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セクター戦略

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第 2 章 南アフリカ政府の取組みと成果

2.1. 貧困削減に向けた政策的枠組

2.1.3. セクター戦略

(3)

政府行動計画(Government’s Programme of Action)

RDP

に集約される政策枠組のもと、イシューごとに長期計画を策定し、年度ごとに予 算および実施計画を「政府行動計画」として策定している。

2005

年政府行動計画では、

以下の

6

つのクラスターごとに具体的な政策・計画が策定され、現在、各所管の省庁に よって実施されている。

経済・投資・雇用クラスター ガバナンス・行政クラスター

国際関係・和平・安全保障クラスター 司法・犯罪防止・治安クラスター 社会クラスター

公共インフラの整備、経済成長による雇用促進、および地域間格差の是正に関する取組 みは、経済・投資・雇用クラスターに含まれており、基礎サービス、保健、教育、住宅、

社会保障については社会クラスターにおいて取組みが行われている。また、公共インフ ラの整備や、基礎サービス、社会サービスへのアクセスの改善の取組みの実施体制につ いては、ガバナンス・行政クラスターに関わるものである。

各セクターの具体的な取組みについては、2.1.3にとりまとめる。

表 2-5 住居指標

全世帯数に 占める各州の 世帯数の割合

フォーマルな 住居の割合

住宅 ローン

受益者数 完成又は 建築中の 住居数

承認され た助成金

承認済助 成金総数 に占める 完成又は 建築中住 居の割合 1996 2001 1996 2001 19944月〜20043

(単位) 百万ランド 人数 件数 件数 Western Cape 10.9 10.3 81.4 81.9 3,265 180,742 197,811 229,189 86.3 Eastern Cape 14.7 13.0 46.9 51.4 3,816 215,780 214,356 244,769 87.6 Northern Cape 2.1 1.9 80.2 84.3 634 32,303 33,000 46,703 70.7 Free State 6.9 6.4 62.5 67.6 2,005 107,736 104,605 117,044 89.4 KwaZulu-Natal 18.3 18.7 55.4 63.0 5,679 215,381 279,202 308,849 90.4 North West 7.9 8.3 69.5 73.5 2,112 113,462 135,837 154,288 88.0 Gauteng 21.7 24.1 73.9 76.1 6,782 326,533 389,365 1,028,102 37.9 Mpumalanga 6.7 6.7 64.9 72.6 1,730 110,053 126,325 155,834 81.1 Limpopo 10.8 10.6 62.1 74.9 2,441 119,595 130,577 160,984 81.1 Total 100.0 100.0 64.5 70.0 28,462 1,421,585 1,611,078 2,445,762 65.9

(出所) Development Bank of Southern Africa (DBSA) (2005) “Development Report 2005: Overcoming Underdevelopment in South Africa’s Second Economy”,p.151, Table 2.12

(注) 2001 年センサスによる分類では、「フォーマルな住居」とは、レンガ造りなどの戸建住宅やアパートなどの共 同住宅の常設の構造物を指す。タウンハウス(「連続建て」と言われ、住戸が横に連続して建てられているが、

共用廊下や共用階段といったものがなく、それぞれの住戸の玄関が独立して敷地に面している)、クラスター ハウス(周囲を塀で囲んだ区画に立てられている住居)、1世帯住宅、2世帯住宅などを含む。

(2)

教育

1996

年、憲法により、すべての国民は基礎教育を受ける権利を保障され、ポスト・ア パルトヘイト体制において、教育セクターに最大の予算が配分され(

1985

-2003

年実 績で全国家歳出の約

20

%前後)、差別のない学校環境作りが進められた。これにより、

人種や宗教などの違いに関わらず、すべての国民が教育を受ける機会を得ることが可能 となった。また、学校施設の改修が進められ、電気、水道、トイレ、電話など基本的な インフラが整備された学校が増加し、教育環境の改善が進んだ。

2003

6

月には、教育省(

Ministry of Education

)は、「すべての人々の無償かつ質の高 い基礎教育へのアクセスの改善に向けた行動計画」(

Action Plan- Improving Access to Free and Quality Basic Education for All

)を策定した。この計画の枠組として、

教育における経済的な視点:生産過程になぞらえて、教育者、教材、教育施設 などを投入としてとらえ、学習者の技能や知識の習熟度として成果を重視した 取組みを行う

コミュニティおよび国家の建設者としての学校:学校はコミュニティ生活の中 心であり、また、ポスト・アパルトヘイトの国家建設に重要な役割を果たし、

様々な側面から経済にダイナミックな効果を及ぼす

効率と質の連関:教育過程における最適な費用対効果を追求する

が示され、教員の育成、財源の確保、学校の管理・運営などについて、具体的な戦略が 取りまとめられている。なお、学校の配置を検討するに当たっては、各州の貧困状態を 考慮して行うものとしている。南アフリカの学校教育では、授業料を徴収する政策が採 られているが、

1998

年に授業料免除の基準が制定され、その基準が同計画において改 正されたのを受け、下記の要件を満たす家庭は授業料を免除されることとなった。

1

人以上の児童の授業料を払っている保護者で、年間総所得が支払うべき年間 総授業料の額32を下回っている場合、

2

人目以降の生徒の授業料を一部あるい は全額免除

社会手当受給者

また、貧困家庭の児童の教育へのアクセスを保証するために、授業料免除の適格要件を すべての学校に配布し、授業料免除制度を利用できるよう、周知を徹底することが組入 れられた。さらに、

