• 検索結果がありません。

中国高等教育の評価と質の保障

ドキュメント内 高等教育_ol.eps (ページ 44-52)

中国高等教育の評価と質の保障

張 彦通 (Zhang Yantong)

北京航空宇宙大学校長補佐兼人文社会科学学院および公共管理学院院長

1963年生まれ、博士、博士課程指導教授。長きにわたって高等教育の経営および管理、高等教育政策研究、教育の 品質評価および認証、高等工程教育などの領域の学術研究と教育および人材育成活動に携わる。前後して世界銀行借 款援助プロジェクトや国家自然科学基金、国家社会科学基金、国家教育科学計画、航空科学基金および国家教育部、

北京市人民政府、中国工程院、国防科学技術工業委員会などの重要部門の40以上の重点科学研究プロジェクトの責 任者・担当者となる。そのうち国家レベルの教育科学研究奨励を得たプロジェクトは3件、省部レベルの奨励は5件 であり、全国的な各級学術論文賞は5件受賞した。『教育研究』、『高等教育研究』、『外国教育研究』、『比較教育研究』、『中国管理科学』、『高等工程 教育研究』などの刊行物において90余りの論文を発表してきたが、もっぱら上記刊行物掲載分を出版した。多くの教育政策文書や教育計画、重大 教育改革工程および計画方案の起草業務に参加し、また普通大学学部教育業務水準評価、国家工程教育専門認証、大学合格評価新規設定などの評 価方案および指標体系の研究制定業務に参加した。現在、中国工程院教育委員会委員、中国高等教育学会理事、中国高等教育評価研究会会員、教 育部本科教育評価専門委員会会員、国家工程専門認証専門家委員会秘書処副秘書長である。

【摘要】

30年にわたる改革開放にともない、中国の高等 教育には大きな変化が現れてきた。特にここ10年 で高等教育の規模が急速に拡大し、歴史的な飛躍 のもとにエリート教育から大衆教育に転換したの である。これとともに教育の質に関する問題が幅 広く社会の関心を集め、高等教育への評価が静か に始まった。高等教育の急速な発展のなかで、教 育の質を保障し高めるという重要な使命が与えら れることとなったのである。本稿では中国高等教 育の評価の模索と発展への道のりを簡単に振り返 り、学部教育活動評価を代表的な中国高等教育評 価モデルとして整理し詳述する。そして、学部教 育活動評価の特徴と問題を総括的に分析した後、

中国高等教育評価の発展の方向について暫定的な 展望を行う。

20世紀中葉以来、世界の高等教育には大きな変 化が起こっている。その最大の特徴は規模の拡張 であり、非常に多くの国において相次いで高等教 育が大衆化したのである。ところで、高等教育が 急速に変化発展する時代は高等教育の質が注目を 集める時期でもある。また、高等教育の規模の拡 大にともなう大衆化と普及が進むにつれ、質の問 題が必然的に高等教育発展の重要課題となってき た。教育の質について注目されてきた結果、世界 規模の教育品質運動が起こり、教育評価と質の保 障に関する体系を確立することが、世界高等教育 発展のための共通の選択となってきている。品質 こそが高等教育発展のかなめであり生命線であ る!これが中国高等教育がここ30年の発展で明確 に会得してきたことであり、中国が高等教育の評 価と質の保障の体系を確立しようと根本的に追及 してきたことでもある。

一、中国高等教育評価の模索の道のり

中国高等教育の品質保障体系の重要な構成部分 である中国高等教育評価は、概ね三つの発展段階 を経てきた。第一段階は評価に関する啓蒙と理論 研究の段階である。第二段階は高等教育評価の試 行と模索の段階である。第三段階は教育活動評価 の制度化の段階である。

1.評価に関する啓蒙と理論研究の段階   (1985-1994年)

広義の高等教育評価は中国の長い歴史のなかに すでに存在してはいたものの、教育界では中国の 高等教育評価は1980年代半ばに始まったとみなす のが一般的である。学術活動としては、1985年6 月に黒竜江省鏡泊湖で開かれた「高等工程教育評 価問題専門研究討論会」が高等教育評価研究の最 初の一里塚と考えられている。

1985年の《中共中央の教育体制改革に関する決 定》によって、政府とその教育管理部門は高等教 育に対して指導と管理を幅広く強化すべきこと、

教育管理部門は教育界、知識人を組織すべきこと が初めて提示された。また、雇用部門は大学の学 校運営水準に対して定期的に評価を行い、成績の 卓越した学校には栄誉と物質上の支援を重点的に 与え、成績不良の学校には整備から活動停止にい たる措置をとることも提示された。

1987年において、前国家教育委員会は課程、専 攻、学校段階別に分けられていたが、大学に対し て品質評価を試行した。1989年には、前国家教育 委員会は全国普通大学優秀教育成果奨励制度を設 立し、以後の優秀評価制度確立のために一定の経 験を積んだ。そして、中国の高等教育改革が引き 続き深まるにつれ、前国家教育委員会の統一的な 統率と指導のもとに海外の高等教育評価理論と経 験が系統的に輸入され、モデルとして学習された。

