機関名:川崎市男女共同参画センター
〒213-0001 川崎市高津区溝口2丁目20番1号 Tel 044-813-0808
https://www.scrum21.or.jp/
第3章 若者のキャリア形成支援にかかわる取組事例
インターンシップ事業についても、平成18年の8月から事業計画に盛り込み実 施している。それ以前は、30歳代以上の利用者が多かったため、若い世代にも 男女共同参画を広めていくことをめざした。当初はインターンシップ事業を上述 の「新ネットワーク事業」に位置づけて地域との連携および事業間の連携を重視 して取組の基盤をつくり、後に「学習研修事業」に移行させた。
学生たちは、男女共同参画や当センターの存在について知らない場合も多い。
そういった学生たちを対象として男女共同参画に関する講座を企画したとして も、センターまではなかなか足を運ばないことが予想される。学生がセンターを 知り足を運ぶきっかけとして、インターンシップは有効であり、「働くこと」に ついてのテーマは興味を持ちやすいと考えた。インターンシップに参加すること を通して、学生たち自身が主体的に社会をつくっていく担い手になるきっかけを つくってほしいと考えている。
>>事業概要─取組の概要、プログラム、連携、取組の工夫等
当センターで主に実施しているインターンシップは、「短期インターンシップ」
と「長期インターンシップ」の2種類がある。「短期インターンシップ」は8月末 の10日間に集中して実施するものであり、平成18年度より開始している。「長期 インターンシップ」は7月下旬~翌年2月の約半年の間に60時間程度参加するも ので、平成23年度より開始した。
短期インターンシップ
<平成25年度>
目 的: 学生が主体的に身近な課題として男女共同参画を学べるきっかけを つくり、将来を見通した自己のキャリア形成に役立て、将来、男女 共同参画社会の実現に貢献できるような人材育成を目的として実施 する。
受入期間:8月20日(火)~ 30日(金)の25日(日)を除く全10日間 (8月19日(月)は参加必須のオリエンテーション実施)
実習時間:9:30−17:00
対 象:大学3年生以上の就職活動予定者
第3章 若者のキャリア形成支援にかかわる取組事例
募集人数:15名
参 加 者:平成25年度(8期生)21名(女性12、男性9)
都内および県内を中心とした16 大学の学生が参加
内 容: 前半は、センターの意義や男女共同参画についての理解、および仲 間づくりを行うことを目的とした内容で、各コマに講義だけではな くワークショップを含めている。後半は地域のさまざまな分野で働 く人へのインタビューを行い、冊子を作成している。
(1)5つの共通プログラム
8月20日 午前 「はたらく」ってどういうこと?
講師 北村奨(高津養護学校おやじの会)
午後 「ディズニーエンタテイメントに学ぶホスピタリティ」
講師 鈴木淳(エンタテイナー)
8月21日 午前 「はたらきながら、結婚も子どもも」
講師 須田万里子(合同会社人材ドッグ、OKCafe主宰)
午後 「学生記者養成インタビュー講座」
講師 大越元(株式会社シゴトヒト、日本仕事百貨ライター)
8月23日 午前 「デートDVに学ぶ*お互いの気持ちを尊重しあえるコミュ ニケーション」
講師 阪口さゆみ(エンパワメントかながわ)
(2)2つのプロジェクト
①はたらくっておもしろい!を発信~ブリッジインタビュー
働くことにかかわる様々な価値観に触れ、働く前に知っておきたいこと や、ワーク・ライフ・バランス等の男女共同参画に関するテーマを身近に 考える機会として、学生の興味関心に基づいて16名の取材対象を取材した。
学生を4つのチームに分け、3日間かけて取材してまとめ、HPに掲載した。
②はたらくをテーマにヒトつなぎ~ブリッジカフェの企画運営
働くことをテーマとしたワークショップ「ブリッジカフェ」をグループ 別に企画し、コンペを行った。コンペで残った案のよいところを統合して 企画を練り直し、学生が運営メンバーとなり実際に開催した。
日 時:平成 25 年12月6日(金)19:00−21:00 すくらむ21 2階第1・2 研修室 内 容:「はたらく」をテーマとした交流とトーク
①アイスブレイキング(自己紹介ゲーム) ②テーマトーク プ ライベートの時間はどう確保するの? なんのために働くか?な ど ③フリートーク(30分)
参 加 者:49名(学生22名、社会人27名)
長期インターンシップ
受入期間:7月下旬~翌年2月の中で60時間程度、月8 ~ 10時間程度 対 象:大学2年生から大学院1年生 3名
主な内容:
① 講座の企画から実施まで一から取り組む。テーマは「女性の視点を活かした 防災・減災」「DVの予防」
② 地域で活躍するNPOや起業家・中小企業等の事業者への取材およびキャリ ア支援冊子「はたらくっておもしろい」の編集
③まつり、イベント、展示、DVD制作等の各種事業における支援
