第 3 章 Himawari : 向日葵をモチーフにした植物型ロボット
3.7 実装
3.7.1 制御システム
図 3-15
制御システム概略図 3-16
形状記憶合金アクチュエータの制御の流れ3.7.2 形状記憶合金アクチュエータ
いたり、LED が輝くことができる。また、人間の手の動きは不規則であるため、
それに反応した触手や LED も不規則に動作する。この不規則さが、有機的な触 手の蠢きや LED の輝きを生む要因にもなっている。
Himawari の触手や花びらの駆動には、SMD を応用して形状記憶合金アクチュ エータを採用している。形状記憶合金アクチュエータは、小型で近接して配置す ることが可能であり、駆動の際にも音がしない特徴を持つ。
また、Himawari で開発した形状記憶合金アクチュエータに近い動作をするも のにペコッぱ [46] がある。ペコッぱには、バイオメタルファイバー [48] と呼ば れる形状記憶合金素材が用いられているが、その製造のためにはアクチュエータ の素材であるシリコンチューブとバイオメタルファイバーが高価になる。そのた め、Himawari では安価で手に入りやすい形状記憶合金線材を加工して、アクチュ エータを開発している。
今回用いた形状記憶合金線材は、株式会社吉見製作所(http://www.yoshimi-inc.co.jp)が工作用や釣り具用として販売している直径 0.3mm のものである。
形状記憶合金線材は細ければ細いほど、加熱冷却に対する形状変化の応答速度が 早い。直径 0.3mm の形状記憶合金線材は、株式会社吉見製作所で安価に手に入 る最も細いものである。この形状記憶合金線材を、円柱型の鉄柱に巻きつけて曲 線記憶加工処理させた。図 3-17 は、その加工処理の手順を図解したものである。
図 3-17 ②の円柱型の鉄柱の直径を 2cm と 3cm のものを使って曲線記憶加工 処理した2種類の形状記憶合金線材を準備し、図 3-18 のように動作実験を行っ て比較した。
図 3-17
形状記憶合金線材の曲線記憶加工処理の行程図 3-18
曲線記憶加工処理した形状記憶合金線材の動作比較図 3-19
形状記憶合金アクチュエータの構造図 3-19 は、形状記憶合金アクチュエータの構造図である。シリコンチューブ(外 径 2mm、内径 1mm、全長 35mm)の中に、駆動用の曲線記憶形状記憶合金(直 径 0.3mm)、もどりバネ用の超弾性形状記憶合金(直径 0.2mm)、導通用のエナ メル線が入っている。曲線記憶形状記憶合金とエナメル線をつなぎ、電圧をかけ ることで曲線記憶形状記憶合金が駆動する。電圧を加えることで加熱されて曲が り、電圧を止めると自然空冷により冷却されて初期状態の形にもどる。
また、アクチュエータは初期状態で軽くまがった状態となっている。これには、
もどりバネの強さが関係する。もどりバネをより太いものに変更すれば、初期状 態の形をより真っすぐにすることができるが、バネの力が強いために電圧を加え た時の曲線記憶形状記憶合金の曲がり方が弱くなる。さらに、Himawari の花部 分に取り付ける触手としても、少し曲がっていたほうがデザインとして好ましい ことから、もどりバネには直径 0.2mm のものを選択している。
図 3-18 のように、曲線記憶加工処理した形状記憶合金線材は、常温で可能な 限りまっすぐに伸ばしたが、鉄柱の太さが直径 2cm で加工した方が少し曲がっ たままになった。通電加熱した場合は、直径 2cm で加工した方がよく曲がり、
常温初期状態と加熱した状態の形状変化が大きい。この形状変化の大きい方が、
動きの表現力が高いと考え、本研究では直径 2cm で加工したものを選択した。