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州レベルで見る貧困の要因

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第 1 章 南アフリカの貧困概況

1.3. 南アフリカにおける貧困の要因

1.3.2. 州レベルで見る貧困の要因

ここでは、複数の社会経済指標を組み合わせて作られた開発指数で見た場合の州別の開 発および貧困状況を分析し、州レベルの貧困および不平等に影響を与えている要因につ いて考察する。概論すると、以下のとおり。(1)〜(3)にて詳述する。

開発の進展状況を示す

HDI

や世帯インフラ指数、世帯環境指数と貧困指標の水準は州 ごとに異なり、必ずしも一致した傾向は見られない。しかし、サービスへの欠如を示す

SDI

と貧困指標の傾向はかなり一致しており、州レベルで見ると基礎サービスへの欠如 と貧困の関連が強いことが推測される。データの制約などの要因も関係していると考え られるが、州レベルでの貧困の要因をより具体的に把握するには、基礎サービスの欠如 の状況の詳細な分析が求められる。

(1)

人間開発指数(

HDI: Human Development Index

人間開発指数(

HDI

)は、

1

人当たり国内総生産(

GDP: Gross Domestic Products

)、平均 余命、就学率を基本要素として、開発の度合いを測定する指数である。南アフリカ

HDR2003

年版では、それぞれの要素となる指数に基づいて、

HDI

を算出している。

表 1-28 人間開発指数(2003年)

1人当たり 実質GDP指数

(APPI)

平均余命 指数

(LEI)

成人識字率 指数

(ALI)

合成粗就学率 指数

(CGEI)

教育達成度 指数

(EAI)

人間開発 指数

(HDI)

HDI ランキング

Western Cape 0.8223 0.6076 0.9462 0.7552 0.8825 0.7708 1 Eastern Cape 0.6369 0.4247 0.7756 0.8217 0.7910 0.6175 7 Northern Cape 0.7349 0.5293 0.8642 0.6865 0.7927 0.6856 3 Free State 0.7421 0.3850 0.8975 0.8687 0.8879 0.6717 4 KwaZulu-Natal 0.7089 0.3104 0.9050 0.8062 0.8721 0.6305 6 North West 0.6642 0.4051 0.7404 0.7671 0.7493 0.6062 8 Gauteng 0.8675 0.4373 0.9672 0.7666 0.9004 0.7351 2 Mpumalanga 0.7723 0.3495 0.8033 0.8698 0.8254 0.6491 5 Limpopo 0.5462 0.4374 0.7872 0.8240 0.7995 0.5943 9 南アフリカ 0.7535 0.4026 0.8688 0.8016 0.8464 0.6675 -

(出所) United Nations Development Programme (2003) “South Africa Human Development Report 2003”, p.281-282, Table 24 より作成

貧困者比率の高い

Eastern Cape、Limpopo、North West

では、

HDI

ランキングは下位であ り、開発が遅れているといえる。保健や教育関連の指数は国全体の水準とそれほどの差 は見られないが、

1

人当たり

GDP

指数はかなり下回っている。そのため、

HDI

指数が 低くなっているものと考えられ、これらの州では経済的貧困が高いことと傾向が一致し ているものと推察される。他方、貧困者比率が最も低い

Western Cape

HDI

ランキン グも

1

位であり、すべての

HDI

要素において、国の水準を上回っている。なお、

Free State

も貧困者比率が

60

%と高いが、

HDI

は南アフリカ全体の水準を上回っており、ランキ ングは

4

位である。平均余命指数(

LEI: Life Expectancy Index

)を除くほぼすべての項 目で国全体の水準を上回っており、

HDI

の要素以外の要因が経済的貧困と関連している ものと推測される。

(2)

南アフリカ統計局による開発指標

南アフリカ統計局では、州別の開発状況を点数化し、評価するために、

i

)世帯インフ ラ指数、

ii

)世帯環境指数、の

2

つの指数を開発した。それぞれの指数を算出するため の変数は表

1-29

の通り。

表 1-29 南アフリカ統計局による開発指数

世帯インフラ指数 世帯環境指数

‹ フォーマルな家屋に居住している世帯の割合

‹ 電灯へのアクセスがある世帯の割合

‹ 住居内に水栓がある世帯の割合

‹ 水洗あるいは化学処理トイレがある世帯の割合

‹ 住居内固定電話あるいは携帯電話がある世帯の割合

‹ 最低週1回の廃棄物回収がある世帯の割合

‹ 世帯主の教育レベル

‹ 世帯支出月額

‹ 失業率(広義)