長期インターンシップは、社会教育指導主事の資格を取得するために参加する 学生も含まれる。センターで実施している事業とつながりつつ自分の関心にそっ たテーマに取り組んでいる。実際には学生の取組によって100時間くらいになる こともある。
夏期インターンシップは、参加によって単位認定される大学もあるが、就職に 有利なため夏休み期間中にインターンシップに参加するという学生もいる。8月 末の実施は、学生にとって都合よいだけでなく、当センターにとっても、従来の 利用者は子どもが夏休みで家のことが忙しい等、センターの利用率が落ちる時期 であり、他の事業と重ならずに実施できる。
男女共同参画やジェンダーについて学んでいない多様な学部から学生に参加し てほしいと考え、公募という形をとっている。事業実施2年目には、大学キャリ アセンターのキャリアカウンセラーの自主勉強会で事業趣旨等を説明したりし
第3章 若者のキャリア形成支援にかかわる取組事例
た。その後、先輩が後輩に紹介する等もあり、現在は10校以上のさまざまな大 学からの参加がある。自分一人で応募する学生や、大学から、障がい者や外国籍 の学生、コミュニケーションがとれない学生等の受け入れの要請もある。応募の あった学生は、基本的に全員受け入れている。
参加者は途中で脱落することもなく、毎日参加している。活動にあたっては、
グループ内で役割を決め、一人ひとりが自主的にかかわるように促しており、学 生同士も気にかけあっている。参加した次の年には就職活動を終えた学生がサ ポーターとして入り、職員の考えを伝えたりして仲介してくれることも、欠席者 がいないことにつながっていると考えられる。
毎年、「はたらくっておもしろい」をテーマにしている。地域の人に会って話 を聴くことで、様々な職業の多様な価値を持った働く大人と実際に接して学んで もらう機会を提供している。企業が提供するインターンシップとは、この点にお いて大きく異なっていると考えている。
短期インターンシップ参加者の希望者および長期インターンシップ参加者は、
その年度の他の事業と連携して実施する冊子作成等の活動にもかかわっている。
これまでの活動および成果物の例として、以下のようなも のがある。
・ デートDVについて、短期・長期の学生に新人職員も含 めてワークショップを行った後、パネルを作成(パネル 作成にあたっては関連団体もかかわり助言)。大学での 掲示を自分たちで交渉し、学生の反応も観察する。また、
相談ダイヤルの広報企画を考案、啓発グッズとしてしお りとツメやすりを作った。しおりは、次年度以降のイン ターンシップ参加者が、配布のために直接書店に出向き 依頼して置いてもらう等の活動もしている。
・ センターの案内パンフレットを外国籍の人にもわかりや すいものに改善した(国際交流センターを訪問し助言も もらう)。
・「女性の視点でつくるかわさき防災プロジェクト」の中
で、若者向けの冊子「ひとり暮らしの女性のための防災 啓発グッズのしおり裏面は相談ダイヤル
ンシップ期間終了後、3名が残り、長期の学生が加わる形で職員とともに作成)。
インターンシップ事業の予算は、約20万円(短期インターンシップの講師謝 金等)。成果物は他の事業予算から捻出している。短期インターンシップおよび 他事業と連携して実施するため、長期インターンシップ自体にはほとんどお金が かかっていない。インタビューに行く際の交通費は支給しているが当センターに 通うための交通費は自己負担。
>>男女共同参画の視点にかかわる工夫
インターンシップにおいて男女を対象としているのは、男女共同参画の推進が 男女ともにかかわる課題であり、男女で解決していくことを認識してもらうため である。インターンシップ中は、男女別々で行動したり、リーダーが男性に偏る こと等があるため、仕事の分担や進め方は意識的に助言し、同等に評価するよう にしている。
企画や広報にあたっては、男女共同参画を前面に出すと、関心のある人、ある いは既に学習している人ばかりが参加するという状況になってしまう可能性があ る。関心のある人だけでなく、関心のない学生にも参加してもらうことを意図し ている。これは若年層を対象とした事業に限らず、様々なテーマについて企画し たものを、どのような切り口で男女共同参画につながる事業にするかということ が大事だと考えている。この点については、月1回程度、研修会を実施し、職員 の共通理解を図っている。
インタビューの対象者は、学生の関心をもとに、職員が男女共同参画の視点を 考慮し判断して決める。またインタビューをまとめる過程で、当センターが発行 するものとして、どこにポイントを置くのかは職員が指導している。また、当セ ンターの事業の企画や実施にかかわることも、学生が自ら男女共同参画の問題に 気づいてもらうきっかけになっている。
学生には、補助的な作業をお願いするのではなく、当センターの事業を発展的 に展開していくために行動する主体だということを体験してもらうよう心がけて いる。それが自分自身が社会をつくる担い手であることに気づき、学びを自分の