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事業対象地 66,500ha の内、北部側のスギハン川からカイット岬手前までの約

52,700haを北部地域として分析を行った。

【ドライバー1】隣接する生産林の火入れによる延焼や不審火

対象地の内陸側には生産林が広がっている。生産林と保護林の間には境界とし て水路が設けられているが、生産林側の野焼きの火が水路を越え保護林内部にま で及ぶことがある。火入れは雨期が始まる直前に行われ、雨による自然鎮火を予 測して行われるが、雨期の始まりの遅れにより鎮火が遅れ、延焼が広範囲に及ぶ ことも近年ではしばしば発生している。また、次の【ドライバー2】で述べる違 法伐採の際の火災の延焼もある。

【ドライバー2】木材利用の為の違法伐採

保護林内では、現在も違法伐採が行われている。伐採の対象は以前はマングロ ーブの大木、現在はMelaleuca sp.の伐採が行されている。

マングローブの伐採は、バタン川河口域で、1990 年代中盤から後半にかけて 行われていた。全盛期にはバタン川周辺に20 ヵ所の製材所が乱立し、建材用に マングローブの大木の伐採が行われていたが、2000 年に入り、保護林内の違法 伐採の取り締まりが強化され、製材所はすべて閉鎖された。

現在は、バタン村以外の村落がない河川や人工水路でMelaleuca sp.を対象と した伐採が定期的に行われており、今年度の現地調査でその現場跡地を確認でき た。Melaleuca sp.は耐水性が高く、水上高床式民家の足場や柱に多く用いられ、

沿岸地域では建材としてメジャーな木材である。成長が早く、5年程度で木材利 用に適した大きさになる。今回数か所の伐採現場跡地を確認したが、全てにおい て火を使った伐採が行われていた。Melaleuca sp.は樹幹が細く背丈が高くなり 樹冠が小さい為、Melaleuca sp.の周りには下草が生えやすい。また蔦などの植 物が樹幹に絡まり成長する。その為、伐採の前に森に火を放ち、下草や樹幹に絡 まった蔦などを焼き払い、足場を確保し作業がしやすい状態にしてから伐採され る。Melaleuca sp.は樹皮が何層にも厚く形成されており、火災に遭っても木材 に利用される芯の部分までは燃えにくいため、この様な伐採方法がとられている

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と考えられる。河川や水路沿いに伐採現場跡地が見られ、伐採された樹木は河口 付近の河川沿いに運ばれ山積みにされていた。山積みにされた木材には札が立て られ所有者の名前が書かれている。おそらく伐採し集めた木材を、後日大きな船 で運搬すると思われる。この周辺の唯一の村落のバタン村の住民を中心に聞き取 り調査を行ったところ、この不法伐採者は対岸のバンカ島から来ているそうであ る。対岸のバンカ島は波が穏やかな状態ならスピードボートで1時間の距離であ る。バンカ島から漁業などで訪れた船が、帰りに木材を山積みにして帰っている 様子を見たことがあるとの情報もあった。次の5枚の写真は、今回撮影した伐採 現場跡地の様子と山積みにされた木材の様子である。

写真 4-1 伐採現場跡地の様子1

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写真 4-2 伐採現場跡地の様子2

写真 4-3 伐採現場跡地の様子3

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写真 4-4 伐採した木材を河川沿いに山積みにしている様子

写真 4-5 山積みの木材に立てられた名前入りの札の写真

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【ドライバー3】養殖場の開拓

養殖場開発の為の伐採及び土地の掘削は、外部からの侵入者により行われたケ ースがほとんどである。OKI県の南側に位置するランプン州ではエビ養殖が盛ん であるが、ランプン州内での養殖場開発は飽和状態であり、新規開拓地を求めて ランプン州からこの OKI 県に北上進出している。養殖池は、海の波の影響を受 けず、また水流確保のために自然河川の中腹に作られており、海側からは見えに くい位置にある。

この北部地域内では、現在使用されている養殖池はほとんどなく、跡地となっ ている。跡地の形状から、2パターンの養殖場形態が確認された。1つ目は、河 川沿いの土地のマングローブ林を皆伐し池を掘るタイプで、通常よくみられる養 殖場の形である。2つ目は、細い小川を利用したもので、堀を巡らせる様に溝を 掘り小川の水を引き込み、堰を設置しその堀の中で養殖する形態である。この方 法は森林の皆伐を行わず森林被覆率の減少が顕著には現れない為、周囲からは開 拓の事実を気づかれにくい。

