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幼児の育ち合いを促す保育実践

ドキュメント内 イラレ8_表紙No4-A4 (ページ 100-103)

伊藤規子・井上智賀・川口真希・白木律子・関戸紀久子 皆川奈津美・森岡とき子・森部洋子・湯淺智子・渡邊和代

(幼児保育研究グループ) 

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弁当を食べて交流を深める。

3月 お別れ会:登園後、全学年が交流して過ごせるよ うに、他クラスや園庭へ出て遊んだり、ホールでお別 れ会を行い、歌を歌ったり、プレゼントを交換したり して、今までの感謝の気持ちを互いに表す。また通園 コース毎に分かれ、一緒にゲームをしたり、弁当を食 べたりする。

2)研究会

 ① 5月13日 研究計画について

 ② 10月23日 研究経過について 〜全学年交流      『おみせやさんごっこ』を参観して〜

 ③ 3月5日 研究経過について 〜全学年交流      『お別れ会』を参観して〜

3.まとめと今後の課題

3歳児) 今年度は幼児自らが選んだ実体験ができる場 を全学年の交流の中に多く設けていき、その中で、

様々な刺激を受けながら遊びの幅を広げていくことを 目的とした。

 入園したばかりの3歳児にとって、5歳・4歳児と ペアになり、登降園、給食、園外保育など一緒に過ご し、教えてもらうことは不安や緊張をやわらげ、5歳・

4歳児に対して親しみや安心感を持たせることができ るかかわりとなった。

 この関係を基盤に、今年度の3歳児は男児の数が少 なく、男児の活動が小さくまとまりがちになってしま うことが予想されたため、全体交流を持つことで、5 歳・4歳児より、様々な刺激を受けることをねらった。

 6月の「みんなであそぼう」では、泣くこともなく、

日ごろの遊びにのびのびと参加する様子が見られた。

10月の「お店やさんごっこ」では、「自分たちで出か ける」ということを目的として2階や遊戯室へ出かけ ていったが、期待から積極的な姿が多く見られる反面、

不安になってしまう姿も見られた。しかし自分たちで 行ってくることができたというのは子どもたちにとっ て大きな自信になったと思われる。そして3月のお別 れ会でも交流の場をもつなど、定期的に行われた縦割 りでの活動を通し、子どもたちは多くの刺激を受け、

5歳・4歳児と一緒に遊ぶことを楽しみ、真似をしな がら自分たちの遊びを広げていく様子が見られた。以 上のことから考えられることとして、生活におけるペ アの活動では安心の反面、頼りがちになる姿も見られ たので、自分たちでできることを始めていく時期を見 計らっていくこと。また、「お店やさんごっこ」では、

不安な子も見られたので、個人で動く前にグループで 活動するなど、子どもたちの状況を捉えた計画を段階

的に考え、子どもたちが安定して育っていけるよう研 究を進めていきたい。

4歳児) 今年度は昨年度、5歳児に様々な場面で援助 してもらった経験を生かし、一年間を通して「異年齢 との関わり」をテーマに、友だち関係の広がりや深ま りを目標に様々な取り組みを行ってきた。初めての試 みだったため、昨年度の3歳児と5歳児との取り組み を参考に、4歳児という年齢を考慮した回数や、内容 を検討して行った。

 登降園時における異年齢の関わりやおやつ当番では、

小さい友だちに自分たちができることを知らせたり、

優しく関わるなど、思いやりの気持ちを持つことがで きた。また、そうしたことにより、自分たち自身が進 級したことの自覚を持ったり、感謝されることに喜び を感じることができたように思う。

 全学年交流日「みんなで遊ぼう」「お店屋さんごっこ」

では、5歳児の取り組みを見て、クラスの友だちとの 関わりでは見られない遊びややりとりに感心したり興 味を広げることにつながるよい経験となった。

 全学年交流日「お別れ会」の頃には、例年に比べて 3歳児、5歳児にも自然に関わり、一緒にゲームや遊 びを楽しむ様子が見られた。

 しかし、中には年齢が低いことから子どもによって 個人差が大きく、意欲的に交流やお手伝いができる子 と、初めてのことに緊張したり戸惑う様子が見られる 場面もあった。そのため、子どもの発達に合わせた援 助が必要となった。

 全体を通してみれば、今年度の取り組みは子どもた ちにとって多くの意義深い経験となったと考えられる。

今後も事前に活動の内容を詳しく知らせたり、個別に 援助しながら進めていく中で、できたことの喜びを感 じながら、自信を付けられるように方法を検討し継続 していきたい。

