表5−2.K過程に設定した課題と生徒の反応の対応関係
設 定
し
た 課 題
生 徒 が 工 夫
●
発 見
し た 内 容 の 変 化
生 徒 の 技 能 の 伸 び の 自
覚 の 変 化
課題ゲーム1 A.「どの位置からどの ようにポールを返球 することが有効か」
・返球の仕方工夫
・返球位置の工夫
課題ゲーム2 B.「どの位置からの,
どんなトスが打ちや すいか」
・トスをする位置の工夫
・トスの高さのエ夫 C.「どんな隊形が攻撃 につなげやすいか」
・セッターの位置
・アタッカーの位置
課題ゲーム3 D.「いろいろな攻撃を
工夫しよう」
・チーム三位での組織的 な動きの工夫
・返球の仕方の工夫
・トスの上げ方の工夫
課題ゲーム4 E.「レシーブが乱れた 際の攻撃を工夫して みよう」
・トスの上げ方の工夫
・カバー
・返球の仕方の工夫
・攻撃の第一歩としての ファーストレシーブに 関する組織的な工夫
ロ
lA. 【 i返球の仕方の工夫 i・ジャンプして返球
iする
i・強いボールを返球;
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i・ねらって返球するi
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返球の仕方の工夫 ・スパイクで返球す るようにした ・スパイクに強弱を つけた)
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B.
トスの工夫
・前の人が横にトス する
・高くトスをあげる
^属矯彫鷹}獅剛脇嫡脇
A.D.
返球の仕方の工夫
し』臨眉■刎臓_駕_圃眉」昌
も意識できるようになっていることが認められた.
「課題ゲーム4」は, 「チャンスがあれば攻撃しよう」という課題で あったが, 「ラストボールをねらって返球した」, 「スパイクで返球し た」,「2本目のトスを高くあげるようにした」等,設定した課題に対 する工夫がみられるようになった.
以上のことから,生徒の意識は,P過程に設定した「課題ゲーム」の それぞれの課題に対応して向上していると考えられた.
「技能の伸び」の好意的回答比率の変化をみても, 「工夫・発見」と 同様に「課題ゲーム」時の値が「普通のゲーム」時よりも高く,さらに,
単元経過に伴い向上する傾向がみられた.特に,単元後半の14〜17時間 目に設定したスパイクを制限しない課題ゲーム時においては,学習の進 行に伴って顕著に向上する傾向がみられた.
また,単元始め,なか,終わりの普通ゲーム時における好意的回答比 率は,単元始めの23.9%から単元終了時の63.3%に,単元経過に伴い顕 著な向上が認められた.
自由記述させた内容の変化をみると,単元を通してパスやレシーブ等,
ファーストレシーブに関する記述内容とカバーについて多くみられた.
また,サーブに関する内容も単元を通してみられた.さらに,単元後半 には,スパイクやトスなどに関する内容もみられるようになった.
課題ゲーム別に質的な特徴をあげると, 「課題ゲーム1」では, 「何 となく」, 「よく体が動いた」−, 「ボールがとれた」, 「カバーできた」
等,具体性に欠けるものもあるが,キャッチできることでボールに積極 的に向かっていくことができたことに関する内容が多く認められた.
「課題ゲーム2」では, 「レシーブがうまくなった」,「自分からボ ールに向かっていってはじいてうまくなった」等,ボレーに関する上達 一90一
についての記述が増加した.また, 「返球することがうまくなった」,
「よく返せるようになった」,「ボールを相手のいないところに返せる ようになった」等,ラストボールの返球に関する内容もみられるように
なった.
「課題ゲーム3」では,「よく動いて広い範囲をレシーブできた」,
「パスがちゃんと返るようになった」,「サーブカットができるように なった」,「前よりカバーがうまくなった」等,より難易度の高い課題 を達成していると考えられる内容の記述がみられるようになった.
「課題ゲーム4」では,「トスがあがったのを打てた」, 「トスをあ げたりするのがうまくなった」, 「ちょっとしか打てなかったスパイク
も少しずつ打てるようになった」, 「スパ才クがレシーブできたり,コ ートぎりぎりのところにねらうて落とせた」等,攻撃に関する記述もみ られるようになった.
一方,非好意的反応を示した生徒の記述内容をみると, 「ゲームで負 けた」, 「正確なパスがいかなかった」, 「サーブをミスした」等,が 多くみられた.これらの生徒はむしろ上手な方で,、ミスしたことを気に
していることが多く,厳しく自己評価している傾向がみられた.これら のことを考え合わせると今回設定した「課題ゲーム」の難易度は一応適 切であったと考えられた.
さらに,単元後半にも技能の伸びの自覚に顕著な向上がみられ,トス やスパイク技能の伸びを自覚していた.すなわち,単元前半で・身につけ
た「パス→トス」のコンビネーションが生きて働き,スパイクの使用を 認めただけでスパイク技能をゲームで使用できている様子がうかがわれ
た..
これらのことから,半数以上の生徒は「課題ゲーム」に対応した技能 一91一
の伸びを自覚し,それらの技能を普通ゲーム時においても発揮できるよ うになり,単元前の23.9%から終了時の63.3%に普通ゲーム時の技能の 伸びの自覚を向上させたものと考えられた.
