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(1)男女共同参画の視点に立った若者のキャリア形成支援にか かわる現状と課題――

アンケート調査の結果を踏まえて このハンドブックを作成するにあたり実施した「男女共同参画の視点に立った 若者のキャリア形成支援に関する調査研究」では、自治体の男女共同参画担当部 局を対象としたアンケート調査を行った(巻末資料1参照)。ここでは、この調 査の結果から、いくつかのポイントを挙げ、男女共同参画担当部局(以下、「担 当部局」)および女性/男女共同参画センター(以下、「センター」)における若 者を対象とした取組の現状や課題について概観する。これらを踏まえ、本章の後 半では、掲載した取組事例のヒアリング調査および本ハンドブック各章の知見を 手がかりに、今後の取組の方向性や課題について述べる。

1)若者を対象とした取組の実施状況

担当部局またはセンターでの若者を対象とした事業の実施実績(平成24年度)

は、政令市(95.0%)および都道府県(63.8%)での実施率は比較的高いが、特 別区(39.1%)および政令市以外の市(18.0%)では高くない(巻末資料1図表7)。

また、事業以外の取組で若者とつながりができた事例については、大学生のイン ターンシップの受け入れや、センターが設置する委員会の委員を依頼する等、様々 な取組がなされてはいるが、実施実績のある担当部局・センターは少ない(担当 部局40、センター 37)。

事業を実施していない理由としては、都道府県や政令市、特別区では「庁内の 他部局が実施している」、中核市・特例市やその他の市では「参加者・対象者の 確保が難しい」の回答の割合が高くなっている(図表19)。「庁内の他部局が実 施している」は、「若者」は男女共同参画の担当ではなく青少年の所管等、別の 部局が担当するべきものという立場を示しており、特に規模の大きい自治体では

今後の展望と課題

飯島 絵理

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第4章 今後の展望と課題

この意識が働いていることになる。また、「参加者・対象者の確保が難しい」は、

比較的小規模の自治体の回答率が高いことからも、そもそも地域に少ない若者に 対象を絞って集めることは困難である、あるいは、従来、担当部局やセンターと あまりつながりのない若年層の参加を望むのは難しい、といった状況が考えられ る。

一方、他部局が実施する若者を対象とした事業との連携・協力の実績について もかなり少ないことがわかる(実績「あり」(平成24年度)の回答は担当部局 44、センター 21。巻末資料図表20・21)。また、若者支援にかかわる庁内や地域 の連携会議・協議会等が設置されている場合でも、担当部局やセンターがその構 成メンバーになっているケースは少ないことも明らかになった(巻末資料図表 22・23)。これらの結果からは、担当部局やセンターにおいて若者を対象とした 取組を行っていない自治体が少なくないとともに、他部局で行われている取組と のつながりも十分ではない現状がうかがえる。

2)取組の対象についての考え方

取組の対象については、特に焦点を絞らないという考えが多くを占める。どの ような対象に焦点をあてることが重要だと考えるかについては、複数回答の問い では都道府県およびそれ以外とも約半数が、最も重要と考えるもの1つの問いで は特別区(26.1%)、中核市・特例区(30.6%)、その他の市 (50.5%)が、「特定 の対象に焦点をあてず、若者一般として実施するほうがよい」と回答している割 合が最も高い(図表5・6)。この回答が多い背景として考えられるのは、1つには、

先述の「参加者・対象者の確保が難しい」とも関連し、対象を絞ると母集団が小 さくなり参加者を集められないと捉えていることが考えられる。もう1つは、公 的な機関が実施する事業は、特定の一部の限られた市民に対して行うよりも、広 く一般が対象となるほうが好ましいという考えにもとづいていると思われる。

また、都道府県および政令市では、「学生」を重要な対象として考えているこ ともわかる。「学生」を最も重要と考えるとする回答は、都道府県(46.8%)お よび政令市(40.0%)で一番多く、大学が複数ある都心部においては、学生を対 象とした取組を重視していることがうかがえる。

