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建設企業の PFI 事業への取り組みの現状

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1.4 PFI 等官民連携手法の動向

1.4.3 建設企業の PFI 事業への取り組みの現状

(1) 建設企業が PFI に取り組む意義

PFI事業は事業規模が大きいこと、事業期間が長く運営・維持管理という建設企業だけ ではできない要素があること、長期の資金負担を伴うことから、大手建設企業には適して いるものの、地方中小建設企業にはハードルが高いと言われている。当研究所の実施した アンケート調査17でもPFI事業を行っていると回答したのは大手建設企業が中心であり、

地方中小建設企業の取り組みは少なく、あったとしてもコンソーシアムの中で工事を請け 負う参加企業型であり、代表企業としてPFIに取り組む企業は少数であった。

PFI事業でも廃棄物処理事業ならゴミ処理プラント事業者、給食センター事業なら給食 サービス事業者というように、それぞれの事業に適合した事業者がいるものもあるが、庁 舎、学校、公営住宅などは建設の占めるウェイトが高く、建設企業が適している。また複 合型の事業でも建設企業が代表企業として SPC またはコンソーシアムが組成され、各種 企業が参加して運営が行われるものも多く見られる。欧米がPPP(民営化・コンセッショ ン・PFI等)の歴史経験が長く、マーケットも成熟していて受け手企業が多く存在する(欧 米の大手建設企業にはインフラのコンセッションを主力としている企業もある)のと異な り、我が国の場合はPPPの受け皿が育っていない状況にある。PFI事業は我が国建設企業 が請負ビジネスから更に進化していく上できわめて重要なマーケットであることを示して いると言える。

(2) 大手建設企業

今回の調査では、ゼネコン大手3社(株式会社大林組、鹿島建設株式会社、株式会社竹 中工務店)から、PFI事業への取り組み方、PFI事業の問題点等についてヒアリングを行 った。

なお、ヒアリングを通して当方としては、概ね以下のような印象を抱いたことを記して おく。

・各社ともPFI 事業に専門の部署、担当者を設けて積極的に営業展開し、受注している。

PFIには高度な提案能力が必要であることから、本社で企画立案を集約して担当し、現 場の支社等が各地方公共団体との接触を行っている。

・PFI事業は事業コスト・行政コストの削減、民間の創意工夫を活かしたサービスの展開 や収益の拡大が可能となることから、建設請負から一歩進んだビジネスとして今後のマ

17 建設経済レポートNo.59 3.4.2 PFIへの取り組み

ーケットの拡大が期待されるものである。特に首都圏など大都市部での公有地活用、大 規模なインフラの更新、空港運営などの大型案件に期待が高い。しかしながら、現状を 見る限りは収益性が低く工事請負の延長線上のような案件が多いようであり、大手建設 企業の企画提案力・事業実施能力を遺憾なく発揮できているとはいえないようである。

・特に大型のインフラ案件や運営を伴う事業で魅力的な事業がほとんどないのが現状であ る。どうしても収入のいい事業は手放そうとしないし、赤字の事業だから民間にやらせ て解決しようという発想になりがちである。PFI法の改正により空港、上下水道、道路 等で運営権型の事業が今後見込まれ、現在実施に向けた検討が進められているが、各社 とも魅力的な案件が出てくるかについては懐疑的な見方が強いようである。

・一方で事業内容が複雑な事業、運営の占める割合が高い事業、あるいは独立採算や自己 収入が求められる事業については、発注者側の求める内容と建設企業の間にリスク分担 の考え方等でかなり認識のギャップがあるのではないか。

・地元、特に地元建設企業との関係には十分配慮しており、行政サイドの意向も十分確認 しながら個別の企業と接触しているようである。個々の企業の意向により SPC に参加 してもらうこともあるし、下請工事だけというケースもある。逆に地元企業から助力を 求められることもあるとのことであった。

今回のヒアリングを通じて各社から指摘されたPFI事業の課題・問題点は以下のように なる。

・実施方針から落札者決定に至るプロセスで非常に時間がかかること、地方公共団体の場 合、会計年度や議会手続きによって発注手続きが決まるため、どの自治体でも3月の契 約を目指して12月議会にかけるために手続きが8月~10月に集中してしまう。ずらす ことができれば提案の質をあげることができる。

