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フィードバックの効果の検証

ドキュメント内 失敗のモチベーション に対する影響について (ページ 148-163)

第 4 章 研究Ⅱ 組織的努力がモチベーションの持続性に及ぼす影響に関する研究

③ フィードバックの効果の検証

まず収集されたデータの無作為性を検証するために、4つのグループ(努力&スキ ル帰属グループ、性格帰属グループ、組織的人的要因帰属グループ、非人的要因帰 属グループ)の各コントロール変数の分布を確認した。変数ごとの分布図は下記の 通りである。

分布図で示した通り、4つのシチュエーショングループにおいて、性別、年齢、学 歴、転職経験、職位、統制の所在、自己効力感並びに仕事達成不安は全て類似する 分布を示している。したがって、4つのグループ間の比較が可能だと言えよう。

148 a.性別

138

52

0 40 80 120 160

男性 女性

努力&スキル帰属グループ

111

56

0 40 80 120

男性 女性

性格帰属グループ

89

46

0 20 40 60 80 100

男性 女性

組織的要因帰属グループ

119

39

0 50 100 150

男性 女性

非人的要因帰属グループ

149 b.年齢

0 10 20 30 40

非人的要因帰属グループ

0 5 10 15 20 25 30 35

組織的人的要因帰属グループ

1 6 13 20

28 34 41

36

7 4

0 10 20 30 40 50

努力&スキル帰属グループ

0 3

14

21 25

34

27

34

7 2

0 10 20 30 40

性格帰属グループ

150 c.学歴

50

7

110

21 0

50 100 150

高校・専門学校 短大卒 大学卒 大学院卒 努力&スキル帰属グループ

54

10

88

15 0

50 100

高校・専門学校 短大卒 大学卒 大学院卒 性格帰属グループ

46

6

67

15 0

20 40 60 80

高校・専門学校 短大卒 大学卒 大学院卒 組織的人的要因帰属グループ

52

12

75

18 0

20 40 60 80

高校・専門学校 短大卒 大学卒 大学院卒 非人的要因帰属グループ

151 d.職位

0 20 40 60 80 100

課長・次長クラス 係長・主任クラス 一般社員

努力&スキル帰属グループ

0 20 40 60 80 100

課長・次長クラス 係長・主任クラス 一般社員 性格帰属グループ

0 20 40 60 80 100

課長・次長クラス 係長・主任クラス 一般社員 組織的人的要因帰属グループ

0 20 40 60 80 100

課長・次長クラス 係長・主任クラス 一般社員 非人的要因帰属グループ

152 e.転職経験

74

45

30 23

8 4 6

0 20 40 60 80

0 1 2 3 4 5 5回以上

努力帰属グループ

60

36 31 25

7 3 5

0 20 40 60 80

0 1 2 3 4 5 5回以上

性格帰属グループ

64

32

17 14

5 1 2

0 20 40 60 80

0 1 2 3 4 5 5回以上

組織的人的要因帰属グループ

68

33

21 22

6 3 5

0 20 40 60 80

0 1 2 3 4 5 5回以上

非人的要因帰属グループ

153 f.統制の所在

4つのグループの平均値及び標準偏差は下記の通りである。なお、ヒストグラム分 布図の目盛は努力&スキル帰属グループの平均値 3.29 を中間値とし、データの区間

=0.30で作成する。

努力&スキル帰 属グループ

性 格 帰 属 グ ル ープ

組織的人的要因 帰属グループ

非人的要因帰属 グループ

平均値 3.28 3.36 3.35 3.36

標準偏差 0.65 0.65 0.56 0.70

154

13 9 19

38

67

23

10 11

0 20 40 60 80

2.38 2.382.68 2.682.98 2.983.28 3.283.58 3.583.88 3.884.18 4.18

努力&スキル帰属グループ

6 7

18

51

40

25

6 14

0 20 40 60

2.38 2.382.68 2.682.98 2.983.28 3.283.58 3.583.88 3.884.18 4.18 性格帰属グループ

7 2

10

48

35

21

6 6

0 20 40 60

2.38 2.382.68 2.682.98 2.983.28 3.283.58 3.583.88 3.884.18 4.18 組織的人的要因帰属グループ

