第 14 章
14.13 コントロールブロックに PD ファイルタイプを使用する場合 ( エンハンスト PLC-5 プロセッサのみ )
14.13 コントロールブロックに PD ファイルタイプを使用する場合
プロセス制御(PID) 14-17
Error Within DB (DB内の誤差)
.EWD=0
.EWD=1 誤差が、この画面で指定したデッドバンド値を超えていないかが表示され
る。デッドバンドは0を基準として設定する。
RESET :誤差はデッドバンドゾーン内にある。
SET :誤差はデッドバンドのセンターラインを超えている。
PID Initialized (PID初期設定)
.INI=0 .INI=1
コントロールブロックの値を変更するたびに、最初のスキャンでPID命令 を実行(初期設定されるまで)するために2倍の時間がかかる。
NO: PID命令は、コントロールブロック値の変更後、初期設定されてい ない。
YES: コントロールブロック値を変更しなかったため、PID命令は初期設
定されたまま。
注意:実行時には入力または工学単位の範囲を変更しないでください。変 更する必要がある場合は、このビットをリセットして初期設定し直 してください。それ以外の場合は命令が誤動作し、装置や人体に損 傷を与える恐れがある。
A/M Station Mode (A/Mステーション モード)
.MO=0 .MO=1
PID制御を自動 (0), またはマニュアル (1)のいずれにするかを指定する。
AUTO (0) :自動PID制御 MANUAL (1):マニュアルPID制御
マニュアル制御は、マニュアル・コントロール・ステーションからの出力 がPIDアルゴリズムの計算された出力を無効にするように指定する。
注:マニュアルはSet Output Mode (セット出力モード)を無効にする。
Software A/M Mode (ソフトウェアA/M モード)
.SWM=0
.SWM=1 ソフトウェアシミュレート制御を自動PID (0), または出力モード設定 (1)
のいずれにするかを指定する。
AUTO (0) :自動PID制御
SW MANUAL (1):ソフトウェアシミュレートPID制御
1つのループをプログラムするとき、データモニタを使用しマニュアル・
コントロール・ステーションをシミュレートできる。これを行なうとき は、.SWMを "SW MANUAL" に設定し、設定出力値(%)を指定する。
複数のループをプログラムするとき、ラダーロジック、プッシュホイー ル、および押しボタンスイッチを使用して、マニュアル・コントロール・
ステーションをシミュレートできる。これを行なうときは、.SWMを "SW
MANUAL" に設定し、値を出力エレメント.SOに転送する。
Status Enable (ステータス有効)
.EN=0 .EN=1
PID命令が動作しているのかを見るために、ラング状態を表示するときに このビットを指定する。
0 :命令は実行していない 1 :命令実行中
Proportional Gain (比例ゲイン)
.KP 浮動小数点の値を指定する。独立または標準ゲインの有効な範囲は、0〜 3.4 E+38 (単位なし)です。
Integral Gain (積分ゲイン)
.KI 浮動小数点の値を指定する。独立ゲインの有効な範囲は0〜3.4 E+38イン バース秒で、標準ゲインの有効な範囲は0〜3.4 E+38min/繰返し回数です。
Derivative Gain (微分ゲイン)
.KD 浮動小数点の値を指定する。独立ゲインの有効な範囲は0〜3.4 E+38sec で、標準ゲインの有効な範囲は0〜3.4E+38minです。
Output Bias % (出力バイアス(%))
.BIAS フィードフォワードする、または出力へのバイアスとして使用する出力の
パーセント値(-100〜+100)を指定する。バイアス値は、エネルギーがシ ステムから間断なく損失することを補うことができる。
ラダープログラムは、障害を見越して出力をバンプするためにフィード フォワード値を指定できる。この値は、転送の遅れを利用してプロセスを 制御するために使用される。
(続く) パラメータ アドレス
ニーモニック
説明
コントロールブロックにPDファイルタイプを使用するときは、PID命令の データモニタ画面からPID構成画面を表示してください。PID構成画面か ら、PID命令の特性を定義することができます(表14.E参照)。
表14.E PID構成の説明(PDコントロールブロック) Tieback %
(タイバック(%))
.TIE マニュアル・コントロール・ステーションからの生のタイバック(0〜
4095)のパーセント値(0〜100%)が表示される。PIDアルゴリズムは、こ
の数値を使用して、マニュアルから自動モードに切換えるときにバンプレ ス転送を実行する。
Set Output % (設定出力値(%))
