2010年11月,国家標準化管理委員会,国家発展改革委員会は共同で国家IoT基礎標準ワーキンググループ を成立した.ワーキンググループの主な役割は,
① 中国の国情に合ったIoTの技術構造と標準体系を研究するために提案する
② IoTの重要技術と基礎通用技術の標準訂正プロジェクトを提案すると標準制定など指導する
2018年4月,病院の情報化建設を推進し規範化するため,国家衛生委員会は「全国病院情報化建設基準と 規範(試行)」について21種類の医療IoT利用シーンを明確にした(図 1-19).
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図 1-19 21種類の医療IoT利用シーン 出所:各種資料を基に筆者作成
以上21種類のシーンをめぐって以下の人工知能の医療活動を展開する.
1. 人工知能に基づく臨床診断と治療の意思決定支援システムを開発し,そしてスマート医学映像識別,
病理分型,多学科の立会診査や様々な医療健康シーンにおけるスマート音声技術の応用を展開し,医療サー ビスの効率を向上させる.中医弁証論治スマート補助システム応用をサポートし,基層中医診療サービス能 力を高める.人工知能技術や医療健康スマート機器に基づくモバイル医療示範を展開し,個人健康のリアル タイムのモニタリングと評価,疾病予知,慢性疾患の検査,積極的な介入を実現する.
2.臨床及び科学研究データの統合と適用を強化し,医療健康関連の人工知能技術,医療用ロボット,大 型医療設備,緊急救急医療設備,生物学的三次元印刷技術とウェアラブル設備の開発を支援する.産業用イ ンターネットの技術革新の発展傾向を順応し,医療健康設備の製造レベルのデジタル化と知能化を向上さ せ,産業のグレードアップを促進する.
人工知能に関する医療市場の現状
また市場の状況について表1を見ると,2018年12月まで,国内1級市場で2018年には北京の人工知能投 資統合案が21件で413億円,医療情報化投資統合案が16件で152億円に達した.2018年には上海の人工知 能投資統合案が7件で116億円,医療情報化投資統合案が6件で76億円に達した.2018年には広州の人工知 能投資統合案が8件で83億円,医療情報化投資統合案が6件で33億円に達した(図 1-20).具体的に人工 知能の医療分野における主要成果は,リアルタイム体位監視(real-time Position Management)設備,遠隔医療プ ラットフォーム,個人用緊急対応システム(Personal Emergency Response System),モバイル医療(Mobile Health,
m-health)応用などである.現在,医療分野における音声の適用は転換点にある[28].「ニュースド」や「オー
ビタ」など,専門音声認識会社はもちろん,先進技術会社(アマゾン,アップル,グーグル,マイクロソフ
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ト)は,医療分野に適した専用音声技術を開発している.2019年には,音声ソリューション分野での技術大 手の競争が激化するとともに,「健康保険流通と責任法案」(Health Insurance Portability and Accountability Act,
HIPAA)が要求する音声やチャットのロボットが医療分野での応用が大幅に拡大する[30].2019年末には,医
療会社の半分近くが,現実世界のデータアクセスや共有,分析に資源を投入する.さらに発展すると,医療 支援者とサービス供給者はこれらのデータ分析能力を使用して,人口健康管理,最良治療法の識別と強制実 施,患者,給付者,医師とプログラム操作自動化などの目標を実現する.
図 1-20 市場の状況 出所:各種資料を基に筆者作成
上記のIoT医療市場の投資状況から,技術的手段の進歩と様々な高度なセンシング技術とデバイスの普及 により,IoTは医療分野でますます普及し,同時にウェアラブルタイプ無線LAN家庭健康監視システムと組 み込み環境型リモートセンシング家族健康監視システムが同時に登場した.これらの医療監視技術の進歩 は,インテリジェント健康監視システムの研究を推進している.さらに新しい研究のホットスポットは,応 用対象のターゲット人口の行動法則検出である.時折またはゆっくりとした体調変化を適時に発見し,適切 な予防保健対策をタイムリーに取る.近距離無線通信,無線周波数識別技術などのセンシング機器とインタ ーネットを通じて,データの自動受信,送信,インテリジェント処理を実現する.センシング層,送信層,
処理層からなるネットワークは,スマートホームや健康診断など様々な医療経済市場で役割を果たしてお り,インターネットや通信技術によってつながり,消費者の医療需要を中心に,情報認知,伝送及び処理技 術サプライヤー,アプリケーションとサービス端末製品サプライヤーなどを構成する.医療用IoT産業は,
電子情報製造業,ソフトウェアと情報サービス業,製造業など国民経済と社会福祉の多くの分野に関わる新 興産業である.現在,IoT経済の役割は具体的に以下の4つに集中している[31].