・提案において膨大な書類が要求され、それだけでもかなりのコストである。提案費用を 払ってもらいたいケースもある。受け取る側もとても全部見られないだろうし、審査す る方も大変である。

・PFIは長期にわたり事業者が施設のケアも行うため、民間の能力を発揮しつつ維持運営 コストを引き下げる利点があるが、一方で過度の義務を課されることがあり、民間事業 者の負担になる。具体的には、瑕疵担保期間が設備や内装なども含めて一律で 10 年と される案件が散見される。また修繕工事において、予期せぬ事象(利用者の責任など)

に対する実施義務について官民の見解の相違が生じているケースもある。

・ペナルティとしての違約金条項が厳しすぎるのではないか。PFIは時間がかかると同時 に多くの関係者がコンソーシアムを組成するため、構成員のどれかが事故を起こしたり、

暴力団排除に該当したりすれば一定の違約金を払わなければならず、しかも工事金額で はなく落札額に対する割合でかかるため額が膨大になる。民間側のリスクを必要以上に 高めて、参入意欲を阻害しかねないので、見直しが必要である。

・官側の都合による事業中止には、民側の都合による事業中止には定められている違約金 に関しては何らの定めがされないのが通常であり、契約の公平性の観点から不合理であ る。個別協議で費用を精算することも可能だが、スムーズには行かないのであらかじめ 定めておくことも必要ではないか。

・SPCの株式の譲渡が制限されるのが通常であるが、株式が取引されるような魅力がなけ れば市場も拡大しない。官からみれば任せた以上は最後まで面倒を見てほしいという考 えになるのはわかるが、民間からすれば株式価値を高めることはインセンティブになる し、投資に参入しようとするプレーヤーが多くなることにもなる。政府も取り組んでく れているので、今後に期待したい。

・現在、労務費や資材費の急騰により、不調・不落が急増し、受注工事の価格についても 物価スライドの扱いが問題になっている。PFI事業についても提案から着工まで時間が かかるだけに大問題である。また維持管理コストや運営の人件費コスト上昇も今後どの ようになるのか見通せない部分がある(現状でも人件費の上昇は反映に時間がかかり、

実勢は上がっているのに逆に引き下げを求められることもある)。こうした問題がクリア にならないとPFI事業自体が敬遠されてしまうことになりかねないと懸念している。

(3) 地方・中小建設企業

地方・中小建設企業のPFI事業への取り組み状況を概観すると、多くの案件が建築事業 に係るものであるため、建築系の建設企業の取り組みが主で、土木系の建設企業は案件自 体が少ないこともあり、総じてPFIへの関心は薄いようである。

PFI事業に地方・中小建設企業が取り組みにくい最大の原因は、長期の割賦払いの資金 負担、複雑な事業内容に対する提案を行うだけの人員・ノウハウの不足、事業運営の経験 がないことなどである。

しかし、地方・中小建設企業の中には競争・請負という不安定なビジネスモデルから脱 却し、運営ビジネスに取り組もうとしている企業も多い。たとえば、2000年代に入り建設 投資が急速に縮小していった時期に新分野ビジネスとして自社の保有する不動産や建築施 工技術を活かして福祉や介護に参入した企業が多かったが、こうしたビジネス拡大に積極 的な企業にはPFI事業に取り組む機会が提供されてもよいのではないだろうか。

またPFI の初期の案件で地方の建設企業による失敗事例があった。これは、2002年に 開業し、わずか2年半で閉鎖に追い込まれた「タラソ福岡」であり、この事業を手がけた 地元の建設企業が倒産に追い込まれることになった。この案件はPFI事業の初期の案件で あり、同事業自体は別の企業に譲渡されて 2005 年には営業も再開されているが、失敗原 因として需要予測の甘さ、民間への過度のリスク負担等があげられている。

PFI事業を行おうとする地方公共団体にとっても地元企業の受注機会確保は重要であり、

特に小規模な案件では、どのようにしたら地元企業が受注できるのか工夫を凝らすケース

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