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インタビューデータの分析結果

ドキュメント内 生活の場における終末期ケアの現状と課題 (ページ 74-81)

第 4 章 在宅ホスピスボランティア活動の現状と課題

4.2 インタビューデータの分析結果

65 4.2

インタビューデータの分析結果

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【旧・現職業からの影響】については、介護職員として働いた経験が言及された(C、F、

J、G)。介護職員として患者や家族にかかわると、決まった時間内にこなさないといけない 業務があったり、逆に頼まれても法律や所属機関の規制でやってはいけないことが多々あ ったりしたため、お金や規制に縛られないボランティアとして活動することを決心してい た。

また、【他のボランティア活動の経験】については、Dさんは「手と手」で活動をする以 前1年間病院でボランティア活動をしていた。そこは他のボランティアと協働作業がほと んどなく、個々のボランティアが個別に看護師に指示されたことをやったり、患者や保護 者の話し相手をしたりしていた。何をどのようにすれば良いか分からない時も、他のボラ ンティアと話す機会はほとんどなかった。患者に愚痴をこぼされた時、どこまでを看護職 に報告すべきか分からず、悩んでしまった。ボランティア同士の連絡や申し送りは連絡ノ ートでやりとりしていて、D さんはためこんだあまり、体調を崩したこともあった。活動 を続けることに戸惑いを感じていた頃、「手と手」では、複数のボランティア達がデイホス ピスで共に活動するという話を聞き、Aで活動することにした。

また、【自身の療養体験】から、終末期ケアについて興味をもっていたボランティアもい た。なお、パートを含めて就職を考えていないことや、子育てや介護が一段落ち着いたと いう【活動が可能な状況】が複数のボランティアに確認された。

一方、【二ノ坂クリニックとの関係】と【養成講座の受講】が〈活動開始のきっかけ〉と なっていた。初期の養成講座では、実際に活動できる在宅ホスピスボランティアに受講し てもらうため、在宅ケア受けた経験があったり、在宅で看取りをしたりした家族に案内状 を送った。二ノ坂クリニックから在宅ケアを受けた経験があり、恩返ししたいという思い から参加した人々も少なくなかった(B、C、E、L)。

さらに、【養成講座の受講】をするなかで、緩和ケア病棟で活動するボランティアグルー プや「手と手」が紹介され、養成講座後に自然に活動を始めるようになっていた(B、C、

D、E、G)。

4.2.2

活動の実際

「手と手」では、〈生活支援ニーズへの対応〉、〈自分らしい最期の実現へのサポート〉、

〈その他の活動〉をしていた。

〈生活支援ニーズへの対応〉は、【本人へのケア】と【家族へのケア】にわけて整理する。

本人に対してケアを行うことが、家族の介護負担が軽減され、家族へのケアにつながる こともあるため、本人へのケアと家族へのケアは明確に区別することはできないが、本章 における家族へのケアは、本人を介する間接的な支援ではなく、家族に直接に行う活動を 指すことにする。

【本人へのケア】は、主に見守りをすることが多かった。さらに、デイホスピスや在宅 訪問活動の対象者は終末期にある人やその家族のみではなく、終末期ではない外来患者で ある高齢者や神経難病の人も含まれていた。調査協力者の語りで登場した患者は、全員在 宅で医療保険制度や介護保険制度を利用しており、ボランティアが家事、身体介護を活動 内容のメインとして行うことはなかった。例えば、医者や看護師、ヘルパー、訪問入浴業 者による在宅ケアの合間で、家族の用事がある時に留守番しながら見守りや簡単な世話を

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【家族へのケア】は、最初から家族へのケアをするために訪問するのではなく、患者へ のケアをするなかで、家族の疲れや不安を察し、ボランティア自身の介護や死別の経験を 共有しながら、家族との関係を深めていく中で行われていた。家族との付き合いは、デイ ホスピスや在宅訪問活動での交流だけでなく、様々な二ノ坂クリニックの行事(地域住民 に向けてのバザー、勉強会、音楽会等)に誘い、ふれあうこともあった。

「手と手」では、以上のように見守りを中心とした生活支援ニーズへの対応を行ってい るが、それより、患者の〈自分らしい最期の実現へのサポート〉に力を入れていた。

【生活者同士の交流】については、何らかの生活支援ニーズがほとんどなくても、孤立 しがちな患者や家族に対して、話し相手となったり、一緒に軽食をとったり、入院したら 病院にお見舞いをしたりしていた。

表 26 カテゴリー②《活動の実際》

サブカテゴリー 焦点的コード オープンコード(一部)

〈生活支援ニーズ への対応〉

【本人へのケア】

[医療行為以外に本人や家族が求めることは対応できる(B)]

[ヨーグルト等の食べ物を食べさせたことがある(B)]

[公的な医療福祉サービスを利用する合間に見守る(C)]

[ご家族の外出時の留守番、患者の見守り(D)]

[トイレ介助(D)][簡単な家事(F)]

【家族へのケア】

[家族の孤立感や負担感を理解し、支援する必要がある(B)]

[家族の話し相手をする時もある。訪問時に別室で休んでもらう(D)]

