第 5 章 日中語の使役受動構文に関する対照研究
5.5 対訳データによる日中語の使役受動構文の対応関係
5.5.2 中国語の使役受動文とその日本語訳
日 中 対訳 コ ー パ ス か ら と っ た中 国 語 の 使 役 受 動 文 とそ の 日 本 語 訳 と の 対 応関 係 を 下 表に 示 す 。
表5-4 中 国 語 の使 役 受 動 文 に対 応 す る 日 本 語 訳(235) 日
訳
受 動 文(66/28%) 非 受 動文(137/58.3%) 非 対 応 (32/13.6%)
直 接 間 接 使 役 受動 能 動 文 使 役 文
持 ち 主 自 動 詞文 他 動 詞文
数 43 10 13 113 21 3 32
% 18.3% 4.3% 5.5% 48.1% 8.9% 1.3% 13.6%
表 5-4 を 見る と 、 前 節 で 述 べた 日 本 語 の 使 役 受 動 文と そ の 中 国 語 訳 と の 対応 関 係 と 同じ よ う なこ と は 、 中 国 語 の 使 役受 動 文 と そ の 日 本 語 訳と の 対 応 関 係 に も 言 える こ と が 明 らか に な る 。すな わ ち 、中 国 語 の使 役 受 動 文 に 対 応 す る日 本 語 の 使 役 受 動 文 の比 率 は 5.5%に 過 ぎ ず 、直 接 受 動 文 ほ ど 高 く なく 、 能 動 文 や 使 役 文 の比 率 と 比 べ て 、 大 幅 に下 回 っ て い ると い う こと で あ る 。 換 言 す れ ば、 中 国 語 の 使 役 受 動 文の ほ ぼ 半 分 は 日 本 語 の使 役 受 動 文 では な く 、能 動 文 、 特 に 自 動 詞 能動 文 で 表 現 す る の で ある 。
1) 受 動 文
中 国 語の 使 役 受 動 文 235例の う ち 、 受 動 文 は 66例、28.1%を占 め て い る 。 受動 文 の う ち 、 直接 受 動 文 が 43例 、18.3%、 使 役 受 動文 が 13例 、5.5%、 間接 受 動 文 は 10例、4.3%
と 極 めて 少 な い 。
中 国 語の 使 役 受 動 文 235例の う ち 、 日 本 語の 受 動 文と 訳 さ れ て い る も の は66例 、 28.1%を 占 め て い ると い う こと は 、 日 本 語 訳 文 に おい て も 、 概 念 化 者 で ある 話 者 が 影 響 を 受 け る参 与 者 の 視 点 か ら 、 当該 使 役 ・他 動 事 態 を 述 べる と い う 把 握 を 行 う もの は 中 国 語 原 文 の 約四 分 の 一 に 過 ぎ な い とい う こ と を 示 す 。
1-1)直 接 受 動 文
中 国 語の 使 役 受 動 文 235例の う ち 、 許 容 類の 用 例 は 1例 し か な く 、 残 り の234 例 は す べ て 原 因類 に な っ て い る 。(124)に示 す よ う に 、 こ う いっ た 許 容 類 の 使 役 受 動文 は 日 本 語 で は 直 接受 動 文 と 対 応 し て い る。
(124) 倪 藻 走进 一 个 宽 敞 的、同 样 昏暗 的 客 厅 ,他 被 让 坐 在一 个 不 新 的 暗 红 色 沙 发上 。应 答 了 几 句以 后 , 史 太 太 蹒 跚 地 去给 客 人 端 茶 , 倪 藻 得 以安 静 一 下 , 打 量 着 这 间屋 子 。 (倪 藻は 広 々 と し た、や は り ほの 暗 い 客 間 に 人 り、古 び た エ ン ジ色 の ソ フ ァに 案 内 さ れ た 。 二 、 三 言 交 わ し て か ら 、 史 太 々 が お 茶 を 取 り に 立 っ た の で 、 倪 藻 は 気 持 の ゆ と り を取 り 戻 し 、 部 屋 の 中 を見 回 し た)
[対 訳 活 动 变人 形]
(124)の「被(受 動 標 識)+让(使役 標 識)+坐(座 る)」と い う使 役 受 動 表 現 は 、日 本語 で は「 案
内 さ れた 」 と 直 接 受 動 文 に 対応 し て い る 。 こ の こ とは 、 日 本 語 に お い て 、中 国 語 の 許 容類 に 対 応す る 使 役 受 動 文 が 存 在し な い と い う こ と を 表し て い る 。
一 方 、中 国 語 に お け る 原 因 類の 使 役 受 動 文 は 、 日 本語 訳 文 で は ど の よ う に表 現 さ れ てい る の であ ろ う か 。
ま ず 、 状 態 変 化 を 表 す 動 詞 に よ る 中 国 語 の 使 役 受 動 文 と そ の 日 本 語 訳 を 見 て み よ う 。
(125)-(126)のよ う に 、こ の よ うな 使 役 受 動 文 が 日 本 語の 直 接 受 動 文 に な っ てい る の は 24例
も あ り、55.8%に も達 し て いる 。
(125) 这 是 无疑 的 , 敌 人 的 第 一 、 二、 三 、 四 次“围 剿”不 是 实 实 在 在 地被 我 们 粉 碎 了吗?
