3 コラボレーション XML/EDI
3.4 システム導入のポイントとシステム構築上の留意事項
文書のヘッダー情報に利用される。
(2) ビジネスプロセス設計の標準化対応
① ビジネスプロセス標準がある場合
業界または企業グループで標準としているビジネスプロセスがある場合はこれでビジネ スを実施することになる。
このビジネスプロセスを電子化する場合は,ebXML BPSS仕様準拠のBPSSインスタ ンスを記述して電子化できる。このebXML BPSS仕様ベースのビジネスプロセス記述(ビ ジネスプロセス仕様)はビジネスプロセスレベルでの電子コラボレーションの自動化に繋 がる。
② ビジネスプロセスを新たに設計する場合
ビ ジ ネ ス プ ロ セ ス を 新 た に 設 計 す る 場 合 は ,UMM(UN/CEFACT Modeling Methodology)の手法を用いて設計することになる。又は,ビジネスプロセスを新たに設計 する場合でも,BPSSインスタンスをテキストエディターを利用して直接生成可能である。
相互運用性を確保するには,UMMを利用してのモデリング手法が推奨される方法である。
① 受発注ビジネスプロセス
従来からEDIの中心がこの受発注プロセスの電子化であり,業界を問わず高い必要性が ある。導入効果としては,ビジネスターンアラウンドタイムの短縮,自動化による省人・
誤処理の防止などがある。
導入対象のビジネスプロセスの優先順位は高い。
図 3.7 受発注ビジネスプロセス
② 協働予測
効果的なサプライチェーンを構築するためには,この協働予測のビジネスプロセスの導 入が必要である。
日や週単位(短期)の販売見込や発注見込みのやり取りと,数ヵ月単位(長期)の需要 予測の交換のビジネスプロセスがある。
図 3.8 協働予測ビジネスプロセス
③ 電子カタログ
取引先の発見,購買,設計,製造のための技術,設計情報,製品情報の交換のためのビジ ネスプロセスであり,照会型とプッシュ型がある。
図 3.9 電子カタログビジネスプロセス バイヤー
(発注)
技術情報照会 技術情報応答
新製品情報配信
サプライヤ
(受注)
バイヤー
(発注)
注文 注文回答
変更 変更回答
取消 取消回答
サプライヤ
(受注)
バイヤー
(発注)
予測提供(短期)
予測確認(短期)
予測通知(長期)
予測確認通知(長期)
サプライヤ
(受注)
(2) ビジネスプロセス再構築の検討
コラボレーションXML/EDIシステムの意義としては,戦略的なサプライチェーンを構築 して,企業グループ又は業界の競争力を高める狙いがある。この意義に沿ってのビジネスプ ロセスの再構築の検討が必要である。この検討の過程では,各企業の社内システムとの連携 方法の検討も必要である。
(3) TPA機能の適用の検討
取引基本契約書相当(取引成立条件,準拠する法律,秘密契約,紛争時の管轄裁判所など)
は,企業グループ又は業界として雛型の策定が必要である。
RosettaNetはTPA(Trading Partner Agreement)の雛型を提供している。
必要に応じて取引上のパラメータ(リードタイムやロットサイズなど)を定型化して電子 化することも考えられる。
3.4.2 コンピュータシステム構築の観点
コンピュータシステム構築上の観点としては,社内バックエンドとの連携方式,安全な高稼動 性システムの構築などがある。
3.4.2.1 社内バックエンドとの連携方式
社内バックエンドシステムとの連携方式は大きく分類して,①ファイル転送による簡易連携方 式と,②多様なシステムをアダプタでハブ(EAI サーバー)に繋ぎ,企業内・企業間プロセスを シームレス・準リアルタイムに繋ぐ高機能連携方式がある。
(1) 簡易連携方式
XML/EDI電文を,XMLトランスレータにて社内ファイル形式に変換して,社内バックエ
ンドシステムと連携させる。ビジネスプロセスを制御する仕組みはアプリケーションで構築 するか,人間系で処理する。システム構築が,比較的簡単でシンプルである。
(2) 高機能連携方式
EAIサーバーが,各種・多様なシステムとのハブ機能を司る。
