第 7 章 アルミニウム合金を用いたハイブリッド固相接合
7.2 ハイブリット固相接合装置を用いた A6061 アルミニウム合金の接合
7.2.1 供試材および実験方法
供試材はA6061-T6を用いた(以後,調質記号は省く).実験に用いた供試材の化学組成
をTable 7-1に示す.また,6000系合金は熱処理型合金であり,焼入れ・焼き戻しが行わ
れる.焼入れの際には,添加元素の固溶温度域で材料を一定時間保持する溶体化処理を行 った後,水焼入れや強制空冷などの急速冷却が行われる.溶体化処理温度は添加元素やそ の量によって変わり,A6063材の溶体化処理温度は793Kであり,A6061材は803Kであ る 4).焼入れに必要な冷却速度は,A6063 材は焼入れ感受性が低いので空冷でも十分焼き が入るが,A6063材に比べMgやSiの多いA6061 材では,水焼入れなどで十分な冷却速 度を必要とする.今回使用した供試材は,溶体化処理後に人工時効硬化処理をしたものと なっている.
前述の特徴を持ったA6061材を直径20㎜,長さ100㎜の円柱形に切断して用いた.接 合端面は加圧力による微細変形を促すために丸鋸による切断面のままとした.尚,接合面 の表面粗さの測定値Raは3.67㎛程度であった.接合面に残存する油脂分等は0.1㏖/ℓの水 酸化ナトリウム水溶液に90s間浸漬させ洗浄除去した.供試材は,Fig.7-1 a)に示すよう に洗浄した接合面同士を向きあわせて装置へ組込んだ.
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また,インサート金属を用いた接合は,A6061材を直径20㎜,長さ100㎜の円柱形に切 断し,端面を接合面とし,#2000までのエメリー紙で研磨したのち,9㎛のダイヤモンドお よび二酸化シリカでの琢磨を行い鏡面に仕上げた.接合面の表面粗さの測定値Raは0.045
㎛程度であった.その後,接合面を0.1㏖/ℓの水酸化ナトリウム水溶液で90秒間脱脂及び 洗浄を行った.インサート金属は,超音波接合や固相接合に関する論文 5)6)から,Cu 箔を 使用した.インサート金属の化学組成をTable 7-2に示す.インサート金属は接合前にアセ トンにて脱脂洗浄を行った.供試材は,Fig.7-1 b)に示すように研磨面が互いに合うよう に配置し,研磨面と研磨面との間にインサート金属を挿入し,装置へ組込んだ.
Table 7-1 Chemical composition of aluminum alloys
[mass%]
Materials Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti Al
A6061 0.66 0.20 0.34 0.03 1.0 0.08 0.01 0.01 remainder
Fig.7-1 Test piece shape
Table 7-2 Properties of intermediate materials used
Materials Property Component
Cu t=0.020㎜ Cu:99.96%
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実験に用いた接合装置の概略図をFig.7-2に示す.接合部の加熱は発振機出力10kw,発
振周波数30kHzの高周波誘導加熱装置(日本サーモニクス製:NT210)を用いた.昇温速
度は16.7K/sとし,赤外線放射温度計にて接合部の温度を監視しながら,温度調節計を介し
て温度が一定になるよう制御した.供試材を加圧する機構は5kNのサーボプレス(蛇の目 ミシン製:JP-S0501)を用いた.内蔵のロードセルとコントローラにて,一定の荷重が常 に接合面に加わるように制御した.また,接合に用いた超音波発振機(日本アレックス製
ALEX-1200AT)の出力は1200W,発振周波数は20kHzで無負荷時のホーン先端での無負
荷時の最大振幅は40㎛(peak to peak)である.発振機内の電流モニターを用いて,振動 振幅が常に一定となるように制御を行った.
Fig.7-2 Test equipment schematic
Fig.7-3 に接合時の圧力,温度,超音波振動の付加サイクルを示す.500N の予圧(P1)
を加えた後,高周波誘導加熱装置を用いて接合部を加熱すると同時にサーボプレスにて
1099Nの荷重(P2)を加えた.接合部温度(T1)が 773Kになったのち,所定の接合時間
(t1=390s),温度と圧力を保持しながら超音波を印加した(振動子への入力Ip).390s経 過後,各動作を終了させ,供試材は大気中で放冷した.接合部の温度は接合部近傍をK 種 熱電対にて測定し設定値から逸脱していないか監視した.また,接合部の圧力はすべての
試験で 3.5MPa とし,その時の供試材の変位を変位センサーにて監視した.超音波の振幅
および出力は発振機内の電流値をモニターし,設定値から逸脱していないか監視した.
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Fig.7-3 Temperature, pressure and input power to the transducer as a function of time during the application of ultrasonic vibration
接合された供試材(以後,接合材と呼ぶ)の接合部の強さは,精密万能引張試験機(島 津製作所製:AG-250kNG)を用いて測定した.歪速度を 4.9×10-4s-1とし,同一条件で 3 回引張試験を行い,その時の平均破断荷重を接合部直径から算出した断面積で割った値を 接合強度(Bonding strength)とした.引張試験後の接合材の破断面は,マイクロスコー プ(キーエンス製:VHX-1000)を用いてマクロ観察,走査型電子顕微鏡(日本電子製:
JSM-6500F)を用い,加速電圧 15kVにて破断面のミクロ観察を行った.また,破断面上
の接合部面積は,マイクロスコープ内の面積計測ソフトを用いて計測した.さらに,引張 試験後の接合材の破断面の元素分布を,走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM-6500F)付 属のエネルギー分散型X線分析装置(アメテック製)にて分析した.
また,インサート金属を用いて接合された供試材(以後,インサート接合材)も同様に,
精密万能引張試験機(島津製作所製:AG-250kNG)を用いて,接合強度を測定した.歪速
度を4.9×10-4s-1とし,同一条件で3回引張試験を行い,その時の平均破断荷重を接合部直
径から算出した断面積で割った値を接合強度(Bonding strength)とした.また,同条件 で接合した別のインサート接合材を用いて,接合部近傍組織を観察するための試料を作製 した.組織観察用試料は,接合材より接合部から10㎜程度の位置で切断し,その後,接合 部中央を長手方向と平行に切断することで,接合部近傍断面を現出させた.そして,#2000 までのエメリー紙で研磨しダイヤモンド(9㎛)および二酸化シリカ懸濁液を用いてバフ研 磨を行った.研磨した試料を用いて,マイクロスコープ(オリンパス製:DSX510)にて接 合部近傍の組織観察を行った.
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