0 20 40 60

~2.38 2.38~2.68 2.68~2.98 2.98~3.28 3.28~3.58 3.58~3.88 3.88~4.18 4.18~

非人的要因帰属グループ

155 g.自己効力感

4つのグループの平均値及び標準偏差は下記の通りである。なお、ヒストグラム分 布図の目盛は努力&スキル帰属グループの平均値 3.67 を中間値とし、データの区間

=0.30で作成する。

努力&スキル帰 属グループ

性 格 帰 属 グ ル ープ

組織的人的要因 帰属グループ

非人的要因帰属 グループ

平均値 3.67 3.55 3.62 3.55

標準偏差 0.85 0.80 0.75 0.82

156 25

17 18 23 29

43

15 20

0 10 20 30 40 50

2.77 2.773.07 3.073.37 3.373.67 3.673.97 3.974.27 4.274.57 4.57

努力&スキル帰属グループ

21 19 21 22 27 32

11 14

0 10 20 30 40

~2.77 2.77~3.07 3.07~3.37 3.37~3.67 3.67~3.97 3.97~4.27 4.27~4.57 4.57~

性格帰属グループ

13 12

18 20 25

32

5 10

0 10 20 30 40

2.77 2.773.07 3.073.37 3.373.67 3.673.97 3.974.27 4.274.57 4.57 組織的人的要因帰属グループ

21

13

21 22

29 32

7

13

0 10 20 30 40

~2.77 2.77~3.07 3.07~3.37 3.37~3.67 3.67~3.97 3.97~4.27 4.27~4.57 4.57~

非人的要因帰属グループ

157 h.仕事達成不安

4つのグループの平均値及び標準偏差は下記の通りである。なお、ヒストグラム分 布図の目盛は努力&スキル帰属グループの平均値 3.25 を中間値とし、データの区間

=0.30で作成する。

努力&スキル帰 属グループ

性 格 帰 属 グ ル ープ

組織的人的要因 帰属グループ

非人的要因帰属 グループ

平均値 3.25 3.29 3.36 3.37

標準偏差 0.73 0.75 0.69 0.70

158

19 15 14

57

20

37

9

19

0 20 40 60

2.35 2.352.65 2.652.95 2.953.25 3.253.55 3.553.85 3.854.15 4.15

努力&スキル帰属グループ

14 17

10

42

18

35

14 17

0 10 20 30 40 50

2.35 2.352.65 2.652.95 2.953.25 3.253.55 3.553.85 3.854.15 4.15 性格帰属グループ

12 10

4

31

18

31

15 14

0 10 20 30 40

2.35 2.352.65 2.652.95 2.953.25 3.253.55 3.553.85 3.854.15 4.15 組織的人的要因帰属グループ

11 15

9

36

20

35

9

23

0 10 20 30 40

2.35 2.352.65 2.652.95 2.953.25 3.253.55 3.553.85 3.854.15 4.15 非人的要因帰属グループ

159 フィードバックがモチベーションの持続性に対する影響

前節ではデータのランダム性が検証されたため、本節では研究Ⅱの仮説、つまり フィードバックが個人のモチベーションの持続性に与える効果の検証を試みる。4つ の帰属シチュエーションにおいて、失敗回避志向的なフィードバック、失敗奨励志 向的なフィードバック並びにフィードバックなしという 3 つの条件のもとで、算出 された個人のモチベーションの持続性の得点は下記の表4-1の示した通りである。

表4-1 4×3モデルの持続性得点

注:上段=平均値

下段=標準偏差

筆者作成

表 4-1 で示したように、まず努力&スキル帰属シチュエーションにおいて、フィ ードバックなしの場合のモチベーション持続性得点(P=3.36)に比べ、失敗回避志 向的なフィードバックを受けた場合(P=4.16)並びに失敗奨励志向的なフィードバ ックを受けた場合(P=4.39)のモチベーション持続性得点は両方ともフィードバッ クなしのグル―プを上回ったため、従業員が自らの失敗原因を努力&スキルに帰属す る際に、上司からのフィードバックがモチベーションの持続性に正の影響を与える と言えよう。したがって、仮説5が検証された。

