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(価格等調査ガイドライン)について

ドキュメント内 ARES41号 法人税法研究 租税法講義資料2009 (ページ 46-52)

平成21年3月31日の国土審議会土地政策 分科会不動産鑑定評価部会報告書におい て、不動産鑑定評価基準に則ったものから 簡易なものまで含め、不動産鑑定士が行う 価格等調査全般について、確認、確定する べき業務の目的や利用者の範囲、価格等調 査の成果報告書への記載事項等に関する最 低限のルールとして、「不動産鑑定士が不 動産に関する価格等調査を行う場合の業務 の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記 載事項に関するガイドライン(略称、価格 等調査ガイドライン)」のポイント及び素 案が示されました。そこでのポイントは、

大きく次の3点です。

まず1点目は、不動産鑑定士が価格等調 査業務を実施する場合、不動産鑑定士が不 動産の鑑定評価を行うに当たっての統一的 基準である不動産鑑定評価基準に則った鑑 定評価を行うことが原則であり、不動産鑑 定評価基準に則らない価格等調査が是認さ れるのは、依頼目的や結果の利用者等の範 囲からみて妥当と判断される場合に限られ るということです。

2点目は、価格等調査業務の内容及び手 法は、依頼者のニーズに応じて様々なもの となることが想定されるため、不動産鑑定 士は、その依頼目的や結果の利用者等の範 囲等について業務の開始前に依頼者に確認 し、当該目的や利用者等の範囲に適した調 査の基本的事項や手順等を判断し、これを 依頼者に知らせ合意を得ることが必要とな るということです。

そして3点目は、この結果、不動産鑑定 評価基準によらない価格等調査を実施した 場合、その結果が不動産鑑定評価基準に則 った鑑定評価とは異なる可能性がある旨 や、当該調査は事前に確認した目的と利用

ARES REPORT

不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を 行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成 果報告書の記載事項に関するガイドライン

(価格等調査ガイドライン)について

者を前提として行われたものでありその他 の目的での使用及びその他の者への開示は 想定していない旨を記載することとする 等、成果報告書への記載事項に関してもル ールが必要であるということです。

国土交通省により、報告書の素案につい てパブリックコメントの募集が行われ、平 成21年8月28日付けで、国土交通事務次官 通知として国土交通大臣登録不動産鑑定業 者等へ通知が行われました。また、価格等 調査ガイドラインの解釈等を示す運用上の 留意事項が定められ、同時に通知が行われ ました。

価格等調査ガイドラインの概要

以下、価格等調査ガイドラインの概要に ついて解説します。

Ⅰ.総則 1.趣旨

価格等調査ガイドラインは、不動産鑑定 士が、価格等調査の目的と範囲等に関して 依頼者との間で確定すべき事項及び成果報 告書の記載事項等について定めるものです。

2.用語の定義

・「価格等」:不動産の価格又は賃料をい います。

・「価格等調査」:不動産の価格等を文書 等に表示する調査をいいます。依頼者、

公表される第三者又は開示・提出先に対 して価格等を示すことを最終な目的とし ていなくても、価格等を求め、それを利 用して不動産の利用、取引又は投資に関

して相談に応じるなど、その業務の過程 で価格等を示すものは価格等調査ガイド ラインの対象とする価格等調査に含まれ ます。なお、価格等調査は、不動産鑑定 評価法第3条第1項の業務(鑑定評価業 務) の 場合の ほ か 、 同条第2 項の 業務

(隣接・周辺業務)の場合があります。

・「不動産鑑定評価基準に則った鑑定評 価」:不動産鑑定評価基準の全ての内容 に従って行われる価格等調査をいい、例 えば、他の手法の適用が困難でないにも かかわらず不動産鑑定評価基準に定める 鑑定評価の手法のうちの一のみを適用し た価格調査など、不動産鑑定評価基準の 一部分のみを適用・準用した価格等調査

は含まれません。 等

3.価格等調査ガイドラインの適用範囲と 不動産鑑定評価基準との関係

価格等調査ガイドラインは、不動産鑑定 評価法第3条第1項の不動産の鑑定評価であ るか同条第2項のいわゆる隣接・周辺業務 であるかを問わず、価格等調査を行う場合 に、不動産鑑定士が従うべき業務の方法等 を示すものであり、不動産鑑定評価基準に 則った鑑定評価を行う場合は、不動産鑑定 評価基準のほか、価格等調査ガイドライン に従うものとします。

また、国または地方公共団体が依頼する 地価公示、都道府県地価調査、路線価、固 定資産税評価等、別に法令等に定めるもの は当該法令等に従うものとし、価格等調査 ガイドラインは適用しません。

4.不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価 とそれ以外の価格等調査との峻別等

不動産鑑定士が不動産の価格等を調査す るに当たっては、不動産鑑定評価基準に則 った鑑定評価を行うことを原則とします。

ただし、以下のいずれかに該当する場合に は、不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価 を行うことを必ずしも求めるものではあり ません。

①調査価格等が依頼者の内部における 使用にとどまる場合

②成果報告書又は価格等調査の結果で ある価格等が公表・開示・提出され る場合でも、公表される第三者又は 開示・提出先の判断に大きな影響を 与えないと判断される場合

