が小さいインサービス監視時では,対向線路信号と対 向線路で生じる自然放出光雑音間のビート雑音 Ns-sp,および自然放出光雑音問の ビート雑音Nsp-spが支配的となる.これらは次式により表される,
4 2
(3.5)
4 2
(3.6)
ここで,Paseは自然放出光雑音の単一偏波,単位周波数(Hz)当りの光電力密 度,Δfは光受信帯域,Bは監視信号の符号速度である.また監視信号は平衡変調信 号であることから主ロープ帯域は2Bとなるため,受信帯域を(2B)とした.従っ て,光検波出力における所望のループバック信号のSNReleは,次式により表される.
S
SNR (3.7)
ここで,Tは積分時間である.従って,光領域に換算したSNRoptは,
SNR (3.8)
である.以上から,例えば9,000kmシステム(中継器数300)で,ループバッ ク損失が45dBの場合,変調度100%では10分で23.6dBのSNR(光領域換算)
が得られることがわかる.
3.4.3 線路監視装置の構成
図 3.6に線路監視装置の構成を示す.LMEは,以下の信号処理系から構成され ている.
(1)監視信号の発生
監視信号には,数MHz帯の搬送波をM系列信号で2値位相変調した信号を用 いた.監視信号を伝送端局装置の主信号光に強度的に重畳し,光ループバック回路 を介して中継伝送系に送信する.また主信号光重畳の変調度を可変することによっ てインサービスおよびアウトオブサービス監視を可能とした.
(2)復調回路
光受信回路で電気変換されたループバック信号は,帯域フィルタ(BPF:
Band-Pass Filter)を通し,直交位相同期検波回路によって復調される.局部発振
信号は監視信号の発生に用いた搬送波を使用している.また位相検波したI,Q信
号は,2系統のA/D(Analog-to-Digital)変換器によってディジタル信号に変換さ
れる.
SP SP SP S LB
elc N N N
SBT
−
− +
= +
opt
∞ SNR
elc(3)相関係数検出回路
信号処理回路(DSP: Digital Signal Processor)では,復調回路でディジタル変 換した信号と,送信した監視信号と同符号系列で,かつ測定を行う中継器位置に相 当する遅延量を与えた符号系列との相互相関関数を求めると共に,SNR を改善す るために長時間積分を行うディジタル信号処理を施し,目的とする中継器ループバ ック信号を抽出する.これらのディジタル信号処理に必要なPN信号発生回路,遅 延回路,相関回路および積分回路は,ASIC(Application Specific Integrated
Circuit)化により小型化し,同路の安定化と高信頼化を行っている.1台の中継器
に一つの信号処理回路を割り当てる並列処理を行うことによって,複数中継器の同 時測定を行い,測定時間の短縮を図った.本回路は.最大システム長10,000kmま で対応し,中継器識別分解能約2km,距離精度200m以下の性能を有する.
図 3.6 線路監視装置の構成