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第 3 章 「印象」の体現 12

3.5 実験結果と考察

図 3.15: 印象評価実験風景

表3.2:各印象語において生成された振動パターンとそれらの平均評価値との関係 印象語振動番号 印象語振動番号 (生成回数,平均評価値)(生成回数,平均評価値) ぼんやりとした47(3,2.3),43(2,3.5),46(2,2.5)はっきりとした14(2,3.5),19(2,3.5),52(2,3.1),44(2,3.4) 不規則な10(2,2.0),11(2,1.9)規則的な54(3,3.1),55(2,2.8) 陰気な47(3,3.0),48(2,2.9)陽気な50(3,3.2),28(2,3.8) 不快な9(3,3.0)心地よい46(3,3.0),53(2,2.8) なめらかな53(3,3.3)ざらざらとした23(2,2.9) かっこ悪い51(2,3.3)かっこ良い2(1,2.7),6(1,3.1),8(1,3.0),9(1,3.2) 穏やかな51(4,3.3),46(3,3.5)活発な55(3,3.6) ありふれた52(4,2.9),20(2,2.5)斬新な12(2,3.9) つまらない53(5,2.8),52(3,2.8)楽しい11(2,4.2) 地味な53(6,2.6)派手な23(2,3.1),54(2,3.0) つめたい46(2,2.9),82(2,2.9)あたたかい16(2,3.0),27(2,3.5) 暗い47(4,2.7),51(3,2.9)明るい2(1,3.3),4(1,3.6),6(1,2.9),13(1,3.4) 軽い53(2,3.5)重たい1(2,3.4) 弱々しい68(4,2.6),47(3,2.4),25(2,2.8)力強い31(4,4.0),6(2,2.8),39(2,3.5) 細かい46(3,2.9),55(3,2.6)粗い54(2,3.3)

3.5.2 評価結果

図3.16に各印象語対における4つの振動パターン例における平均印象評価値を示す.

図よりパターンによって印象の評価が異なっていることがわかる.例えば,振動パター ン4と13は,はっきりとした,陽気な,活発な,派手な,あたたかい,力強いといっ た印象だと評価されている.一方で,振動パターン42や51は,ぼんやりとした,陰 気な,穏やかな,地味な,つめたい,弱々しいといった印象を与えていることがわか る.また,前者のパターンと後者のパターンの組み合わせはそれぞれ似通った特徴を もつ振動パターンであることがわかる.このことから,振動パターンの特徴を変える ことでユーザの印象に影響を与えることが確認できた.

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1. ぼんやりとした

2. 不規則な

3. 陰気な 4. 不快な 5. なめらかな 6. かっこ悪い

7. 穏やかな

8. ありふれた 9. つまらない 10. 地味な

11. つめたい

12. 暗い 13. 軽い

14. 弱々しい

15. 細かい

はっきりとした 規則的な 陽気な 心地よい ざらざらとした かっこ良い 活発な 斬新な 楽しい 派手な あたたかい 明るい 重たい 力強い 粗い 印象評価値

No. 13 No. 13

No. 42 No. 42

No. 51 No. 51

No. 4 No. 13 No. 42

No. 51

No. 4 No. 4

図 3.16: 印象評価結果例

3.5.3 因子による振動パターンの印象の表現

ユーザが振動パターンに抱く印象の意味空間を明らかにするため,全実験協力者の 平均評価値を用いて因子分析(主因子法,バリマックス回転[86])を行った.そして,

固有値が1以上である因子を基準に表3.3に示す因子1–4の4因子を抽出した.各因子 は,分類した印象語の傾向から,評価性(因子1),重量性(因子2),規則性(因子3),

平滑性(因子4)を表す因子と解釈できる.これら4因子の累計寄与率は86.07%とな り,ほとんどの振動パターンの印象がこれらの4因子で表現できることを意味する.

表 3.3: 因子分析結果

印象語対 因子1 因子2 因子3 因子4 陰気な – 陽気な .92 .24 .18 .08 ぼんやりとした – はっきりとした .91 .31 .00 .02 暗い – 明るい .90 .30 .18 .07 かっこ悪い – かっこ良い .90 .19 .09 .04 つまらない – 楽しい .88 .04 .30 .25 地味な – 派手な .87 .26 .28 .17 穏やかな – 活発な .85 .21 .26 .34 不快な – 心地よい .83 −.04 −.16 −.13 弱々しい – 力強い .74 .63 .05 −.07 つめたい – あたたかい .72 .38 .05 .18

軽い – 重たい .16 .92 −.08 −.11 細かい – 粗い .43 .62 .14 −.23 不規則な – 規則的な −.07 −.07 −.98 −.16 ありふれた – 斬新な .43 −.25 .62 .54 なめらかな – ざらざらとした .08 −.16 .17 .75 因子寄与率(%) 51.23 15.11 11.59 8.11

3.5.4 収集した振動パターンの多様性の検証

本実験の結果をもとに,3章で収集した振動パターンの多様性の検証を行う.印象評 価実験で明らかになった4因子に対する85の振動パターンの因子得点を図3.17–3.19 に示す.なお,図3.17–3.19はそれぞれ,最も高い因子寄与率を示した評価性因子に対 する因子得点を横軸に,重量性(図3.17),規則性(図3.18),平滑性因子(図3.19)

それぞれに対する因子得点を縦軸にプロットしたものである.どの因子の組み合わせ においても振動パターンの因子得点に偏りは見られない.つまり,似た印象を与える ような振動パターンが多数存在することはなく,多様な振動パターンが収集できたこ とを確認した.

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図 3.17: 評価性因子と重量性因子の因子得点との関係

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-3 -2 -1 0 1 2 3

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規則性因子

評価性因子

図 3.18: 評価性因子と規則性因子の因子得点との関係

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図 3.19: 評価性因子と平滑性因子の因子得点との関係