現在はこれらの養殖場は放棄され、森林の自然回復傾向にあるが、今後、養殖 池の開拓が再燃する可能性は高い。その理由は3つあげられる。1つ目は、近年 のエビ価格の高騰によるエビ養殖業者が増加する事。2つ目は、南部地域がすで に養殖池開拓が飽和状態にある為、養殖池開拓がこの地域にも北上してくる事。

これは、OKI県の北側に隣接するBanyuasin県でも養殖池開拓が行われている ことから、その中間地点にあり沿岸域という養殖池に適した立地条件のこの保護 林でも開発が再燃すると考えれらる。3 つ目は、稚エビ業者が Banyuasin 県に 稚エビ生産場を建設する予定がある事である。現在この周辺エリアで稚エビの生 産業者はなく、購入する場合は、ランプン州の業者から購入しなければならない。

その為、長時間輸送に弱い稚エビを購入することは、養殖業者または養殖農民に とってリスクが高かったが、近隣で稚エビの生産が開始されれば、長時間輸送に よる稚エビの衰弱のリスクが軽減され、エビ養殖業への参入好機が高まる事が考 えられる。これらの要因により、養殖場開発が再燃する可能性は高いと考えられ、

今後の大きなドライバーとなり得る。

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写真 4-6 養殖場開発の跡地の様子

【ドライバー4】水路造成及び土壌堆積に起因した環境変化による森林の荒廃

≪人為的水路造成≫

内陸に隣接する生産林エリアから海にかけて、保護林内を横断する形で、木材 搬出用用水路が、生産林業者による造成されている。重機を使用し水路を掘り、

その土を水路脇に積上げ、盛り土のようになっている。盛り土状になっているこ とから周辺地帯において、本来の水流が堰き止められ、水循環が悪化したことに よる植生が枯死、荒廃していることが考えられる。このような人工の水路は対象 地内に、現在の使用頻度の違いはあるものの10本程度確認されている。保護林 内に水路を掘削する場合に、本来は中央の林業省の許可が必要であるが、OKI 県が掘削の許可を発行していることから、中央の林業省内ではこの水路の存在は 認識されていない。また、水路掘削による水循環及び植生の変化については、

OKI県行政でも認識されいない。

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写真 4-7 人工的に造成された水路の様子

バタン川からタパ岬のエリアでは、水路造成による森林荒廃が顕著である。次ペー

ジにLANDSATおよびRapid Eyeの衛星画像による1989年から2012年までの経年

変化の様子を示している。黄色い線は境界線を示しており、海岸線から内陸に向かって 保護林を横断するように引かれている境界線は、水路のバッファーゾーンとして事業対 象エリアから外れている。2004年の画像では水路は確認できないが、2009年の画像で は造成された水路が明確に確認できる。この2004年から 2009年の間に水路が造成さ れ、それに伴って森林の荒廃が進んでいる様子がわかる。

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図 4-7 事業対象地南側エリアの経年変化

1989LANDSAT

2004LANDSAT

2009 LANDSAT

2012Rapid Eye

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≪自然的土壌堆積≫

スギハン川以南の岬の中心部分で森林減少・劣化が進行している。現地調査で このエリア全体に水が常時停滞している状態であることが確認された。このエリ ア の 植 生 は 、Rhizophora sp.及 び Avicennia sp.の 樹 木 が 確 認 で き た が 、 Rhizophora sp.は立木の状態で枯死し樹幹部は腐朽が始まっており、Avicennia sp.に関しても立木の状態で枯れが始まっている部分があり、樹冠部分の葉量が 減少している。こうした衰退エリアにおける樹冠被覆率は 10%~50%程度であ る。森林衰退の原因としては、滞水による水温や塩分濃度の上昇が考えられる。

滞水の原因究明については追加調査が必要であるが、おそらく岬の海岸線の前進 に関係があると思われる。水流などで土壌が流出し、その土砂が海岸線前面に堆 積し、海岸線が前進する。それと同時に前面に堆積した土砂により内側の排水が 悪くなり、内部からの水流が海に流れ出ることができずに、北部岬の中心部に滞 留していると考えられる。

写真 4-8 北部岬の中心エリアの滞水の様子

水路造成及び土壌堆積等に起因する環境変化により、エリア内の水循環に大き な影響が生じていることが現地調査で確認された。

対象地内の衛星画像による経年変化を観察すると、低被覆地または滞水状態に ある土地の面積が拡大していることがわかる。