5歳児) 今年度一年間を通して異年齢児との交流を計 画的にカリキュラムの中に取り入れてきた。そして、

昨年度の反省や課題を生かし、3歳児の友だちの お 世話係 をするという個々のつながりにとどまること なく全学年での交流を多く設け、子どもたち自らが考 えたり、選んだ実体験できる場の中でお互いの気持ち を尊重しあったり、相手の気持ちを考えたり思いやる ことがどの子も自然にできるよう今年度は計画してき た。その結果こういった活動を通して異年齢児に対し て自然に相手の立場にたって関わる姿を多く目にする ことができ研究の成果を感じることができた。

 今後の課題としては、同学年の友だちに対してはな かなか優しく声を掛けることができない子もいたこと

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や、異年齢同士で園外へ出かけ、自然の中でより遊び を深めることができたにも関わらず、その経験が一度 しかできなかったことを踏まえ、来年度は異年齢の子 に対してだけでなく同学年の友だちに対しても同じよ うに関わることができる環境を考えたり、異年齢の学 年の交流の一つとして園外にも積極的に出かけ自然の 中で互いに様々なことに目を向けていく体験を取り入 れてすすめていきたい。

  全体)

 20年度から継続して取り組んできた「幼児の育ち合い を促す保育実践」は、3歳児から5歳児までの異年齢交 流・仲間・自然・実体験をキーワードとしたその育ち合 いを日常の遊びを発展する中で、どのように交流し、そ の中で子どもの育ちは何かを捉えてきた。

 日常の登降園や給食などの様々な場面での異年齢のか かわりは、援助する側、される側の互いの心の育ちを実 感するとともに、そのかかわりの中で自信を高めたり多 くの刺激を受けたりしながら、個々の成長へと結びつけ ていくことができたと確信することができた。

 また、学期ごとの全学年での交流は、日常のかかわり を土台に子どもの遊びを見なおし、その時々の子どもた ちの成長の時期にあった遊びの展開を工夫計画していく 中で、その取り組みに注目した。毎回どのような育ちを ねらい、子どもの遊びを展開していくかを、子どもたち の自主的な取り組みを十分に把握理解した上で、その場 面に何が必要なのか、どのような展開・発達が考えられ るか検討実践した。

 子どもたちにとって遊びは生活そのものである。その 中で異年齢でかかわることは相手の心や身体の変化を十 分に受けとめ、そこに思いをよせて、対応していく必要 性があり、そのことを様々な経験の中で自然な形で自分 自身で吸収理解したということに大きく注目したい。そ の過程の中では緊張や戸惑い、不安の芽ばえも見られる が、その心の変容を教師のみならず、子ども同士で感じ あい、それをふまえた援助やかかわりを持とうとする子 どもの姿が、どの学年においても認められたということ は、この実践の中での育ちとして評価できるのではない だろうか。

 3歳児においては、4歳・5歳児との交流の経験の中 で、ともに遊ぶことを楽しみ、模倣から同年の子どもた ちとの遊びを展開できるようになった。また、4歳児で は前年度の経験から自らが援助する喜びを見い出し、さ らに5歳児の刺激を受けて様々な遊びを経験できた。5 歳児は、全学年での交流の経験から、自ら考え選んだ実 体験の中で、互いに気持ちを尊重しあう姿も見られた。

こうした異年齢のかかわりの中での個々の育ちは、その 根底として同年齢の子ども同士での力を出し合い、互い に協力することが不可欠であることも、実践の中で気づ くことができた。

 人との交流にとっていちばん重要なことは、まず相手 を受け入れることである。自らの心を開いて、相手を受 け入れ、その人のことを知ろうとすること、それこそが、

人と人とのつながりの中で不可欠な要因ではないかと考 える。そのかかわりを年齢の低いこの幼児期に多く経験 するということは人間としての土台となるべきものを築 き始めたことにつながると言えるのではないだろうか。

 今回、異年齢交流の成果は個々の育ちの中に確かな形 で大きなものを築くことができたが、それは日常の遊び の中での展開に偏りがちであったことが、あげられる。

遊びそのものも実体験であることは変わらないが、より その幅を広げていくには幼稚園という生活の場から、さ らに外の世界にも注目し、その体験を共有しあうことが 必要であると考えられる。今後は、あそびの幅をより広 げていくためにも自然の中での実体験に着目し、その中 での異年齢交流を深め、子どもたちの中に芽ばえる育ち を考えるとともに、異年齢のみならず、人と人としての かかわりの中で、個々の育ちを確かなものとするべく方 法を検討していきたい。

ドキュメント内 イラレ8_表紙No4-A4 (ページ 100-103)