(こ れは 疑 い の な い とこ ろ で ある 。敵 の 一回 目 、二 回 目 、三回 目 、四 回 目 の「 包 囲 討 伐 」 はま ぎ れ も な せ よ く わ れわ れ に 粉 砕 さ れ た の ては な い か)
[対 訳 毛 泽 东选 集 第 一 卷]
(126) 进 步 的国 家 或 事 物 , 如 果 力 量不 强 , 常 有 被 大 而 退 步的 国 家 或 事 物 所 灭 亡 者。
((前 略)進 歩 的 な 国 ま た は 事 物 で も 、 力 が 強 く な け れ ば 、 大 き く て 退 歩 的 な 国 ま た は
事 物 に滅 ぼ さ れ る こ と は よ くあ る)
[対 訳 毛 泽 东选 集 第 二 卷]
(125)の「被(受 動 標 識)+粉 碎(粉 砕 さ せ る)」は「 粉 砕 する 」と い う 、原 文 の動 詞 と 同 形 の
サ 変 他 動 詞 に よ る 直 接 受 動 表 現 、(126)の 「被(受 動 標 識)+灭 亡(滅 び さ せ る)」 は 「 滅 ぼ す 」 と い う、 原 文 の 動 詞 と 同 じ 意味 を 表 す 普 通 の 他 動 詞に よ る 直 接 受 動 表 現 と訳 さ れ て い る。
つ ま り、 中 国 語 原 文 に お け る非 対 格 自 動 詞 に よ る 使役 動 詞 か ら 構 成 さ れ る 使 役 受 動 文 は、
そ の 自動 詞 に 対 応 す る 他 動 詞が 日 本 語 に 存 在 す れ ば、 訳 文 で は 、 そ れ に 対応 す る 他 動 詞に よ る 直接 受 動 文 で 表 現 さ れ るこ と は あ る 。
次 に 、感 情 ・心理 を 表 す 動 詞 によ る 使 役 受 動 文 が 、日本 語 で は 直 接 受 動 文 と対 応 す る もの は 14例 あ る 。例 え ば 、 以 下 の例 文 で あ る 。
(127) 许 宁 被道 静 这 种 纯 挚 的 友 好 的态 度 感 动 了 ,他 望 着 她,像 对 一 个 知 心 的 朋 友说 起 他心
里 的 事(後 略)
(道 静の 真 摯 な 友 情 に 打 た れ たか れ は 、古く か ら の 知己 に 対 す る よ う に、胸 の 中 を う ち あ けは じ め た)
[対 訳 青 春 之歌]
(128) 突 然 ,我 的 额 头 上 轻 轻 地 印 下一 个 吻 。 我 被 这 突 如 其来 的 幸 福 惊 呆 了 。
(不 意 に 、額 に 軽 い 接 吻 の 感 触 が あ っ た 。お れ は 突 如 お と ず れ た 幸 福 に あ っ け に と ら れ た)
[対 訳 人 啊 ,人]
(127)は「 道 静 の真 摯 、友 好 的 な 態 度」と い う モ ノが 原 因 と な り、「 彼 が 感動 し た 」と い う
こ と を表 し 、(128)は「 額 に 軽い 接 吻 の 感 触 が あ っ た 」と い う コ ト 、あ る いは「 突 如 訪 れ た 幸 福 」と いう モ ノ が 原 因 と なり 、「 俺 が 驚い た 」と い う こと を 意 味 す る 。前 者 は「 打た れ た 」、
後 者 は「 あ っ け に と ら れ た 」と 日 本 語 の 直 接 受 動 文で 訳 さ れ て い る 。
