第3節 指導試案
本節では、前節までであげた音楽の「創造的活動」や「音楽づくり」
をもとに、筆者の考える「創造的音楽学習」の指導試案を提示する。な お試案の作成にあたっては、次のような点に留意した。
(1》教科書教材を中心に取り扱う。
② 第2節で提示した、筆者の考える「創造的音楽学習」の指導過 程をもとに作成する。
③ 他教科との関連が図れるようにする。
(1》については、筆者がこれまで見てきた「創造的音楽学習」の実践例 は教科書教材から離れたものが多く、そのことは、特に音楽の専門的な 指導を受けてきていない学級担任にとっては、実践に際して少なからず の不安や抵抗感を抱かせているように感じることから設定した。
【指導試案】 「歌唱」・「器楽」から「描写的な音楽づくり」・
「音響構成的な音楽づくり」への発展 題材 「宇宙(太陽系)を探険しよう」
指導学年 5学年
他教科との関連 理科:「星」の学習(6年),国語:詩
このような宇宙をテーマにした音楽づくりは、音楽づくりの実践例の 中では特に頻繁に見られるものである。その理由としては、宇宙の音楽 づくりを取り入れている教科書や、文部省の指導資料に事例が挙げられ ていることなどの他に、イメージとして浮かびやすい、また、音楽とし てつくりやすいなどの理由も考えられる。そこで、筆者もこのテーマに 関して、自分で実践するならこのように展開していきたいという考えを 盛り込んで指導試案を作成した。
(1}題材設定の理由
高学年になると、未知なるものに対する好奇心がいっそう高まってく る。特に宇宙に対して子どもたちは、興味・関心が高まるとともに、限 りない想像力をかきたて、多様なイメージを自由にふくらませることが できるように思われる。そこで、テーマとして「宇宙(太陽系)」を本 題材の中心に据え、星に対するあこがれや好奇心を歌った楽曲「星の世 界」を主な教材として設定し、活動を進めることにした。
なお、ここで宇宙のなかでも特に太陽系に限定した理由は、宇宙全体 はあまりにもその範囲が広いため、そのイメージもまた広がりすぎて、
何を手がかりにしてつくったらよいのかという子どもの困惑を防ぐため
囲を限定し、なかでも水星、金星、火星、木星、土星を取り上げ、それ らを数人のグループで分担し、表現の工夫をさせることにした。
(2》指導の目標と内容 ①題材の目標
ア 歌詞の内容や楽曲に合った表現の仕方を工夫する。
イ 宇宙の様子やイメージをもとに音楽物語を構成し、創造的 な表現活動ができるようにする。
ウ 自分たちで歌や詩の朗読、効果音などを工夫するとともに、
場面やイメージにあった音楽を自由な発想を生かしながら創 作し表現できるようにする。
②学習の内容 歌唱活動
リコーダーの二重奏 即興的な表現活動 音楽づくり→音楽物語
㈲教材 主要教材
関連教材
音素材
(歌唱) 「星の世界」(Jllwwti欄,コンバース軸)
(教育芸術社5年)
(鑑賞) 「惑星」 (ホルスト作曲》
「星空はいつも」(芙糊子欄,湘健次郎軸)傲挽型擁6年)
※この教材ほ6年の合唱教材として取り扱われるものであるが、ここでは斉唱として扱う,
宇宙(太陽系〉の各惑星に関するギリシャ神話や説 明文など、教師がわかりやすくプリント資料ににし たものや映像・写真資料など
教室にある楽器を中心に扱い、必要に応じて、積極 的に身の回りのものを利用して音をつくらせる。
(4)学習指導要領との関連 〈A表現〉
(2㍗1羅灘lll解しT・それらを生かしi8写
㈲ア 発音及び畷の仕方に気をつけて、豊纏響きの頭声醗}(1>ウ 声で歌うこと, (1》エ
ゥ音の重なりや和声の響きを勅って合唱や合奏をする,
←4イ 自由な発想で駿的に表現すること,
〈B鑑賞〉
曲想を全体的に味わって聴くこと,
要素と曲想の関わりに気をつけて聴くこと。
全体の構成に気をつけて穂くこと,