.SO この画面またはラダープログラムから、ソフトウェア手動制御出力をパー セント(0〜100%)で指定する。
ソフトウェアシミュレート制御(.SWM=1)を選択すると、PID命令は出力 モジュールへ転送するために設定出力値(0〜4095)を持つアルゴリズムを 無効にし、それをパーセントとして表示するために.OUT (Output %)にコ ピーする。ユーザ制御下の.SOは最後の自動アルゴリズム出力から開始す るため、ソフトウェアシミュレート制御への転送はバンプレスとなる。転 送が終了するまでは.SOを変更しないでください。
ソフトウェアシミュレート制御から自動制御へ切換えるときにバンプレス 転送を実行する場合、出力が設定出力値に等しくなるように、PIDアルゴ リズムは積分項を変更する。
パラメータ アドレス ニーモニック
説明
パラメータ アドレス ニーモニック
説明
PID Equation (PID式) .PE=0 .PE=1
独立ゲイン (0), または従属ゲイン (1)のいずれを使用するか選択する。
INDEPENDENT (0) :独立ゲイン
DEPENDENT (1 :従属ゲイン
標準のループ調整方式を使用する場合は従属ゲインを使用する。3種類の ゲイン定数(P, I, およびD)を独立して処理する場合は独立ゲインを使用す る。
Derivative of (微分) .DO=0 .DO=1
PV微分 (0), または誤差微分 (1)のいずれを使用するか選択する。
PV (0) :PV微分
ERROR (1) :誤差微分
設定値をあまり変更しない場合は安定した制御のためにPV微分を使用す る。アルゴリズムがオーバーシュートに耐えられる場合は、設定値の変更 に素早く応答するように誤差微分を使用する。
Control Action (制御動作)
.CA=0 .CA=1
直接動作、または逆動作のいずれを使用するかを選択する。
REVERSE (0):逆処理(E = SP-PV) DIRECT (1) :直接処理(E = PV-SP) PV Tracking
(PVトラッキング)
.PVT=0 .PVT=1
PVトラッキングを使用する(0), または使用しない(1)かを選択する。
NO (0) :トラッキングなし
YES (1) :PVトラッキング
マニュアルから自動制御へ切換えるとき、アルゴリズムがバンプに耐えら れる場合はトラッキングなしを使用する。設定値がマニュアル制御でPV をトラックし、自動制御へバンプレス転送する場合は、PVトラッキング を使用する。
(続く)
プロセス制御(PID) 14-19
Update Time
(更新時間)
.UPD ロードの自然周期(ロード時定数)の1/5〜1/10で、更新時間(0.01sec以 上)を指定する。ロード時定数は以下に示す値よりも大きくする必要があ る。
3msec (アルゴリズム) + ブロック転送時間(単位:msec)
更新時間に等しい一定間隔でPID命令を定期的に有効にする。プログラム スキャンタイムが必要な更新時間に近い場合、一定の更新間隔を確実にす るためにSTIを使用する。プログラムスキャンが必要な更新時間より数倍 早い場合は、タイマを使用する。
注意:更新時間を省略するか、または負の値の更新時間を指定すると、最 初にPID命令を実行するときにメジャーフォルトが発生する。
Cascade Loop (カスケードループ)
.CL=0
.CL=1 ループをループのカスケードに使用する(1), または使用しない(0)かを選
択する。
NO (0) :カスケードに使用しない。
YES (1) :カスケードに使用する。
Cascade Type (カスケードタイプ)
.CT=0
.CT=1 ループがループのカスケードの一部分である場合、ループがマスタ(1)で
あるか、またはスレーブ(0)であるかを選択する。
SLAVE (0) :スレーブループ
MASTER (1) :マスタループ
Master to this Slave (スレーブに対するマ スタ)
.ADDR ループがカスケードのスレーブループである場合、マスタのコントロー
ル・ブロック・アドレスを指定する。
タイバックはカスケードのマスタループでは無視される。カスケードルー プをマニュアル制御に変更すると、スレーブはマスタにマニュアル制御を 強制する。PVトラッキングがONの場合、イベントの順序は以下のよう になる。
スレーブ.SP > マスタ.TIE > マスタ.OUT > スレーブ.SP 自動制御に戻るときは、最初にスレーブを変更し、次にマスタを変更す る。
Engineering Unit Max (工学単位最大値)
.MAXS アナログモジュールのフルスケール出力に一致する工学単位で浮動小数点
の値を指定する。有効な範囲は、–3.4 E+38〜+3.4 E+38です。
注意:プロセッサフォルトが発生することがあるため、動作時にこの値を 変更しないでください。
Engineering Unit Min (工学単位最小値)