図5−2は, 「技能の伸び」と「工夫・発見」について,K過程の生 徒の好意的回答比率の単元経過に伴う変化を示したものである.また,
表5−2には,課題の流れと生徒の記述内容の流れを「技能の伸び」と
「工夫・発見」の2項目について模式的に示した.
「工夫・発見」についての好意的回答比率は,P過程と同様,普通ル ールによるゲーム時よりも課題ゲームの学習時の方が高く,ヒ u課題ゲー ム」において「普通ゲーム」よりも,より多くの工夫・発見をしている と考えられた.
「工夫・発見」した内容をみると,「課題ゲーム1」の学習時には,
「ジャンプして返球する」, 「強いボールを返球する」, 「人のいない 所やサイドをねらって返球する」,「前につないで返球する」等,ラス
トボールの工夫に関する記述が殆どであった.
「課題ゲーム2」では,「前の入が横にトスする」, 「高くトスをあ げる」, 「ネットすれすれにトスをあげる」等,トスに関する記述がみ られるようになった.さらに,「背の高い人と低い人が交互になる」,
「背の高い人は,ネットの高い側へ移動する」等,制限区域を意識した ポジションの工夫もみられた.また,「ラストボールをできるだけスパ イクで返球した」,「スパイクに強弱をつけた」等,スパイクに関する 記述がみられた.
「課題ゲーみ3」では,「前の一人がトスをあげ,両サイドの者がス パイクを打てるようひし形の隊形にした」, 「後ろのポジションの者も 含めて,全員がスパイクを打てるようにした」等,いろいろな攻撃を組 一92一
み立てるためのポジションに関する工夫が多くみられるようになった.
さらに, 「キャッチトスをできるだけ使うようにした」, 「ボレーとキ ャッチトスを迷わないようにrキャッチ』とかrボレー』と声を出すよ うにした」,「トスの高さを人によって打ちやすいように変えた」等,
質的に高まったトスに関する工夫もみられるようになった.
「課題ゲーム4」では, 「レシーブは高く上げる」,「レシーブ範囲 を決めた」, 「まず一本目をとる」, 「低く構えた」, 「サーブレシー ブ時は,後ろで構える」等,攻撃を組み立てるための第一歩として意識 されたファーストレシーブに関する工夫についての記述がみられるよう になった.さらに,ファーストレシーブ後のカバーに関する記述もみら れるようになった.しかし,スパイクを決めるために, 「セッターを決 めた」,才スパイクの上手な人にトスを上げる」等,役割を決めて攻撃 を組み立てよう.とする工夫もみられた.
以上のこと々・ら,生徒の意識は,K過程に設定した「課題ゲーム」の それぞれの課題にほぼ対応して変化していると考えられた.
「技能の伸び」の好意的回答比率は,低値ではあるが, 「工夫・発見」
と同様,「課題ゲーム」時の値が「普通ゲーム」時よりも高く,さらに,
単元経過に伴い向上する傾向がみられた.
また,単元始め,なか,終わりの普通ゲーム時における好意的回答比 率は,単元始めの30.0%から終了時の51.9%に,単元経過に伴い向上が 認められた.
記述内容の変化をみると,「課題ゲーム1」の学習時には,キャッチ とスローのみのゲームであることから, 「たぶん」, 「何となく」等,
具体性に欠ける記述もみられたが, 「投げる力がついた」, 「ボールを 落とせた」,「ねらって返せた」,「キャッチできた」,「積極的にで 一93一
きた」等,オーバーハンドスロー,及び動いてキャッチすることに関す る内容が認められた.
「課題ゲーム2」では, 「スパイクが打てた」,「スパイクのタイミ ングがつかめた」, 「うまくトスできた」等,トスやスパイク関する記 述が多くみられた.また,キャッチに関する記述も引き続きみられた.
「課題ゲーム3」では,キャッチ,スパイク,トスに関する記述が引 き続きみられ,「ころんでキャッチできた」,「相手のスパイクをキャ ッチできた」,「高い打点でスパイクできた」,「スパイクが入るよう になった」, 「キャッチトスできた」等,質的な向上がみられた.また,
サーブに関する記述もみられるようになった.
「課題ゲーム4」では,パスやレシーブに関する記述がみられるよう になった.しかも,「パスがうまくできた」,「ボレーで高く上げるこ とができた」等から,「レシーブがセッターに返せた」,「強いサーブ をレシーブできた」,「自分の範囲に来たボールは殆ど上げれるように なった」等へと,6時間の経過の中でより難易度の高い課題を達成して いると考えられる内容へと質的な発展がみられた.また,トス・スパイ クに関する記述もみられたが,記述内容に質的な変化は認められなかっ た.これは,ファーストレシーブがボレーになったことで,一本目をま ず上げることに意識が集中し』たためと考えられた.
一方,非好意的反応を示した生徒の記述内容をみると,P過程と同様 に,むしろ上手な生徒が厳しく自己評価している傾向がみられた.
しかし,単元経過に伴い, 「課題ゲーム」時の「技能の伸び」の値は 向上し,質的にも発展がみられたことから「キャッチ&パスからのスパ イク」, 「キャッチトスからのスパイク」, 「ボレーからのキャッチト スによるスパイク」の技能が段階的に身につき,「普通ゲーム」時の値 一94一