第 4 章 在宅ホスピスボランティア活動の現状と課題
6.3 在宅ホスピスボランティア活動における医療福祉機関との協働の必要性
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りの姿を見ながら、患者や家族にどのように接すれば良いかを学んだりする。そして、デ イホスピスでは、ボランティア達の分まで軽食が用意され、歌や楽器演奏もボランティア 達のみで準備するのではなく、医療福祉専門職、患者や家族が混じることもある。月例会 では、ボランティア達は活動を振り帰りながら活動時の戸惑いや疑問を打ち明け、互いの 考え方や対応策について意見を出し合ったり、今後の活動について話し合ったりするが、
月例会の前後にボランティア同士で、料理、健康、趣味などプライベートな話が絶えない。
以上から、「手と手」の活動は、生活支援サービスを提供しながら、「関係づくり」を追求 していることがわかる。すなわち、「手と手」は、組織運営や活動展開における限界や課題 を容認し、活動を特別な取り組みとして無理に広めようとせず、ささやかな営みとして日 常の一部とすることで、活動を続けてきたと考えられる。以上から現時点では在宅ホスピ スボランティアに、終末期にある人や家族に対する生活支援の担い手として大きな期待を 寄せることには限界があると考えられる。むしろ、ボランティア自身のグリーフワーク、
社会参加としての意味合いがあることを了解し、「生と死を分かち合う仲間づくり」として 位置づける方が適当ではないかと考える。
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のプログラムをもつホスピスがきわめて少ないこと」を指摘している(ニノ坂 2015)。さ らに、彼はインフォーマルな関係が脆弱化してきた今日、「自発的な意思の集まりであるボ ランティアチーム」であったら、患者や家族の不安や孤独感をぶつける相手となりえるの ではと考えた。また、在宅ホスピスを広める際に、患者や家族、住民達が本当に求めてい ることを知ることが重要であるが、同じ住民の立場であるボランティアを通してそのニー ズを把握できると期待していた。そのため、養成講座を企画したり、MSW を配置したりす るなど「手と手」を支えてきた。彼は、著書の中で「手と手」の活動について、「ただ単に 私たちが忙しいからできないことを補うという感覚ではなくて、私たちがサポートしてい る患者さんたちの生活をより豊かにしていくという感覚」であるとしている。
なおかつ、彼は、ボランティアの育成のみならず、各種勉強会、イベント等を企画し、
医療福祉専門職、患者や家族、ボランティア、その他の市民誰もが生と死について考え、
語り合える場を提供してきた。約 20 年間の在宅ホスピスを人々に広めようとしてきた彼 の活動は、生と死を分かち合う仲間が増えてきたこととして実を結んだと言えよう。
以上を踏まえ、現時点の日本においては、医療福祉専門職の方が刻々と変化する終末期 ケアに関する情報や知識、技術を有しており、患者や家族、ボランティアが医療福祉専門 職への期待や信頼が高いことなどを考えると、患者や家族、ボランティアの双方が安心し て持続できる在宅ホスピスボランティア活動となるためには、医療福祉機関や専門職のサ ポートが必要かつ有効であることを強調しておきたい。
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おわりに
本章では、生活の場で人生の最終段階を自分らしく過ごすためには、衣食住や医療的ケ アの確保のみならず、生活支援ニーズや情緒的ニーズなどのニーズをいかに充足できるか が重要な課題であることが確認された。さらに、多様なニーズを充足するためには、終末 期にある本人やその家族、医療福祉専門職、ボランティア等の多様なアクターの協働が有 効であった。
ただし、アクター間の協働関係は、質の高いホスピスケアを目指すための、専門職と非 専門職の役割分担、連携を強調しているわけではない。むしろ、ケアする側とケアされる 側、専門職と非専門職などの区分や明確な業務分担にこだわらず、同じく死に向かう人間 として、死に方を共に考え悩む仲間として関わり合える関係の必要性を主張したい。なぜ なら、昨今の日本においては、多死化が進む中、亡くなり方、亡くなる場所について、自 ら考え悩む時期に差し掛かっている。しかしながら、戦後、多くの人々は病院で医療的ケ アを受けながら死を迎えており、生活の場で死を迎える経験を積んできていない。それゆ え、生活の場で人生の最後の時期をどう過ごすか、いかなる準備が必要かについて、医療 福祉専門職だからと言って答えを持っているわけではない。むしろ、死別や介護の経験が あるボランティアや終末期にある人やその家族から得られる情報が多いかもしれない。ま た、制度やケアサービスへの当事者ならではの的確な評価、フィードバックをもらうこと ができるかもしれない。すなわち、今後、専門職と非専門職などの区分を乗り越えて、よ り多くの人々が人生の最終段階の過ごし方の希望や経験を語り合いながら、質の高い終末 期ケア体制や、自分らしく最期を迎える方法について、一緒に模索する必要があると考え
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最期に、本章で患者・家族のニーズについて考察を行ったが、実際に当事者(患者・家 族)からのデータを分析していないため、深く考察することに限界があった。今後の課題 として、当事者に対するさらなる調査・研究をしていきたい。
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【参考資料】4 章のインタビュー調査の項目
■在宅ホスピスボランティアの会「手と手」のボランティアへの調査項目
1.「手と手」で活動するようになった動機またはきっかけは何ですか。2.現在活動している内容について教えてください。
3.在宅訪問活動のなかで、記憶に残るエピソードがあったら、教えてください。
4.活動を行う上で、困ったことや不安に思うこと、負担を感じることはありますか。
5.今お話しされた困りごと、不安、負担を、いかに対処していますか。
6.どのようにしたら、どのようなサポートがあったら、不安や負担が解消されると思い ますか。
6.活動を通じてのボランティア自身の変化、成長、やりがいなどを感じたことはありま すか。
7.活動をする上で、もっとも気を遣っていること、注意していることは何ですか。
8. これまで行った活動に対して、残念または後悔したことはありますか。
9.二ノ坂クリニック、二ノ坂先生、Tワーカーとの協働について、どのように思います
か。
10.在宅ホスピスボランティアの役割、強みは何だと思いますか。
11.活動歴、年齢、死別の有無、介護の経験、居住地域 など
(以上)
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