前 述 した と お り 、(127)-(128)の よう な 感 情・心 理 を 表す 動 詞 に よ る 使 役 受 動文 は 、日 本 語 に お い て も 、 中 国 語 に お い て も 存 在 す る が 、 そ れ ら は 必 ず し も 一 対 一 の 関 係 で は な い 。 (127)-(128)の よ う な 使 役 受 動 文 は 、 日 本 語 で は 直 接 受 動 文 に よ っ て 表 現 す る こ と も あ る 。 換 言 すれ ば 、 第 1章 の は じ めに 挙 げ た 、 日 中 語 の 使役 受 動 文 に 関 す る 誤 用の 例 文 を 借 りて 言 え ば、中 国 語の「被 感 动(感 動 さ せ ら れ る)」は 日 本語 の「 感動 さ せ ら れ る」と 同 じ意 味 を 表 す が、 つ ね に 「 感 動 さ せ られ る 」 と い う わ け で はな い 。
以 上 、中国 語 で は(125)-(128)の よう に 、状 態 変 化 、心 理・感 情 を表 す 動 詞 に よる 使 役 受 動 文 は その 述 語 動 詞 に 結 果 の 意味 が す で に 含 ま れ て いる た め 、結果 補 語 が な くて も 成 立 す る。
1-2)間 接 受 動 文
前 述し た よ う に 、 中 国 語 の使 役 受 動 文 に は 、 持 ち主 の 使 役 受 動 文 と い った 間 接 の 使 役受 動 文 が存 在 す る 。 以 下 の よ うに 分 離 不 可 能 な 所 有 関係 に あ る も の は 日 本 語で は 、 持 ち 主の
受 動 文に 訳 さ れ て い る の が 2例 あ る 。
(129) 梅 这 许久 都 因 为 思 念 困 居 在 家中 的 母 亲 和 弟 弟 感 到 苦恼 ,此 刻 也 被 眼 前 的 景色 暂 时分
了 心(後 略)
(梅 は ず っ と 家 に い る 母 や 弟 の こ と を 心 配 し て い た が 、こ の 時 こ こ で こ の 景 色 に し ば ら く 心を と ら わ れ て(後 略))
[対 訳 家]
(130) 他 想 着, 看 看 兴 奋 谈 论 的 人 群, 看 看 刚 刚 被 他 们 松 过土 的 互 助 组 的 青 苗 地(後 略)
(か れは 思 い に ふ け りな が ら、楽 し そ う に話 し 合 っ てい る 人 た ち を な が め、い ま し が た そ の 人 た ち の 手 で 土 を ほ ぐ さ れ た ば か り の 、 互 助 組 の 青 々 と し た 苗 の 植 わ っ て い る 畑 を見 た(後 略))
[対 訳 金 光 大道]
(129)の「梅(人 名)+被(受 動標 識)+分(分か れ-さ せ る)+了(完 了)+心(心)」 は「 梅 が 心 を と
ら わ れた 」、(130)の 「地(畑)+被(受 動 標識)+松(柔 らか く す る)+过(経 験 助 詞)+土(土)」 は
「 畑 が土 を ほ ぐ さ れ た 」 と 日本 語 で は 、 持 ち 主 の 受動 文 に 対 応 し て い る 。訳 文 の 持 ち 主受 動 文 は、 原 文 の 持 ち 主 使 役 受動 文 と 同 様 に 、 主 語 名詞 と 目 的 語 名 詞 は 、 それ ぞ れ 「 梅 」と
「 心 」と い う 人 間-身 体 関 係、「 畑 」 と「 土 」 と い う 全体-部 分 関 係 と い っ た 「不 可 譲 渡 」 の 所 有関 係 に あ る 。
ま た、 中 国 語 に お け る 直 接使 役 受 動 文 は そ の 日 本語 訳 と の 対 応 関 係 を 考察 し て い く 。
(131) 道 静 并没 有 理 会 迫 在 眉 睫 的 凶 险 处 境 , 却 被 郑 德 富 这真 挚 的 情 谊 感 动 了 。
