北海道草地研究会報 第四号 1985・3
び茎部において、温度が高くなるにともない低い値を示し、根部で中温区、低温区、高温区のj願となっ た。秋播き区では葉部、茎部および根部とも、温度が高くなるにともない低い値を示した。株植え区で は葉部および茎部において、中温区で高く、根部で温度が高くなるにともない高い値を示した。
北海道草地研究会報 第19号 '1985・3
効率的草地生産システムの実証的研究
第1報 草地利用方式の違いが生産量に及ぼす影響
佐藤康夫・平島利昭(北農試〉
草地の低コス卜な生産性向上のためには、牧草の季節生産性を最大限に活用し、生産牧草を無駄なく 効率的に利用するととが望ましい。一方北海道では冬期の 2 0 0日以上を貯蔵飼料に依存するので採草 地面積の割合が高い。そとで春期のスプリングフラッシュ時には刈取、採草し、夏以降は放牧を主体と する兼用利用方式について検討した。
試験方法
1 )供試草地:前年8月16日にオーチヤードグラス、メドウフェスク、ケンタッキーブルーグラス、
ラジノクロパーの混播草地を造成し、この2年目草地を供試した。
2 )生産水準による区分と追肥量:牧草生産水準を高水準区 (H)と低水準区(L )の2っとし、年 間生草収量をha当り、前者は 60トン、後者は40卜ンを目標として、施肥量によって調節し、各水準 の供試面積を2.5haとした。
年間施肥量(K9/ん)は、高水準区では
N
102、P
20 5
93、K
20
1.14、低水準区では63、60、69、と し、いずれも化成肥料を用い、早春、 1番刈後および2番刈後の3回に分施したo3 )利用方式:各水準草地は、それぞれ4牧区に等分(1牧区0.625ha)し、第1牧区は放牧のみ、
第2牧区は 1番刈後放牧、第3牧区は2番刈後放牧、第4牧区は 3番刈など刈取り、採草のみとした。
したがって放牧期間は第1‑‑第3牧区の輪換とした。放牧は、 7 ‑‑1 3ヶ月令アンガス種育成牛を用い、
5月1 0日‑‑1 0月1 4日までの15 8日開放牧した。
4)季節生産性調査:各水準草地の隣接地に同一処理区に設け、それぞれに刈取間隔を 10日毎、 20 日毎、 3 0日毎の3区 (1区面積1 6
m
Z)を作り、季節生産性を調査したロなを 1 0日毎区と同じ刈取 日になるように調節するため、刈始開始日を、 2 0日毎区では 4月2 0日、 4月3 0日の2系列、 3 0 日毎では4月2 0日、 4月3 0日、 5月10日の 3系列とし、日当り生産量はそれらの平均値を用いた。5 )採食量調査法:放牧期の採食量は、高草丈の不食地を除いた可食地面積について前後差法によっ て推定した。すなわち、
可食草量=(放牧前草量+放牧中再生草量)x可食草地面積 放牧後残草量=(放牧後残草量×可食草地面積)
放牧前草量および放牧後残草量は、 1
m
Zのコドラート法により刈取、再生草量は季節生産性調査デー ターから推定し、可食草地面積は高草丈の不食地を除いた面積とした。試験結果と考察
1 )年間再生量と季節生産性
刈取間隔別の年間再生量(図1)は刈取間隔が長いほど多収を示し、とくに採草利用に近い利用法の
円t
E 1u
1985・3 第 四 号
北海道草地研究会報
3 0日毎区でもっとも多収であった。
との利用法に近い2 0日毎、 10 明らかに低くなり、生産性の面からは不利であった口この傾向はまた、高水準の 一方放牧時の採食利用率を高めるためには短草利用が有刺であるが、
日毎の年間再生量は、
ような多肥でより判然としていた。
そとで季節生産性(2図)をみると、刈取間隔が長いほど春のスプリングフラッシュが大きく、年間 生産量のおよそ 5 0 婦がこの時期に生産され、その後の再生速度は急激に低下し、さらに多肥の高水準 2 0日毎の利用では季節生産性 区で一層との傾向が明らかであった。一方放牧利用に適する 10日毎、
しかも少肥の低水準区でとの傾向が明らかであった。またマメ科率は少肥の低水準区で 3 0日毎を上廻る再生速度を示した。
高く。とくに2 0日毎刈取では8月以降のマメ科率が高くなり、
が平準化され、
UJ~ば)
( H )
水 準(H) 水 準(L)
皿
4 y
高 水 準 一 一 低水準ー一一 追肥
。
18 q 1
︐
わい い U
h
J
Ir
︐
.i‑‑
川 川 い
UrμIIJ隔
IIIVJ
同U
︐
I〆 3 E ' ' ff f
口μ
n u q a
︐ ︐
E︑ ︑
E11'll寸1111'寸11114zttfl寸l﹄﹄l吋E﹃﹄ll寸tttE4l﹄S
6 4 2 0 8 6 4 2 o
' I A ' E A ' I A
句'A
日 当 り 乾 物 生 産 量
4 2
。
4 6
年
生
量 再
草 間
2
10 9
水準別および刈取間隔別の 季節生産性
7 8 5 6
0 /月
図2. 30日
刈取間隔と年間再生草量 20日
10日
図1.
