• 検索結果がありません。

倫理的配慮

ドキュメント内 生活の場における終末期ケアの現状と課題 (ページ 70-74)

第 4 章 在宅ホスピスボランティア活動の現状と課題

2.3 倫理的配慮

本章は、調査協力者に研究目的、個人情報保護・データの取り扱い・同意取り消しの権 利・発表の許可などについて、口頭と文書で説明し、同意を得た。また、データから調査 協力者や事例の該当者が特定・判別できないように、分析に関係しない部分については省 略もしくは改変している。

62

3 調査の結果(1)

「手と手」の概要

3.1

「手と手」の発足の経緯

「手と手」は、福岡県の支援を受け、「ふくおか在宅ホスピスをすすめる会」の主催で開 催された在宅ホスピスボランティア養成講座の1 期から 3 期までの修了生(2007 年度、

2008年度、2009年度の受講者)が中心となって、2010年11月に活動を始めた。発足当時 の活動は、二ノ坂クリニックのデイホスピスの運営と医師・看護師の在宅診療訪問時に同 行であった。

「手と手」の発足にあたり、中心的に関わったのは2名で、現在の「手と手」の会長で あるBさん、副会長であるCさんである。二人は家族との死別を経験した後、養成講座を 受講し、修了後には二ノ坂クリニックで個人的にボランティア活動をしていた。自らの看 取りの経験から終末期にある人・家族に寄り添いたいと思っていたが、養成講座修了者達 の集いがないことを残念に思っていた。二人は、他の修了生や個別にボランティア活動を していた人に呼びかけ、「手と手」を立ち上げた。

さらに、「手と手」発足の背景として、二ノ坂クリニックの二ノ坂医師の存在がある。二 ノ坂クリニックの院長である二ノ坂医師(以下、二ノ坂医師)は、養成講座を主催したNPO

「ふくおか在宅ホスピスをすすめる会」の会長である。二ノ坂医師は、二ノ坂クリニック がやっているデイホスピスを「手と手」が活動する場として提供し、発足当時から現在ま でAが集まる場所として二ノ坂クリニックの一室を無償で貸し出している。

さらに、二ノ坂クリニックの職員であるMSWのTワーカーは、「手と手」の活動をサポー トしている。具体的には、在宅訪問の依頼の受付やアセスメントを行い、「手と手」につな げる。そして「手と手」のボランティアは、活動後に活動の内容を記録し、Tワーカーに提 出している。また、ボランティア活動の中で対処困難なことがある時にTワーカーに連絡 すると、T ワーカーがボランティアにアドバイスをしたり、患者を受け持つ病院やケアマ ネジャーに連絡・報告したりしている。時には、Tワーカーが「手と手」と患者・家族間の 仲裁をすることもある。つまり、Tワーカーが「手と手」のリーダーたちとともに、「手と 手」のコーディネーターの役を担っている。

3.2

「手と手」の会員の構成

「手と手」の会員になる要件は、実際の活動有無に関わらず、「手と手」の活動理念に賛 同し、所定の入会手続きを行うことである。1 年以上の会費未納や連絡がない場合には、

退会したとみなしている。世話人は、代表、副会長、会計の3名である。

2016年5月時点の登録会員数は、60人である。2010年発足時は25人、2013年には43 人、2014年には53人、2015年には50人で、発足時と現在を比べて、2倍以上(240%)に 増加した。会員の性別は、男性が9人(15%)、女性が51人(85%)であり、女性の比率が 非常に高い。年齢は30代から80代まで幅広いが、60代が31人で66.7%を占めている。

活動開始時期は、2010年が10人(16.7%)、2011年が1人(1.7%)、2012年が6人(10%)、 2013年が4人(6.7%)、2014年が7人(11.7%)、2015年が17人(28.3%)、2016年が14人

(23.3%)で、ここ2年間の新入会員が約半数を占める。養成講座を受講したのは、会員の 9割以上であるが、受講した者が養成講座を修了したかどうかについては、定かではない。

63

また、医療・福祉関連職種の経験を有しているのは26人で、4割以上を占めている。

さらに、会員のうち看取り経験を有しているのは、約4割であるが、これは主な介護者 である場合に限定したため、主な介護者でない場合の家族の死別や、友人・知人の死別の 経験は含まれていない。実際に介護や死別の経験をしている割合はより高いことが推測さ れる。

3.3

「手と手」の活動

「手と手」の活動理念は、「『療養されている方、その家族に寄り添い、“優しさ”と“笑 顔”で、その人らしさを支えたい』という理念の元、行動する。」ことである。

「手と手」の会則の第4条(活動)には、「本会は、その目的および理念を遂行するため に、次の活動を行う。1)療養者の担当医の指示に従い見守り行動し、報告する。2)担当 者との在宅同行を経て、在宅見守りへと活動の場を移行する。3)デイホスピスで顔見知り となり、療養者、またその家族とも信頼を築き在宅へと活動の場を移行する。4)その他、