1. 住宅生活の独立性と生活の品質を向上させ,ユーザーに受け入れやすくする必要がある.非常に高価な プロジェクトであり,コスト回収の周期が長いが,長期的に見れば,入院率の低下,入院期間の短縮と 医療費の削減に大きな効果がある.
2. スマートセンサーやネットワーク通信などの新技術は,伝統的な病院中心の医療サービスとは大きく異 なっている.一般家族は,ネットワークを通じて健康上の問題を理解し,遠隔医療の健康サービスを受 け入れる.
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3. 複雑な分散式応用システムでは,社会や健康サービスプロバイダーやユーザーからソフトウェアやハー ドウェアへの多額の投資が必要である.サービスの価値は,医療費増加問題に対処し,地理的,人種,
性別を問わず,すべての人々に健康資源にアクセス可能な公平な機会を提供することにある.
4. バイタルサインセンサーをボディエリアネットワークに統合し,プロトタイプ製品を迅速に実用製品に 変換することを可能にする.中長期的な目標は,コミュニティ密着型の健康監視と監護システムの確立 を含み,センサアクチュエータ,処理と通信機能を住宅に完全に統合することである.
中国の医療用 IoT 産業の発展に関する考察
しかしながら,中国の医療用IoT産業はまだ産業発展の初期段階にある.IoT関連技術,医療分野におけ る標準,IoTの医療技術の適用,IoTの医療チェーン全体における役割とサービス提供方法はまだ探求中であ る.中国は960万平方キロメートル以上の面積を持ち,56の民族,広大な領土,複雑な地形条件,そして多 様な地理的と気候的特性を持っている.中国で医療用IoTアプリケーションを完全に広めるためには,ハー ドウェア,ソフトウェア両方面に課題が多い.
2010年に,IBMは中国のスマートシティに関する22のセミナーを開催した[32].あらゆるレベルの200人 以上の市長と1,700人以上の市役所職員とのコミュニケーションと交流の中で,IBMはスマートシティの概 念を中国のあらゆる分野で成功裏に広め,一致して認められた.スマートシティのコンセプトには,スマー ト医療が含まれる.スマートシティの構築に使用される高度な情報技術には,下記5つの要素がある[33].
1. ユビキタスコンピューティング,ユビキタスコネクティビティ,ワイヤレスネットワーク,全地球測位 システム,データ監視と取得システムなどのユビキタスネットワークである.
2. 知覚コンピューティング,状況知能,無線周波数技術,ユビキタスポジショニング,動的データ標準化 プラットフォームなどのIoTと考える.
3. 都市情報インフラストラクチャ,ブロードバンド,光ファイバー,中国の次世代インターネット実証プ ロジェクト,トリプルプレイ,モバイルインターネットなどのインターネットである.
4. サーバ仮想化,クラウドコンピューティングセンター等のクラウドコンピューティングである.
5. 情報セキュリティシステム,ネットワークセキュリティ等の情報セキュリティ.地域全体をカバーする 都市公共場所のカメラ監視システムを構築し,画像認識ネットワークの構築を強化し,公共場所の包括 的でリアルタイムの監視能力を向上させる.アイデンティティ,ロケーション,画像と状態感知ネット ワークの包括的な構築を通じて,都市の送電網,交通機関,都市建設,病院などの重要地域や施設を網 羅するスマート感知ネットワークを形成する.
しかし,現段階では,中国全国でのプロモーションは,最終的にさまざまな困難に直面することになって いる.第一に,地理的発展の不均衡によってもたらされる国民の受け入れ問題である.経済が発達した都市 では,消費者の受け入れレベルとIoTの技術理解が比較的深く,経済的所得水準が高く,生活様式が集約的 で,スマートシティに対する需要があり,概念の変化を受け入れられ,コストも負担できる.政府部門にと っては,公共インフラの基盤も良好であり,財政支援にも一定の能力がある.しかし,法規制の策定がより 複雑で,都市居住者が特別な生活様式を持っており,通常,都市部の人口が全国各地から来ており,仕事の ペースが速く,移動性が大きい.対人関係はより遠く,家族が私有地であると考えられている.個人のプラ イバシーと情報セキュリティに対する要求は比較的高い.
遠隔地や農村地帯では,消費者のニーズが異なるため,IoT技術の理解は限られており,スマートシティ で使用する必要のある機器を受け入れることは困難であり,経済所得の問題もその発展を制限する要因であ