このEAIサーバーが各種のビジネスプロセスを制御することになる。ビジネスプロセスを 電子的に記述して,ビジネスプロセスの自動制御に繋げる標準仕様として,ebXML BPSS
(Business Process Specification Schema)仕様が開発・公開されており,このebXML BPSS 仕様の採用が一つの検討テーマである。
EAI サーバー
B2B サーバー トランスレータ
社内 バックエンド
(ERP)
イン ター ネッ ト
B2B サーバー トランスレータ
社内 バックエンド
――― 高機能連携方式 ――― ――― 簡易連携方式 ―――
図 3.10 社内バックエンドとの連携方式
3.4.2.2 安全な高稼動性システムの構築
(1) トラッキングとリカバリ
コラボレーションXML/EDIシステムの運用性を向上するため,ビジネスプロセスの処理
状況,XML/EDI電文の内容,エラー情報,履歴情報などのトラッキング機能が必要である。
またエラー発生時,原因除去後のリトライによるリカバリ機能も必要である。
(2) セキュアなサーバーの配置
企業のセキュリティポリシーに合わせたサーバー分割,配置の検討が必要である。
図 3.11 セキュアなB2B サーバーの配置図の上のB2Bサーバー配置は,DMZにXML/EDI データが置かれるシステム構成であり,図の下はDMZにはXML/EDIデータを一つも置か ない安全なシステム構成である。
図 3.11 セキュアなB2B サーバーの配置
(3) 可用性とスケーラビィティ
EDI電文のトランザクション数が多くなると,B2Bサーバーが高負荷になり処理の遅れ,
場合によっては EDI電文の処理漏れなどの障害に結びつく。想定される EDI電文のトラン ザクション量からB2Bサーバーの負荷状態を計算して,必要に応じて負荷分散システムの検 討が必要となる。B2B サーバーの負荷分散システム構成例を図 3.12 B2B サーバーの負荷分 散システム構成例に示す。
ロードバランサー(L/B)が負荷状況を検出して,トランザクションをB2Bサーバーに振 り分ける。また,B2Bサーバーを簡単に追加できるようにリニアなスケーラビィティの考慮 も必要である。
B2B サーバー
(GW)
社内 バックエンド
B2B サーバー
(本体)
F/W F/W
―――― DMZ ――――
―― イントラネット ――
B2B サーバー
(本体)
社内 バックエンド
イン ター ネッ ト
F/W F/W
イン ター ネッ ト
図 3.12 B2B サーバーの負荷分散システム構成例
3.4.2.3 メッセージ搬送レベル標準適用の場合の IP アドレスについて
メッセージ搬送レベルの標準(例:ebXML MS仕様,RosettaNet RNIF仕様)の中には,固 定 IPアドレス(あるいはURL)を持ったサーバー間でのみ使用可能なものがある。これらの標 準は,ダイアルアップ接続によってインターネット接続業者を介してインターネットを利用するよ うな場合には使用することができない。このような問題は,中小企業などが大手の取引先からEDI の実施を要請されたときに顕在化するものと考えられる。
この問題の対処法としては,これらの標準をサポートするASPサービスを利用することが簡単 かつ安価な方法である。
3.4.2.4 Web 画面表示方法と標準メッセージ変換方法
コラボレーションXML/EDIでの交換メッセージ(XMLビジネス文書)は,各社の自社社内シ ステムで画面表示又は帳票印刷して確認することになる。
XMLビジネス文書の画面表示方法は,XMLスタイルシート(XSLTスタイルシート)を利用 して表示できる。この方法は,ベーシックXML/EDIのWeb-EDIでの画面表示方法と同一であり,
2.5.2項(XML,XMLスタイルシートを活用したWeb-EDIの方式設計)を参照されたい。
コラボレーション XML/EDI でも,採用している標準メッセージ(ビジネス文書)の変換が必 要になる(例:自社固有メッセージ→業界標準メッセージへの変換,業界標準メッセージ→業界連 携標準メッセージへの変換)。XSLT(XSL Transformations)を利用したメッセージ変換が可能 であり,この方法は,2.5.4項(XMLベース標準メッセージの変換方法)を参照されたい。