(道 静は 、 眼 前 に 追 って い る わが 身 の 危 険 も 忘 れ 、 鄭徳 富 の ま 心 に 胸 を う たれ た)
[対 訳 青 春 之歌]
(132) 当 最 后一 个 入 眠 的 高 大 泉 刚 刚睡 安 稳 , 又 被 铃 声 惊 醒。
(み んな が 寝 い っ て 最後 に 眠 りに は い っ た 高 大 泉 は、そ の 寝 入り ば な を ベ ルの 音 で 覚 ま さ れた)
[対 訳 金 光 大道]
(131)の「被(受 動 標 識)+感 动(感 動 さ せ る)」は「 胸 をう た れ た」、(132)の「被(受 動 標 識)+
惊(び っ く り す る)+醒(覚 め る)」 は 「 覚 ま さ れ た 」 と 、 日 本 語 の 持 ち 主 受 動 文 に 訳 さ れ てい る 。 訳 文 で は 、 主 語 名 詞 と 目 的 語 名 詞 と の 間 に 、「 道 静 」 と 「 胸 」 と い う 人 間-身 体 関 係 、
「 高 大 泉 」 と 「 そ の 寝 入 り ば な 」 と い う 主 体-活 動 関 係 と い っ た 所 有 関 係 が 存 在 す る た め 、 持 ち 主 の 受 動 文 と な っ て い る 。 こ の よ う に 感 情 ・心 理 を 表 す 動 詞 に よ る 中 国 語 の 直 接 使 役 受 動 文が 日 本 語 の 持 ち 主 受 動文 に 対 応 す る 例 は 6例あ る 。
次 に 、(133)-(134)の よ う に 、 生 理 状 態 を 表 す 使 役 動 詞 に よ る 直 接 使 役 受 動 文 が 日 本 語 訳 文 で は持 ち 主 受 動 文 に 訳 さ れて い る 例 は 2例 あ る 。
(133) 她 猜 度着 ,忧 虑 着,也 深 深 地对 自 己 恼 恨 着——她 不 相 信满 屯 的 话 ,还 以 为宋 郁 彬 和
他 的 父亲 不 同 , 还 以 为 他 善 良、 仁 慈 、 被 家 庭 所 累 。
(か の女 は あ れ こ れ 憶測 し 、心 配 し 、同 時に 、満 屯 のこ と ば を 信 用 せ ず 、宋 郁 彬 は 父 親 と は 違 う 、 か れ は 善 良 で 、 情 深 い 人 間 だ 、 家 庭 に 足 を ひ っ ぱ ら れ て い る の だ と ば か り 、思 い こ ん で い た じ ぷ んの 馬 鹿 さ か げ ん を 、 心か ら 悔 ん て い た)
[対 訳 青 春 之歌]
(134) 爷 爷 和父 亲 赶 着 那 只 快 要 被 屎憋 死 的 小 山 羊 赶 到 村 子西 头 的 高 粱 地 里 时 ,是墨 水 河大
桥 伏 击战 后 第 六 天 下 午(後 略)
(祖 父 と 父 が 、尻 の 穴 を 塞 が れ て 死 に そ う な 小 山 羊 を 連 れ て 村 の 西 は ず れ の 高 梁 畑 に た ど りつ い た の は 、 墨 水 河 橋の 待 ち 伏 せ か ら 六 日 目の 昼 過 ぎ だ っ た)
[対 訳 红 高 粱]
(133)の「被(受動 標 識)+家 庭(家 庭)+所(助 詞)+累(疲れ さ せ る)」は「家 庭 に 足を ひ っ ぱ ら れ
て い る 」と 訳 さ れ 、(134)の「被(受 動標 識)+屎(く そ)+憋(つ ま ら せ る)+死(死ぬ)」は「 尻 の 穴 を 塞 がれ て 死 に そ う 」と 訳 され て い る 。原 文 の 述 語動 詞「累(疲 れさ せ る)」、「憋((息を)つ ま
-ら せ る)」は そ れ ぞ れ 訳 文 で は、そ れ らと 異 な る 意 味を 持 つ 、普 通 の 他 動 詞「 引 っ 張る 」と
