第 7 章 アルミニウム合金を用いたハイブリッド固相接合
7.2 ハイブリット固相接合装置を用いた A6061 アルミニウム合金の接合
7.2.2 実験結果
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Fig.7-5 SEM image of fracture surface
Fig.7-6 Binarized image of dimple area
また,EDXを用いて,破断面上ディンプル部分の元素分布を観察した.EDX はX線マ イクロアナライザの一種で,試料の分析対象領域に電子ビームを照射した際に発生する特 性X線から試料表面に含まれる元素を特定する装置である.EDXは,電子ビームの照射で 発生した多種類の特性X線を,検出素子でパルス信号に変換し,特性X線のエネルギーと 発生回数を測定する.あるエネルギーのパルス信号の発生回数は,それぞれ特定の元素の 含有量と相関関係にある.パルスから求められる特性 X 線のエネルギーとその単位時間あ たりの発生回数(計数率という)から試料表面に含まれる元素とその含有量を知ることが できる.Fig.7-7は EDXによる破断面上ディンプル部の元素分析結果である.赤い棒グラ フが高いほどその発生回数が多いことを示しており,Alはもちろんのこと,A6061合金の 添加元素であるMg,Siが検出され,酸化皮膜形成元素であるOも検出されている.また,
Table 7-4は,各元素の重量比率を表したものである.供試材でのMg 比率は,Table 7-1
より1.0%であるが,破断面上でのMg比率は1.79%へ上昇している.さらに,破断面上の
Mg元素をEDX用いて面分析した結果をFig.7-8に示す.SEM画像上に検出個所を重ねた 図であり,黄色い点がMg元素の検出された箇所である.この図から,Mg元素が多く存在 し,かつ偏析していることがわかる9).
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Fig.7-7 EDX spectrum of dimple part Table 7-4 Quantitative analysis result by EDX
Element Wt % At %
O K 00.95 01.58
MgK 01.79 01.97
AlK 96.98 96.18
SiK 00.28 00.26
Fig.7-8 Magnesium element distribution image by EDX
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アルミニウム合金の自然酸化皮膜に関する研究は多数報告されており, その中で,
D.J.FieldらによりAl-Mg系合金の高温酸化機構がまとめられている10).Al-Mg系合金の 高温酸化機構をFig.7-9に示す.図中a)は初期段階を示している.自然酸化皮膜の成分で あるAl2O3は室温では均一な非晶質皮膜として存在している.温度が上がるにつれて Oと Mg元素が活性化し,623K以上に加熱されると,マグネシウムはアルミニウムよりも酸化 されやすいため,b)図に示すように,MgO の形成と体積膨張による非晶質皮膜の破壊が 進む.さらに高温になると,MgOの形成が進み,c)図に示すような,表層への凝集・堆積 が進むと考えられている11).
Fig.7-9 High temperature oxidation mechanism in Al-Mg alloy
これらのことから,A6061 材における高周波誘導加熱と超音波振動を用いた固相接合で は,超音波振動による酸化皮膜破壊効果の他に,アルミニウム合金元素による酸化皮膜の 破壊・還元効果が相乗し,接合強度が向上したと考える.
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次に,インサート金属として Cu箔を用いて接合した場合の実験結果を示す.Table 7-5 は,供試材にA6061材とA1070材を用い,同条件で接合した場合の接合強度を比較したも のである.A1070材にCu箔を用いたものよりも,A6061材にCu箔を用いたものの方が,
破断荷重が大きく,接合強度が高い結果となった.そこで,A1070接合材とA6061接合材 の接合部近傍の断面をマイクロスコープにて観察した.その写真をFig.7-10に示す.A1070 接合材の場合,インサート金属近傍のアルミニウム組織には,塑性流動層および化合物層 がみられた.一方,A6061 接合材の場合,インサート金属近傍のアルミニウム組織には,
化合物層のみが現れた.この違いを考察するために,Fig.7-11に Al-Cuの二次元状態図を 示す12).Al-Cuの共晶温度は821Kと接合温度の773Kに近く,超音波振動による酸化皮 膜の破壊および局所的な摩擦熱の発生により,A1070材では部分的にAl-Cuの共晶反応が 発生したと考える.一方,前述の試験結果から,A6061 材の接合面にMgが存在すると考 え,Fig.7-12にAl-Cu-Mg系の平衡状態図について液相線を示す13).この図には二つの三 元共晶が存在している.一つは,Liq.→α+CuAl2+CuMgAl2で33.1%Cu,6%Mgで781K となっており,他の一つはLiq.→α+Mg32(Al,Cu)49+Mg2Al3で2.7%Cu,32%Mg で723Kとなっている.三元共晶温度は接合温度の 773Kに近く,A1070材に比べ,共晶 反応が促進したと考える14).また,A1070材に顕著な塑性流動痕が観察できたのは,A1070 材の母材強度がA6061材の1/4程度であり,塑性流動が起こりやすいためと考える.
Table 7-5 Comparison table of bonding strength Material Bonding strength [MPa]
A1070 2.79
A6061 3.18
Fig.7-10 Microscope image of bonded cross section
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Fig.7-11 Equilibrium diagram of Al-Cu alloy
Fig.7-12 Liquid phase diagram of Al-Cu-Mg Alloy
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