• 検索結果がありません。

第 6 章 光ラベルを用いた光バーストスイッチング

6.2 光バーストスイッチング概説

6.2.1 特性

光バーストスイッチングは,スタティックな波長パススイッチング(光回線交換)

よりもダイナミックな光スイッチング(数ミリ秒以下)が行われ,かつ光パケット スイッチングで必要なデータストア&フォーワーディング(光バッファ)を行うこ となく,信号をカットスルーさせることを基本としている.すなわち,光バースト スイッチングのトラヒック交換粒度は,光回線交換と光パケットスイッチングの中 間に位置付けられる.

図 6.1に光バーストスイッチングネットワークの構成を示す.現在主流となって いる光バーストスイッチングのコンセプトは,1997年にM. Yoo とC. Qiaoによっ て提案され [43-45],これに基づく検討が各研究機関で行われている.

図 6.1 光バーストスイッチングネットワーク

OBS Edge

OBS Edge

OBS Edge

OBS Edge OBS

Node

OBS Node OBS

Node

OBS Node

channelData Control

channel

OBS Network

光バーストデータは,ビデオクリップなどのストリーミングデータや,図 6.1の ようにネットワークエッジノードでアグリゲートされた複数の IP パケットから構 成される.一般に,光バースト信号の経路制御は専用のコントロールチャンネル(制 御信号)で行われ,光バースト信号の送信に先立って経路情報を有する制御パケッ トが送信される仕組みになっている.また,中継ノード(OBS Node)には,光フ ァイバ遅延線などの光バッファが必要なく,光バースト長も光パケットスイッチン グと違い可変長にすることが可能である.

6.2.2 基本方式

光バーストスイッチノードにおける基本構成を図 6.2に示す.経路情報を有し中 継ノードの予約処理を行う制御パケットと光バースト信号とは別々に伝送される.

制御パケットはシグナリング用のコントロールチャンネル,光バースト信号はデー タチャンネルで伝送される.スイッチノードでは,制御パケットだけが電気処理さ れ,光バーストデータは処理結果に基づき光のまま経路制御される.制御パケット は,光バーストデータに先立って送信され,オフセット時間(Offset Time)と呼ば れる時間間隔をおいて光バーストデータが送信される仕組みになっている.オフセ ット時間は,スイッチノードにおける処理時間とノード数の積,さらに伝搬時間お よび光スイッチング時間の和で決定される.以上のように制御パケットと光バース ト信号の間にオフセット時間を設けることで,光パケットスイッチングで不可欠で あったヘッダ処理時間を待機(保持)させるための光遅延線や,ナノ秒オーダーの 切り替え速度を有する光スイッチを必要とせず,また制御パケット処理にかかる電 気処理時間の制約が緩和されるため,既存技術による実現性が高いと考えられる.

図 6.2 光バーストスイッチングの基本構成

11

22

11 22

Switch Processor

Offset Time

11 22

11 22 Control channels Control Packets

Optical bursts A

B

C

D Control

Data channels

6.2.3 シグナリング

回線交換方式では,帯域(リソース)予約要求に対して最終ノードまでの帯域予 約の完了が確認(ACK)されたとき,データ信号の送信を開始する Two-way 処理 を行っている.本方式は信号廃棄の危険性はないものの,ネットワーク規模が大き い場合,往復伝搬時間に依存する予約待ち時間がリソース使用効率を低下させる要 因となる.一方,光バーストスイッチング方式での帯域予約はOne-wayで行われ,

予約完了確認(ACK)を受信することなく,光バースト信号を送信するので,リソ ースの利用の効率向上が図れる.

バースト信号の帯域予約のシグナリング方法は,以下に示す 3 つに分類される.

前者2つは電気領域スイッチング,後者1つは光領域スイッチング向けに特化して 提案された方法である.いずれも One-way 処理による帯域予約であり,またスト ア&フォワードでないカットスルースイッチングによるものである.

(1) Tell-and-go(TAG)

図 6.3に概念図を示す.専用のコントロールチャンネルを用いた制御パケット伝 送によってリソース設定要求を行う.バースト信号はオフセット時間を持たず(ほ ぼゼロ)送信し,送信完了後は,リソース開放のための制御パケットを送信する.

リソース開放制御パケットの正常受信ができない場合,リソースは予約されたまま となるため,予約中は周期的にリフレッシュ信号を送信する必要がある.

本方式は,光領域スイッチングでの検討も行われており,Just-In-Time(JIT)方 式と呼ばれる [46].コントロールチャンネルとデータチャンネルは分離されて使 用される.JITは,制御パケット情報として後続バースト長に関する情報を含まな いため,制御パケットが受信処理されると,直ちにリソースの予約が行われ,バー スト終端部のデリミッターによってリソースが開放される.したがって,予約・開 放制御は簡単であるが,制御パケット受信時に出力ポートの空きがなければ,バー スト信号ロスにつながる.

(2) In-band-terminator(IBT)

図 6.4に概念図を示す.本シグナリング方式は,パケットスイッチングと同等な ヘッダ部分と,バースト信号の終わりを示すデリミッターによって構成される.リ

ソース要求処理において,パケットスイッチとの厳密な差異はつけ難いが,パケッ トスイッチング特有のストア&フォワードではない,仮想的なカットスルースイッ チングと言える.

(3) Reserve a fixed duration(RFD)

図 6.5 に概念図を示す.制御パケットは,光バースト長(Duration)に関する情 報を含んでおり,したがって,リソース開放用の制御パケットを必要としない.ま た,リソースの予約期間は,光バースト信号の到着時からとなるため,リソース利 用効率が向上する.しかし,光バースト信号の到着時間を正確に把握する必要があ り , 制 御 処 理 の 複 雑 さ が 課 題 と な っ て い る . 本 シ グ ナ リ ン グ 方 式 は , Just-Enough-Time(JET)プロトコル[43]と呼ばれ,これに基づく検討が盛んに行わ れている.

RSV (B) RSV (B)

CC CC

Reserve Release

T~0 T=0

Control Channel ChannelData

図 6.3 TAGシグナリング方式

CC

Reserve Release

T~0 T=0

ChannelData BB CC

図 6.4 IBTシグナリング方式

BB

CC Reserve Release

T Control

Channel ChannelData

図 6.5 RFDシグナリング方式

6.2.4 サービス品質(QoS)の制御

光バーストスイッチングでは,One-way予約処理を用いるため,宛先までのリソ ースが予約できなかった場合,送信したバースト信号は廃棄されてしまう.これを 低減させる方法として,ディフレクションルーチングによるコンテンション(出力 ポート競合)回避手段や RFD シグナリング方式におけるオフセット時間制御等の プロトコル上の制御手段が考えられている.ディフレクションルーチングには,空 間的なパス制御と波長制御によるものが考えられる.

RFDにおけるQoS制御手段[5]に関する概説図を図 6.6に示す.基本的な概念は,

通常優先度の光バーストに対し,優先度の高い光バースト信号のオフセット時間

(通常オフセット+QoSオフセット時間)を長くして,十分な予約要求時間を確保 することで,予約達成の確立が向上し,信号廃棄率が改善される.

B2B2 CC

Basic Offset-time

B1B1 CC

Basic Offset-QoS Offset-time time

Low priority optical burst

High priority optical burst

図 6.6 RFDにおけるQoS制御方法