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9 働く女性を対象とした ロールモデルの提示と活動支援

第3章 若者のキャリア形成支援にかかわる取組事例

>>取組の特色

「キャリアサロン」の取組は、当財団がこれまで対象としていなかった層(20

~ 30歳代の働く若年層女性等)へアプローチする新しい試みである。大学教員 をはじめとする財団事業関係者とのネットワークを集客や連携にも活かしてい る。全国の機関、団体・グループとの協働事業である「コラボレーション・セミ ナー」を通した調査研究成果の普及等、事業展開や他機関との連携を効率的に行 い、若年女性を対象とした取組を広げている。

>>企画にあたって─企画の前提・背景、地域の実情、施策やプランの方針・位置づけ等 公益財団法人日本女性学習財団は、財団法人日本女子会館として1941(昭和 16)年に設立された。男女共同参画社会の形成に資する生涯学習および次世代育 成の振興に寄与することを目的とし、「人材育成事業」「研究、調査の実施」「情 報の提供」「関係諸団体との連携・支援」「日本女子会館建物の賃貸事業」の事業 を実施している。本財団が管理運営する日本女子会館は、芝公園に面した東京都 港区にあり、利便性の高い都心にありながら緑豊かな環境に立地している。

平成22年9月にAPECの女性リーダーズネットワーク(WLN)会合が催され た際に、当財団が人材育成・教育分野の分科会「女性の生涯にわたるキャリア開

キーワード 働く女性 ロールモデルの提示 ネットワークづくり

「キャリアサロン for Working Women」

【事 業 名】

9 働く女性を対象とした

支援について取り組む必要性を確認した。また、当財団は、東京都港区という都 心部にありながら、今まで企業とのつながりがほとんどなかったため、当財団の 周知や連携を広げていくことが課題として浮かび上がっていた。そこで、平成 23・24・25年度の3年計画で実施する調査研究「女性の生涯にわたるキャリア開 発を支える教育システム」の一環として、モデル事業「キャリアサロン」を行う こととした。また、この「キャリアサロン」から派生して、参加者によるネット ワークの場「プチ・キャリアサロン」や、学生による企画「早稲田×キャリアサ ロン」を実施している。

この他、当財団で実施している若者を対象とした取組として、全国の女性関連 施設、生涯学習センター、大学等の機関、団体・グループ等との協働事業「コラ ボレーション・セミナー」がある。公募する3つの企画テーマ「女性のキャリア 支援」「子育て支援」「地域活動・市民活動支援」のうち、「女性のキャリア支援」

に女子学生や非正規雇用女性を対象とするものを含め、応募のあった複数の機関 や団体と協働して、当財団が実施してきた調査研究の成果を活かした講座を行っ てきた。平成25年度には、「キャリアしゃべり場@清泉-働く心に触れよう-」(清 泉女学院大学・短期大学キャリア支援センターとの共催)や、「女子限定 プレ就 活セミナー~これからの私、なりたい自分~」(静岡県立大学を会場にNPO法人 男女共同参画フォーラムしずおかとの共催)を開催した。

>>事業概要─取組の概要、プログラム、連携、取組の工夫等 平成 24・25 年度「キャリアサロン」

平成24年9月より当財団が管理運営する日本女子会館5階に、学習・研究スペー ス「スペースWe learn」をオープンした(それまでは別のテナントが入ってい た芝公園が一面に見える部屋)。ここを会場にした「キャリアサロン」を10月か ら開催し、ロールモデルの提示と語り合いの場を提供している。

目的: 女性たちが世代や職域を超えて出会い、ゲストの話や参加者同士の語り合 いを通じて、働くことやキャリアを拓いていくことについて互いの知恵を 交換する場を提供する。よって、女性がキャリアを拓いていく上で抱える 問題課題の改善、エンパワーメントをめざす。また、女性たちの知恵を、

第3章 若者のキャリア形成支援にかかわる取組事例

次世代につないでいく橋渡しの場として発展させていく。

平成24年度は10月から3回、平成25年度も3回実施。当初は20 ~ 30歳代の働 く女性をターゲットにしたリーダーシップ育成を考えていたが、実際には上の年 代の人も参加している。平成25年度には、学生にもターゲットを広げて大学教 員等に広報し、学生向け参加費(500円。通常H24は3,000円、H25は2,000円・

軽食付)を設定した。

<平成24年度>水曜日18:30-20:00

①10月17日(水) 木山啓子 (特活)JEN理事・事務局長

②12月12日(水) 坪田秀子 お茶の水女子大学学長特命補佐

③ 2 月13日(水) 唐澤理恵 (株)パーソナルデザイン代表取締役

〔参加者(申込者)〕①19名(22名) ②23名(30名) ③12名(23名)