③価格等調査の結果である価格等が公 表されない場合で、成果報告書の全 ての開示・提出先の承諾が得られた 場合

④不動産鑑定評価基準に則ることがで きない場合

⑤その他、「依頼目的、調査価格等が開 示される範囲又は公表の有無等」を 勘案して不動産鑑定評価基準に則ら ないことに合理的な理由がある場合 なお、⑤の場合を例示すれば、調査結果 が公表・開示・提出され、公表される第三 者又は開示・提出先に影響を与える場合で も、過去に不動産鑑定評価基準に則った鑑 定評価が行われたことがある不動産の再評 価を行う場合において、自ら実地調査を行 い又は過去に行ったことがあり、当該不動 産の不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価 が行われた時点と比較して当該不動産の物

的状況や権利関係及び当該不動産の用途や 所在地にかんがみて公示地価その他地価に 関する指標や取引価格、賃料、利回り等の 価格等形成要因に重要な変化がないと認め られる場合が挙げられます。

5.特定の想定上の条件を付加した価格等 調査について

未竣工建物を含む不動産の竣工を前提と して行う価格等調査や土壌汚染の可能性を 考慮外とする価格等調査などの想定上の条 件を付加した価格等調査が、これらの条件 を付加することによって不動産鑑定評価基 準に則ることができなくなる場合には、原 則として、不動産鑑定評価基準に則ること ができない箇所を除いて不動産鑑定評価基 準に則るものとします。

Ⅱ.業務の目的と範囲等の確定

価格等調査の業務の目的と範囲等を確定 する不動産鑑定士は、あらかじめ、以下の 事項を依頼者に確認した上で確定し、不動 産鑑定業者は、当該事項が明記された文書 等を契約の締結までに依頼者に交付しま す。契約の締結後に変更があった場合には、

依頼者に確認の上で確定し、成果報告書の 交付までに変更を明記した文書等を依頼者 に交付します。なお、この文書等は、必ず しも価格等調査の対象となる不動産ごとに 作成・交付する必要はなく、契約ごと等依 頼目的や調査結果の公表・開示・提出の範 囲等を勘案し適当と思われる単位で作成・

交付すれば足ります。

1.依頼者及び成果報告書の提出先 2.依頼目的、調査価格等が開示され ARES REPORT

る範囲又は公表の有無等(①価格 等調査の依頼目的、②開示範囲又 は公表の有無、③事後の公表・開 示範囲の拡大の際の承諾の必要性、

④開示・提出先の承諾)

3.利害関係等(①不動産鑑定士又は 不動産鑑定業者の対象不動産に関 する利害関係等、②依頼者と不動 産鑑定士又は不動産鑑定業者との 間の関係、③開示・提出先と不動 産鑑定士及び不動産鑑定業者との 間の関係、④依頼者の証券化関係 者との関係)

4.価格等調査の基本的事項

①対象不動産

②対象確定条件

③価格等調査の時点

④価格等を求める方法又は価格等の 種類

⑤想定上の条件:実現性、合法性、

関係当事者及び第三者の利益を害 する恐れがないか等の観点から妥 当な想定上の条件に該当しないと 判断される想定上の条件を付加す る場合、そのことが合理的である 理由を検証する。

⑥不動産鑑定評価基準に則った鑑定 評価との主な相違点及びその妥当 性        

5.価格等調査の手順(①調査スケジ ュール、②実地調査の有無及びそ の方法、③資料の収集及び整理の 方法、④適用する価格等調査の手 法、⑤不動産鑑定評価基準に則っ た鑑定評価との主な相違点及びそ

の妥当性)

6.不動産鑑定評価基準に則った鑑定 評価と結果が異なる可能性がある 旨(不動産鑑定評価基準に則らな い場合に限る。)

1.や2.は、必ずしも個別具体的な名称 等は必要ではなく、提出・開示の目的や提 出先・開示先の属性等利用目的の把握に資 するもので足ります。

3.でいう不動産鑑定士とは、他の不動 産鑑定業者に業務の全部又は一部を再委託 した場合の当該不動産鑑定業者の不動産鑑 定士を含め、価格等調査に関与する不動産 鑑定士全員をいい、不動産鑑定業者とは、

価格等調査に関与する不動産鑑定士を当該 価格等調査に従事させている不動産鑑定業 者のすべてをいいます。また、ここで明記 すべき関係の有無及び内容は、依頼者と不 動産鑑定業者の場合であれば、最低限、以 下の①から③のとおりです。

①資本的関係:不動産鑑定業者が依頼者の 関連会社である、又は依頼者が不動産鑑 定業者の関連会社である場合には、その 旨及び出資割合

②人的関係:不動産鑑定業者又は不動産鑑 定業者を代表する者が依頼者又は依頼者 を代表する者である場合には、その旨

③取引関係:不動産鑑定業者の負債の過半 が依頼者からの借入れである場合にはそ の旨及び割合。依頼者との取引が不動産 鑑定業者の全売上(兼業している場合は その業務に係るものも含む)の過半を占 める場合には、その旨及び割合。依頼者 との取引が不動産鑑定業者の鑑定評価等 業務受注額の過半を占める場合には、そ

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