3 コラボレーション XML/EDI
3.2 コラボレーション XML/EDI システム機能
3.2.3 コラボレーション XML/EDI システムのアーキテクチャの解説
本項では,コラボレーション XML/EDIの要件を満たす BtoBシステムのアーキテクチャにつ
いて解説する。図 3.1 コラボレーション XML/EDI のシステムアーキテクチャが,XML/EDIシステム のアーキテクチャである。
図 3.1 コラボレーション XML/EDI のシステムアーキテクチャ
システム要件とアーキテクチャ上の機能コンポーネントとの関係を以下に説明する。
要件①:インターネットを使ったリアルタイムなビジネス情報交換ができること。
対応機能:①セキュア通信機能
インターネットプロトコル(HTTP,SMTP 等)を使った情報通信機能である。通信の暗号化 や通信サイト同士の認証には,SSL V3(又はTLS V1.0)が使われる。ビジネス情報を他社に送 信するクライアント機能と,他社からのデータを受信するサーバー機能からなる。SSL の処理で は,⑥セキュリティ処理機能と連携する。
要件②:添付文書を含む1ビジネス文書を1メッセージ単位に確実に送受信できること。
対応機能:②電子封筒交換機能
電子封筒は,郵便で使う封筒と論理的に同じもので,ビジネス文書とその添付情報を格納し,
宛先や発信者情報に基づき,1封筒単位に送受信できる電子の封筒である。
郵便の封筒と同様,電子封筒に格納されたビジネス文書等を封筒内に隠す機能(暗号化),内 容に改ざんがないことを保証する機能や送信者を認証する機能(電子署名)がある。技術的には,
添付文書付き電子メールの形式であるMIME標準が使用される。RosettaNetやebXMLも,MIME 仕様をベースにしている。暗号化や電子署名を使用する場合は,S/MIME標準(RosettaNet RNIF 等)や,XML署名及びXML暗号とSOAPの添付付き形式の組み合わせたものを使用する(ebXML MS仕様)。電子封筒機能は,⑤XML処理機能や⑥セキュリティ処理機能と連携して,電子封筒 の生成や検定,取り出しを実現する。
電子封筒交換機能は,上記の電子封筒機能と,下位層の①セキュア通信機能を使った電子封筒 の送受信を行う機能をいう。ebXML MS仕様では,高信頼性配信機能(高信頼性メッセージ搬送 機能)があり,電子封筒の送受信が成功した場合にACKメッセージを交換する仕様や,ACKが 無い場合に,自動再送を実施する機能がある。さらに,メッセージの送信順番保証機能がある。
インターネット パートナ
ー
① セ キ ュ ア 通 信機能
② 電 子 封 筒 交 換 機能
③ 企 業 間 プロセス管 理 機 能
( BtoB 連携)
④ 企 業 内 プロセス連 携機能
(社内シ ス テ ム 連 携)
既 存 の 社内システ ム
⑤XML 処理機能(含む,辞書機能)&⑥セキュリティ処理機能 B to B システム
電子封筒 XML XMLや
他形式
要件③:企業間のコラボレーションを管理するプロセス管理機能があること。
対応機能:③企業間プロセス管理機能
企業間のビジネスプロセスを「パブリック・プロセス」と呼ぶ(一方,企業内で業務を行うた めのプロセスを「プライベート・プロセス」と呼ぶ)。企業間のコラボレーションとは,例えば,
需要予想を提示して供給計画をもらう(需要予想を受領し供給計画を送付する)会話や,注文を出 し注文請けや変更依頼を回答する会話,等である。この企業間の会話を規定したものがパブリッ ク・プロセス(業界標準)である。
パブリック・プロセス管理機能は,業界標準のビジネスプロセス定義に従い,要求側企業か,
回答側企業のいずれかの立場で,プロセス状態を管理する機能である。
パブリック・プロセスを規定した標準として,RosettaNetのPIP仕様や,ebXMLのBPSS仕 様がある。
要件④:社内システムと連携した企業間コラボレーションを実現できること。
対応機能:④企業内プロセス連携機能
企業内で業務を行うためのプロセスが「プライベート・プロセス」と呼ぶ。パブリック・プロ セスで規定された会話を実現するための企業内部で実現するプロセスである。例えば,需要予想を 提示して供給計画をもらう会話において,需要予想のビジネス文書を受信した企業では,生産計画 の変更,在庫の確認,等の社内プロセスを実行し,供給計画のビジネス文書を作成する。
プライベート・プロセス連携機能は,パブリック・プロセスを,各社の社内プロセスと連携す るための機能である。具体的には,下記のような連携機能が考えられる。
・ ワークフローツールやEAIツールによる社内プロセスとの連携
・ データベースを経由した社内システム連携
・ バッチ制御プログラムによる社内システム連携
・ ERPとのデータ交換
要件⑤業界標準に対応した XML ベースのビジネス文書の生成,変換,検定が行えること。
対応機能:⑤XML 処理機能
業界標準メッセージ形式(ビジネス文書)にXMLを採用する動きが活発化してきた。XMLは,
世界規模で相互交換性が高く,システム開発生産性が高い。これは,XMLが持つ下記の利点に由 来する。
・ データ記述の世界標準(W3C)であり,世界規模で仕様が認知されている。
・ ビジネス文書形式(スキーマ)を規定し公開できる標準仕様を持つ。
・ スキーマ(DTD,XML Schemaなど)に従って,ビジネス文書の検定を実施し,ビジネス 文書の項目値を取り出したり,XMLにしたりできる汎用ソフトウェア「XML パーサー」
が普及している。また,他システムのデータ形式とXML形式を変換するソフトウェアも市 場に出ている。
XML処理機能は,上記で言うXMLパーサー機能をベースにしたもので,業界のスキーマ定義 に従い,ビジネス文書の生成,変換,検定を行う機能である。
XMLメッセージの作成や検定では,業界辞書を使った変換や検定を行う。
要件⑥改ざん防止,否認防止,暗号化を実現する電子署名,暗号,認証機能を持つこと。
対応機能:⑥セキュリティ処理機能
通信や電子封筒のセキュリティ処理を実際に担当する機能。改ざん防止,否認防止,暗号化を 実現する電子署名,暗号,認証機能を持つ。
次項で,上記の機能要件を実装した世界標準規格RosettaNet,及び,ebXML仕様に基づくBtoB サーバーシステムのシステム機能構成例を説明する。