「 塞 ぐ」 に 対 応 し て い る 。 訳文 で は 、 主 語 名 詞 と 目的 語 名 詞 は、「 彼 」 と 「足 」、「 小 山 羊」
と 「 尻の 穴 」 と い っ た 人 間-身 体 の 所 有 関 係に あ る ので 、 持 ち 主 受 動 文 と なっ て い る 。 1-3)使 役 受 動 文
中 国語 原 文 に お い て 、 日 中対 訳 コ ー パ ス で は 一 つし か 見 ら れ な い 強 制 類の 使 役 受 動 文は 日 本 語の 使 役 受 動 文 に な っ てい る 。
(135) 东 大 同学 刚 刚 游 行 回 来 , 就 被集 合 去 听 学 校 当 局 的 堂皇 的 训 话(後 略)
(東 北大 の 学 生 は 、デ モ か ら 帰っ て く る と 、す ぐ に 集合 さ せ ら れ て、学 校 当局 の 、も っ た いぶ っ た 訓 話 を 聞 か さ れた)
[対 訳 青 春 之歌]
(135)は、デ モ か ら帰 っ て き たば か り の 学 生 は す ぐ に集 合 し た く な か っ た のに 、学 校や 先 生 が 無理 や り に そ う さ せ た ため 、や む をえ ず 集 合 した と い う こ と を 表 す 。原 文 の「被 集 合」
は 「 集合 さ せ ら れ た 」 と 訳 され て い る 。 こ の よ う に、 中 国 語 に お い て 、 移動 を 表 す 非 能格 自 動 詞に よ る 使 役 受 動 文 は 日本 語 で は 、 そ れ に 対 応す る 非 能 格 自 動 詞 の 使役 受 動 文 に なる の は めっ た に な い 。
ま た、中 国 語 に おい て 感 情・心 理 を表 す 動 詞 に よ る原 因 類 の 使 役 受 動 文 は、日 本 語 で は容 易 に 元の 非 対 格 自 動 詞 に よ る使 役 受 動 文 に 訳 さ れ る。 例 え ば 、 以 下 の よ うな も の で あ る。
(136) 道 静 被这 女 孩 子 的 纯 真 热 情 深深 感 动 着 。
(こ の女 の 子 の 純 真 な熱 情 に 、道 静 は 深 く 感 動 さ せ られ た)
[対 訳 青 春 之歌]
(137) 她 还 不能 够 明 白 鸣 凤 为 什 么 要这 样 伤 心 。 但 是 她 已 经被 这 个 少 女 的 哭 声 感 动了 。
(彼 女 は 鳴 鳳 が な ぜ こ ん な に 悲 し ん で い る の か わ か ら な か っ た が 、こ の 少 女 の 泣 き 声 に 心 を動 か さ れ て(後略))
[対 訳 家]
(136)-(137)の「被(受 動 標 識)+感 动(感 動 さ せる)」は 、日本 語 で は そ れ ぞ れ「 感動 さ せ ら れ
た」、「 心 を動 か さ れ た 」と 訳 さ れて い る 。つ ま り 、中 国語 の「被 感 动」は 、(136)の よう に
「 感 動さ せ ら れ た」と い う 直接 の 使 役 受 動 文 と 対 応す る 場 合 も あ れ ば、(137)の よ う に「 心 を 動 かさ れ た 」 と い う 間 接 の使 役 受 動 文 に 対 応 す る場 合 も あ る 。
2) 非 受 動 文
中 国 語の 使 役 受 動 文 が 日 本 語で は 非 受 動 文 と し て 対応 す る も の は 137例、58.3%に達 し て い る。 そ の う ち 、 自 動 詞 文 が 113例 、48.1%、 他 動詞 文 は21例 、8.9%、 使 役文 は 3
