機関名:札幌市男女共同参画センター
〒060-0808 札幌市北区北8条西3丁目札幌エルプラザ内 Tel 011-728-1222
http://www.danjyo.sl-plaza.jp/
第3章 若者のキャリア形成支援にかかわる取組事例
自主運営する他、若者支援総合センター、若者活動センター、児童会館、こども の劇場、こども人形劇場等、指定管理者として多くの施設の管理運営を行う大規 模の法人である。当センターのある「札幌エルプラザ」は、当センターの他、札 幌市消費者センター、札幌市市民活動サポートセンター、札幌市環境プラザの4 つの公共機関の複合施設であるが、これら4機関とも当法人が指定管理者となっ ている。当センターの職員のうち、事業を担当するのは事業係5名(係長1名含む、
平成25年12月現在)。平成25年度は、事業の柱を「女性のキャリア形成支援」「男 性のためのエンパワーメント」「子育て支援」「若者支援」の4つとし、係長以外 の4名が事業を1つずつ主担当として受け持っている。
第3次男女共同参画基本計画において「男性、子どもにとっての男女共同参画」
(第3分野)が重点分野の1つとされたのを踏まえ、センターの事業検討委員会(年 2回実施)においても、これまで十分に取り組んでこなかった子どもや青年等の 若年層に対する事業を行う必要性について、検討が行われた。そして平成23年 度より「子ども・青年への男女共同参画啓発事業」として、中高生のための居場 所づくり事業「たまりんぱ」を始めた。また、平成24年度からは、学校関係者、
市民活動団体等、若者支援に携わる人を対象に、男女共同参画にかかわる意識啓 発を目的とした事業、若年層課題別講座を年1回開催している(平成25年度は思 春期の性をテーマとした講演会を開催)。
平成24年度から実施している若年層課題別講座は、平成24年度には、大学2、
3年生向けのライフキャリアプランの講座を実施した。平成25年度は、「出張た まりんぱ」、就職活動中の学生(4年生)を対象とした講座「就活女子のための 息抜きサロン~私がホントにしたい仕事の見つけ方~」、および「3年後、きっ とイキイキ!就活女性のための息抜きサロン」を実施した。
これらの他、平成25年度において若年女性が多く参加した講座には、女性のキャ リア形成支援事業として実施した「ソーシャル女子のための起業セミナー」、「ラ イフワークとライスワークで考える私らしいキャリアのつくり方」がある。
>>事業概要─取組の概要、プログラム、連携、取組の工夫等
「たまりんぱ」は、中高校生が放課後に集まって、「自分のこと」「将来のこと」
を話し合える場所であり、「男性だから」「女性だから」といった性別によってで
んぱ」は、たまり場の語をもとに当センターが考えた造語)。
「たまりんぱ」事業はすべて、「ピア・サポーター」とよばれる大学生のコーディ ネーターが中心となって実施している。ピア・サポーターは「ピア・サポーター 養成講座」修了後の説明会を経て、センターでの活動を継続すること決めた修了 生によって「ピア活動団体 たまりんぱ」を結成している。北翔大学6名、北海 道医療大学3名、北海道教育大学1名の学生・卒業生計10名が登録しており、養 護教諭や臨床心理士をめざしている学生が多い(女性6名、男性4名。1年生1名、
2年生2名、3年生2名、4年生3名、社会人2名)。中高生向けプログラムには、1 回につき2名以上のサポーターがコーディネーターとしてかかわる。メーリング リストで連絡し、各回の担当を決めている。
当センターでは「ピア・サポーター」を「思春期の悩みを同世代の立場から支 援する人」と位置づけ、専門家であり学内で学生のピア・サポーター活動を支援
第3章 若者のキャリア形成支援にかかわる取組事例
していた北翔大学の教員に協力を依頼した。当初は、性の問題等について話す場 を設けようと考えていたが、公募で中高生を集めるには、楽しいイベント的な場 を提供し、ピア・サポーターとの関係を築いた上で、問題があれば支援していく ほうがよいという教員のアドバイスがあり、自分らしさを表現し、新たな自分が 発見できるようなプログラムを毎月1回行っている。
平成23年度には月1回のプログラムを実施。平成24年度には、もう少し気軽 にいつでも集えるものがあるといいと考え、月1回のプログラムに加え、毎週1回、
情報センターのオープンスペースにピア・サポーターが待機し、時間中いつでも 出入りできるようにした。すると、不登校や学校では自分のことを話さない子た ちが楽しみにして集まるようになった。平成25年度は、ピア・サポーターの負 担減を考え、月1回のプログラムの前の時間2時間を自由に集まれる時間に設定 した。学生には交通費程度であるが謝金として、1回の活動につき1,500円を支 給している。
平成25年度には、さらに、当法人として以前からつながりのあった市立札幌 大通高校と連携し、「出張たまりんぱ」を年2回実施した。1回目は、養護教諭か ら声をかけてもらい生徒を集めた。