声や音の重なりの響きを味わって聴くこと。
(51評価の基準
評価については、題材の目標や、先の第3章第4節で触れた、島崎篤
一149一
子の提示している評価の観点、あるいは指導要録の評価の観点に基づい て、次のような評価基準を設定する。
(ア) イメージに合う音楽をつくる楽しさや面白さを感じ取り、友達 と協力しながら進んで音楽活動をしているか。
(イ) 宇宙に対するイメージを深め、自分たちの音楽物語を工夫して 構成したり、情景やイメージにふさわしい表現の仕方を工夫して いるか。
(ウ) 音楽を表現するための基礎的な技能の習得や楽器や音素材の選 択など、表現手段の吟味がなされているか。
(エ) 友達の表現のよさや面白さを味わったり、表現の工夫のよさを 感じ取って聴いたりしているか。
㈲指導計画(9時間扱い)
次 ね ら い 時
主な学習活動
基本的な歌 ・「星の世界」の三唱を聴き、.曲想を感じ 唱、演奏技能 第 取る。
を身につける ・歌詞の内容を理解する。
とともに、テ 1 ・「星の世界」を、発声に気をつけながら 一マに対する 旋律・リズムを正確に創造的に歌う。
イメージを広 時 (諦基準(ウ))
第 げ、音楽物語 ・「星の世界」を中心に、宇宙をテーマに の構成をする した音楽物語を構成することを知る。
ことができる
ようにする。 ・「星の世界」を、歌詞の内容にあった表
第 現をしながら歌う。(諦基準(イD
一 ・「星の世界」のリコーダーのパートを練
2 習する。(評継準(ウ))
・音楽物語の構成について話し合う。
時 グループ分けや場面分け (諦麟(ア)》
・「星の世界」を、歌唱とリコーダーの二
次 重奏で、創造的に合奏嘱する。
第 (評観準(イ)・(ウ))
・音楽物語の構成について話し合う。
3 表したい情景やイメージ、一つの場面 に要する時間、各場面の対比、作品全体
時 としての音楽的な変化やまとまりなどに
第3時 〈構成の例〉
@〔ナレーション}一〔「星の世界」の合奏唱〕一〔探険出発のナレーショ
@ン・効果音〕一〔水星にて・ナレーション,詩の朗読,音による表現〕
@一(以下、金星・火星。木星・土星の表現)一〔地球帰着の効果音・ナ
@レーション〕一 〔「星空はいつも」の斉唱〕
グループご ニに、テーマ
フイメージに モさわしい音
yづくりや、¥現の工夫が ナきるように
キる。
第405時
・「星の世界の合奏唱」 (授業の導入の部分で)
Eグループごとに分担した場面の構成や表
サ方法を話し合う。 (諦基準(ア))
@ 大まかな構成や予想される音楽を図
@形楽譜に記したり、必要なナレーショ
@ンや詩を創作する。(獅悩乱た資料をもとに)
E表現に用いる楽器や素材を選び、音色や ソきを確かめる。
@ 教室にある楽器 シンセサイザー 身の回りの音素材 声 など
E構成した図形楽譜をもとに音楽づくりを
iめる。 (諦基準(イ))
Eリズム、テクスチュア、速度、音力、形 ョなどによる表現の工夫についても話し
№、。(必要に応じて、獅がアドバイスを与える。)
第6●7●8時
・「星空はいつも」の歌唱練習(授業の導入部分で)
@ (諦基準(ウD
Eグループごとに分担した場面の中間発表
@を行い、互いに感想を話し合う。
@各グループのの演奏を録音し、いつで
@もその演奏が聴けるようにする。
E鑑賞曲「惑星」を聴く。 (諦基準(工))
E録音を聴いて気付いたことや友達の感想
@「惑星」の鑑賞などから、さらに表現を
H夫する。 (評価基準(イ))
E全体の構成に従って、各グループの作品 つなげるための練習をする。
第 三 次
作品を鑑賞し
スり、作品づ
ュりの喜びを。わうように
キる。
第9時 ・「星の世界」、各グループの作品、 「星 はいつも」をつなげて演奏し、一つの
?iに仕上げる。 (評価基準(ア))
E完成した作品を録音して、学級全員で鑑
ワする。 (諦基準(工))