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第 2 章 ハイブリッド固相接合装置の開発

2.4 ハイブリッド固相接合装置

2.4.2 加熱機構部

Fig.2-16に高周波誘導加熱の温度制御システム図を示す.これらの温度制御システムに

用いた放射温度計,温度調節計,高周波誘導加熱発振機の仕様をTable 2-3,Table 2-4,Table

2-5に示す6)7)8).加熱部の温度は以下の手順で制御される.①放射温度計にて接合部の温度

を測定し,その値を温度調節計に送信する.②温度調節計内でPID制御をおこない指示値 と実測値(放射温度計からの値)の差分を出力として高周波誘導加熱発振機に送る.③温 度調節計からの出力を受け高周波誘導加熱発振機内部の発振出力(直流電圧)を変化させ る.その結果,加熱コイル内の電流が変化し,接合部の温度が変化する.

Fig.2-16 Schematic diagram of a temperature control system in the high-frequency induction heating

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Table 2-3 Specifications of radiation thermometer 6)

Item Specification

Model GTL-3MH-CF3

Temperature range 100〜600℃(3MH)

Element/Wavelength Extended InGaAs/2.3㎛

Accuracy ratings

(Environmental temperature23±5℃)

±(0.3% of reading or 2℃)

Repeatability

(Environmental temperature23±5℃)

±(0.1% of reading or 1℃)

Output resolution 0.1℃

Response time 1ms(90%)

Emissivity(ε)adjustment 0.100-1.100(0.001/1step)

Analog output 0-20mA, 4-20mA, 0-5V, 0-10V

Power supply DC12〜24V

Protection class IP65

Storage temperature -20~85℃

Weight Sensor head 600g, Amplifier 420g

Table 2-4 Specifications of digital indicating controllers 7)

Item specification

Model DB103

Control relations PID

Sampling rate 0.1 sec

Input type Thermocouple K

Measuring range 0~600℃

Accuracy rating ±0.1% of measuring range ± 1 digit Control relations Approx. 0.1 sec

Output type Current output

Output signal 4mA~20mA

Rated power supply frequency 24V

Working temperature range -10℃~50℃

External dimensions H96×W96×D127

Weight Approx. 450g

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Table 2-5 Specifications of high-frequency oscillator 8)

Item Specification

Model NT210

Input voltage 3φ 50/60Hz 200V

Output capacity 10kw

Output adjustment range 5%~100%

Conversion unit Bridge connection

Output adjustment circuit Automatic voltage regulator circuit Oscillation circuit Parallel resonance circuit

External dimensions W570×D505×H1425

Weight Approx. 200㎏

温度計測に用いた放射温度計は,測定対象物体から放出されるある波長の熱放射エネル ギーを検出し測温するものである.熱放射エネルギーの波長分布と各波長における強さは 温度と一定の関係がある.物体の温度が常温の時は,波長約10㎛をピークとする赤外線で あるが,1000℃の物体から放射される熱放射エネルギーのピークは,約2.3㎛であり,

2500℃では約1.0㎛である.尚,ピーク波長と物体の絶対温度の積が一定であることが理

論的に得られている(式2.7).λmはピーク波長,Tは絶対温度を示す.

𝜆𝑚・𝑇=2897.8 [㎛・K]

また,黒体から放射される熱放射エネルギーは,プランクの式(式2.8)により示されて いる.

𝑀𝜆𝐶1 𝜆5⋅ 1

𝑒𝜆𝑇𝑐2 − 1 ここで,

Mλ:分光放射発散度 物体の単位面積から単位時間当たり放射される,波長λにおける 熱放射エネルギーの強さ

λ:波長 T:熱力学温度

C1,C2:放射に関する第1および第2定数

プランクの式(式2.8)を波長λについて積分するとシュテファン・ボルツマンの式(式 2.9)が得られる.ここでσはシュテファン・ボルツマン定数という.

𝑀 = σ𝑇4

理論的に求められている熱放射エネルギーの強さは,すべての物体のうちで同一温度で はもっとも熱放射エネルギーが大きい理想的な物体である黒体においてである.実際の物 体ではこれより小さくなる.実際の物体からの熱放射エネルギーを同一温度の黒体からの 熱放射エネルギーで割ったものを放射率といい,εにてあらわす.放射率は,測定対象物体

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の種類や表面形状,金属表面の酸化の影響,測定波長などで大きく変化する9).したがって 本研究においては,K種熱電対(φ0.32)にてアルミニウム試験片の温度を直接測定し,放 射温度計内の放射率値を変更することで,放射温度計の指示温度を合わせ込こんだ.