例 、1.3%を占 め て い る 。 つ まり 、 中 国 語 の 使 役 受 動文 は も っ と も 高 い 比 率で 日 本 語 の 自
動 詞 文と 対 応 し て い る 。
2-1)能 動 文 2-1-1)自 動 詞 文
自 動 詞文 は 使 役 受 動 文 の 表 す使 役 事 態 の う ち 、 そ の使 役 者(モ ノ・コ ト を 含む)を 背 景 と し て 捨象 し 、 た だ 行 為 主 体 に起 こ る 位 置 や 状 態 変 化と い っ た 結 果 状 態 を 、行 為 主 体 の 視点 か ら 述べ る だ け で あ る 。 し かし 、 そ の 使 役 事 態 に おけ る 、 背 景 化 さ れ た 使役 者 は ニ 名 詞 句 、 及び 節 で 表 す こ と が で きる 。
中 国 語に お い て 、 感 情・心 理 を表 す 非 対 格 自 動 詞 に よる 使 役 動 詞(例:感 动(感 動 さ せ る)、
吓(びっ く り さ せ る)、兴 奋(興 奮 さ せ る)な ど)か ら 構成 さ れ た 中 国 語 の 使 役受 動 文 は 、 原 文
の 非 対格 自 動 詞 に 対 応 す る 自動 詞(例:感 動 す る 、 びっ く り す る 、 興 奮 す るな ど)が 日 本 語に 存 在 する た め 、 そ の 自 動 詞 によ る 能 動 文 と 訳 さ れ る傾 向 が 強 い 。 日 中 対 訳 コ ー パ ス か らと っ た デー タ で は 、 こ の よ う な例 は 88例 も あ る 。 例 えば 、 以 下 の よ う な 例 文で あ る 。
(138) 小 女 儿继 芳 也 被 府 里 的 闹 烘 烘的 空 气 所 兴 奋 , 到 这 时光 还 不 肯 去 睡 觉 。
(娘 の継 芳 も 、 屋 敷 のた だ な らぬ 空 気 に 興 奮 し た ま だ寝 よ う と し な か っ た)
[対 訳 霜 叶 红似 二 月 花]
(139) 李 槐 英在 人 群 中 忽 然 用 激 昂 的尖 声 高 喊 起 来 , 许 多 的同 学 都 被 感 动 了 。
(そ の李 槐 英 が 、人群 れ の 中 で、激 昂 し た かん 高 い 声で 、こ う 叫 びだ し た とき 、学 生 は 感 動し た)
[対 訳 青 春 之歌]
(138)の「被(受 動 標 識)+兴 奋(興 奮 さ せ る)」は「 興奮 し た 」、(139)の「被(受 動 標 識)+感 动
(感 動 さ せ る)」 は 「 感 動 し た 」 と 対 応 し て い る 。 そ の う ち 、(138)で は 背 景 化 さ れ た 使 役 者
(無 情物 を 含 む)はニ 格 名 詞 句で 表 す の に 対 し 、(139)では 節 で 表 現 し て い る。
ま た 、 中 国 語 に お い て 下 記(140)-(142)の よ う に 、 位 置 ・状 態(生 理 的 状 態 を 含 む)変 化 を 表 す 使 役動 詞 に よ る 使 役 受 動 文は 日 本 語 で は そ れ に 対応 す る 自 動 詞 が 存 在 する た め 、 そ の自 動 詞 によ る 能 動 文 と 訳 さ れ るの が 一 般 的 で あ る 。
(140) 地 下 室的 门“咣 当”一 声 被 摔 上了 。随 着 一 阵踢 踢 沓 沓的 脚 步 声 ,通往 上 边 楼梯 的 门 也
被 关 上了 , 周 围 陷 入 一 片 死 一般 的 沉 寂 。
(地 下 室 の 扉 が バ タ ン と 叩 き つ け ら れ 、パ タ パ タ と 足 音 が 階 段 を 駆 け 上 が り 、階 上 の