平成24年度に事業を実施した担当部局およびセンターの実際の対象をみると、

もこの2つが多いことは同様であるが、担当部局と比較すると、無業者や就職活 動中の人、ひとり親が対象の事業も多く、様々な今日的課題に対して取り組んで いることがうかがえる。これに対して担当部局は「結婚希望者」(17.3%)の割 合が比較的多くなっている。

3)取組の目的

平成24年度に事業を実施した機関の事業目的を担当部局とセンターで比較す ると、前述の対象についての回答と同様、センターのほうが、多様な項目を該当 すると回答している割合が高く、「就労支援」「職業能力形成」「ライフプランニ ング支援」」「教育・学習の支援」「生活自立の支援」「社会参加支援」「働く場の 悩みにかかわる支援」等の項目において、担当部局より回答率が高くなっている

(図表14)。一方、担当部局のほうが回答した割合が高いのは、「リーダーシップ 養成」と「結婚・男女関係の悩みにかかわる支援」である。全体としては、回答 の多い項目は、「結婚・男女関係の悩みにかかわる支援」(22.5%)「就労支援」

(21.3%)「コミュニケーション力の向上」(18.2%)「ライフプランニング支援」

(17.9%)「仲間づくり・交流」(16.7%)の順になっている。

最も回答の多い目的である「結婚・男女関係の悩みにかかわる支援」には、一 番にデートDV防止、次いで結婚支援にかかわる事業が多く含まれている。デー トDVおよびDVは、若者についての相談内容としても最も多いものと回答され、

担当部局およびセンターにおいて特に支援が必要な主訴として認識されている

(巻末資料1図表25)。

結婚支援については、現在、都道府県を中心とした多くの自治体において、お もに少子化対策の一環として取り組まれているところである。今回の調査におい て結婚支援事業が実績として多く挙げられた背景としては、少子化対策と男女共 同参画担当が同じ部局にある、あるいは担当を兼ねていることが大きいようであ る。

この結婚支援に関連して、本調査では、都道府県の担当と市の担当との間に意 識の差があることがうかがわれた。若者にかかわる実情をどのように捉えている かについての複数回答の質問において、「結婚したいができない若者が多い」の

第4章 今後の展望と課題

項目は、都道府県の回答は5割を超えているが、市の回答は3割弱であった(図 表3)。一方で、市の回答率が高いのに比べ、都道府県の回答率が比較的高くな い項目は「地域活動に無関心な若者が多い(または増えている)」であった。結 婚支援は、目に見える成果として「成婚数」を追求する傾向がみられるが、各地 域においては、それよりも、若者が主体的にかかわり活躍できる地域づくり、若 者がいきいきと暮らせる地域づくりが求められていることが示唆される。このよ うな地域づくりに向けた取組は、マッチングによる成婚数の追求よりも、結果と して高齢化や過疎化の進む地域の地域活性化や男女共同参画推進といった、より 包括的な課題の解決に向かうといえるのではないだろうか。

(2)男女共同参画の視点に立った効果的な若者支援の方向性に ついて――

取組事例および各章からの知見を手がかりに 前節において述べた現状や課題を踏まえ、男女共同参画の視点に立った効果的 な若者支援の方向性について、第3章に掲載した取組事例のヒアリング調査およ び本ハンドブック第1章~第3章からの知見を手がかりに、以下3点にわけて提 案したい。

1)男女共同参画の視点に立った課題解決型実践活動の支援

第1章1では、男女共同参画の視点に立った若者のキャリア形成支援は、女性 だけでなく、男性にとっても重要であることが示された。そして、特に近年の若 年女性の貧困の実情から、若年女性への経済的自立支援の必要性が明らかになっ た。また、第2章1においては、これまで国や地域で取り組まれてきた若者の自 立支援は、男女共同参画の視点への考慮が十分でなく、若年女性は生活上の困難 に直面する可能性が高いにもかかわらず、顕在化しにくい状況が示唆された。

担当部局やセンターが、男女共同参画の視点に立った若者支援や、困難に直面 する若年女性への支援を行う役割を担うことは、このような社会的要請に応える という観点だけでなく、若い世代とつながりたいがつながれないという担当部局 やセンター自体の問題を解決できるという点からも意義がある。しかしその際に 多くの担当部局やセンターで課題となるのが、限られた予算と人員で、若者が参