フィードバック (失敗回避志向)

フィードバック (失敗奨励志向)

フィードバック 無し

努力&スキル帰属 4.16

(0.84)

4.39

(0.82)

3.36

(0.88)

性格帰属 3.95

(1.16)

4.03

(0.96)

4.15

(0.89)

組織的人的要因帰属 3.95

(0.94)

4.00

(0.64)

3.97

(0.74)

非人的要因帰属 3.79

(0.98)

3.79

(0.86)

4.01

(0.69)

160 更に、失敗奨励志向での持続性得点が失敗回避志向での持続性得点を上回ること から、2つのフィードバック方式は共に効果的ではあるが、その程度には差異が見ら れる。具体的には、努力&スキル要因帰属の場合、失敗奨励志向的なフィードバック のほうがより効果的である。

次に性格要因帰属シチュエーションにおいて、フィードバックなしの場合、モチ ベーションの持続性が最も高い得点(P=4.15)を示した。それはつまり、従業員が 自らの失敗を性格要因に帰属する場合、上司からのフィードバックがモチベーショ ンの持続性に負の影響を与えることを表している。したがって、仮説 6-1 は否定さ れる。

なお、失敗回避志向でのモチベーション持続性得点(P=3.95)と失敗奨励志向で のモチベーション持続性得点(P=4.03)を比較すると、僅差ではあるものの、フィ ードバックありの状態では、失敗奨励志向のほうがやや効果的だと言えよう。した がって、失敗回避志向的なフィードバックがより効果的だと推測でき、仮説 6-2 も 否定される。

以上のことから、自らの失敗を性格と仕事のミスマッチに帰属する従業員にとっ て、何のフィードバックも受けていない状態がモチベーションの持続性が最も高い 値を示し、一方フィードバックありの状態、特に失敗回避志向的なフィードバック が与えられた状態で、個人のモチベーション持続性得点が最も低い値を示す。それ は、性格要因帰属シチュエーションでは、フィードバック、特に失敗回避志向のフ ィードバックが持続性に対して逆効果である可能性が高いことを示した。

次に、組織的人的要因帰属シチュエーションにおいて、3つの条件のもとでのモチ ベーションの持続性得点はほぼ同値である。具体的には、失敗回避志向的なフィー

ドバック P=3.95、失敗奨励志向的なフィードバック P=4.00、そしてフィードバッ

クなしの場合P=3.97であった。したがって、フィードバックの有り無しは、このシ チュエーションにおいてモチベーションの持続性に有意な影響を及ぼさないことが 分かった。つまり、仮説7は肯定された。

そして、外的非人的要因帰属シチュエーションにおいて、まず失敗回避志向的な フィードバックを受けた場合と失敗奨励志向的なフィードバックを受けた場合のモ チベーション持続性は同値である(両方とも P=3.79)。また、フィードバックなし の場合ではモチベーションの持続性得点P=4.01で、フィードバックありの場合より 著しく高い。以上のことから、外的非人的要因帰属シチュエーションにおいて、フ ィードバックは効果的ではなかった。この意味では、仮説 8 が部分的に肯定された

161 とも言える。ただし、厳密に言うと、このシチュエーションにおいてフィードバッ クが効果がないというより、モチベーションの持続性に対しマイナスな影響、即ち 逆効果であるとの表現が適切であろう。

最後に、仮説では言及しなかったものの、この 4×3モデルの 12通の組み合わせ方 のうち、努力&スキル帰属シチュエーション×失敗奨励志向的なフィードバックの持 続性得点が最も高い値を示した。一方非人的要因帰属シチュエーション×フィード バックあり(失敗回避志向及び失敗奨励志向が同値を示した)の持続性得点が最も 低い値を示した。換言すると、努力&スキル要因帰属シチュエーションにおける失敗 奨励志向的なフィードバックは従業員のモチベーションに最も効果的である。一方、

非人的要因帰属シチュエーションにおけるフィードバックがモチベーションの持続 性に最も有害である。

162

ドキュメント内 失敗のモチベーション に対する影響について (ページ 148-163)