第 8 章 一般市街地における自律実験走行の考察 106
8.5 他のロボットとの関係の考察
円形の花壇
図 8.9 円形の花壇
徴が抽出できたことで,この領域で自己位置・姿勢の安定性が向上した.一般市街地におい ても歩道の境界が縁石などの低所特徴であることが多いため,本研究で構築した手法は有用 と考える.
8.5 他のロボットとの関係の考察
8.5.1 成功例:対向接近してきたロボットの回避
つくばチャレンジ2014の本走行会で,本研究のロボット(以下,本ロボット)と,対向接 近してきた大川らのチーム[79]のロボット(以下,対向ロボット)の間に生じた相互の回避 動作の場面を図 8.11に示す.本ロボットは(図8.11 (1))に示すとおり,回避対象の検知範 囲である前方3[m]の範囲で対向ロボットを検知し,減速して相手との距離が1.5[m]以内の 位置で停止した.このとき,対向ロボットも同様に停止した(図8.11 (2)).本研究で設定し た回避対象に対する動静の観測時間(3[sec])の経過後,本ロボットは回避のための走行目標 点を設定し,その場での回転より回避動作を開始した(図8.11 (3)).一方で相手のロボット も回避行動を開始した.この直後に相手のロボットとの距離が0.6[m]以下となったため,本 ロボットは急減速し(図8.11 (4)),再度停止した(図8.11 (5)).この間,対向ロボットは本 ロボットに対する回避動作を継続した.その後,対向ロボットが通過したため,本ロボット は通常の走行を再開した(図8.11 (6)).対向走行によって接近してきたロボットを回避する 動作は,相手の動きにも依存する協調動作である.著者の経験から,両方のロボットが互い の相手の前で減速し,一時停止する機能を有している場合は,回避の成功率が比較的高かっ た.一方で対向ロボットによっては回避のタイミングに余裕がないことも多かった.より早 期に,確実な回避を実現するには相手が移動物か静止物かを識別し,その動きを予測するこ とが必要となる.
8.5 他のロボットとの関係の考察
図 8.10 対向接近してきたロボット
(2) 停止
1.5[m]
0.0[cm/s]
(4) 再度,減速
0.6[m]
68.6[cm/s]
(5) 停止.相手ロボットが通過 0.0[cm/s]
(6) 回避完了.通常走行再開 19.9[cm/s]
(3) 回避開始
31.8[cm/s]
回避の走行目標点 3[m]
71.8[cm/s]
(1) 減速 対向ロボット
8.5 他のロボットとの関係の考察
8.5.2 失敗例:側面から接近してきたロボットに対する回避
本研究のロボットでは,歩行者や他のロボットが側面から接近する場合の回避動作は,未 だ解決できていない問題である.その例として,つくばチャレンジ2015において,対象人 物の探索行動中に他のロボットが右から接近してきた状況を図 8.12に示す.本研究では側 面から接近する対象の回避は定義していない.そのため,本ロボットは通常の側方にある物 体と同様の回避行動を行ったが,避けきれなかった(図8.12 (2)(3)).相手のロボットも減速 したが間に合わず,本ロボットの側面に接触した.互いのロボットは,それぞれ接触を検知 した直後に一時停止し,その後,後退した(図 8.12 (4)(5)).その後は,互いのロボットの 回避動作によって,それぞれ元の経路に復帰し,自律走行を再開した(図 8.12 (6)).なお,
本ロボットは自律走行を継続し,ゴールに到達した.側面から接近する対象を識別するため には,相手の軌跡の推定と回避のための動作を決定する二つの技術課題がある.すなわち,
動的な走行可能領域の識別が必要である.
(1) 相互に接近 (2) 接触
(3) 停止 (4) 相手ロボット後退
(5) 本ロボット後退 (6) 離脱
図 8.12 側面から接近してきたロボットに対する回避動作
8.5 他のロボットとの関係の考察
車両進入止めの ポール
図 8.13 横断歩道手前の停止時の問題
本ロボット
図 8.14 横断歩道手前のロボットによる行列
8.5.3 横断歩道前の行列動作
つくばチャレンジ2015において,初めて横断歩道の通過が課題コースに含まれた.今回 は安全上の観点から,つくばチャレンジの実行委員より,ロボットは横断歩道の手前で一時 停止し,その場にいる係員が横断歩道周辺に車両がいないことを確認することで安全を確保 するルールが定められた.安全が確認できたことが係員より指示された後,オペレータがロ ボットの停止を解除することで自律走行を再開する.また,横断歩道手前でロボットで混み 合う状況を想定し,ロボットは横断歩道の手前10[m]ほどの課題コース上に設定された区間