各種株式の資金調達方法別による企業と投資者への税制上の効果

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第 2 章 各論

2.7. 鉱業税制

2.7.5. 各種株式の資金調達方法別による企業と投資者への税制上の効果

2.7.5.1. Federal Flow Through Share Program (FTS) 概要 :

フロースルー株とは、株式、または株式を購入する権利(Warrant ワラント)のこ とである。これは、法人または個人の投資家がフロースルー株を購入すると、

株の応募価格を限度として、カナダ新鉱床探鉱費とカナダ資源開発費の名目 で、控除可能な経費として配分を受けるものである。フロースルー株式発行法 人は、フロースルー株からの対価として調達した金額に相当する額を、探鉱費 または開発費として支出しなければならない。通常フロースルー株式は、操業 鉱山からの収益がない法人によって発行される。つまり、法人は経費を控除す る所得がないため、控除額権利を放棄することにより、その権利を投資家に譲 渡し、投資家が経費を負担したものとみなされる仕組みになっている。ただし、

投資家は、普通株主と同じリスクを持ち、優先株とすることはできない。また、

法人が放棄して投資者へ還元する経費は、カナダでの探鉱および開発費に限 られる。

目的 :

収益のないジュニア企業が、探鉱活動の為に、フロースルー株主に控除を認 めることにより探鉱および鉱山開発への投資リスクを小さくし、株式市場での 資金調達を容易にすることを目的としている。実際、「フロースルー株制度がな ければ、株式を発行できなかった」と述べる企業もあるほど、フロースルー株式 は探鉱活動を中心とするジュニア企業にとって、非常に優遇された株式であり、

また、所得税対策として控除額を必要とする高所得者にとって、大変魅力的な 投資形態である。

投資家、探鉱活動家の資格 :

フロースルー株式発行法人は、カナダで規定された探鉱活動を行う企業であ ること、また、フロースルー株発行合意書に基づく一般株を発行している法人 であること。

投資家は、個人、法人、企業合同、資源開発共同体であることが認められてい る。

作用 :

フロースルー株式発行法人が放棄した経費は、100%控除が可能である。

CEE(Canadian Exploration Expenses、詳細は 2.7.5.1「許可されている支 出」を参照)は関連する控除掛け金額を差し引かなければならない。

その年に控除されなかった控除額は累積され、控除がされるまで無期限で繰 越すことができる。

有効期間 :

カナダ政府のフロースルー株は、1986年2月以降に発行されたものでなけれ ばならない。また現在連邦政府のフロースルー株優遇措置には打ち切り期限 がない。

許可されている支出 :

CEE (Canadian Exploration Expenses) (100%)カナダ新鉱床探鉱費:

CEE と認められた経費は、フロースルー株主に 100%控除額として対価額を 限度とし、株式発行法人から株主へ譲渡が許される。

当該法人から発生した次の経費が、CEEとして認められている。

カナダにおいて鉱物資源の賦存、所在地、埋蔵量及び品位を調査するために 発生した経費: 地質学、地球科学などの調査、グラスルーツ探鉱と呼ばれる トレチング、予備サンプル採集(サンプルに関しては、各サンプルが 15 トン以 下に限ること、また年間に 1 つの鉱物資源に対して採取されたサンプルの合 計が、1000 トン以下であることが制限される)作業。カナダにおける開発費。さ らに伐採、表土除去および表土剥ぎ取り作業。立坑掘削、坑口その他の地下 への入り口建設作業。但し、商業量に達した鉱山の経費とみなされた場合に は、その経費はCEEとはみなされない。

CDE (Canadian Development Expenses) (30%) カナダ資源開発費:

CDE とみなされる費用は、その金額の 30%に値する額の経費控除が認めら れる。CDE には次のものが含まれる: 鉱業権益の取得費用、減価償却の資 産に含まれないもの。

フロースルー(経費控除権譲渡)の方法 :

フロースルー株主に、経費控除権を譲渡するには、次の 2つのタイミングが可 能である。

a. Regular Renunciation: その年に実際に計上した経費を譲渡する。

b. Lookback Renunciation(ルック・バック方式):まだ計上はしていない が、翌年に計上するとみなされる予想額を譲渡する。この場合には、

経費の使用期限があり、期限以内に経費が計上されない場合、10%

のペナルティーがある。

ルックバック方式を使用した例

• 12月15日にフロースルー株の合意書が交わされたと仮定する

• EDR (Effective Date of Renunciation―放棄の有効期日)はルックバック方 式を使用する場合には1年目の12月31日と見なされる。通常、ルックバッ ク方式を使用しない場合にはEDRは実際に経費の控除権を譲渡すると申 請された期日が放棄の有効期日とされる。

• EDRの期日までに株を発行する法人は、応募価格を受領する。

• 発行法人と投資家は、Arm’s Length(対等な立場)で取引をしなければなら ない。

• 投資家は、Year 1に経費の控除権を譲渡される。

• 株を発行した法人は、year 2の2月末までに、調達した額と同等の額を認め られているCEEかCDEに投資し、経費が計上されなければならない。 もし 経費が計上されていない場合には、ペナルティーが発生する。

