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第 4 章 接合部における酸化皮膜の挙動

4.2 供試材および実験方法

4.2.1 供試材

供試材は,前章と同様にφ20㎜の工業用純アルミニウムA1070-H112丸棒押出し材を用 いた.使用したアルミニウム材の化学組成をTable 4-1に示す.供試材の長さは,超音波ホ ーンに接する側を68㎜,固定側の長さを73㎜とし,接合面は,接合圧力を高める目的で 直径5㎜の円錐状に旋削した.接合面は旋盤仕上げのままとし,その表面粗さの測定値Ra は0.37㎛程度であった.供試材の形状をFig.4-1に示す.アルミニウム表面の自然酸化皮

膜は100Å(オングストローム:10-10m)程度と薄く,かつ,安定した組織である.自然酸

化皮膜は,大気中でそれ以上に厚くなることがないため,その挙動を観察するのは困難で ある1).そこで,次項4.2.2に示す陽極酸化を用いて,供試材の接合面に1㎛程度の陽極酸 化皮膜を生成した.

Table 4-1 Chemical composition of aluminum

[mass%]

Materials Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti V

A1070 0.06 0.10 0.00 0.00 0.00 - 0.00 0.01 0.01

Fig.4-1 Shape of specimen

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4.2.2 陽極酸化皮膜生成方法

供試材の陽極酸化に用いた装置を Fig.4-2に示す 2).テトラフルオロほう酸(HBF4)水 溶液中にて,供試材を陽極,SUS304板を陰極とし,直流電源より18Vを5min間通電し た.すると,溶液中の OH-がアルミニウムと反応し,表面にポーラス型の酸化皮膜が形成 された 3).生成された酸化皮膜の表面を,走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM-6500F,

以後,SEMとする)にて観察した.その画像をFig.4-3 a)に示す.酸化皮膜表面に数㎚~

数十㎚の孔(ポーラス)があることがわかる.また,酸化皮膜の断面を走査型電子顕微鏡 付属のエネルギー分散型X線分析装置(アメテック製:PV7757/84ME,以後,EDXとす る)を用いて元素分析を行った.EDXの面分析により得られた画像をFig.4-3 b)に示す.

アルミニウム面上に約1㎛程度の酸素強度の強い層があり,これが,陽極酸化皮膜である.

5分間の陽極酸化により約1㎛程度のポーラス型陽極酸化皮膜がアルミニウム表面に積層す

ることがわかった.1㎛程度の酸化皮膜は,SEMによる観察が容易であり,さらに高倍率 の光学顕微鏡でも観察が可能である.よって,この酸化皮膜を用いて,ハイブリッド固相 接合装置にて接合した時の酸化皮膜の挙動を観察した.

Fig.4-2 Test equipment of anodized

Fig.4-3 Photos of intentionally produced oxide film a) SEM micrographs of oxide film surface b) EDX analysis result of oxide film cross section

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4.2.3 接合実験方法

実験に用いた接合装置の概略図をFig.4-4に示す.また,Fig.4-5に接合装置の圧力,温 度,超音波振動の負荷サイクルを示す.陽極酸化を施した接合面が互いに合うように供試 材を接合装置内に配置し,供試材の一方を超音波ホーンに固定した.そして,供試材に,

最大加圧力5kNのサーボプレス(蛇の目ミシン製:JP-S0501)にて,500Nの予圧(P1) を加えた.その後,加熱と加圧,加振を同時に供試材に作用させた.加熱は,発振機出力

10kw,発振周波数30kHzの高周波誘導加熱装置(日本サーモニクス製:NT210)を用い

た.昇温速度は16.7K/sとし,赤外線放射温度計にて接合部の温度を監視しながら,温度調 節計を介して接合温度(T1)が773Kとなるよう制御した.加圧は,動作荷重を(P2)1000N とし,予圧と同じサーボプレスにて供試材に加えた.サーボプレスは,常に一定の荷重が 接合面に加わるように,内蔵のロードセルとコントローラによって制御されている.また,

加振(Ip)は,発振機出力1000W,発振周波数20kHzの超音波発振機(エコー技研製)を 用いた.無負荷時のホーン先端での振幅は20㎛(peak to peak)である.常に振動振幅が 一定となるように発振機内の回路にて制御されている.接合時間(t1)は,360sとした.

接合部の温度は接合部近傍をK 種熱電対にて測定し設定値から逸脱していないか監視した.

また,供試材の変位(変形)は変位センサーにて監視し,加圧力に異常がないか監視した.

超音波の振幅および出力は発振機内の電流値をモニターし,設定値から逸脱していないか 監視した.一定時間経過後,各動作を終了させ,供試材は大気中で放冷した.

Fig.4-4 Schematic illustration of the apparatus for solid state bonding

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Fig.4-5 Temperature, Pressure and Input power to the transducer as a function of time during the application of ultrasonic vibration

4.2.4 酸化皮膜観察方法

接合された供試材(以後,接合材と呼ぶ)から,接合部近傍組織を観察するための試料 を作製した.組織観察用試料の切り出しイメージをFig.4-6に示す.組織観察試料は,接合 材の接合部から10㎜程度の位置で切断し(Cut①),その後,接合部中央を長手方向と平行 に切断(Cut②)し,接合部近傍断面を現出させた.切り出した組織観察用試料は#2000ま でのエメリー紙で研磨した後,9㎛ダイヤモンド研磨液および二酸化シリカ混濁液を用いて バフ研磨を行った.

研磨後の試料は,マイクロスコープ(オリンパス製:DSX510)にてマクロ組織観察を行 った.また,EDXによる元素分析にて,接合面にある酸化皮膜を同定した.Fig.4-7,Fig.4-8 にマイクロスコープおよびEDXの外観写真を示す.

Fig.4-6 Schematic illustration of the sampling position for metal structure observation

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Fig.4-7 Digital microscope

Fig.4-8 Energy dispersive X-ray spectrometry

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