以上のととから牧草地を効率的に利用するためには、春の節間伸長期の再生草を有効に利用する方式 が必要と考えられる。
2 )草地利用方式と生産量
牧草の季節生産性に配慮し、春の節間伸長期には4牧区中、 3牧区で 1番草を刈取り、同様に2番草 は2牧区で、 3番草は 1牧区で収穫した。一方放牧は育成牛の体重増加に伴う採食量の増大と夏期以降
‑158
ー北 海 道 草 地 研 究 会 報 第 四 号 1985・3
の可食草の減少を考慮し、上記の採草跡地を漸次放牧利用 lζ供する兼用利用方式とした。とのように利 用方式の異なる各牧区の乾物生産量を図3ζI示した。とのうち放牧利用時の生産量は面積当たりの採食
t / . 行
高水準区
J
/
乾
間 関
2物 10 番 2
生 草 番
産 草
量
5
, ̲
11: 1 1 : 1
│番草
①全期放牧 低水準区 ② 1番刈後放牧
①2番刈後放牧 (お全期刈取
番 草 2
番 草
番 草
番 草
牧 区 番 号 ① ② ① ⑤ ① ② ① @
図3. 草地利用方式と乾物生産量
量を用いた。との結果によると利用方式別には、採草が多く組み込まれた牧区ほど乾物生産量は高く、
また施肥量の多少による生産量の差も明瞭であった口すなわち全期採草の第4牧区の生産量に対し、全 期放牧の第1牧区の生産量は高水準区で6 6婦、低水準区では4 7婦となっていた。放牧利用の場合は、
牧草の再生段階ですでに短草利用というマイナス要因があるが、さらに放牧利用が適切であったか否か が採食利用量に影響する。との試験でも低水準区の全期放牧(第1牧区)では春の可食量に対し放牧頭 数がやや少なく、残食草からの出穂、が高水準区より多くなったため、低水準区の採食量が一時的に低下
し、とれが、全期放牧区の収量低下を大きくしたものと考えられた。
各水準別の 4牧区全体(各2.5 ha) について、それぞれ平均利用草量を求 めた結果(表1)、施肥量調節によっ て設定した目標に対し、高水準区で94 婦、低水準区で 101婦の実績となり 所期の目的が果された。しかし利用内 訳は、採草割合で高水準が約6 7婦、 低水準で約7 2婦となり、年間舎飼期
表1. 水準別兼用草地の牧草利用量 牧草利用量(生草卜ンパJ.a)
全 量 │ 採 草 量 │ 護 食 堂 │ 門 吹 高 水 準 5 6.1 7 37.58 1 8.59
低 水 準 40.3 5 28.92 1 1. 43
問 忌 x i o o
1 3 9 130 I 1 63‑159 ‑
71.7
北海道草地研究会報 第四号 1985・3
間割合の 55..̲..6 0 婦に近い値を示した。
以上のことから、季節生産性の大きな牧草を有効に利用するためには、草地を3..̲.. 4分割して、本試 験のように採草と放牧を組合わせた兼用利用が有効であるととが示唆された。
効率的草地生産システムの実証的研究
第2報 兼用利用草地における家畜生産性
佐藤康夫・平島利昭(北農試)
前報では、牧草の面積当たり生産量を最大iとして、効率的に利用するためには、春 初夏の節間伸長 期の牧草を採草し、その跡地の再生草を放牧 lζ利用する兼用方式が有効であることを明らかにしたロ本 報では、とのような兼用利用方式における放牧牛の増体経過を明らかにし、採草および放牧を含めた面 積当たりの家畜生産性について考察を加えたo
試験方法
1 )供試草地:前報と同様のオーチヤードグラス、メドウフェスク、ケンタッキーブノレーグラス、ラ ジノクローパの混播草地。
2)生産水準による区分と利用面積:前報と同様、施肥量によって調節した高水準区(H)と低水準 区
(L
)の2区とし、前者はh a
当たり生草収量で 60トン、後者は40トンを目標とした。各水準区の 面積は2.5h a
とし、とれをそれぞれ4牧区に等分割(1牧区0.625ha)
したが、実際に牧牧利用したの は、とのうち3牧区で、その利用面積は各水準区とも1.875ha:であった。3)放牧利用法:各水準草地とも、春(5月10日入牧)から 6月14日までは、第1牧区で固定放 牧し、その後は1番草採草跡の第2牧区を加えて交互輪換し、ついで8月3 1日以降は、 2番草まで採 草した第3牧区を加えて、 3牧区の輪換放牧とした。すなわち、牧草の季節生産性に応じて放牧面積を 順次拡大して採食草を確保する方式とした。放牧期間は5月10日..̲..1 0月14日までの 1 5 8日間と
‑160 ‑
北 海 道 草 地 研 究 会 報 第 四 号 1985・3
した。
4 )供試牛 7..̲.. 1 3ヶ月令のアンガス種育成牛を供試し、利用した3牧区(1.875ha)当たり、高 水準区では 7頭(合計体重1,474Kg)、低水準区では5頭(合計体重1,00 5 Kg)であった。放牧中は補
助飼料は全く給与せず、飲水および 塩は自由とした。
5 )採食量および増体量調査:放牧牛の採食量は、可食地面積について放牧時の前後差法によって推 定した(詳細は前報参照〉。また放牧牛の体重は、全頭について牧区の移動ごとに測定した。
試験結果および考察
1 )放牧牛の採食量(図1 ) 放牧牛の日採食量は、高水 準区では春と秋で高く、 7...
8月の夏期で低かった。とく l
ζ第2牧区の 1番刈後の再生 草の採食量が低かったが、と
~50
れは多肥により多収した跡の 頭 再生草量が少なく、可食草が 当
た40 不足したとと、夏期高温時の り 採食性低下などが影響じたも 食採30
量 のと考えられるD 低水準の日 f生、20 採食量は、春が低く夏から秋