2004

年には、小学校栄養プログラム(

PSNP

Primary Schools Nutrition Programme

)が、保健省(

Department of Health

)から教育省の管轄となり、児童の

20

% に対し、貧困家庭を優先して給食を行うこととしている。

(3)

保健

南アフリカ政府は、

1997

年に制定した憲法において、すべての国民の保健医療へのア クセスが基本的人権の根幹を成すものであるとし、また、保健サービスへの機会均等を 実現するために資源の公正な配分を促す制度を国家の役割として明確にした。また、保 健改革が打ち出され、保健セクターに関する予算など資源配分の地域間格差の是正や、

保健サービスへのアクセスの向上などが重点事項として掲げられた。

また、保健省は、

1999

2004

年を対象とする保健セクター戦略枠組(

Health Sector

Strategic Framework

)において、以下の

10

分野を重点分野として、保健サービスへのア

クセスの向上を目指した。

支援サービスの再組織化 法制度改革

保健サービスの質の向上 病院サービスの活性化

郡保健システムを通じた主なサービス・パッケージ提供の迅速化 戦略的な取組みによる罹患および死亡率の低下

資源配分の公正化に配慮した資源の動員および管理の改善 人材育成および管理の向上

保健システム間および保健システムとコミュニティ間のコミュニケーション およびコンサルテーションの改善

国際的なパートナーとの協力の強化

保健省では、プライマリー・ヘルス・ケア(PHC:Primary Health Care)を通じた保健 へのアクセスの向上を目指しており、女性および

6

歳未満幼児を対象とした「無償保健 政策」などのプログラムを実施している。また、遠隔地域でのプライマリー・ヘルス・

ケアの向上を図るため、ドナーの支援を受けて、「電話処方箋」(

Telemedicine

)という 保健情報システムの構築に取組んでいる。

HIV/AIDS

対策としては、

2000

2005

年を対象として、南アフリカ

HIV/AIDS

性感染症

戦略計画(

HIV/AIDS/STD Strategic Plan for South Africa

)が策定された。この計画の目的

は、

i

HIV/AIDS

感染者の減少、および

ii

HIV/AIDS

感染のインパクトの低減、であ

る。教育、情報、コミュニケーションを通じた社会の認識の変革を促し、

HIV

検査の奨

32 授業料免除の資格要件の算定に当たっては、授業料に加えて、制服の購入費用の

3

分の

1

およびその他 保護者が学校に通わせるために支払っている費用を全額計上することができる。

励、性感染症の予防法の普及、

HIV

陽性者あるいは

AIDS

患者の生活の質の向上が、具 体的な戦略として掲げられた。

(4)

社会保障

南アフリカにおいては、社会的弱者層への社会保障として、高齢者、障害者、児童など に対する社会手当を給付する制度が実施されている。社会手当は、税金を財源とした現 金給付であり、高齢者、障害者、児童、その他を対象として支給される。これら社会手 当は、アパルトヘイト時代から、低所得者層であるアフリカ系世帯の重要な収入源であ り、貧困世帯にとっては唯一の定期収入源となっているケースも多いことが指摘されて いる。社会手当を受給するには資力調査を受けることが要件となっており、厳密なター ゲティングが行われている。社会手当の概要は表 2-6の通りである。

表 2-6 主な社会手当の受給者数および支給額

社会手当の種類 受給資格

(20044月)

受給者数

(20034月)

支給月額上限

(20044月)

高齢者手当

(old age grant)

女性60歳以上、男性65歳以上 2,009,419 740ランド

障害者手当

(disability grant)

女性18〜59歳、男性18〜64歳の障害者 953,965 740ランド

児童扶養手当

(child support grant)

11 歳未満の子どもを扶養する者(primary care giver)

2,630,826 170ランド その他社会手当 障害児を扶養する者、養子の里親、退役軍人など 214,284 手当の種類により

異なる

(出所) 牧野久美子「南アフリカの貧困・失業と社会保障制度改革」(アジア経済研究所『アフリカレポートNo.39』)17 ページ、表1

(注1) 受給資格は、資力調査(mean test)が要件となっている。

(注2) 児童扶養手当は、受給者数は需給対象と認定された子どもの人数、支給額上限は子ども1人当たり。

2-7

は、社会手当のインパクトをシミュレーションした結果である。性別で見ると、

資力調査の有無は男女間の分配にあまり影響はしない。また、児童扶養手当および障害 者手当では男女間の分配に差はない。高齢者手当については、女性が

72

%と高くなっ ている。人種別で見た場合には、いずれの社会手当もアフリカ系への配分が圧倒的に高 い。資力調査がない場合には、若干、アフリカ系への配分が減少し、白人系への分配が 高まる。特に、高齢者手当については、資力調査がない場合には白人系のシェアが

20

% と、現状の社会手当て政策におけるシェア

11%から約 10

ポイント上昇する。

家族形態別に見た場合、資力調査の有無は児童扶養手当の分配に大きく影響する。現行 の制度の下では、児童扶養手当の分配が最も大きいグループは未婚の父・母であり、

70

% を超えているが、資力調査が撤廃された場合には

47

%に低下し、代わって子どものい る夫婦のシェアが

30

ポイント増加し、

48

%となる。州別に見た場合には、いずれの社 会手当もシェアが高いのは、Eastern Cape、KwaZulu-Natal、Limpopoである。この傾向 は、資力調査を撤廃したとしても変わらないという結果が出ている。

ドキュメント内 untitled (ページ 48-52)