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マラリアに関する3つの話題

ドキュメント内 6„”“ƒ„û−G33 (ページ 136-139)

海老沢 功

海老沢医院院長

稿

株に感染したので,再発は次年度になる。すなわ

ち翌年学期末試験のころU氏は第1回の再発を起 こし再入院して試験を免除された。その翌年の学 期試験の際も第2回のマラリア再発のため入院し て学期末試験を免除されたという。結局彼はマラ リアの初回と2回の再発による発熱発作のため,

旧制高校在学中期末試験を1回も受けないで卒 業,大学に入ったという。そのU氏は後に著名な 鳥類学者となった人である。

3)ペンギンのマラリア

ペンギンは南極大陸あるいはそれに近い地域で 繁殖し,水中で食餌となる魚を捕って生活してい る飛ばない鳥類である。短い羽毛に覆われている が,他の鳥類が季節の変わり目に羽毛が生え替わ るように,ペンギンにも換羽期といって,短い羽 毛の密生した皮膚が,人間がセーターを脱ぐよう に一時に剥がれおちる時期がある。その下にはす

でに普通の羽毛が生えているが,ペンギンはかな り体力を消耗し体重も減少する。ペンギンがマラ リアを発症するのはこの時期である。

*ペンギンのマラリアの病原体と感染経路 ペンギンのマラリアの病原体は,日本では普 通,鶏が感染する

Plasmodium  juxtanucleare

であるが,鶏は発病しないといわれる。この鶏 を日本脳炎を媒介するコガタアカイエカ

Culex tritaeniorhyncus

が吸血すると蚊が感染するが,

鶏の場合潜伏期は50日以上という数字もある2)。 その蚊がペンギンを吸血するとき感染する。こ のマラリア原虫の抹梢血液内発育サイクルは24 時間と記載されている2)ので,ヒトのマラリア原 虫のなかで最も短い熱帯熱マラリア原虫の36−

48時間より短い発育のサイクルである。なお参考 のために述べるが,マラリア原虫の発育サイクル とは分裂小体が赤血球に侵入してから,栄養体を 経て分裂体になり,成熟して分裂小体を完成する 図中66個の赤血球のうち38個,58%がマラリア原虫感染している。大きく発育した原虫 を矢印で示してある。

図 マラリアで死亡したペンギンの血液所見

稿

までの一連の無性生殖の経過である。

図に品川水族館で死亡したペンギンの血液標 本を示す。これを見ると,図の中にある赤血球

(鳥類の赤血球はすべて楕円形の核を持っている)

66個のうち38個,実に58%が感染している。こ れらのマラリア原虫感染赤血球は24時間で崩壊 するから,ペンギンは急速に貧血に陥り死亡する わけである。

*ペンギンのマラリア治療薬

水族館に勤務する獣医からの処方はペンギンの 体重Kg当たりクロロキンが5mg,プリマキンが 1mgである。これを合剤にし,ゲラチンのカプ セルに入れ,鯵などの小魚の鰓えらの下に挿入してペ ンギンに食べさせる。水槽内には複数のペンギン を飼育しているので,個々のペンギンには標識番 号をつけておき,1匹ごとに捕まえて飲ませる。

これを9日間継続して1クールとする。多数のペ ンギンを飼育している水族館の職員にとっては,

これはかなり手間のかかる仕事である。またクロ ロキンとプリマキンを同時に処方していること は,抹消血中と肝細胞内の原虫両方を殺す目的と 考えられる。ペンギンはマラリアを発症してもか なり重症にならないと体調異常が分からないの で,発病する前の時期に内服させる方針で作られ た処方であろう。

人のマラリアの治療にはクロロキン耐性株が多 くの地域の熱帯熱マラリア原虫と,一部地域の三 日熱マラリア原虫に出現しているが,鳥マラリア にはその懸念はなさそうである。

結び

1)隣国の韓国で一時減少した三日熱マラリアが 1993年から2000年の間に再び多発し,ソウル北 西方の春川の病院から,44人の症例報告があっ たことを紹介した。

2)大正時代の初期,北海道で夏休みに三日熱マ ラリアに感染した旧制高等学校生徒が,1年お きの温暖な季節に再発する三日熱マラリア原虫 の特性のため,当時9月に行われていた学期末

試験に3回重なり,在学中1回も学期末試験を 受けないで卒業できた実例を述べた。

3)日本国内数カ所の水族館と動物園から,人気 者のペンギンがマラリアで死亡するので,その 治療薬クロロキンの処方を依頼されている。鶏 に感染する

Plasmodium  juxtanucleare

が病原 体である。ただしこのマラリア原虫は種の違う 人間には全く無害である。

文献

1)Son,  H.  H.,  Soon.  Ok.  O.,  Kim,  S.  H  et  al  : Clinical features of 

Plasmodium vivax 

malar-ia, Korean J. Intern. Med., 18 ; 220-224, 2003.

2)Garnham,  P.  C.  C.  :  Malaria  Parasites  and other  Haemosporidia,  p.715,  1966.  Blackwell Scientific Publications, Oxford.

謝辞:本論文を作成するに当たり東京都品川区に ある品川水族館の獣医師遠藤智子氏より貴重な 資料を戴いたことを感謝する。

横須賀市は国立病院統廃合に伴い旧国立横須賀病

院を継承,その運営を社団法人地域医療振興協会に 委託し,許可病床350床,標榜診療科16科の厚生 労働省指定の臨床研修病院として,平成14年7月 1日に横須賀市立うわまち病院が開院しました。

前身の国立横須賀病院の歴史を振りかえると,明 治24年に横須賀衛

えい

じゆ

病院として創設,昭和11年 横須賀陸軍病院に,昭和20年には厚生省に移管さ れ国立横須賀病院と名称変更し,外地引揚者の診療 業務に当たりました。昭和21年に一般患者の診療 も開始,昭和40〜41年に現在の病棟と外来診療 棟が竣工しました。しかし,行政改革の一環として 昭和61年に発表された「国立病院・療養所の再編 成」が推進されるなかで,国立横須賀病院は横須賀 市に移譲されました。

当院は昨年3月にオーダリングシステムを導入,

続いて本年3月には電子カルテ導入によるペーパー レス,フィルムレス化にこぎつけました。「診療機 能の特化」と「診療連携」にも力を入れております。

「特化」としてセンター化を進め,消化器病センタ ー,低侵襲(日帰り)手術センター,救急センター などが生まれ活躍しています。診療連携では患者受 け入れの敷居の低さと間口の広さを重視し,「顔の 見える診療連携」を合言葉に,医師自らが多くの診 療所や病院を回り,これまでの問題点や要望を聞き,

改善を図っています。電話などで気軽に診療依頼を 受けることができるようになりました。おかげさま で昨夏より平均在院日数17日未満,紹介率30%

以上を保っています。

そのほか,診療情報開示,インフォームドコンセ ントの徹底,セカンドオピニオンの推進,患者権利 宣言などの採択などに努めてきました。さらに本年 3月には患者アドボカシー室(患者支援室)を開設。

これらのシステムを充実させ,説明責任を果たし診 療における透明性の高い病院を目指していきたいと 存じます。

まだ誕生後間もない病院ですが,よろしくお願い 申しあげます。

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