第 7 章 ネットワークでの利用例 81
7.4 外部からのアクセスを制限する
7.4.2 動的にアクセスを許可するフィルタリングを設定する
フィルタリング機能だけではなく、他のセキュリティ手法も加えて、ネットワークセキュリティ を向上させることをお勧めします。
設定の流れ
( 1 )
フィルタを設計するどのようなアクセスを許可し、どのようなアクセスを遮断するのかを決めます。
( 2 )
フィルタを設定する設計に基づき、フィルタの設定を行います。
( 3 )
設定を保存するすべての設定を保存します。
設定手順
( 1 )フィルタを設計する
次のようなアクセス制限を行うものとします。
A. 内部から外部に対するアクセスはFTPのみ許可 B. 外部からSEILへのアクセスはICMP以外すべて禁止
C. 外部から内部のホストへのアクセスはA.によるもの以外はすべて禁止 これを実現するためには、次のようなフィルタが必要になります。
a. LANに割り当てているグローバルアドレス空間(172.16.0.0/24)から外部に対するFTPを 使ったアクセスをすべて通す動的フィルタ
b. 外部からSEIL(10.0.0.1)に対するICMPによるアクセスをすべて通すフィルタ c. 外部からのアクセスをすべて遮断するフィルタ
FTPはあらかじめ21番ポートを用いて接続したあとにサーバ-クライアント間で通信を行って互 いに合意したポートをデータ転送に使用するため、静的フィルタでは上記のようなアクセス制限 を行うことは不可能です。そのため、a.にて動的フィルタ機能を用います。
※ 許可したいアクセスがc. のフィルタで遮断されてしまわないように、c. のフィルタの優先 順位を1番低くする必要があります。
※ フィルタの処理はNAT/NAPT処理が行われたあとに実行されます。NAT/NAPT機能を使用 している場合は、グローバルアドレスではなくNAT/NAPT変換後のアドレスに対してフィ ルタをかける必要があります。
( 2 )フィルタを設計する
さい。
SEILに管理者アカウントでログインし、a.のフィルタを追加します。以下の設定を行ってく だい。
設定項目 パラメータ フィルタ名 ftppass アクション pass インターフェイス pppoe0
方向 out
プロトコル tcp 送信元IPアドレス 172.16.0.0/24
ポート番号 21 動的フィルタ設定 enable
ログの取得 off 優先順位 top
有効/無効 enable
■ 記述例
¶ ³
# filter add ftppass action pass interface pppoe0 direction out protocol tcp src 172.16.0.0/24 dstport 21 state enable logging off top enable
µ ´
■ パラメータ解説 filter add ftppass
フィルタ名として「ftppass」を設定します。
action pass
続けて、アクションとして、条件に合致したパケットのアクセスを許可するため「pass」 を設定します。
interface pppoe0
続けて、インターフェイスとして「pppoe0」を設定します。
direction out
続けて、方向として、対象が内部から外部へのアクセスであるため「out」を設定し ます。
src 172.16.0.0/24 dstport 21
続 け て 、送 信 元 IP ア ド レ ス と し て 、LAN 側 の グ ロ ー バ ル ア ド レ ス で あ る
「172.16.0.0/24」を設定します。ネットマスク長の値は、LAN側のネットワークを指
定するため「24」となります。さらに、送信先ポート番号として「21」を設定します。
state enable
続けて、動的フィルタ機能を有効にするため「state enable」を設定します。
logging off
続けて、ログの取得は行わないため「off」を設定します。
top
続けて、優先順位として、最優先にするため「top」を設定します。
enable
続けて、設定を有効にするため「enable」を設定します。
b.のフィルタを設定する場合、以下の設定を行ってください。
設定項目 パラメータ フィルタ名 icmppass アクション pass インターフェイス pppoe0
方向 in
プロトコル icmp 送信先IPアドレス 10.0.0.1/32
ログの取得 off
優先順位 below ftppass (aの次)
有効/無効 enable
■ 記述例
¶ ³
# filter add icmppass action pass interface pppoe0 direction in protocol icmp dst 10.0.0.1/32 logging off below ftppass enable
µ ´
■ パラメータ解説
filter add icmppass
フィルタ名として「icmppass」を設定します。
続けて、インターフェイスとして「pppoe0」を設定します。
direction in
続けて、方向として、対象が外部から内部へのアクセスであるため「in」を設定します。
protocol icmp
続けて、プロトコルとして、対象がICMPを使ったアクセスであるため「icmp」を設 定します。
dst 10.0.0.1/32
続けて、送信先IPアドレスとして、SEILのグローバルアドレスである「10.0.0.1/32」 を設定します。ネットマスク長の値は、ネットワークではなくSEIL自身を指定する ため「32」となります。
logging off
続けて、ログの取得は行わないため「off」を設定します。
below ftppass
続けて、優先順位として、a.のフィルタよりも優先順位を低くするため「below ftppass」を設定します。
enable
続けて、設定を有効にするため「enable」を設定します。
c.のフィルタを設定する場合、以下の設定を行ってください。
設定項目 パラメータ フィルタ名 allblock アクション block インターフェイス pppoe0
方向 in
プロトコル any ログの取得 off
優先順位 bottom
有効/無効 enable
■ 記述例
¶ ³
# filter add allblock action block interface pppoe0 direction in protocol any logging off bottom enable
µ ´
■ パラメータ解説
filter add allblock
フィルタ名として「allblock」を設定します。
action block
続けて、アクションとして、条件に合致したパケットのアクセスを遮断するため
「block」を設定します。
interface pppoe0
続けて、インターフェイスとして「pppoe0」を設定します。
direction in
続けて、方向として、対象が外部から内部へのアクセスであるため「in」を設定します。
protocol any
続けて、プロトコルとして、a.からc.までのフィルタの対象とならなかったすべての パケットを遮断するため「any」を設定します。
logging off
続けて、ログの取得は行わないため「off」を設定します。
bottom
続けて、優先順位として、a.からb.までのフィルタよりも優先順位を低くするため
「bottom」を設定します。
enable
続けて、設定を有効にするため「enable」を設定します。
( 3 )設定を保存する
すべての設定が終了したら、save-toコマンドにより設定内容の保存をします。詳細は、 ó
[6.3.1設定内容の保存・読込・取得¤ ¡
£P.62¢]をご覧ください。
以上でフィルタの設定は完了です。変更した設定内容はバックアップをとっておくことをお勧め します。