• さらに、Year 2の12月31

日までに経費が計上されない場合には、over-renouncedとされ、投資家にも、申告を訂正しなければならないと言ったペナ

ルティーが発生する。

ルックバックの仕組み

Year 1:

12月15日

Year 1:

12月31日 (EDR)

Year 2:

3月1日

Year 2:

12月31日 Period of

Pentalty

Over-Renounced 許可されていない支出 :

Canadian Exploration & Development Overhead Expense (CEDOE) 減価償却が対象の設備投資費

また、砂鉱と認められる砂、砂利などは、フロースルーの対象に含まれない。

さらに、既存の鉱山に関連するとされる経費も認められない。

2.7.5.2. Investment Tax Credit for Exploration (ITCE)15%

目的 :

スーパーフロースルー株と呼ばれるものには、連邦政府探鉱投資税控除 (ITCE)15%が認められており、個人のフロースルー株投資家に、さらなる優遇 措置を図る。 但し、法人のフロースルー株投資家法人の株主及び石油、ガス、

石炭の発見と開発を目的とした活動には適用されない。

投資家、探鉱活動家の資格 :

フロースルー株式発行法人は、カナダで規定された探鉱活動を行う企業であ ること、また、フロースルー株発行合意書に基づく一般株を発行している法人 であること。

投資家は、個人、企業合同(パートナーシップ)、であることが認められている。

作用 :

フロースルー株式発行法人が放棄した経費の 100%控除に加え、さらに、

15%の税控除が認められる。 連邦政府に対する納税額が免除されるが、現 金による払い戻しは適用されない。また、フロースルー株式法人から譲渡され た年に使用されない 15%税控除は、過去 3 年まで繰り戻すこと、または、10 年まで繰り越すことが許される。

有効期間 :

フロースルー株発行の合意書が、2000年10月17日付け以降でなければな らない。経費の計上期限は、2000年10月17日以降から、2005年12月31 日までとされていたが、保守党の当選により延長が決定された(詳細は未発 表)。また、上記記述のルック・バック方式を使用した場合には、以前の期限で は 2006 年 12 月 31 日まで経費の計上で打ち切られることになっていたが、

保守党の連邦政府の当選により、スーパーフロースルー株の措置が延期され ることになった。

申告期限 :

経費控除権が譲渡された年の、個人の確定申告締め切り期日より一年以内

許可されている支出 :

CEE (Canadian Exploration Expenses) (100%):カナダ新鉱床探鉱費と認 められる経費 (上記参照)の中で、地上表面の探索でGrassroots探鉱と認め られる作業のみ(フロースルー鉱業経費)。 “Mineral Resource 鉱物資源”の

“特別なサンプル収集調査”と認められるもの、つまり、非常に限られた探鉱活 動作業のみに適用する (詳細に関しては、下記の「許可されていない支出」

の項を参照)。

フロースルー株の“Mineral Resource” は、カナダ税法の248条に基づく:

• ベースメタルまたは貴金属

• 次のどれかの条件を満たす資源鉱床である

1. カナダ天然資源省大臣が許可している鉱物資源ではある が、主要鉱物が砂鉱で、その砂鉱に含まれる非鉄金属に は適用されない。

2. 主要鉱物資源が、アンモナイト、宝石鉱床、塩化カルシウ ム、ダイアモンド、石膏、岩塩(Halite), カオリン(kaolin)、カ リ岩塩 (sylvite)である

3. 主要鉱物資源が砂岩か結晶から摘出されたシリカ(silica) である

許可されていない支出 :

• カナダ探鉱開発間接費(Canadian Exploration & Development Overhead Expense:CEDOE)

• 地下での探鉱活動Shaft Sinking,

• 減価償却が対象となる設備投資費

• 操業準備開発コスト

• 15トン以上のバルクサンプル調査経費

• バルクサンプル調査の総重量が、年間1,000トンを超えた場合

• カナダ資源開発費(Canadian Development Expenses:CDE) (上記 参照)

2.7.5.3. BC Mining Flow-Through Share Tax Credit (BCMFTS – Super Flow-Through Shares) 20%

目的 :

個人のフロースルー株投資家への連邦政府からの優遇措置(ITCE)に加え、

ブリティッシュ・コロンビア州政府では、探鉱投資税控除 20% (BC 州の場合

「BCMFTS」と呼ばれている。)が認められており、スーパーフロースルー株と 呼ばれている。但し、法人のフロースルー株投資家、法人の株主、石油、ガス、

石炭の発見と開発を目的としたの活動の資金調達に発行されたフロースルー 株には適用されない。 また、ブリティッシュ・コロンビア州で発生した探鉱活動 経費にのみ優遇措置が適用される。

投資家、探鉱活動家の資格 :

フロースルー株式発行法人は、カナダで規定された探鉱活動を行う企業であ ること。

投資家は、個人、企業合同(パートナーシップ)であることが認められている。

作用 :

フロースルー株式発行法人が放棄した経費の100%控除、ITCEの15%の税

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