Fig.2-17にアルミニウム試験片接合部での各放射温度計内放射率値における温度推移を示

す.同条件で測定した熱電対結果より,本実験における放射率は0.10<ε<0.15の範囲とな った.アルミニウム素材かつ旋削面上での測温なので,放射率値が小さく(黒体塗料を塗 布した場合ε=0.94程度)外乱の影響を受けやすい測定環境であることが判った.

Fig.2-17 Comparing the temperature of the thermocouple and a radiation thermometer (Change the conditions of the emissivity)

温度調節計は,センサー信号と目標値を比較しその偏差に応じて演算を行い,現在値と 目標値を一致させるように制御する装置である.温度調節計の概略図をFig.2-18に示す.

温度調節計は,放射温度計からの温度情報を電圧に変換したものを観測量とし,接合部の 目標温度を目標値とし,その偏差を演算する.その偏差から調節部にてPID制御を行い,

出力部から操作量として電圧を出力する.出力部からの電圧信号は高周波発振機の出力調 整に使用される.

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Fig.2-18 Schematic diagram of the temperature control system

ここでPID制御について説明する.PID制御とは,P制御(比例動作)とI制御(積分 動作),D制御(微分動作)を組合せ,入力値を目標値に近づける制御方法である.P制御 は,現在値と目標値の偏差を小さくするため,偏差に比例した操作量を出力する制御動作 である.これによりハンチングのない滑らかな制御を可能とする.I制御は,偏差の大きさ と継続時間に応じて操作量を増加(または減少)させる制御動作である.これによりオフ セットを自動的に修正制御する.D制御は,外乱等による現在値の急変に対し,早くもと の制御状態にもどるように操作量を与える.これにより,外乱に対する応答を早くするこ とが可能となる.

本研究では,加熱部にK種熱電対を取付け,温度監視しながらPID制御パラメータを決 定した.Fig.2-19にPID制御パラメータ調整前後の温度グラフを示す.PIDパラメータを 最適化(P: I: D)したことで,接合温度の精度を向上させることが可能となった.

Fig.2-19 Effect of adjusting the PID control

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高周波発振機は,商用交流電源(200V/400V 50Hz/60Hz)をサイリスターにて直流に 変換し,その後,IGBTトランジスタにより高周波電流に変換する周波数変換器である.高 周波発振機から出力された高周波電流はマッチングトランス(整合トランス),コンデンサ,

加熱コイルからなる並列共振回路を形成し,𝜔 = 1 √𝐿𝐶⁄ , 𝜔 = 2𝜋𝑓 の条件で共振する.コ

イルのL,コンデンサのCにて共振周波数が決定する.共振することで,高周波電源からみ

ると,同じ大きさで逆向きの電圧が合成された結果、見えなく(0 [V])なり、抵抗分だけ が残る.したがって,回路全体のインピーダンスは最小となり,回路に流れる電流が最大 となる.この原理を用いて加熱コイルに多くの高周波電流を流し,コイル中央に設置した アルミニウム試験片に大きな誘導電流を生じさせ,急速加熱を可能にしている.また,試 験に用いた高周波発振機は電圧制御型である.発振機内の直流電圧を制御することで直流 電流が制御され,最終的には加熱コイルに流れる電流,すなわち,昇温速度が制御される.

そこで,前述の温度温調機の出力を直流電圧の制御回路に組込むことで,温度制御を可能 とした.Fig.2-20に出力ボリュームと直流電圧,直流電流の関係を,Fig.2-21に出力ボリ ュームと昇温速度の関係を示す.

これら,放射温度計,温度調節計,高周波発振機,整合部(コンデンサ,トランス),加 熱コイルを組合せ,最適な制御パラメータを設定したことで,アルミニウム試験片の加熱 ができ,さらに試験条件の安定につながった.

Fig.2-20 Relationship between the output volume and the DC voltage and current

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Fig.2-21 Relationship between the output volume and the heating rate (A1070 -φ20 was heated)

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