.MINS アナログモジュールのゼロ出力に一致する工学単位で浮動小数点の値を指
定する。有効な範囲は、–3.4 E+38〜+3.4 E+38(スケーリング後の数値)で す。
注意:プロセッサフォルトが発生することがあるため、動作時にこの値を 変更しないでください。
Input Range Max (入力最大値)
.MAXI アナログモジュールから使用可能なスケーリングされていない最大値であ
る、浮動小数点の値(–3.4 E+38〜+3.4 E+38)を指定する。例えば、0〜 4095の範囲のモジュールには4095を使用する。
Input Range Min (入力最小値)
.MINI アナログモジュールから使用可能なスケーリングされていない最小値であ
る、浮動小数点の値(–3.4 E+38〜+3.4 E+38)を指定する。例えば、0〜 4095の範囲のモジュールには0を使用する。
Output Limit High % (出力上限値(%))
.MAXO それ以上の値を指定すると、アルゴリズムが出力をクランプする値をパー
セント(0〜100%)で指定する。
Output Limit Low % (出力下限値(%))
.MINO それ以下の値を指定すると、アルゴリズムが出力をクランプする値をパー
セント(0〜100%)で指定する。
PV Alarm High (PVアラーム最大値)
.PVH システムが耐えられる最大PV値を示す浮動小数点の値(–3.4 E+38〜 +3.4 E+38) を指定する。
PV Alarm Low (PVアラーム最小値)
.PVL システムが耐えられる最小PV値を示す浮動小数点の値(–3.4 E+38〜 +3.4 E+388)を指定する。
(続く) パラメータ アドレス
ニーモニック
説明
14.13.1 コントロールブロック値の使用
コントロールブロックのワード0および1には、ステータスビットとコント ロールビットが入ります。表14.Fに、コントロールブロックの各ワードに 格納される値を示します。
表14.F PIDコントロールブロック PV Alarm Deadband
(PVアラームデッド バンド)
.PVDB 迷惑なアラームを最小限にする浮動小数点の値(0〜3.4 E+38)を指定する。
これは、片側だけのデッドバンドです。アラームビット(.PVHまたは
.PVL)は、PVがデッドバンドを超えてアラーム限界値(DBゼロポイント)
に達するまでセットされない。アラームビットは、PVがデッドバンドを 抜け出すまでセットされたままになる。
Deviation Alarm (+) (微分アラーム (+))
.DVP システムが耐えられる設定値以上で、最大誤差微分を指定する浮動小数点 の値(0〜3.4 E+38)を指定する。
Deviation Alarm (–) (微分アラーム (-))
.DVN システムが耐えられる設定値以下で、最小誤差微分を指定する浮動小数点 の値(–3.4 E+38〜0)を指定する。
Deviation Alarm Deadband (微分ア ラームデッドバンド)
.DVDB 迷惑なアラームを最小限にする浮動小数点の値(0〜3.4 E+38)を指定する。
これは片側だけのデッドバンドです。アラームビット(.DVPまたは.DVN) は、PVがデッドバンドを超えてアラーム限界値(DBゼロポイント)に達 するまでセットされない。アラームビットは、PVがデッドバンドを抜け 出すまでセットされたままになる。
No Zero Crossing (ゼ ロクロシングなし)
.NOZC=0
.NOZC=1 ゼロクロシングなし機能を使用する(1)か、禁止する(0)かを指定する。
0 :ゼロクロシングなし無効 1 :ゼロクロシングなし有効 No Back Calculation
(計算し直しなし)
.NOBC=0
.NOBC=1 計算し直しなし機能を使用する(1)か、禁止する(0)かを指定する。
0 :計算し直しなし無効 1 :計算し直しなし有効 No Derivative Filter
(微分フィルタなし)
.NDF=0 .NDF=1
微分計算にフィルタを使用する(1)か、禁止する(0)かを指定する。
0 :微分計算にフィルタを使用しない。
1 :微分計算にフィルタを使用する。
パラメータ アドレス ニーモニック
説明
ワード 内容 範囲
0 コントロール/ステータスビット ビット15 有効(EN)
ビット11 計算し直しなし(0=無効、1=有効) ビット10 ゼロクロシングなし(0=無効、1=有効) ビット9 カスケード選択(マスタ、スレーブ) ビット8 カスケードループ(0=なし、1=あり) ビット7 測定値トラッキング(0=なし、1=あり) ビット6 微分処理(0=PV, 1=誤差)
ビット5 微分フィルタなし (0=無効、1=有効) ビット4 セット出力(0=なし、1=あり) ビット2 制御動作(0=SP-PV, 1=PV-SP) ビット1 モード(0=自動、1=マニュアル) ビット0 式(0=独立、1=ISA)
(続く)