これを土台として全方位的、多次元的、多類型的 高等教育評価の実験と実践活動が繰り広げられ、

高等教育評価研究の中国内外の交流活動はさらに 強化された。こうして、中国的な特色を持った高 等教育評価理論と方法体系の構築において有益な 模索が進められた。

これらの研究と実践に基づいて、1990年、前国 家教育委員会は《普通大学教育評価の暫定規定》

を公布し、中国高等教育評価制度の基本的な雛型 を初めて明確にした。また、中国高等教育評価研 究会が正式に設立され、中国全国で高等教育評価 の研究と交流を進めるための組織的な保証が提供 された。

1993年、《中国教育の改革および発展の概要》

は「各地の教育部門は学校教育の質を検査評価す ることをもって日常の任務としなければならな い」と強調した。また、《〈中国教育の改革および 発展の概要〉に関する国務院の実施意見》はさら に「社会仲介組織を設立、健全化し、社会各界を 教育政策の決定と管理に参加させる役割を果たさ なければならない。」と指摘した。

2.教育活動評価の試行と模索の段階   (1994-2002年)

中国は1994年から比較的系統的で計画的な大学 教育評価を模索し始めた。この年、前国家教育委 員会は二つの影響力のある教育評価活動を全国レ ベルで展開したのである。その一つは基礎科学教 育の質の測定を強化したことであり、基礎課程の 問題集を利用して100余りの大学の大学物理と基 礎数学の教育の質に関して検査測定を行った。も う一つは《普通工業大学学部教育活動評価方案(試 行)》を公布し、大学4校に評価の試行と試験的測 定を行ったことである。これらは学部教育活動評 価を主な特徴とする中国現代評価制度が実践的模 索の段階に入り始めたことを示すものである。

さらに、1995年から2001年にかけて、政府は学 部教育活動評価に関する一連の法文書を相次いで 公布した。例えば1995年には教育部が《普通大学 学部教育活動評価実施法(1)》を公布した。1997 年には総合大学や工業、農林、医薬、政治法律、

財政経済、外国語、教員養成の単科大学の学部教 育活動合格評価と優秀評価に関する方案が相次い で公布された。また、1998年には《よりよい普通 大学学部教育活動評価に関する若干の意見》が公 布された。これらの政策文書は学部教育活動評価 に対して良質の指導および標準の役割を果たし、

教育評価活動の健全な発展を促進および保証し た。

さて、この時期の学部教育活動評価は主に三つ の類型に分けることができる。まず、1976年以降 に新設された単科大学の学部に対する「合格評価」

であり、次に学校運営の歴史が比較的長く、水準 も比較的高い重点大学に対する「優秀評価」であ り、三つめにこれらの大学の中間に位置する大学 に対する「ランダム水準評価」である。2001年ま でに178の大学に合格評価が、16の大学に優秀評 価が、26の大学に水準評価が行われた。また、こ れと同時にその他の形式の高等教育評価活動も勃 興し始めた。例えば大学院生教育評価には主に大 学院評価、博士修士学位課程評価、第一学科分類 全体水準評価、優秀博士学位論文選考などの活動 が挙げられる。その後中国は普通大学大学院評 価、新設学部の単科大学の学校運営水準に関する 評価、そして「211工程」専門教育品質評価など を相次いで実施した。

また、このころ教育の質の評価と研究に関する 機構が相次いで登場した。すなわち、北京大学教 育品質評議センター(1993年)、大学および科学 研究院の学位および大学院生教育評価所(1994 年)、上海市高等教育評価事務所(1996年、2000 年に「上海市教育評価院」と改名)、江蘇教育評 価院(1997年)、遼寧省教育評価事務所(1999年)、

広東省教育発展研究および評価センター(2000 年)、教育部学位および大学院生教育発展センター

(2003年)など10以上の機構が現れたのである。

これらの事業性評価機構は教育部または省教育庁 の委託を受け、一連の高等教育評価活動を展開し た。このほかに、民間評価機構のなかで比較的強 い影響力を持つ広東管理科学院研究院の武書連は

「中国大学評価」を行い、網大は1999年から「中 国大学ランキングリスト」を発表した。

以上から、中国の現代高等教育評価の体系およ びモデルはある程度目鼻がついてきたと言うこと ができるであろう。その過程において、高等教育 の規模が急速に拡大発展した結果質の問題が提議 され、評価がますます重要な役割を果たすことが 明らかになってきた。これに関して言うと、2001 年は中国高等教育の質が最も注目された年であ る。1998年からの3年連続の入学者数大増加のた め、中国高等教育の全体規模が3年間で2倍になり、

質の問題が社会的に憂慮されることになったから である。そこで、「5年1期制」の教育活動水準評 価制度が実施されることになった。

3.教育活動評価の制度化の段階(2003年以後)

2002年、高等教育総合化の趨勢はさらに強まり、

教育部は合格評価、優秀評価、ランダム性水準評

ドキュメント内 高等教育_ol.eps (ページ 44-52)