‹ 世帯構成人数(平均)

‹ 5歳未満幼児の数

(出所) Statistics South Africa (2000) “Measuring Poverty in South Africa”より調査団作成

表 1-30 州別南アフリカ統計局開発指数の比較

世帯インフラ指数 世帯環境指数

指数 順位 指数 順位

Western Cape 131 2 115 2

Eastern Cape 458 9 400 9

Northern Cape 100 1 100 1

Free State 222 4 152 3

KwaZulu-Natal 362 7 397 8

North West 323 6 196 4

Gauteng 185 7 397 8

Mpumalanga 257 5 210 5

Limpopo 433 8 344 7

(出所) Statistics South Africa (2000) “Measuring Poverty in South Africa”, p.80, Table15より作成

世帯インフラ指数および世帯環境指数で、最もランキングが高いのは

Northern Cape

で あり、次いで

Western Cape

である。

Western Cape

は貧困者比率が

29

%と低く、

HDI

ラン キングでは

1

位であり、開発の度合いも高く、貧困状態は最も緩和されている。しかし、

Northern Cape

HDI

ランキングで

3

位と高いが、貧困者比率は

54

%であり、基本的ニ

ーズの充足状況と貧困状況は一致していない。他方、

2

つの指数で最下位にランキング されている

Eastern Cape

は貧困者比率も高く、基本的ニーズの充足は低く、生活水準お よび質も厳しいものと考えられる。また、貧困者比率の高い

Limpopo

は世帯インフラ 指数では

8

位、世帯環境指数では

7

位であり、

Eastern Cape

と同様の状況にあるものと いえる。世帯環境指数が

8

位の

Gauteng

州は、貧困者比率は

20

%と最も低く、貧困と生 計の水準とは一致していない。

(3)

サービス貧困指数(SDI:Service Deprivation Index)

南アフリカ

HDR2003

年版では、

1996

年および

2001

年センサスのデータを用いて、世 帯の基礎サービスへのアクセスの欠如の状況を測定し、貧困との関係を分析している。

南ア共和国における

SDI

は、表

1-31

の要素で構成される。

表 1-31 サービスが欠如している状態の定義

サービス 欠如しているとみなされる状態

適切な住居の欠如 以下のタイプの住居に居住している場合

z 伝統的家屋(小屋、伝統的建材で作られた簡素な構造の家屋)

z インフォーマルな家屋(裏庭の丸太小屋)

z インフォーマルな家屋(インフォーマルあるいは不法居住地域の小屋)

z 移動式住居、テント 適切な水源の欠如 以下の水源を利用している場合

z 住居から200メートル以上離れた公共水栓 z 汲み上げ式井戸

z 泉・雨水

z 貯水池・よどんだ水 z 川・小川

z 水業者からの購入 z その他

適切なトイレへのアクセスの欠如 以下のトイレを利用している場合 z 化学トイレ

z 通気のある穴式トイレ z 通気のない穴式トイレ z バケツ式トイレ z トイレなし

サービス 欠如しているとみなされる状態

適切なゴミ処理施設への欠如 z コミュニティのゴミ処理場あるいは個人のゴミ処理場へのアクセスが 限定的である場合

z ゴミ処理ができない場合

適切な電源の欠如 以下のエネルギーあるいは燃料を利用している場合 z ガス

z パラフィン z

z 石炭 z 動物の糞 z その他

適切な暖房の欠如 以下のエネルギーあるいは燃料を利用している場合 z パラフィン

z z 石炭 z 動物の糞 z その他 適切な調理用エネルギーへの

アクセスの欠如

以下のエネルギーあるいは燃料を利用している場合 z パラフィン

z z 石炭 z 動物の糞 z その他

(出所) United Nations Development Programme (2003) “South Africa Human Development Report 2003”, technical note 3より 作成

