(1) 既往の油・ガス田情報と可採埋蔵量
北極圏に属するノルウェー、ロシア、カナダ、米国では、すでに多くの地域が地質調 査され、2007年までに400 以上の石油・天然ガス田が確認され、うち284は陸域にあ る。油田・ガス田ともに主として5地域:ロシアのティマン・ペチョラ北部とその沖、
西シベリア北部(ヤマル半島地域)、カナダのマッケンジー・バレー地域およびクィー ンエリザベス諸島、米国(アラスカ)プルドー・ベイ地域に集中する。
既発見の可採埋蔵量は北極圏全体では、石油換算で 3,117 億バレル1、うち石油 400 億バレル、天然ガス1,100兆立方フィート、割合では石油約15%、ガス約82%、天然ガ
ス液約3%となっている。北極海はこの北極圏の約2/3を占め、かつ、その約半分は水
深500m以浅の大陸棚となっているにもかかわらず、この広大な海域のほとんどは未探 鉱となっている。
図3.1 北極圏における石油・天然ガス開発サイト2
1 佐藤大地:北極圏の石油ガス探鉱開発状況、石油・天然ガスレビュー、Vol.44 No.2、pp.17-32、2010.3
2 Fossil fuel resources and oil and gas production in the Arctic. (2007). In UNEP/GRID-Arendal Maps and Graphics Library. Retrieved 03:08, December 7, 2011 from
http://maps.grida.no/go/graphic/fossil-fuel-resources-and-oil-and-gas-production-in-the-arctic.
(2) USGSによる調査レポート
2008年5月、米国地質調査所(U.S. Geological Survey:USGS)は、北極圏地域(北緯
66.56°以北)における未発見の石油・天然ガス資源に関し、既存データをもとに確率
論的な調査を行った結果を発表し3、世界中から大きな注目を集めた。
この報告によると、調査を行った33地域中25地域において、採掘可能な石油5千万 バレル相当以上の発見可能性が10%以上となり、推定された未発見の可採資源量は合計 で石油900億バレル、天然ガス1,669兆立方フィート、天然ガス液440億バレルと報告 された。これは世界全体では、石油の未発見資源量の 13%、天然ガスでは 30%に相当 する。
これら資源の多くは北極海の大陸棚部にあって、天然ガスではロシア側、石油は北米 側およびグリーンランド海域に多く賦存すると評価されている。未発見の石油資源のう ち、約60%は6地域:アラスカ・プラットフォーム、カニング-マッケンジー、北バレ ンツ堆積盆地、エニセイ-ハタンガ盆地、北西グリーンランド・リフト縁辺、南ダンメ ルクシュバン堆積盆地に集積している。天然ガスでは、全資源量の約2/3が4地域:カ ラ海南部、南バレンツ堆積盆地、北バレンツ堆積盆地、アラスカ・プラットフォームに 集積している4,5。
図3.2 北極圏における未発見の石油および天然ガス資源6
3 Circum-Arctic Resource Appraisal Assessment Team : Circum-Arctic Resource Appraisal: Estimates of Undiscovered Oil and Gas North of the Arctic Circle, U.S. Geological Survey, 2008.
4 中水 勝:『次世代の探鉱機会:非在来型資源、北極圏、大水深域、~AAPG2011年次総会・講演と展示 会に参加して~』、JOGMEC石油・天然ガスレビュー、pp.93-107, 2011.
5 Donald L. Gautier : “Oil and Gas Resource Potential North of the Arctic Circle”, 2011 INTERNATIONAL OIL SPILL CONFERENCE
6 Donald L. Gautier : “Oil and Gas Resource Potential North of the Arctic Circle”, 2011 INTERNATIONAL OIL
(3) 北極圏の鉱物資源
ロシアの国土には多種の鉱物資源が賦存しているが、その開発は経済性や技術上の問 題から、国土の南側の交通・産業の発達した地域が主体となっており、北極圏での開発・
生産サイトは限られている(図 3.3)。このなかでは、ニッケル資源の約 85%、銅資源 の60%、およびプラチナ資源の95%が北極圏のノリリスク地域に集まっている。ノリ リスクニッケル社がこれを通年で開発・生産しており、生産物は結氷期も含め北極海航 路を利用して積み出しされている。
このほか北極圏において、ノバヤゼムリヤにはマンガン鉱および複雑鉱石、タイミル 半島およびサハ共和国北部にも有望な鉱床が分布すると言われる。チュコートカ自治区 では、カナダ資本が参加してKupol金鉱の開発が進められている。プロジェクト・カー ゴ輸送のため、ペベク港の港湾施設を整備して利用している。生産は2008年後半から 始まり、2009年末までに234,265 gold equivalent ouncesを生産したといわれている7。
ノルウェー北端のフィンマルク県北部に位置するキルケネスでは、2006 年、それま で閉山されていたSydvarangerの鉄鉱石鉱山をTschudi Shipping Co. ASが購入し、2009 年に生産を再開した。生産された鉄鋼石は、北極海航路を通じて中国にも輸送されてい る。そのほか、カナダ北部のノースウェスト準州およびヌナバット州では5箇所の鉱山 においてダイヤモンド開発が進められている。これにより、カナダは世界第5位の生産 量を誇っている。
図3.3 ロシアの鉱物資源生産サイト8
SPILL CONFERENCE
7 http://www.mining-technology.com/projects/kupalgoldandsilver/
8АТЛАСЫ с КОНТУРНЫМИ КАРТАМИ по ГЕОГРАФИИ, ОТДЕЛ ПРОДАЖИ に加筆
鉄鉱石 黄鉛,クロム鉄鉱
ニッケル 銅
マンガン 錫 アルミニウム(ボー キサイト,霞石)
錫 亜鉛石
銅
亜 鉛 鉛
マグネシウム, チタン ニッケル アルミニウム
生産量 酸化アルミニウム生産量 鉱山
酸化アルミニウム 工場
金