本会の目的達成に必要な活動を行う」と記されている。

現在行っている「手と手」の活動の概要は、以下の表21の通りである。

表 21 「手と手」の主な活動の概要

活動区分 活動日時 活動場所 活動内容 デイ

ホスピス

2

回 午前

10

時~

午後

1

二ノ坂クリニック

2

階のホール

‐患者・家族の送迎

‐会場の掃除や整理、軽食の準備、振り返り

在宅訪問 随時 患者・家族の自宅

・外出先

‐二ノ坂クリニックの訪問診療同行

‐お話し相手、見守り、留守番、聞き書き、

外出同行等 月例会 月

1

3

時間

二ノ坂クリニック

2

階のホール

‐活動報告、必要な議題に関する会員間の 意見交換

その他 ― 行事によって 異なる

‐二ノ坂クリニックの遺族会のお手伝い

‐養成講座開催時のお手伝い

‐各種イベントや勉強会での発表・講演

‐医療・福祉施設のお手伝い

3.4 2016

年度の活動会員の属性と活動内容の内訳

2016年度(2016年4月1日~2017年3月31日)にデイホスピス、在宅訪問、月例会の 活動に参加した会員と活動内容を確認する。活動した会員の37人の内、32人が提出した 個人活動記録や「手と手」の会長Bさん、副会長Cさん、Tワーカーの活動記録を参考に して、まとめた。まず、2016年度の活動会員の属性は、会員60人の内、Tワーカーを除い た59人の会員の中で、2016年度に、1回以上デイホスピス、在宅訪問、月例会の活動を行 った会員は37人であった。また、この37人の中で、在宅訪問を行ったのは、20人である。

次いで、2016年度のデイホスピス、在宅訪問、月例会に対する活動の内訳をみると、表 22の通りである。在宅訪問活動の対象者は17人である。1回の在宅訪問に1人~3人が活

64

動していて、活動内容は、患者・家族のニーズによって異なる。17人の内 16人は二ノ坂 クリニックの患者であった。

表 22 2016年度「手と手」の活動の内訳(n=32)

区分

デイホスピス 在宅訪問活動 月例会

開催回数

(延べ) 対象者数 活動者回

(延べ)

対象者数

(実数)

活動者数

(実数)

活動回数

(延べ)

開催 回数

参加者数

(延べ)

2016

年度 231

10428172023312134

表 23 2016年度 在宅訪問活動の詳細(n=233)

活動

内容 見守り 家事 身体

介護 談話 聞き 書き

歌・演奏・

読み聞かせ 家族 談話

外出

支援 囲碁等 お見舞い その他 活動数 32 5 0 166 2 32 79 7 37 2 41

注)1 回の在宅訪問の中に複数の活動内容あり

4 調査の結果(2)

「手と手」の現状と課題の分析

4.1

調査協力者の属性

調査協力者の性別は、女性が10人、男性が1人であった。年代は50代が5人、60代が 4人、70代が1人であった。無職者は9人で、有職者は2人であった。活動開始時期は、

発足当時からの調査協力者が4人で、2011年からが4人、2013年以降が3人であった。調 査協力者の全員が身内との死別又は介護の経験があった。

表 24 調査協力者の詳細 調査

対象者 性別 年代 調査日時 職歴/現職 活動 開始年

介護・看取り の経験

養成講座 修了有無

Bさん 女 50 20157月 会社員/無職 2010年 両親を看取る 受講・修了

Cさん 女 50 20157月 介護職員/無職 2010年 夫を看取る 受講・修了

Dさん 女 60 20165月 専業主婦/無職 2011年 父を看取る 受講・修了

Eさん 女 70 20165月 専業主婦/無職 2011年 夫を看取る 受講・修了

Fさん 女 60 20165月 介護職員/介護職員 2010年 90代の母を介護 受講・修了

Gさん 女 60 20172月 介護職員/介護職員 2010年 父を看取る 受講・修了

Hさん 男 70 20165月 会社員/無職 2011年 妻を看取る 受講していない

Iさん 女 60 20172月 パート/無職 2013年 夫を看取る 受講・修了

Jさん 女 50 20165月 介護職員・ケアマネ

ジャー/無職 2011年 義父と同居・介護 受講・修了

Kさん 女 50 20165月 専業主婦/無職 2015年 両親を看取る 受講・修了

Lさん 女 50 20165月 無職 2004年 夫を看取る 受講・修了

65 4.2

インタビューデータの分析結果

ドキュメント内 生活の場における終末期ケアの現状と課題 (ページ 70-74)