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インフラ整備と経済的貧困の関連

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第 2 章 南アフリカ政府の取組みと成果

2.3. 貧困削減の成果

2.3.3. インフラ整備と経済的貧困の関連

1.3.1

における相関分析結果に基づき、南アフリカにおけるインフラ整備と貧困の関連

について考察し、インフラ整備が貧困にどのような影響を与えているのか検証してみる。

1-27

に示される世帯の経済状態に強い相関を持つ変数のうち、主に以下の変数がイ

ンフラ整備と関連するものとして挙げられる。

公共交通機関に近いところに居住している(正の相関)

固定電話あるいは携帯電話を持っている(正の相関)

住居敷地内で安全な水を得ることができる(正の相関)

無料の電力供給へのアクセスがある(負の相関)

貧困率の高い

Eastern Cape

Free State

Limpopo

のこれらの変数に関連する基礎インフ ラへのアクセス状況(表

2-27

)を他の州との比較分析から見てみる。

南ア共和国で最も一般的に利用されている公共交通機関であるバスへのアクセスにつ いては、

15

分以内あるいは

1km

以内にアクセスを持つ世帯の割合は、

Limpopo

では

77.1

%と最も高い値を示しており、多くの州で

60

%を上回っている。一方、

Eastern Cape

および

Free State

では

40

%前後と他の州と比較して低い水準である。すでに見てきたよ

うに、低所得者層は、雇用機会・経済活動の機会が多い都市中心部から離れた外縁部に 居住することが大きい。そのため、こうした都市中心部への移動を可能にする公共交通 機関への近接性は、就労機会・所得獲得機会へのアクセスの向上につながり、経済活動 の活発化に影響すると考えられる。したがって、貧困州においては、雇用創出とともに、

特に開発が遅れた地域の住民が雇用機会へのアクセスを確保できるよう、負担可能な公 共交通機関の整備を行うことが重要である。

電話へのアクセスに関する指標は、Free Stateでごくわずかに

80%を下回っているもの

の、全体的にアクセスを確保している世帯の割合は

9

割前後と高い。しかしながら、こ の指標は個別の世帯の電話の保有率を示すものではなく、各州の通信インフラの整備状 況の現状を適切に反映したものではない可能性が高い。また、電話の保有率と貧困との 関係は、「電話の保有率が高まると貧困率が緩和される」というものではなく、「貧困率 が低下すると電話の保有率が高まる」という関係にあると考えられ、貧困が緩和された 次の段階において通信インフラの整備が強化されるべきと考えられる。

安全な水へのアクセスは、人間の生存の維持に欠かせないものであり、貧困削減のアプ ローチにおいて安全な水の普及は不可欠なものである。しかし、相関分析において抽出 された「住居敷地内において安全な水を得ることができる」という変数は、電話の保有 の場合と同様、「住居敷地内において安全な水へのアクセスを確保できると貧困率が低 下する」という関係ではなく、「貧困率が低下すると住居敷地内において安全な水を得 ることができる」という関係にある。貧困率の高い

Eastern Cape

および

Limpopo

では、

住居内および敷地内に水道がある世帯の割合は、両方合せても

40

%前後と低いが、貧 困率が低い

Western Cape

および

Gauteng

では

90

%前後である。このことは、貧困率が 低い州では、全体的に住宅インフラの整備が進んでいるとともに、住宅内あるいは敷地 内に水道が敷設された住居に住むことのできる世帯が多いことを示している。他方、貧 困率の高い州では、住宅インフラの整備も著しく遅れており、貧困層の多くは水道も敷 設されていない地域に質の低い住居を建てたり、そうした住居の一つの部屋に複数の世 帯で入居したりするなどして生活をしている。したがって、貧困削減の観点では、住居 敷地内における水道の普及を進めるのではなく、貧困層が一定の距離・時間内で安全な 水にアクセスできるよう公共水栓の普及を優先することが肝要であり、また、健康な生 活を営むことができるよう住宅および住宅インフラの整備を進めて行くことが求めら れる。

「無料の電力供給にアクセスできる」という変数については、家計の経済状況との相関 関係を持っている。南ア共和国においては、無償の電力供給は貧困層の電力へのアクセ スを向上させるために取られている政策であることから、「無料の電力供給にアクセス できる世帯が増えると貧困率が上昇する」のではなく、「貧困率が上昇すると無料の電

力供給へのアクセスが増える」という関係にあると考えられる。無料の電力供給を受け ている世帯の割合を示すデータはないが、電気へのアクセスを持つ世帯の割合を見ると、

貧困率の高い

Free State

において

75

%を超える高い割合を示している。したがって、

Free

State

においては、政府の貧困層への無償電力供給政策が、州全体の電気へのアクセス

を向上させているものと考えられる。他方、

Eastern Cape

Limpopo

においては、電気 へのアクセスを持つ世帯は

50

%、

64.5

%と全州のなかで低い水準である。これは、これ らの州においては電化が遅れており、経済的な要因よりも物理的な要因によって電気へ のアクセスを阻害しているものと考えられる。貧困層の生活環境の向上という観点から は、無償の電力供給を行う政策は有効であるが、財務的に持続可能な電力事業の運営・

維持管理を考慮すると、限界的な政策であると推察され、貧困層の生活環境の改善と電 力事業の健全性のバランスについての慎重な検討が必要であろう。

表 2-27 州別基礎インフラへのアクセス状況

(単位:%)

バス 電話 水道(住居内) 水道(敷地内) 電気 貧困者比率 Western Cape 61.3 97.3 74.9 13.1 88.2

28.6

Eastern Cape 40.9 92.5 22.9 15.1 50.0

71.2

Northern Cape 25.4 89.9 44.6 39.2 77.4

55.4

Free State 39.1 79.9 32.7 50.2 75.2

63.6

KwaZulu-Natal 66.6 86.4 38.1 19.1 62.4

53.2

North West 68.8 90.3 21.3 35.0 71.9

59.4

Gauteng 63.8 88.8 54.6 37.1 80.8

18.4

Mpumalanga 73.6 97.5 27.1 43.3 66.1

59.7

Limpopo 77.1 89.3 11.4 30.2 64.5

62.7

(出所) “South Africa Human Development Report 2003”および“Development Report 2005”のデータより作成

(注1) バスへのアクセスは、ともに徒歩15分以内あるいは1km以内の場合。

(注2)     の州は、貧困者比率の高い州。

3 章  貧困削減に向けたパートナーシップ

本章では、南ア共和国における貧困削減に向けたパートナーシップについて、援助機関、

市民社会・

NGO

、民間セクターにおけるこれまでの取組みと今後の方向性を中心に概 観する。

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