所属: 企業22名、起業・フリー 5名、学校関係者8名、NPO等団体4名 年代: 20歳代4名、30歳代14名、40歳代18名、50歳代3名

間を長くした)

④ 7 月 3 日(水) 濱田真里 なでしこVoice代表

⑤ 9 月11日(水) 小林洋子 NTTコム チェオ株式会社代表取締役社長

⑥11月20日(水) 田尻佐和子 (株)システムリング代表

〔参加者(申込者)〕④14名(17名) ⑤8名(10名) ⑥17名(16名)

所属: 企 業8名、 起 業・ フ リ ー 8名、 学 校 関 係 者6名、

NPO等団体6名、学生15名

年代: 10歳代11名、20歳代8名、30歳代5名、40歳代11名、

50歳代以上7名

プチ・キャリアサロン

 (平成 24 年度 11月・1月、平成 25 年度4月・5月・6月・7月・10月・3月)

参加者の要望もあり、参加者有志の学び・ネットワークの場として発足し、隔 月くらいで集まって話し合いを行っている。平成24年度2回目の「キャリアサロ ン」実施後に、メーリングリストをつくった。話し合いではおもに、「キャリア サロン」の企画(ゲストの人選、進め方等)を行い、当日のサロンの進行等もこ のメンバーが担当している。メンバーは約10名。話し合いには職員2名が参加す る。

早稲田×キャリアサロン(平成25年11月30日(土)10:00-12:00)

早稲田大学文学部教育学コースのゼミ生が中心となって企画を行い、当財団と の打ち合わせも2度ほど実施した。ゲストは呼ばず、学生・社会人が小グループ でキャリアについて語り合うもので、対象は男女の学生・社会人として公募した。

社会人は、NPOや起業家、キャリア支援にかかわる企業で働く人、教員等に声 をかけた。参加者は34名(学生20名 社会人14名)。

主催:早稲田大学文学部教育学コース村田晶子ゼミキャリア班・日本女性学習財団 10:00 開会

10:05-10:50 グループトーク①

第3章 若者のキャリア形成支援にかかわる取組事例

キャリアについて考えることを付箋紙に書いてそれをもとに 話し合う

11:00-11:45 グループトーク②

キャリアについて自分が大切にしたいことをダイヤモンドラ ンキングの手法を用いて話し合う

11:45 振り返り

>>男女共同参画の視点にかかわる工夫

APECでのかかわりをきっかけとして、女性のM字型就労やキャリア開発の 課題に焦点をあて、「女性の生涯にわたるキャリア開発を支える教育システム」

に関する調査研究の一環として、20歳代・30歳代の働く女性や大学生のキャリ ア形成支援を行っている。「キャリアサロン」や講座の手法としては、ロールモ デルの提示やグループワーク等を行い、働くことについて自らが気づき、エンパ ワーメントできるよう促している。「キャリアサロン」参加者有志による「プチ・

キャリアサロン」の実施や「早稲田×キャリアサロン」のゼミ学生による企画に よって、参加者の主体的なかかわりやネットワーク形成を支援している。

参加者の満足度は高く、自らのキャリアについて考えなおすきっかけの場に なっている。モデル事業として実施した「キャリアサロン」を今後どのように調 査研究に活かすか、また参加者のエンパワーメントにどのようにつながったか等 を評価するのは難しい。

人数や広報には課題が残る。定員に達していない回もあり、また想定した年代 より上の年代の参加も少なくない。これらについては今後の検討課題となろう。

参加者の年代が予想より高い理由としては、平成24年度のゲストが、管理職 の人が参考にしたいモデルであったことや、子育て中の人は夜は参加できなかっ たり仕事が忙しかったりすること、キャリアについてもう一度考えたい人が40 歳代、50歳代であること等が考えられる。大学生の参加呼びかけは難しいが、

実際に参加した学生は、社会人とのグループトークを通して、キャリア展望につ なげている。

コラボレーション・セミナーを協働で実施した清泉女学院大学では、実施した 講座を参考に、今後、セミナーを独自で実施する予定もあり、波及効果がみられ る。学生にとっては、いろいろな働き方、多様なキャリア形成のあり方について の気づきが得られていることが感想等からわかる。

>>今後の展望と課題

年代だけではなく、置かれた立場等で異なるニーズを把握しゲストスピーカー を人選すること、また対象やテーマによる広報の工夫に努めたい。また、参加者 は、財団事業関係者の紹介等で来た人が多い。今後は、企業や港区等地域との連 携や、近隣で働く女性とのつながりや情報発信の方法も探っていく予定である。

(飯島 絵理)