1.2 公共事業関係予算の円滑な執行に向けた取り組み
1.2.2 予算の契約状況
本項では、予算の契約状況について考察していくこととするが、後述する「政府建設投 資」と「公共工事前払金保証統計5」の相関性の高さを用いて予算の契約状況を推測する。
(1) 政府建設投資と前払金保証統計の関連性
①政府建設投資
政府建設投資とは、国内の公共事業等に関する建設活動の実績及び見通しを出来高ベー スで推計したもので、事業別の予算状況及び繰越率、支出率、地方財政計画等を参考にし、
毎年、国土交通省が公表している。
公共事業関係費予算は図表 1-2-4の通り予算区分されており、そのうち、政府建設投資 は、「事務費」・「測量設計費」・「工事費(請負費+諸資材費+委託費)」・「付帯工事費」・「営 繕費」・「宿舎費」が含まれている。
4 平成21年度は、平成20年度で特別会計に直入されていた「地方道路整備臨時交付金」相当額(0.7 兆円)が一般会計計上に切り替わったため、見かけ上は前年度よりも増加(+0.5%)しているが、
この特殊要因を除けば6.4兆円(△5.2%)である。
平成23年度及び平成24年度予算については同年度に地域自主戦略交付金へ移行した額を含まない。
5 (出典)北海道建設業信用保証株式会社、東日本建設業保証株式会社、西日本建設業保証株式会社
9.2 9.6 9.7
9.0 9.4 9.4 9.4
8.4 8.1 7.8 7.5 7.2 6.9 6.7 7.1
5.8 5.0 4.6 5.3 5.3 5.0
1.6 0.8 5.9
2.8 2.1 2.0
1.6
0.2 1.1
0.5 0.6
0.5 0.8 2.4
0.6 0.3
2.4
2.4 14.2
11.2 10.5
14.9
12.2
11.5 11.4
10.0
8.3 8.9
8.0 7.8
7.4 7.5 9.5
6.4 5.3
7.0
6.3 7.7
0.0 5.0 10.0 15.0
( 兆円)
当初予算 補正予算
(15カ月予算)
8.8 減額補正
(執行停止分)
図表1-2-4 公共事業関係費予算の予算区分(概略)による比較6
(出典)東日本建設業保証株式会社「公共工事前払金保証統計の見方」
②公共工事前払金保証統計
公共工事前払金保証統計(以下、「前払金保証統計」という)は、前払金保証実績(請負 金額)から、公共工事の発注動向を把握することを目的として、3 保証会社が合同で毎月 発表している統計資料7であり、速報性に優れている。
図表1-2-4の公共事業関係費予算のうち、前払金保証統計は「調査費」・「測量設計費」・
「工事費(請負費)」・「付帯工事費」・「営繕費」・「宿舎費」・「船舶及び機械器具費(建造費 部分)」が対象となっており、前述した政府建設投資と、対象となる予算区分が重なる点が 多く、両者は相関性が高いことがうかがえる。
③政府建設投資に対する前払金保証統計のカバー率
図表1-2-5は、政府建設投資と前払金保証統計の推移である。政府建設投資に対する前
払金保証統計の比率(カバー率)をみると、例年約70%前後となっており、安定した相関 性がみてとれる。
なお、2010年と2011年のカバー率を見ると、62.7%・65.2%と例年に比べ低いカバー 率となっているが、これは2013年度から、非上場のJR4社(北海道、四国、九州、貨物)、
東京地下鉄株式会社、日本電信電話株式会社を民間から政府土木その他(地方公営関係事 業等)へ区分変更され、2010年~2012年にかけて政府建設投資が遡って上積みされたた め、カバー率が例年に比べ低下している。
6 前払金保証統計の「船舶及び機械器具費」は、建造部分が含まれる(購入費は含まれない)。
国土交通省が作成している建設総合統計は、建設工事受注動態統計と建築着工統計調査の調査結果を 用いて作成した加工統計であり、統計のもれ補正及び各統計の概念に入っていない経費(事務費、測 量・機械器具費等)を勘案した額とされているため、本表からは除外している。
7 3保証会社の前払金保証契約データの積み上げによる集計であり、推計的要素は一切含まない。
(2012年度約26万件)
図表1-2-5 政府建設投資と前払金保証統計の推移(カバー率)
(出典)国土交通省「建設投資見通し」及び 3 保証会社「前払金保証統計」を基に当研究所にて作成
( 注 )2012年度の政府建設投資額は当研究所見通し額
(2) 契約状況の推測
図表1-2-6は、1999年~2012年度までの前払金保証統計カバー率の実績を基に、直近