[介護に疲れた家族の気持ちを受け止め、傾聴する(J)]

〈自分らしい 最期の実現への

サポート〉

【生活者同士の 交流】

[昔話や好きなこと等、何でも気軽く話し合う(C)]

[会話が面白くて訪問活動が楽しみだった(E)]

[気遣わず、素直に話せる(F)]

[言葉が発せない人とも、ふれ合う(G)]

[病気や治療の話以外に生活の話を交わす(J)]

[外の風を持ってくることができる(L)]

[専門職と家族の間をうめる役割ができる(G)]

【願望実現への サポート】

[好きだったことや食べ物を楽しんでもらう(C)]

[オカリナ演奏、他の楽器使用、歌を歌う(G、K)]

[傾聴する(H)][安らかに逝くことを応援する(H)]

[手紙の代筆(J)][本の朗読(K)]

その他の活動 ⑫

【その他の活動】

[遺族会、養成講座時の手伝い等、二ノ坂クリニックが中心となって やっている行事のお手伝いをする(C)]

[二ノ坂医師の往診時に同行(B)(C)(F)(G)]

また、【願望実現へのサポート】については、患者の心身の状態や願望は極めて個別化さ れているため、本人と家族、コーディネーターと相談しながら、柔軟に対応していた。終 末期にある人の中には、何かやりたいことがあっても、家族にはこれ以上負担をかけられ ないと、自身の願望をおさえたり、身体的苦痛の緩和に時間やエネルギーを使いすぎて、

些細な望みは後回ししたりすることがあるという。比較的患者本人の意識が明瞭である場 合には、ボランティアが患者のやりたいことをサポートすることができ、例えば、J は、

余命があまり長くない患者さんの依頼で友人や親戚への手紙数十通を代筆した。また、神

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経難病で全く本人とのコミュニケーションがとれない状況にいる患者に対しても、その人 の個人史を踏まえ、何をすれば少しでも楽しめるかを考え、歌を歌ったり、楽器の演奏を したり、本の読み聞かせをしたりしていた(G、I、J、K、L)。

さらに、〈その他の活動〉は、二ノ坂クリニックの医師が往診する際の同行や、養成講座 やイベント時のお手伝いをしていた。

4.2.3

活動を通じてのやりがい

《活動を通じてのやりがい》は〈患者・家族とのかかわりから得られる活動の満足感〉

と、〈ボランティア自身の成長〉が確認された。

ボランティア達は、【役立てるという実感】をし、【ふれあいからの喜び】が活動の原動 力となっていた。活動を喜んでくれる人々がいて、ボランティア達の訪問を楽しみと言っ てくれる人々がいることは、何より重要な活動の対価として考えていた(B、C、D、F、G、

I、L)。

また、活動は〈ボランティア自身の成長〉につながっていると評価していた。【在宅ホス ピスに関する情報・知識の獲得】については、Hは、娘が緩和ケア病棟で療養していた6か 月間、悲しんで悩むより、自身が活動を通して知った情報をもとに、安らかな最期になる ようにサポートすることができたという。さらに、活動を通じて、患者や家族の生き方に 感銘を受けたり、自分の最期について考えさせられたりすることが多く、【死生観の内省】

につながっていた(B、E、F、J、K、L)。加えて、「手と手」の活動は、ボランティアの【社 会参加の機会の獲得】となっていた。デイホスピスや在宅訪問活動、月例会等でお菓子や 軽食をつくるのが生きがい(C、E)となったり、患者や家族、ボランティアの仲間、医療 福祉専門職との新たな出会いや交流を楽しんだりしていた(I、J、L)。

表 27 カテゴリー③《活動を通じてのやりがい》

サブカテゴリー 焦点的コード オープンコード(一部)

〈患者・家族との かかわりから

得られる 活動の満足感〉

【役立てる という実感】

[喜んでいただくことが嬉しい(B)]

[患者にボランティアがきて生きがいができたと言われた(D))

[必要とされたり行く場所があったりすることがありがたい(L)]

【ふれあい からの喜び】

[患者・家族とのふれ合いから得る喜びがある(G)]

[患者・家族とのふれ合いで、自分自身が癒される(I)]

[人との交流で自分のことを忘れる(F)]

〈ボランティア 自身の成長〉

【在宅ホスピス に関する情報・

知識の獲得】

[同居している家族や自身の最期(死に方)を考える(F)(K)]

[娘ががんで亡くなったが、その療養時に役に立った(H)]

[子供に在宅ホスピスの良さについて教えたい(L)]

【死生観の 内省】

[自身の死生観について考えさせられた(B)(E)(H)]

[自分の老後について考える機会をもらう(J)]

【社会参加の 機会の獲得】

[「手と手」はボランティアの活躍できる居場所、生きがいの場所(C)]

[デイホスピスのために料理を作るのが自分の生きがいである(E)]

[仲間から様々な情報が得られる(I)]

[人のために活動しているといいながら、自分が楽しんでいる(J)]

[他のボランティアの考え方も受け入れるようになった(L)]

[いい出会いがいっぱいで、生活にめりはりがでた(L)]

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