「ピア・サポーター養成講座」は年1回、「ピア活動団体 札幌たまりんぱ」主催、
センター共催で実施している。対象は高校生、大学生、専門学校生。講師はピア・
サポート・トレーナー 2名。平成25年度は平成26年1月18日(土)19日(日)
ションスキルをゲーム感覚で学ぶ内容となっている。講座を2日間受講すると、
日本ピア・サポート学会より「ピア・サポーター養成講座修了証書」を授与され る。その後「たまりんぱ」で活動し、レポートを提出すると、学会からピア・サ ポーターとして認定される。
ピア・サポーターは、プログラム前には打ち合わせを行い、わかりやすい説明 のしかたや話し方、自分らしさがだせる作品づくりの進め方等について話し合う。
出張たまりんぱの前には2回、サポーター全員が集まり、趣旨説明と進め方につ いて話し合う。また、プログラム修了後に振り返りも毎回実施する。活動日誌も 記入し、職員と内容を共有している。サポーター同士ではラインでグループをつ くり、連絡を取り合っている。
平成 25 年度中高生居場所づくり事業「中学生・高校生のためのたまりんぱ」
毎月1回金曜日 16:00−20:00
16:00−18:00 中高生が気軽に訪れ、本を読んだり、話をしたりと自由に 過ごすことができるスペースを設ける。
18:00−20:00 ピアカウンセラーが進行役となり、各回のテーマに沿った 活動を行いながら、ありのままの自分を理解し表現する機 会を提供する。各月のテーマは以下のとおり。
第3章 若者のキャリア形成支援にかかわる取組事例
5月 映画を見て、みんなで話そう
6月 写真①マニアックな写真を撮ってみよう~自分だけの世界を写す~
7月 写真②自分だけの『作品』を作ろう~自分で撮った写真でポストカード を作る~
8月 お仕事研究会①~パティシエ編~
9月 音楽を使って自分を表現しよう 10月 おいしい時間を過ごそう①
11月 お仕事研究会②~動物とかかわるお仕事編~
12月 消しゴムはんこで!オリジナルの年賀状を作ろう 1月 自分の体のこと、考えてみよう
2月 お仕事研究会③
3月 おいしい時間を過ごそう②
(各回4名程度の参加。「お仕事研究会」は約15名の参加)
平成 25 年度出張たまりんぱ
日時(第1回):平成25年7月17日(水)16:00−18:00 会場 市立札幌大通高校 カウンセラー室
内容:「自分を知ろう!~コラージュで新たな自分を発見~」
雑誌やチラシなどから自分の好きな写真や絵を切り抜いて、紙に貼るコラー ジュを行う。完成した作品を見せ合い、どういった気持ちで作ったのかなどを話 し合う。また、コラージュ療法の手法を取り入れながらピア・サポーターと話し 合う中で、新たな自分の側面を発見し、ありのままの自分と相手を認め合う機会 とする。
>>男女共同参画の視点にかかわる工夫
ピア・サポーター養成講座は、団体が主催し、認定を受けたピア・サポート・
トレーナーが講師をするため男女共同参画の視点が中心のものではないが、修 了後の活動には、事前打ち合わせや振り返りを含め、センター職員がかかわって おり、男女共同参画の視点について伝えるように努めている。たとえば、「お仕
ただ人気の職業を選んでいるのではないことや、職業選択と性別の関係等につい て、職員から学生へ説明する。学生(サポーター)は、2 年目くらいからはよく理 解するようになり、自分から内容の提案等を積極的に行うようになる。
>>成果・効果
大学生が職員と中高生の間に入ることで、場の雰囲気が変わると感じている。
職員が思いつかない視点を大学生が指摘することも多い。
ピア・サポーターとなる学生には、将来子どもとかかわる仕事をしたいという 人が多くいる。ピア・サポーターと職員とは、毎回、事前の打ち合わせをし、振 り返りも行っており、学生にとっては、活動を通して自らが成長する場、子ども とのかかわり方を学ぶ場となっている。
事業検討委員会では、このピア・サポーターの活動は高く評価されている。一 方で、中高生の参加者数については今後の課題である。
男女共同参画の拠点が若年層を支援することについては、青少年支援に取り組 む当法人内でも質問が出る場合があるため、説明の機会を設けている。ひきこも り等の若者支援とはめざしているものが異なり、中高生の学習支援が第一の目的 ではなく、男女共同参画意識の醸成が目的であるところに、当センターで行う意 義があると考えている。
>>今後の展望と課題
・本事業も3年目になる。青少年施設の事業との差別化をより図るために、も う少し直接的に男女共同参画の意識を醸成するための企画(たとえばピア・
サポーターがかかわった相談や語り合うサロンのようなもの)を考えたい。
・ピア・サポーターの人材を増やす必要がある。大学生のサポーターもそうで はあるが、すでに若者支援を行っている支援者に向けた男女共同参画にかか わる啓発の機会を増やし、支援の担い手を養成することをめざしたい。
・女子学生の就職活動支援の講座については、女子大学との連携を進めること を考えている。
(飯島 絵理)