(注) 利用しているサービスによって、「欠如」の状態を測定するスコアは異なる。

表 1-32 Service Deprivation Index(1996年、2001年)

1996年センサス 2001年センサス

指数 シェア 指数 シェア

H1 D2 V3 H1 D2 V3 H1 D2 V3 H1 D2 V3 Western Cape 0.33 1.02 4.28 5.7 4.1 3.5 0.36 0.98 3.72 5.9 4.1 3.4 Eastern Cape 0.81 4.04 21.92 19.0 22.0 24.0 0.83 3.71 18.83 17.3 20.2 22.3 Northern Cape 0.62 2.04 8.59 2.1 1.6 1.3 0.61 1.81 7.20 1.7 1.3 1.2 Free State 0.71 2.73 12.34 7.8 7.0 6.3 0.74 2.55 10.74 7.5 6.7 6.2 KwaZulu-Natal 0.64 3.03 15.92 18.8 20.6 21.8 0.68 2.80 13.50 19.7 21.0 22.0 North West 0.79 3.47 17.17 10.0 10.2 10.2 0.79 2.99 13.44 10.1 10.0 9.8 Gauteng 0.37 1.26 5.56 12.7 10.1 9.0 0.41 1.30 5.63 14.9 12.5 11.7 Mpumalanga 0.77 3.17 14.87 8.2 7.8 7.4 0.80 3.00 13.27 8.1 7.9 7.6 Limpopo 0.91 4.17 20.55 15.8 16.7 16.6 0.91 3.78 17.34 14.8 16.1 16.0 人種

  アフリカ系 0.80 3.58 18.03 92.8 95.9 97.0 0.74 2.90 13.52 87.8 90.3 91.2   カラード 0.34 1.06 4.32 4.5 3.2 2.6 0.40 1.15 4.56 5.0 3.7 3.2   インド系 0.04 0.10 0.32 0.2 0.1 0.1 0.31 1.10 4.89 1.2 1.1 1.1   白人系 0.09 0.14 0.26 2.5 0.8 0.3 0.31 0.98 4.14 6.0 4.9 4.5 性別

  男性 0.57 2.38 11.64 57.0 54.8 53.8 0.61 2.26 10.27 54.0 52.4 51.7   女性 0.71 3.23 16.42 43.0 45.2 46.2 0.70 2.77 12.97 46.0 47.6 48.3 合計 0.63 2.71 13.45 100 100 100 0.65 2.48 11.42 100 100 100

(出所) United Nations Development Programme (2003) “South Africa Human Development Report 2003”, p.47, Table 2.22より 作成

(注1) 指数Hは欠如している人の割合

(注2) 指数Dは欠如の深度を算出するために指数Hを調整したもの

(注3) 指数Vは、指数Dに欠如の分散を組入れたもの

1-32

の通り、南ア共和国において、

7

つの基礎サービスへのアクセスが欠如してい る人口の割合は

1996

0.63

から

2001

0.65

2

ポイント増加している。

SDI

が高い、すなわち基礎サービスへのアクセスが欠如した人口の割合が高い州は、

2001

年時点で、

Limpopo

0.91

)、

Eastern Cape

0.83

)、

Mpumalanga

0.80

)、

North West

0.79

)、

Free State

0.74

)である。全体に占める割合で見ると、

Eastern Cape

Limpopo

が高く、アクセスが欠如している人口が多いことを示している。また、

KwaZulu-Natal

は、

SDI

0.68

であるものの、基礎サービスへのアクセスが欠如している人口全体に占 める割合はおよそ

20

%と最も高く、基礎サービスへのアクセスを持たない人口が最も 大きい州であるといえる。

1996

年と

2001

年の

SDI

との比較では、

Northern Cape

以外の 州では、横ばい、あるいは悪化している。

なお、人種別では、アフリカ系の基礎サービスへのアクセスが欠如している人口の割合 が高く、

SDI

0.74

であり、全体に占める割合を見ても、

87.8

%と圧倒的に高い比率で ある。

ドキュメント内 untitled (ページ 32-36)