14年間のカバー率平均を算出した。結果、カバー率平均は68.5%となっている。
当研究所は2012年度の政府建設投資額を 17 兆8,200億円、2013年度を20 兆5,400 億円と見込んでおり8、2013年度の政府建設投資額は、前年度に比べ2兆7,200億円の増 加(15.3%増)となっている。上記の平均カバー率(68.5%)を 2013 年度の政府建設投
資額20兆5,400億円に乗ずると、2013年度の前払金保証統計(年度計)は14兆607億
円になることが見込まれるが、それを踏まえ、例年の前払金保証統計の月々のカバー進捗 率と比較することで、2014年2月末時点の契約状況について推測することとする。
8 当研究所が発表する「建設経済モデルによる建設投資の見通し(2014年1月推計)」による。
75.2%
69.9%
68.4% 69.1%
65.9% 65.9% 68.3% 69.0% 69.5% 70.6%
69.0%
62.7% 65.2%
69.5%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
0 5 10 15 20 25 30 35
( 兆円) 政府建設投資
前払金保証統計 カバー率
図表1-2-6 1999年度~2012年度 前払金保証統計カバー率(平均)
(出典)国土交通省「建設投資見通し」及び3保証会社「前払金保証統計」を基に当研究所にて作成
( 注 )2012年度の政府建設投資額は当研究所見通し額
図表1-2-7は、前払金保証統計の各年度計を100とした場合、2月末時点の割合(達成
度)を比較したものである。2009年~2012年度の2月末時点達成度は一貫して80%台後 半~90.0%となっているが、2013 年度は 93.3%と例年に比べ若干ではあるが高い達成度 となっている。
最近では入札不調の増加が問題視され、「契約が遅れ気味なのでは」と疑問視する声も一 部から聞こえてくるが、例年に比べ大幅に建設投資が増加している状況下であるなか、図
表1-2-7を見る限り、契約は順調に推移していることが推測される。
図表1-2-7 前払金保証統計(2月末時点)カバー達成度比較
(出典)3保証会社「前払金保証統計」を基に当研究所にて作成
年 度 政府建設投資 政府建設投資
前年度伸び率 前払金保証統計 カバー率
1999年度 319,379 -6.0% 240,213 75.2%
2000年度 299,601 -6.2% 209,317 69.9%
2001年度 281,931 -5.9% 192,976 68.4%
2002年度 259,174 -8.1% 179,080 69.1%
2003年度 234,509 -9.5% 154,589 65.9%
2004年度 208,282 -11.2% 137,355 65.9%
2005年度 189,738 -8.9% 129,622 68.3%
2006年度 177,965 -6.2% 122,838 69.0%
2007年度 169,463 -4.8% 117,818 69.5%
2008年度 167,177 -1.3% 117,951 70.6%
2009年度 179,348 7.3% 123,776 69.0%
2010年度 179,820 0.3% 112,827 62.7%
2011年度 172,100 -4.3% 112,249 65.2%
2012年度 178,200 3.5% 123,820 69.5%
68.5%
1999年~2012年度 カバー率平均
① ② ②/①
年 度 前払金保証統計
(年度計)
前払金保証統計
(2月末時点)
達成度
(2月末時点)
2009年度 123,776 110,364 89.2%
2010年度 112,827 99,885 88.5%
2011年度 112,249 98,272 87.5%
2012年度 123,820 111,482 90.0%
2013年度 (推測値) 140,607 131,143 93.3%
(単位:億円)
(単位:億円)
図表1-2-8は、前払金保証統計上の請負金額のカバー進捗率推移(月次)を比較したグ ラフであるが、このグラフにおいても、2013年度は例年に比べ高い水準で推移しているこ とが確認できる。
図表1-2-8 前払金保証統計上の請負金額 カバー進捗率推移(月次)
( 注 )2013年度は2月末現在
(出典)国土交通省「建設投資見通し」及び3保証会社「前払金保証統計」を基に当研究所にて作成